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第2章 ユルガルム領へ
第2章第011話 白蛇退治
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第2章第011話 白蛇退治
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。巨大白蛇を退治に、そいつが潜んでいる洞窟へ向かいます。
私とレッドさんだけで行っても良かったんだけど。流石に私とレッドさんだけでは行かせられないと言うことになりまして。
しかし、装備的にも経験的にも騎士の人達には不向きなシチュエーションですし。タルタス隊長はキャラバンの指揮があります。と言うことで、覇王様と横モヒカンの二人が付いて来てくれることになりました。
先日の鹿の退治の時の機転は、騎士隊の人からも評価されています。
「へっへっへ。大蛇は退治だぜ」
…汚物は消毒ですか? なんかノリノリですね、横モヒカンさん。…まぁ横モヒカンなのは兜の飾りであって、脱ぐと普通のお兄さんなんですけどね。
ともかく。明るい内に決着を着けたいので、早速出撃です。アイリさんが心配そうにしていますが、大丈夫ですって。
お? 白狼達三匹も付いてきますね。…触らせてくれるけど、乗せてはくれませんでした。残念。
「よーしよしよしよし。着いてきてくれるのか? おまえら。賢いな!」
横モヒカンさんは、仔狼を撫で繰り回しています。仔狼はあまりうれしそうではありませんが。
私とレッドさん。さらに三人に三匹。妙なパーティーの出発です。
林を抜け、茂みを掻き分けて1時間弱歩くと、斜面に大きな穴が見つかりました。自然に出来たのか、あの蛇が掘ったのか、他の動物が掘ったのか。
匂いか音か、狼さんには白蛇の気配が分るようです。グルルと唸っていますが、横モヒカンさんが抑えています。ここはレッドさんも預けておきましょう。私一人で行ってきますので。
洞窟の中でのレイコ・バスターは、下手すると私が埋まってしまいます。仮に洞窟が崩れたとしたら、私の位置が正確に分るのはレッドさんだけです。私は、洞窟が崩れても死にはしないでしょうが、自力で出られるかどうか、いつ出られるのか、やってみないとちょっと解らないですね。試したいとも思いませんけど。
洞窟入って索敵、入り口近くまで白蛇をおびき出してから攻撃。理想はこれですね。
洞窟自体はまっすぐなようです。見えないくらいには奥に潜んでいても、遠方からのレッドさんの横からの索敵に引っかかってますからね。
…私にも、もうなんとなく分ります。真っ暗で奥まで見えませんが、洞窟の長さは百メートルも無いですね。
覇王様がランタンを用意してくれてましたので、それを構えます。
洞窟に入る前に、まず右手にレイコ・バスターの用意をします。これは、ガイドとして先に撃つメーザーと、弾体のコイルガンのタイミングが難しいのです。撃つのは久しぶりだしね。うん、ほぼ最小出力でチャージ完了。見た目は変わりませんけど、いつでも撃てるようにしておきます。
左手でランタンを持って、洞窟に入っていきます。できるだけ足音を出さないように。
行き止まりのところに、白いぐねぐねが見えてきました。とぐろを巻いていますが、高さ五メートルくらい、洞窟の天井に届いています。
さて。おびき出すために石を拾って思いっきり投げつけます。相変わらず軽い体では威力が押さえられて、蛇の皮膚を抜くことは出来ません。でも、痛みくらいは与えられたようで。白蛇が頭を持ち上げて、シャーと威嚇してきました!
お。やってきたやってきた。片目はもう使えないようですね。
そのまま走って洞窟から出たところでくるっと振り向きます。うおっ!、そこに白蛇が口を開けて飛びかかってきます。
レイコ・バスターの超高速の弾体は、下手すると対象を貫通して外で破裂してしまうので。右手を伸ばして、大きく開けた口の中、できるだけ正面から頭蓋を狙って…いまです!
バパンっ!
