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第1章 エイゼル領の伯爵
第1章第013話 どうしようこの子
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第1章第013話 どうしようこの子
・Side:タロウ・ランドゥーク
キャラバンの停車場所に着いたところで、ツキシマレイコ様を馬から降ろして、祖父と護衛隊長、護衛騎士隊長に説明をした。
「で。ドラゴンが飛び立ったとおぼしきところに、あの子がいたと」
「お名前はツキシマレイコ様というそうです。赤竜神様に連れてこられて、ここを通る者達に街まで連れてって貰え…と言われたんだそうで。それ以上はまだ何も聞いていませんって」
三人で、トゥックルを眺めている少女を見る。
「ふむ…。あのお召し物、意匠も変わっているし材質も分らないが、見たことも無い上物だぞ。そこらの貴族以上にしか見えないが」
僕の祖父であるジャック・ランドゥークは、ランドゥーク商会の会頭として衣服の製造流通にも関わっているので。一見シンプルに見える衣類でも、材質で着ている者の身分を見破ったりもする目利きだ。その祖父が上物というのだから、相当なものなのだろう。
「ずっと西の方の国で、赤竜に願い事するのに生け贄を出すとかいう話、聞いたことありませんか? どこかのバカがあの子を生け贄にしてドラゴンを呼んだのかと思いましたよ。ドラゴンは帰っちまいましたけどね」
商会専属の護衛であるタルタス・チャニ。もともとはフリーの護衛だったが、その堅実な能力を買われて家の専属として契約している。フリー時代は仕事でいろんな処を訪れていたためか、こういう話がぽろっと出てくる。
似たような話は、俺も聞いたことがある。だから、とっさに赤竜神の巫女様と呼んでしまったのだけど。…生け贄となると、もしかしたら失礼な呼び方だったかな?
「赤竜神の巫女の話だな。どこまで実際にあったことなのかは知らんけどな。赤竜神に連れて来られたってのも俄に信じがたいが。実際にドラゴンが出た訳だし、あの小竜が一緒にいてはなぁ。下手な扱いをしたら、あちこちの国やら教会やらから手配かけられるぞ」
エイゼル領主アイズン伯爵の護衛騎士隊長ダンテ・リュービン様。伯爵に同行して北のユルガルム領を訪問していたが。件の崖崩れで二波に別れたので。"祖父の護衛"としてこちらに同行している。
ちなみに伯爵の方は、崖崩れがあった近くの山道を馬で越える予定だ。移動時間は、向こうのルートの方が半分くらいで済むし、峠の処だけ馬にのって越えるということを差し引いても、こちらのルートよりずっと楽だ。
「ですよねぇ。どうしますか?ジャック会頭」
「まぁ置いてく訳にはいかんだろ。小竜のことがなくてもまだ子供だぞ。アイズン伯爵なら、ともかく拾っていけと仰るだろう。伯爵とは次のタシニの街で合流する予定じゃ。とりあえず丁重にお連れして、そこで指示を仰ぐのが最善じゃろう」
「タシニまであと野営一泊か。ともかく、そろそろ移動を開始しないと今日の野営地に日が暮れるまでに付けないぞ。どうでしょう?タルタス殿」
「こちらとしては異存は無い。伯爵からお預かりしている馬車に同乗していただいて、もうちょっと詳しい話を伺おう」
「アイズン伯爵の馬車を使ってよろしいので?」
「流石に、赤竜の巫女様と小竜様に、荷馬車の隅に乗っていただくわけにはいかないだろう? タシニに先触れを出してくれ。伯爵はもうタシニに着かれているはずだ。伯爵には先にお耳に入れておくべきだろう」
「あの子、トゥックルになら、喜んで乗りそうですけどね。馬にお乗せしたときにも、大変喜んでおられましたし。いままで乗ったこと無かったとか」
その少女はというと、アイリから餌をもらってトゥックルに与えていた。黒髪はたしかに珍しいが皆無ではないし、その笑顔は普通の少女にしか見えない。
