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第6章 エイゼル市に響くウェディングベル
第6章第010話 アイリさんのダイエット作戦 海水浴です
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第6章第010話 アイリさんのダイエット作戦 海水浴です
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。結婚を前にしたアイリさんのダイエット作戦、第二弾は海水浴です!
アイリさん、流石に騎士に混じっての鍛錬はキツかったようで、まだ筋肉痛が~っと騒いでますね。
筋肉になるだけ負担をかけないで鍛える運動…となると水泳ですが。こちらにはプールなんで上等な物はありませんし、丁度真夏ですので、海水浴へ行こうっ!…となったわけです。
とはいえ、こちらでは娯楽として海で泳ぐという習慣は無いそうです。今回のお出かけも、将来的にレジャーとして定着させられるかというテストでもあります。…とはアイリさんの弁。
マルタリク経由でエイゼル市付属の漁村アキルに来ました。アイリさんが六六で丁度暇な子供達を誘っています。
あと、マルタリクのハンマ親方と娘さんのカンナさんも同行ですが、実は海水浴グッズをいろいろ試作して貰っていまして、そのテストも兼ねています。
あと。護衛はともかくとしても、海水浴中の監視員が必要ということでギルドで声かけしたところ、覇王様が名乗りを上げてくれました。なんと覇王様と横モヒカンズ、泳げるそうです。こちらは泳げる人が少ないらしいんですけどね。
「レイコ殿。家族で参加しても良いだろうか?」
食事も出すと話したところ、ご家族も一緒に参戦となりました。もちろん歓迎ですよ。
うーん、可愛いと聞いていた奥さんですが…お子さん三人も居るのに、なんかアイリさんより幼く見えますね。犯罪じゃ無いですよね? まだ小さい娘さんに息子さん二人。一姫二太郎です。
…子供達がモヒカンズに懐いてますね。
覇王様は、あのヘルメットは被っていませんが。モヒカンズはあの変な飾りと同じようなものが付いた帽子を被っています。もうあれはトレードマークなんだとか。ファッションというよりは、護衛業としての宣伝ですね。
「ヒャッハーッ! ガキ共、馬車が来ないか後ろにも注意しておけよっ! 出来る護衛は常に周囲に気を張るもんだぜっ!」
「「「ヒャッハーッ!」」」
子供達が真似して合いの手入れてます。…どこの悪の組織ですか?
ノリも良い彼らは、なんか子供達に人気ですね。手を繋いだりの肩車したりとはしゃいでいますが。そうしながらも一行に目を配っている当たり、なんかベテランっぽいです。
アイズン伯爵家からは、クラウヤート様とバール君が参加です。護衛騎士も一個小隊付き。軽鎧とは言え、真夏にご苦労さまです。
こちらは貴族街から馬車ですので、現地集合となります。
バール君が馬車から飛びだして、早速波と戯れています。うれしそうですね。
「あー。また砂だらけか… 毛が長いから、洗うの大変なんだよな…」
侍従なら家人に洗わせればと思いますが、バール君の面倒はできるだけ自分で見ているそうです。偉いですクラウヤート様。
セレブロさんはマーリアちゃんと大人しくしてますが…こちらは海に興味がないというより、単に暑いのでしょう。柱を立てて屋根部分だけの日よけタイプのテントも持ってきていますので、ちょっと待っていてくださいね。
あと、着替え用のテントも立てますよ。
他にも、ランドゥーク商会やギルドから、非番の方が参加しています。…残念ながら、ファルリード亭の面々とアライさんはお仕事です。総勢で三十人ちょっと、学校なら一クラスほどです。
さて。海で泳ぐ人には、ランドゥーク商会謹製の水着とマルタリク謹製水中眼鏡が配られます。
「水着は試作品なので、後で簡単に使用感教えてくださいね」
アイリさんが、参加された女性の方々に水着の説明に余念ありません。
男性は海パン。麻っぽい丈夫な布で出来ており。腰部分には紐が通してあってきっちり縛れます。
女性は…流石にこの時代にビキニは露出度的に無理ですので。ワンピースの水着に、胸や腰回りにフリフリやらパレオが多めに着いた感じになって、不自然で無い程度に体のラインは隠すようになっています。肩や脚は出ていますが。普通に長袖のシャツやズボンでは泳ぎ辛くてかえって危険なので、恥ずかしがる人にもその辺を説明してます。まぁ夏に半袖とか短いスカートとかそこそこ露出があるものも着ていますので、この程度なら庶民でも許容範囲のようです。
あとまぁ、ゴム状の素材があまりないので、セパレートにしてしまうと思いっきり泳いでいるときに水圧でズレちゃうんですよね。そもそもビキニは泳ぐのに耐えうるウェアではないのです。
さて、みなさん水着姿をご披露。
アイリさんはライトグリーン、マーリアちゃんはピンクのワンピースタイプです。エカテリンさんは…紺色ですね。
私の水着は赤でした。レッドさん抱いたら保護色です。
私は平気ですが。当のアイリさんもマーリアちゃんも、ちょっと恥ずかしそうにしています。エカテリンさんは堂々としていますね、手足の筋肉がなかなかカッコよくてアスリートって感じです。
「ふんっ! ふんっ! どうだこの腕の筋肉?」
「騎士を嘗めたら駄目だよっ!」
横モヒカンズ…ここではあの特徴的なヘルメットはしていないのでモヒカンではないのですが。…なんか結構イケメンですね?この二人。それでもヒャッハーといいつつ筋肉協調するポーズで喜んでますので、いつものモヒカンズという感じですが。エカテリンさん、筋肉自慢に張り合わないでください。
…普通にしていたらすごくモテると思うんですけどね、この人達。
他の女性陣も水着で登場。…まぁ男性の視線を集めるのは諦めて下さい。むしろ意中の人がいるのならアタックチャンスですよ? それが海です。
クラウヤート様、そんなところでもじもじしてないで、マーリアちゃんのところに行ったらどうですか?