発射の音と、白蛇の頭の破裂音が、ほぼ同時に洞窟に響きます。
白蛇の頭は、下顎残して吹き飛んでました。私に飛びかかろうとした勢いのまま、ズズズとスリップしながら洞窟から半分ほど出たところで停まりました。
「こりゃ凄いな」
改めて見ても、超巨大な蛇です。まだ少しビクビクしていますが。動かなくなるのも時間の問題でしょう。
覇王様が、鉈みたいなナイフを使って、ガツガツと首の骨を回収しようとしています。このへんは哺乳類の魔獣と同じなんですね。
「これだけの蛇皮があれば、一財産じゃね? 分厚すぎて逆に使いにくいか?」
「腐る前にヨムガルムから人を寄越してもらって、なるだけ採取して貰うしか無いな。目印に旗を立てとこう」
覇王様達が話しています。蛇は素材としてもいろいろ価値が出そうです。…でも、これは蛇皮バックには不向きじゃないかな? むしろ皮鎧?
…白狼たちが、洞窟の少し入ったところに集まっていました。
ペリットと言いましたっけ? 蛇や鳥が、消化しきれない物を吐き出しているあれです。それらしきものがいくつも転がっています。親狼が前足でなにか掘り出しています。
狼っぽい頭蓋が、他のいろんな動物の骨と一緒に転がってました。サイズから言って、この仔狼より少し小さいくらいでしょうか。
…狼たちは、白蛇をけしかけたのではありません。敵討ちをしたかったんですね。
ほとんど野生の勘でしょうが。狼たちは、私とレッドさんが白蛇を倒せるくらい強いことが分ってやってきたのかもしれません。野生動物にもマナ感知ができるものがいるって、覇王様が昔講義で話していました。
覇王様たちに事情を話すと、横モヒカンさん達が洞窟側の木の根元に穴を掘ってくれました。そこに骨を納め。丸石を置いてお墓代わりにします。狼たちは、その作業をずっと見ていました。
そのお墓に向かって、私は手を合わせます。
覇王様たちも、手を組みます。握った右手に左手を被せて、額に当てます。これがこの国でも礼拝のようです。
白狼達も、小さく遠吠えします。
…さて。宿営地に帰還しますか。
「無事で良かったーっ」
宿営地に戻ると、アイリさんが抱きついてきました。
覇王様が持って帰った巨大白蛇の首の骨が、討伐の証拠です。皮も少し持ってきたかったそうですが、上手く切り取れなかったようで、このへんは吹き飛んだ頭の破片だけです。ダガーくらいある牙は、破裂した頭から回収できようですね。
脅威が排除され、ホッとした雰囲気がキャラバンに流れます。
白蛇の頭を吹き飛ばして確実に退治できたこと。どうやら狼の家族の仇だったらしいこと。素材として回収しないのは勿体ないと言うこと。この辺の説明をしました。
さすがにキャラバンでは、あれの回収は無理でしょうから。覇王様の仰るとおり、タロウさんが次の村で人を手配するそうです。
あれをばらすのは大変そうですよ?
怪我をした仔狼は、丸太小屋のテラスに、馬の餌の草と予備の毛布を敷いて作った寝床に寝かされていました。
他の狼が帰ってきたことで立ち上がろうとしますが。それを抑えているのはなんとクラウヤート様。仔狼と行っても、大型犬並のサイスです。よく周りの人が近づくことを許しましたね。
治った後ならともかく。あの怪我では、今は親狼に付いてくことは出来ないでしょう。
クラウヤート様は、親狼に話しかけています。…親狼と向かい合うクラウヤート様との間に、どのような精神的交流があったのかは分りません。親狼は遠吠えを一つ吠えると、三匹で宿営地から離れていきました。
残された仔狼も、寂しそうに遠吠えで返します。
「…この仔は、僕が面倒見るよ」
クラウヤート様が仔狼をなでながら宣言した。その表情は、少年から一つ大人になったかのようですね。うんうん。
このあとの道中、マーディア様とメディナール様が仔狼を撫ですぎて、クラウヤート様に叱られる光景が頻発するのはまた別の話。
ちなみに、エカテリンさんは自重したようです。かわりにレッドさんが構われています。
就寝前と、朝の出発前に、再度レッドさんに長距離索敵をお願いします。レイコ・カタパルト!