祖父とダンテ様が簡単な手紙を用意し、タルタス殿が部下に先触れの用意の指示をした。馬が走る速度なら、いまからなら日が暮れるまでにタシニに付くだろう。
・Side:タロウ・ランドゥーク
キャラバンの停車場所に着いたところで、ツキシマレイコ様を馬から降ろして、祖父と護衛隊長、護衛騎士隊長に説明をした。
「で。ドラゴンが飛び立ったとおぼしきところに、あの子がいたと」
「お名前はツキシマレイコ様というそうです。赤竜神様に連れてこられて、ここを通る者達に街まで連れてって貰え…と言われたんだそうで。それ以上はまだ何も聞いていませんって」
三人で、トゥックルを眺めている少女を見る。
「ふむ…。あのお召し物、意匠も変わっているし材質も分らないが、見たことも無い上物だぞ。そこらの貴族以上にしか見えないが」
僕の祖父であるジャック・ランドゥークは、ランドゥーク商会の会頭として衣服の製造流通にも関わっているので。一見シンプルに見える衣類でも、材質で着ている者の身分を見破ったりもする目利きだ。その祖父が上物というのだから、相当なものなのだろう。
「ずっと西の方の国で、赤竜に願い事するのに生け贄を出すとかいう話、聞いたことありませんか? どこかのバカがあの子を生け贄にしてドラゴンを呼んだのかと思いましたよ。ドラゴンは帰っちまいましたけどね」
商会専属の護衛であるタルタス・チャニ。もともとはフリーの護衛だったが、その堅実な能力を買われて家の専属として契約している。フリー時代は仕事でいろんな処を訪れていたためか、こういう話がぽろっと出てくる。
似たような話は、俺も聞いたことがある。だから、とっさに赤竜神の巫女様と呼んでしまったのだけど。…生け贄となると、もしかしたら失礼な呼び方だったかな?
「赤竜神の巫女の話だな。どこまで実際にあったことなのかは知らんけどな。赤竜神に連れて来られたってのも俄に信じがたいが。実際にドラゴンが出た訳だし、あの小竜が一緒にいてはなぁ。下手な扱いをしたら、あちこちの国やら教会やらから手配かけられるぞ」
エイゼル領主アイズン伯爵の護衛騎士隊長ダンテ・リュービン様。伯爵に同行して北のユルガルム領を訪問していたが。件の崖崩れで二波に別れたので。"祖父の護衛"としてこちらに同行している。
ちなみに伯爵の方は、崖崩れがあった近くの山道を馬で越える予定だ。移動時間は、向こうのルートの方が半分くらいで済むし、峠の処だけ馬にのって越えるということを差し引いても、こちらのルートよりずっと楽だ。
「ですよねぇ。どうしますか?ジャック会頭」
「まぁ置いてく訳にはいかんだろ。小竜のことがなくてもまだ子供だぞ。アイズン伯爵なら、ともかく拾っていけと仰るだろう。伯爵とは次のタシニの街で合流する予定じゃ。とりあえず丁重にお連れして、そこで指示を仰ぐのが最善じゃろう」
「タシニまであと野営一泊か。ともかく、そろそろ移動を開始しないと今日の野営地に日が暮れるまでに付けないぞ。どうでしょう?タルタス殿」
「こちらとしては異存は無い。伯爵からお預かりしている馬車に同乗していただいて、もうちょっと詳しい話を伺おう」
「アイズン伯爵の馬車を使ってよろしいので?」
「流石に、赤竜の巫女様と小竜様に、荷馬車の隅に乗っていただくわけにはいかないだろう? タシニに先触れを出してくれ。伯爵はもうタシニに着かれているはずだ。伯爵には先にお耳に入れておくべきだろう」
「あの子、トゥックルになら、喜んで乗りそうですけどね。馬にお乗せしたときにも、大変喜んでおられましたし。いままで乗ったこと無かったとか」
その少女はというと、アイリから餌をもらってトゥックルに与えていた。黒髪はたしかに珍しいが皆無ではないし、その笑顔は普通の少女にしか見えない。
祖父とダンテ様が簡単な手紙を用意し、タルタス殿が部下に先触れの用意の指示をした。馬が走る速度なら、いまからなら日が暮れるまでにタシニに付くだろう。
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