数に限りはありますが、希望者には水中眼鏡を貸し出します。以前よりでかいガラス板が量産できるようなになったので、こういうものの製作もコストが下がりつつあります。フレームは革製なので、水密性はそこそこですが、まぁ遊びに使う分には十分かな? なんかこれも奉納へ出すとアイリさんが言ってました。
覇王様は、監視の仕事はモヒカンズと交代しながら泳ぐ気のようですが。奥さんとお子様は砂浜のテント下でのんびりすることにしたようです。砂遊びも楽しいですよね。
お昼前にはアキルの漁師さんが地引き網を流してくれるので、新鮮な魚で海鮮バーベキューの予定です。これに釣られてきた人もけっこう居ますよ。
ちなみですが。醤油が流通するようになってから、海産物の取引量が増えているそうです。魚は前からメジャーな食材ではありましたが、醤油のおかげで消費量が増えているようですね。
…うーん、水泳の経験がある人があまり居ないので。水着を着ても波際で遊ぶ人ばかりですね。
ネイルコード国には海軍があるのですが。騎士や兵でも確実に泳げるのは海軍所属の人ぐらいだそうです。
日本では小中学校にプールが併設されていたのが普通だったけど。そういう国は日本くらいってお父さん言っていたな。昔に起きた海難事故を切っ掛けにって事だけど。それだけで日本中の学校にプール作るか…こう考えると凄いことしますね。
兵士でも川を渡るとか…いや、軽装でも鎧や剣を持っている状態では泳げませんか。軍でも泳ぎが必要な場面がほとんど無いのでしょう。
というわけで。この面子で泳げるのは意外にも覇王様と横モヒカンの人達。ということで緊急ミッションです。
「ヒャッハー。監視だぜっ!」
「ヒャッハー。泳ぎを教わりたい者はこっちだぜっ!」
横モヒカンの一人と護衛騎士から数人が全体の監視。もう一人と覇王様が、水泳希望者の指導となります。そうです、海水浴に遊びに来た目的は、レジャーではなくアイリさんのダイエットです。泳いでなんぼです。
私は一応泳げる…と言うか前世では泳げましたので。借りた水中眼鏡で早速泳いでみましょう…と思ったのですが、ここに来て重大な問題が発覚です。…私、水に浮きません。肺一杯に空気を吸っても、ギリギリ浮力が足りません。…風呂とかでは気にならなかったのですが。
まぁ立ち泳ぎを続けていれば辛うじて浮きますし。呼吸しなくても平気な体ですので溺れることは無いですけど。…船で航海の時、もし落ちたら海底まで直行ですか…ちょっと恐いですね。陸地まで海底散歩です。
竹を連結した救難ジャケットみたいな物が持ち込まれていますが、これは私が考案したのでは無く、海軍の備品です。
ジャケットと言っても、着るというよりは纏うというか、腹巻きを胸の所に巻いている形というか。堅くてかさばるのですが、小さい子供には念のため着て貰っています。これで泳げなくてもぷかぷか浮けるので、楽しそうですね。
「レイコちゃん、手を放さないでねっ」
「足が着くんだから溺れないですよ」
ともかく、アイリさんの水泳の練習です。私がお腹のところで支えて、水中に顔を漬けて体は水平に。そしてバタ足。慣れてきたら、手は添えるだけにして、バタ足で進むようにします。
ボルト島が沖に広がっているせいか、エイゼル市の港周辺は波が比較的静かです。それでも多少波に煽られますが、練習には問題ないでしょう。
竹のジャケットをビート板代わりにして、ひとりでバタ足で進む練習もクリアー。アイリさん、飲み込みが早いですね。
こちらでメジャーな泳法は、上半身平泳ぎ下半身バタ足で、覇王様とモヒカンズが希望者に教えてます。二人一組で交代で、支えるのと泳ぐ練習をしています。
「他にも泳ぎ方ってあるのか?」
覇王様が聞いてきましたので、クロールと平泳ぎとバタフライを簡単に披露しました。クロールは、顔を横に出したり出さなかったりが無駄に忙しいと感じるようですし。平泳ぎは、脚の動きが理解できないようですが。バタフライはすぐにマスターしてました。
…身体強化使っていますね。どんなバタフライですかそれ、水面を両手で走るような高速バタフライ。
さて。ここで今日の秘密兵器です。ハンマ親方の知り合いの靴職人の人に突貫で作って貰いました、足ヒレです。足への固定は草鞋みたいに紐で縛ります。さらにもう一丁、両脚用のヒレ!ドルフィンフィンとかモノフィンと呼ばれている奴ですね。
私は先にドルフィンフィンを試してみましょう。
ただまぁ、浜でこれを付けて水辺に行くのは面倒…と思ってたら、覇王様が抱っこしてくれました。うーん、良い筋肉ですね。
というところで思いつきました。
「覇王様、私をぶん投げてくれませんか?」
「えっ?!」
いつぞやのレイコ・レーダーのように、覇王様の手に乗って、そのまま砲丸投げの要領で放り出して貰います。ここでも覇王様の身体強化の出番です。
「了解した。いくぞっ!」
トントン、ポーンッ!