結果は、数十キロ東と北に反応があるものの、次の村までは無問題。周囲の憂い無く、キャラバンが出発です。
次の村はもう、ユルガルム領です。
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。巨大白蛇を退治に、そいつが潜んでいる洞窟へ向かいます。
私とレッドさんだけで行っても良かったんだけど。流石に私とレッドさんだけでは行かせられないと言うことになりまして。
しかし、装備的にも経験的にも騎士の人達には不向きなシチュエーションですし。タルタス隊長はキャラバンの指揮があります。と言うことで、覇王様と横モヒカンの二人が付いて来てくれることになりました。
先日の鹿の退治の時の機転は、騎士隊の人からも評価されています。
「へっへっへ。大蛇は退治だぜ」
…汚物は消毒ですか? なんかノリノリですね、横モヒカンさん。…まぁ横モヒカンなのは兜の飾りであって、脱ぐと普通のお兄さんなんですけどね。
ともかく。明るい内に決着を着けたいので、早速出撃です。アイリさんが心配そうにしていますが、大丈夫ですって。
お? 白狼達三匹も付いてきますね。…触らせてくれるけど、乗せてはくれませんでした。残念。
「よーしよしよしよし。着いてきてくれるのか? おまえら。賢いな!」
横モヒカンさんは、仔狼を撫で繰り回しています。仔狼はあまりうれしそうではありませんが。
私とレッドさん。さらに三人に三匹。妙なパーティーの出発です。
林を抜け、茂みを掻き分けて1時間弱歩くと、斜面に大きな穴が見つかりました。自然に出来たのか、あの蛇が掘ったのか、他の動物が掘ったのか。
匂いか音か、狼さんには白蛇の気配が分るようです。グルルと唸っていますが、横モヒカンさんが抑えています。ここはレッドさんも預けておきましょう。私一人で行ってきますので。
洞窟の中でのレイコ・バスターは、下手すると私が埋まってしまいます。仮に洞窟が崩れたとしたら、私の位置が正確に分るのはレッドさんだけです。私は、洞窟が崩れても死にはしないでしょうが、自力で出られるかどうか、いつ出られるのか、やってみないとちょっと解らないですね。試したいとも思いませんけど。
洞窟入って索敵、入り口近くまで白蛇をおびき出してから攻撃。理想はこれですね。
洞窟自体はまっすぐなようです。見えないくらいには奥に潜んでいても、遠方からのレッドさんの横からの索敵に引っかかってますからね。
…私にも、もうなんとなく分ります。真っ暗で奥まで見えませんが、洞窟の長さは百メートルも無いですね。
覇王様がランタンを用意してくれてましたので、それを構えます。
洞窟に入る前に、まず右手にレイコ・バスターの用意をします。これは、ガイドとして先に撃つメーザーと、弾体のコイルガンのタイミングが難しいのです。撃つのは久しぶりだしね。うん、ほぼ最小出力でチャージ完了。見た目は変わりませんけど、いつでも撃てるようにしておきます。
左手でランタンを持って、洞窟に入っていきます。できるだけ足音を出さないように。
行き止まりのところに、白いぐねぐねが見えてきました。とぐろを巻いていますが、高さ五メートルくらい、洞窟の天井に届いています。
さて。おびき出すために石を拾って思いっきり投げつけます。相変わらず軽い体では威力が押さえられて、蛇の皮膚を抜くことは出来ません。でも、痛みくらいは与えられたようで。白蛇が頭を持ち上げて、シャーと威嚇してきました!
お。やってきたやってきた。片目はもう使えないようですね。
そのまま走って洞窟から出たところでくるっと振り向きます。うおっ!、そこに白蛇が口を開けて飛びかかってきます。
レイコ・バスターの超高速の弾体は、下手すると対象を貫通して外で破裂してしまうので。右手を伸ばして、大きく開けた口の中、できるだけ正面から頭蓋を狙って…いまです!
バパンっ!