おおおっ!さすが覇王様! 十メートルくらい飛びましたね。私も両手を伸ばして良い感じに入水です。そのまま綺麗に沈んでいきますが、揃えた脚でバタ足開始。ヒレが良い感じに水を捕らえて、どんどん速度が上がっていきます。両脚揃えての脚掻きは初めてですが、こ…これは気持ちいいっ! イルカの気持ちが分かります。
身体強化使ったばかりの覇王様とマーリアちゃんがマナ探知に見えています。彼らの大体の方向は分かりますので、高速で泳いでも位置を見失うことは無いでしょう。
浜に並行に往復してみます。イルカみたいにたまに水上に大きくジャンプ!
「わぁっ!」 「すごいすごいっ!」
浜のみんなから歓声が上がります。
っと。夢中で泳いでいたら、フィンを足に固定していた紐が片方切れました。一旦戻りましょう。
浅瀬までたどり着いたら立ち上がって…ヒレを外さないと歩けないな…と思ったら、また覇王様が抱き上げてくれました。
「なんだ、固定の紐が切れたのか」
「ありがとうございます覇王様」
そのままだっこで浜辺に運んでくれます。…こういった感じ、お父さんを思い出して懐かしくなりますね。
ハンマ親方に見て貰ったところ、すぐに治して貰えましたが。
「…やっぱレイコ殿の力に耐えるには、全然強度不足だな。とりあえず修理したけど、今日の所は控えめで頼むよ」
ちょっと調子に乗ってしまいましたね、了解です。
私が泳いでいるのを見て、両脚に付けるタイプの方をマーリアちゃんが試して見るそうです。彼女もモヒカンズ水泳教室に参加していましたが、もう卒業したそうです。さすがですね。クラウヤート様はまだ受講中です。
「私が隣を泳ぐけど、離れないようにね」
「分かったわ、レイコ」
念のため、レッドさんにも付いてきてもらいましょう。
水面から差し込む光のカーテンの間を、銀髪を翻してマーリアちゃんが泳ぎます。たまに魚がすれ違いますが、負けないくらいの速度で泳いでいます。
レッドさんはマーリアちゃんのすぐ隣で、尻尾を左右に振って泳いでいます。ワニ泳ぎです。私は少し後ろで、二人を見失わないように付いていきます。
マーリアちゃん、今日が初めて泳ぐとは思えないくらいすいすいと。まるで人魚姫みたいです。
なんとなしに、三人で深めに潜って加速しながら昇って、揃って水面ジャンプ。これまた浜辺で歓声が上がります。
「ぷふぁっ。塩っぱい水の中で泳ぐなんて楽しいのかしら?とか思っていたけど。この眼鏡付けているとよく見えるし、海の中って凄く綺麗ね」
そろそろ戻りましょうかとハンドサイン。頷くマーリアちゃん。
入れ替わりに、大人用ヒレを付けた横モヒカンの人が一人ベタベタと海の中に入っていきました。
おお。私達ほど高くではないですが、彼も水面ジャンプを披露して、一通り泳いで戻ってきました。
「ヒャッハーっ! こんなに自由に泳げたのは初めてだぜっ!」
デモンストレーションは十分かな。
私のサイズに合わせた子供用の片足ヒレもあるので、興味を持った子に貸し出しです。この子はアキル村の子ですね。横モヒカンの人が付き添います。手に銛を持っていますね。普段は船の上から魚を捕っているそうです。
潜ったと思ったら、あっという間にサバくらいの魚を一匹仕留めてきました。
「このヒレと眼鏡、すごくいいね。海中で魚を追いかけられるなんて初めてだよ!」
タロウさんが、これも奉納行きだなとしたり顔です。
漁に使うのなら、シュノーケルなんかも需要あるかな? あれも作りは簡単ですしね。
アイリさん、速度はまだまだですが頑張って泳げるようになったようです。何事も覚えは早いですよね、アイリさん。
溺れる心配のない浅瀬を砂浜に並行に行ったり来たり。水面に顔着けたままバタ足だけでゆらゆらしたり。
「ダイエットには、きつい運動を一気にするより緩い運動を長時間…だっけ。なるほど浮いて手足動かすだけだから、疲れ難くはあるわね」
「本当に疲れすぎると溺れるから。そのへんはほどほどにね」
…そろそろ背泳ぎを覚えないと、背中だけ日焼けしそうですね。
「…減る体重より、呑んじゃった海水の方が多そうだけど」
「筋肉作ると痩せやすくなるって言ったでしょ」
「なるほどね…もうちょっと頑張る。この眼鏡のおかげで海の中が綺麗で、見ていて飽きないし」
あと、水中眼鏡付けっぱなしにしていると顔の日焼けがえらいことになります。ちょっと注意しておきましょう。
「…日に当たるときには外すよう気をつけるわ」
「怪我と溺れるのには気をつけてね」
「はぁーい。…タロウの方の練習にでも付き合いますか」
タロウさんの水泳はもう少しですね。アイリさんの方が習得早くて、アイリさんに泳ぎを教えて貰っている状態ですけどね。
露出が少ない水着とは言え、脚や肩は出ております。アイリさんの水泳の練習のために手を取りつつ、ドギマギしているタロウさんが初々しいですね。
気がついている面々がニヨニヨしております、特にエカテリンさん。
あー、砂まみれのバール君、お昼ご飯の前に一度洗いに行かないと…
ちなみにこの村の井戸は、実は上流の川から引っ張ってきた水道でした。地下に水道が埋めてあって、各所の井戸のようなところで汲み上げるタイプです。考えてみれば、漁村に井戸は無理がありますよね。
「レイコ殿、良く参られた。…去年からイカやらエビやらなんかの下魚まで大量に求められるようになってな、今までは捨てておったが、結構良い値段で売れるのでこの村もウハウハだ。試しに流行のやり方でワシらも食べてみたが、なかなかうまいなあれも。ははは」
アキル野村の村長さんボルカさん、お久しぶりです。今まで捨てていた獲物がお金になるのなら、それに越したことはありません。繁盛結構。
イカは沖での漁業で一緒に釣れるそうですが。伊勢エビ級の大きいエビは、ちょっと東のところで潜って取るそうです。今では高級食材扱いです。あ、向こうでイカ干してますね。酒の当てがまた一つ…
ああ、それで水中眼鏡と足ヒレが注目されたんですね。…今までは結構寒くなる時期まで潜って取るそうです。冬は、船の上から銛で突いて取るそうで。ガラスを使ったのぞき窓とか重宝するんじゃ無いかな? この辺も教えてあげたら、早速マルタリクに発注してみるそうです。
まぁ、この辺の奉納は他の処に権利を主張されないための物であって、権利量はわずかですよ。それより美味しいもの沢山獲って下さいね。
「よーし、みんな、曳くぞ~っ!」
船が出されて地引き網が展開されて。浜辺に戻ってきたところで、みなでワッショイと引いていきます。
うん、今回もなかなかの大量です。先に仕分けを皆で手伝ってから、バーベキューで食べるものを買っていきます。当然お金払いますよ。でも、格安で売ってくれますね。文字通りピチピチしている新鮮な魚がこのお値段!
包丁使える人が魚を捌いて。ちょっと臭みがある魚はタレに漬け込みました。もちろん今回は、最初から醤油付き。うん、大きめの魚は捌いて照り焼きがいいですね。もう定番です。
実は、ファルリード亭では魚の煮つけがちょっとした人気です。ファルリード亭というとフライが大人気メニューですが。揚げ物はちょっと重たい…という人向けに、魚がメインのメニューを提案してみました。甘めの酒を使って砂糖は節約しています。
単に魚を煮た物と侮るなかれ。身を崩さないように煮て綺麗に盛り付けると、見た目もコースの一品を張れます。ブリ(っぽい魚)の煮付けなんて最高じゃないですか、私は大好物です。
料理騎士さんが早速伯爵邸に調理法を持ち帰ってました。魚をぶつ切りをごった煮するような料理は今までもありますが。切った身のまま綺麗に煮る料理は今まで無かったそうです。崩れやすいですからね、気を使いますよ?。
バーベキューの場でフライを揚げるのは難しいので、村の奥さん方には煮つけを伝授いたします。小さめのフライパンを使ってくつくつと。貴族街では小骨が多い魚は嫌われますが。網にかかったいろんな魚を煮つけにして試しています。なかなか好評でした。
この漁村の近くに醤油畑が出来ているそうで、そちらで働いている人も結構いるとか。かけるだけではない醤油の使い方、覚えていってくださいね。
「アイリさん、フライより煮付けの方がカロリーずっと少ないから。これからはファルリード亭でも煮込みの方を食べましょう」
「え?そうなのレイコちゃん?」
「魚のフライは油吸うから。お肉よりカロリー高いくらいですよ」
いまさらガーンという顔をしているアイリさん。…フライ、好きですもんね。
「はっはっは。結婚を控えるといろいろ大変だな」
笑いながら、エカテリンさんがエールをあおってます。
…誰ですか? エール樽用の冷蔵庫を荷馬車に紛れ込ませたのは。はいハンマ親方ですね。知ってます。
覇王様たちと護衛騎士達は、護衛と監視の任務があるので飲めません。申し訳ないと声をかけたのですが。
「うむ。妻と子らと共に出かけている時は、どのみち飲まないのだ。護衛しているとの同じだからな」
「ヒャッハー。姉御と子らが居るときには、そっち優先だぜ」
うーん。護衛の時の見た目は世紀末なのですが。…普通にカッコイイですよね。
「…控えたいけど、美味しくて止らない…レイコちゃんのせい…」
アイリさん、まだ言いますか?