発射の音と、白蛇の頭の破裂音が、ほぼ同時に洞窟に響きます。
白蛇の頭は、下顎残して吹き飛んでました。私に飛びかかろうとした勢いのまま、ズズズとスリップしながら洞窟から半分ほど出たところで停まりました。
「こりゃ凄いな」
改めて見ても、超巨大な蛇です。まだ少しビクビクしていますが。動かなくなるのも時間の問題でしょう。
覇王様が、鉈みたいなナイフを使って、ガツガツと首の骨を回収しようとしています。このへんは哺乳類の魔獣と同じなんですね。
「これだけの蛇皮があれば、一財産じゃね? 分厚すぎて逆に使いにくいか?」
「腐る前にヨムガルムから人を寄越してもらって、なるだけ採取して貰うしか無いな。目印に旗を立てとこう」
覇王様達が話しています。蛇は素材としてもいろいろ価値が出そうです。…でも、これは蛇皮バックには不向きじゃないかな? むしろ皮鎧?
…白狼たちが、洞窟の少し入ったところに集まっていました。
ペリットと言いましたっけ? 蛇や鳥が、消化しきれない物を吐き出しているあれです。それらしきものがいくつも転がっています。親狼が前足でなにか掘り出しています。
狼っぽい頭蓋が、他のいろんな動物の骨と一緒に転がってました。サイズから言って、この仔狼より少し小さいくらいでしょうか。
…狼たちは、白蛇をけしかけたのではありません。敵討ちをしたかったんですね。
ほとんど野生の勘でしょうが。狼たちは、私とレッドさんが白蛇を倒せるくらい強いことが分ってやってきたのかもしれません。野生動物にもマナ感知ができるものがいるって、覇王様が昔講義で話していました。
覇王様たちに事情を話すと、横モヒカンさん達が洞窟側の木の根元に穴を掘ってくれました。そこに骨を納め。丸石を置いてお墓代わりにします。狼たちは、その作業をずっと見ていました。
そのお墓に向かって、私は手を合わせます。
覇王様たちも、手を組みます。握った右手に左手を被せて、額に当てます。これがこの国でも礼拝のようです。
白狼達も、小さく遠吠えします。
…さて。宿営地に帰還しますか。
「無事で良かったーっ」
宿営地に戻ると、アイリさんが抱きついてきました。
覇王様が持って帰った巨大白蛇の首の骨が、討伐の証拠です。皮も少し持ってきたかったそうですが、上手く切り取れなかったようで、このへんは吹き飛んだ頭の破片だけです。ダガーくらいある牙は、破裂した頭から回収できようですね。
脅威が排除され、ホッとした雰囲気がキャラバンに流れます。
白蛇の頭を吹き飛ばして確実に退治できたこと。どうやら狼の家族の仇だったらしいこと。素材として回収しないのは勿体ないと言うこと。この辺の説明をしました。
さすがにキャラバンでは、あれの回収は無理でしょうから。覇王様の仰るとおり、タロウさんが次の村で人を手配するそうです。
あれをばらすのは大変そうですよ?
怪我をした仔狼は、丸太小屋のテラスに、馬の餌の草と予備の毛布を敷いて作った寝床に寝かされていました。
他の狼が帰ってきたことで立ち上がろうとしますが。それを抑えているのはなんとクラウヤート様。仔狼と行っても、大型犬並のサイスです。よく周りの人が近づくことを許しましたね。
治った後ならともかく。あの怪我では、今は親狼に付いてくことは出来ないでしょう。
クラウヤート様は、親狼に話しかけています。…親狼と向かい合うクラウヤート様との間に、どのような精神的交流があったのかは分りません。親狼は遠吠えを一つ吠えると、三匹で宿営地から離れていきました。
残された仔狼も、寂しそうに遠吠えで返します。
「…この仔は、僕が面倒見るよ」
クラウヤート様が仔狼をなでながら宣言した。その表情は、少年から一つ大人になったかのようですね。うんうん。
このあとの道中、マーディア様とメディナール様が仔狼を撫ですぎて、クラウヤート様に叱られる光景が頻発するのはまた別の話。
ちなみに、エカテリンさんは自重したようです。かわりにレッドさんが構われています。
就寝前と、朝の出発前に、再度レッドさんに長距離索敵をお願いします。レイコ・カタパルト!
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