「結婚式の秋まで頑張って」
「…痩せた体を維持するのも、食べても痩せない体を維持するのも、どっちも大変よね…」
ランニングくらいは続けてもらうしかないとしても。しょっちゅう騎士団と訓練とか、毎週水泳に来るわけにも行きません。
間に合うかどうか分かりませんが、地球の運動器具、考案してみましょうかね?
うーん…例の海兵隊の体操でも運動量は間に合っているようにも思いますが。アイリさん続けてます?
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。結婚を前にしたアイリさんのダイエット作戦、第二弾は海水浴です!
アイリさん、流石に騎士に混じっての鍛錬はキツかったようで、まだ筋肉痛が~っと騒いでますね。
筋肉になるだけ負担をかけないで鍛える運動…となると水泳ですが。こちらにはプールなんで上等な物はありませんし、丁度真夏ですので、海水浴へ行こうっ!…となったわけです。
とはいえ、こちらでは娯楽として海で泳ぐという習慣は無いそうです。今回のお出かけも、将来的にレジャーとして定着させられるかというテストでもあります。…とはアイリさんの弁。
マルタリク経由でエイゼル市付属の漁村アキルに来ました。アイリさんが六六で丁度暇な子供達を誘っています。
あと、マルタリクのハンマ親方と娘さんのカンナさんも同行ですが、実は海水浴グッズをいろいろ試作して貰っていまして、そのテストも兼ねています。
あと。護衛はともかくとしても、海水浴中の監視員が必要ということでギルドで声かけしたところ、覇王様が名乗りを上げてくれました。なんと覇王様と横モヒカンズ、泳げるそうです。こちらは泳げる人が少ないらしいんですけどね。
「レイコ殿。家族で参加しても良いだろうか?」
食事も出すと話したところ、ご家族も一緒に参戦となりました。もちろん歓迎ですよ。
うーん、可愛いと聞いていた奥さんですが…お子さん三人も居るのに、なんかアイリさんより幼く見えますね。犯罪じゃ無いですよね? まだ小さい娘さんに息子さん二人。一姫二太郎です。
…子供達がモヒカンズに懐いてますね。
覇王様は、あのヘルメットは被っていませんが。モヒカンズはあの変な飾りと同じようなものが付いた帽子を被っています。もうあれはトレードマークなんだとか。ファッションというよりは、護衛業としての宣伝ですね。
「ヒャッハーッ! ガキ共、馬車が来ないか後ろにも注意しておけよっ! 出来る護衛は常に周囲に気を張るもんだぜっ!」
「「「ヒャッハーッ!」」」
子供達が真似して合いの手入れてます。…どこの悪の組織ですか?
ノリも良い彼らは、なんか子供達に人気ですね。手を繋いだりの肩車したりとはしゃいでいますが。そうしながらも一行に目を配っている当たり、なんかベテランっぽいです。
アイズン伯爵家からは、クラウヤート様とバール君が参加です。護衛騎士も一個小隊付き。軽鎧とは言え、真夏にご苦労さまです。
こちらは貴族街から馬車ですので、現地集合となります。
バール君が馬車から飛びだして、早速波と戯れています。うれしそうですね。
「あー。また砂だらけか… 毛が長いから、洗うの大変なんだよな…」
侍従なら家人に洗わせればと思いますが、バール君の面倒はできるだけ自分で見ているそうです。偉いですクラウヤート様。
セレブロさんはマーリアちゃんと大人しくしてますが…こちらは海に興味がないというより、単に暑いのでしょう。柱を立てて屋根部分だけの日よけタイプのテントも持ってきていますので、ちょっと待っていてくださいね。
あと、着替え用のテントも立てますよ。
他にも、ランドゥーク商会やギルドから、非番の方が参加しています。…残念ながら、ファルリード亭の面々とアライさんはお仕事です。総勢で三十人ちょっと、学校なら一クラスほどです。
さて。海で泳ぐ人には、ランドゥーク商会謹製の水着とマルタリク謹製水中眼鏡が配られます。
「水着は試作品なので、後で簡単に使用感教えてくださいね」
アイリさんが、参加された女性の方々に水着の説明に余念ありません。
男性は海パン。麻っぽい丈夫な布で出来ており。腰部分には紐が通してあってきっちり縛れます。
女性は…流石にこの時代にビキニは露出度的に無理ですので。ワンピースの水着に、胸や腰回りにフリフリやらパレオが多めに着いた感じになって、不自然で無い程度に体のラインは隠すようになっています。肩や脚は出ていますが。普通に長袖のシャツやズボンでは泳ぎ辛くてかえって危険なので、恥ずかしがる人にもその辺を説明してます。まぁ夏に半袖とか短いスカートとかそこそこ露出があるものも着ていますので、この程度なら庶民でも許容範囲のようです。
あとまぁ、ゴム状の素材があまりないので、セパレートにしてしまうと思いっきり泳いでいるときに水圧でズレちゃうんですよね。そもそもビキニは泳ぐのに耐えうるウェアではないのです。
さて、みなさん水着姿をご披露。
アイリさんはライトグリーン、マーリアちゃんはピンクのワンピースタイプです。エカテリンさんは…紺色ですね。
私の水着は赤でした。レッドさん抱いたら保護色です。
私は平気ですが。当のアイリさんもマーリアちゃんも、ちょっと恥ずかしそうにしています。エカテリンさんは堂々としていますね、手足の筋肉がなかなかカッコよくてアスリートって感じです。
「ふんっ! ふんっ! どうだこの腕の筋肉?」
「騎士を嘗めたら駄目だよっ!」
横モヒカンズ…ここではあの特徴的なヘルメットはしていないのでモヒカンではないのですが。…なんか結構イケメンですね?この二人。それでもヒャッハーといいつつ筋肉協調するポーズで喜んでますので、いつものモヒカンズという感じですが。エカテリンさん、筋肉自慢に張り合わないでください。
…普通にしていたらすごくモテると思うんですけどね、この人達。
他の女性陣も水着で登場。…まぁ男性の視線を集めるのは諦めて下さい。むしろ意中の人がいるのならアタックチャンスですよ? それが海です。
クラウヤート様、そんなところでもじもじしてないで、マーリアちゃんのところに行ったらどうですか?
数に限りはありますが、希望者には水中眼鏡を貸し出します。以前よりでかいガラス板が量産できるようなになったので、こういうものの製作もコストが下がりつつあります。フレームは革製なので、水密性はそこそこですが、まぁ遊びに使う分には十分かな? なんかこれも奉納へ出すとアイリさんが言ってました。
覇王様は、監視の仕事はモヒカンズと交代しながら泳ぐ気のようですが。奥さんとお子様は砂浜のテント下でのんびりすることにしたようです。砂遊びも楽しいですよね。
お昼前にはアキルの漁師さんが地引き網を流してくれるので、新鮮な魚で海鮮バーベキューの予定です。これに釣られてきた人もけっこう居ますよ。
ちなみですが。醤油が流通するようになってから、海産物の取引量が増えているそうです。魚は前からメジャーな食材ではありましたが、醤油のおかげで消費量が増えているようですね。
…うーん、水泳の経験がある人があまり居ないので。水着を着ても波際で遊ぶ人ばかりですね。
ネイルコード国には海軍があるのですが。騎士や兵でも確実に泳げるのは海軍所属の人ぐらいだそうです。
日本では小中学校にプールが併設されていたのが普通だったけど。そういう国は日本くらいってお父さん言っていたな。昔に起きた海難事故を切っ掛けにって事だけど。それだけで日本中の学校にプール作るか…こう考えると凄いことしますね。
兵士でも川を渡るとか…いや、軽装でも鎧や剣を持っている状態では泳げませんか。軍でも泳ぎが必要な場面がほとんど無いのでしょう。
というわけで。この面子で泳げるのは意外にも覇王様と横モヒカンの人達。ということで緊急ミッションです。
「ヒャッハー。監視だぜっ!」
「ヒャッハー。泳ぎを教わりたい者はこっちだぜっ!」
横モヒカンの一人と護衛騎士から数人が全体の監視。もう一人と覇王様が、水泳希望者の指導となります。そうです、海水浴に遊びに来た目的は、レジャーではなくアイリさんのダイエットです。泳いでなんぼです。
私は一応泳げる…と言うか前世では泳げましたので。借りた水中眼鏡で早速泳いでみましょう…と思ったのですが、ここに来て重大な問題が発覚です。…私、水に浮きません。肺一杯に空気を吸っても、ギリギリ浮力が足りません。…風呂とかでは気にならなかったのですが。
まぁ立ち泳ぎを続けていれば辛うじて浮きますし。呼吸しなくても平気な体ですので溺れることは無いですけど。…船で航海の時、もし落ちたら海底まで直行ですか…ちょっと恐いですね。陸地まで海底散歩です。
竹を連結した救難ジャケットみたいな物が持ち込まれていますが、これは私が考案したのでは無く、海軍の備品です。
ジャケットと言っても、着るというよりは纏うというか、腹巻きを胸の所に巻いている形というか。堅くてかさばるのですが、小さい子供には念のため着て貰っています。これで泳げなくてもぷかぷか浮けるので、楽しそうですね。
「レイコちゃん、手を放さないでねっ」
「足が着くんだから溺れないですよ」
ともかく、アイリさんの水泳の練習です。私がお腹のところで支えて、水中に顔を漬けて体は水平に。そしてバタ足。慣れてきたら、手は添えるだけにして、バタ足で進むようにします。
ボルト島が沖に広がっているせいか、エイゼル市の港周辺は波が比較的静かです。それでも多少波に煽られますが、練習には問題ないでしょう。
竹のジャケットをビート板代わりにして、ひとりでバタ足で進む練習もクリアー。アイリさん、飲み込みが早いですね。
こちらでメジャーな泳法は、上半身平泳ぎ下半身バタ足で、覇王様とモヒカンズが希望者に教えてます。二人一組で交代で、支えるのと泳ぐ練習をしています。
「他にも泳ぎ方ってあるのか?」
覇王様が聞いてきましたので、クロールと平泳ぎとバタフライを簡単に披露しました。クロールは、顔を横に出したり出さなかったりが無駄に忙しいと感じるようですし。平泳ぎは、脚の動きが理解できないようですが。バタフライはすぐにマスターしてました。
…身体強化使っていますね。どんなバタフライですかそれ、水面を両手で走るような高速バタフライ。
さて。ここで今日の秘密兵器です。ハンマ親方の知り合いの靴職人の人に突貫で作って貰いました、足ヒレです。足への固定は草鞋みたいに紐で縛ります。さらにもう一丁、両脚用のヒレ!ドルフィンフィンとかモノフィンと呼ばれている奴ですね。
私は先にドルフィンフィンを試してみましょう。
ただまぁ、浜でこれを付けて水辺に行くのは面倒…と思ってたら、覇王様が抱っこしてくれました。うーん、良い筋肉ですね。
というところで思いつきました。
「覇王様、私をぶん投げてくれませんか?」
「えっ?!」
いつぞやのレイコ・レーダーのように、覇王様の手に乗って、そのまま砲丸投げの要領で放り出して貰います。ここでも覇王様の身体強化の出番です。
「了解した。いくぞっ!」
トントン、ポーンッ!
おおおっ!さすが覇王様! 十メートルくらい飛びましたね。私も両手を伸ばして良い感じに入水です。そのまま綺麗に沈んでいきますが、揃えた脚でバタ足開始。ヒレが良い感じに水を捕らえて、どんどん速度が上がっていきます。両脚揃えての脚掻きは初めてですが、こ…これは気持ちいいっ! イルカの気持ちが分かります。
身体強化使ったばかりの覇王様とマーリアちゃんがマナ探知に見えています。彼らの大体の方向は分かりますので、高速で泳いでも位置を見失うことは無いでしょう。
浜に並行に往復してみます。イルカみたいにたまに水上に大きくジャンプ!
「わぁっ!」 「すごいすごいっ!」
浜のみんなから歓声が上がります。
っと。夢中で泳いでいたら、フィンを足に固定していた紐が片方切れました。一旦戻りましょう。
浅瀬までたどり着いたら立ち上がって…ヒレを外さないと歩けないな…と思ったら、また覇王様が抱き上げてくれました。
「なんだ、固定の紐が切れたのか」
「ありがとうございます覇王様」
そのままだっこで浜辺に運んでくれます。…こういった感じ、お父さんを思い出して懐かしくなりますね。
ハンマ親方に見て貰ったところ、すぐに治して貰えましたが。
「…やっぱレイコ殿の力に耐えるには、全然強度不足だな。とりあえず修理したけど、今日の所は控えめで頼むよ」
ちょっと調子に乗ってしまいましたね、了解です。
私が泳いでいるのを見て、両脚に付けるタイプの方をマーリアちゃんが試して見るそうです。彼女もモヒカンズ水泳教室に参加していましたが、もう卒業したそうです。さすがですね。クラウヤート様はまだ受講中です。
「私が隣を泳ぐけど、離れないようにね」
「分かったわ、レイコ」
念のため、レッドさんにも付いてきてもらいましょう。
水面から差し込む光のカーテンの間を、銀髪を翻してマーリアちゃんが泳ぎます。たまに魚がすれ違いますが、負けないくらいの速度で泳いでいます。
レッドさんはマーリアちゃんのすぐ隣で、尻尾を左右に振って泳いでいます。ワニ泳ぎです。私は少し後ろで、二人を見失わないように付いていきます。
マーリアちゃん、今日が初めて泳ぐとは思えないくらいすいすいと。まるで人魚姫みたいです。
なんとなしに、三人で深めに潜って加速しながら昇って、揃って水面ジャンプ。これまた浜辺で歓声が上がります。
「ぷふぁっ。塩っぱい水の中で泳ぐなんて楽しいのかしら?とか思っていたけど。この眼鏡付けているとよく見えるし、海の中って凄く綺麗ね」
そろそろ戻りましょうかとハンドサイン。頷くマーリアちゃん。
入れ替わりに、大人用ヒレを付けた横モヒカンの人が一人ベタベタと海の中に入っていきました。
おお。私達ほど高くではないですが、彼も水面ジャンプを披露して、一通り泳いで戻ってきました。
「ヒャッハーっ! こんなに自由に泳げたのは初めてだぜっ!」
デモンストレーションは十分かな。
私のサイズに合わせた子供用の片足ヒレもあるので、興味を持った子に貸し出しです。この子はアキル村の子ですね。横モヒカンの人が付き添います。手に銛を持っていますね。普段は船の上から魚を捕っているそうです。
潜ったと思ったら、あっという間にサバくらいの魚を一匹仕留めてきました。
「このヒレと眼鏡、すごくいいね。海中で魚を追いかけられるなんて初めてだよ!」
タロウさんが、これも奉納行きだなとしたり顔です。
漁に使うのなら、シュノーケルなんかも需要あるかな? あれも作りは簡単ですしね。
アイリさん、速度はまだまだですが頑張って泳げるようになったようです。何事も覚えは早いですよね、アイリさん。
溺れる心配のない浅瀬を砂浜に並行に行ったり来たり。水面に顔着けたままバタ足だけでゆらゆらしたり。
「ダイエットには、きつい運動を一気にするより緩い運動を長時間…だっけ。なるほど浮いて手足動かすだけだから、疲れ難くはあるわね」
「本当に疲れすぎると溺れるから。そのへんはほどほどにね」
…そろそろ背泳ぎを覚えないと、背中だけ日焼けしそうですね。
「…減る体重より、呑んじゃった海水の方が多そうだけど」
「筋肉作ると痩せやすくなるって言ったでしょ」
「なるほどね…もうちょっと頑張る。この眼鏡のおかげで海の中が綺麗で、見ていて飽きないし」
あと、水中眼鏡付けっぱなしにしていると顔の日焼けがえらいことになります。ちょっと注意しておきましょう。
「…日に当たるときには外すよう気をつけるわ」
「怪我と溺れるのには気をつけてね」
「はぁーい。…タロウの方の練習にでも付き合いますか」
タロウさんの水泳はもう少しですね。アイリさんの方が習得早くて、アイリさんに泳ぎを教えて貰っている状態ですけどね。
露出が少ない水着とは言え、脚や肩は出ております。アイリさんの水泳の練習のために手を取りつつ、ドギマギしているタロウさんが初々しいですね。
気がついている面々がニヨニヨしております、特にエカテリンさん。
あー、砂まみれのバール君、お昼ご飯の前に一度洗いに行かないと…
ちなみにこの村の井戸は、実は上流の川から引っ張ってきた水道でした。地下に水道が埋めてあって、各所の井戸のようなところで汲み上げるタイプです。考えてみれば、漁村に井戸は無理がありますよね。
「レイコ殿、良く参られた。…去年からイカやらエビやらなんかの下魚まで大量に求められるようになってな、今までは捨てておったが、結構良い値段で売れるのでこの村もウハウハだ。試しに流行のやり方でワシらも食べてみたが、なかなかうまいなあれも。ははは」
アキル野村の村長さんボルカさん、お久しぶりです。今まで捨てていた獲物がお金になるのなら、それに越したことはありません。繁盛結構。
イカは沖での漁業で一緒に釣れるそうですが。伊勢エビ級の大きいエビは、ちょっと東のところで潜って取るそうです。今では高級食材扱いです。あ、向こうでイカ干してますね。酒の当てがまた一つ…
ああ、それで水中眼鏡と足ヒレが注目されたんですね。…今までは結構寒くなる時期まで潜って取るそうです。冬は、船の上から銛で突いて取るそうで。ガラスを使ったのぞき窓とか重宝するんじゃ無いかな? この辺も教えてあげたら、早速マルタリクに発注してみるそうです。
まぁ、この辺の奉納は他の処に権利を主張されないための物であって、権利量はわずかですよ。それより美味しいもの沢山獲って下さいね。
「よーし、みんな、曳くぞ~っ!」
船が出されて地引き網が展開されて。浜辺に戻ってきたところで、みなでワッショイと引いていきます。
うん、今回もなかなかの大量です。先に仕分けを皆で手伝ってから、バーベキューで食べるものを買っていきます。当然お金払いますよ。でも、格安で売ってくれますね。文字通りピチピチしている新鮮な魚がこのお値段!
包丁使える人が魚を捌いて。ちょっと臭みがある魚はタレに漬け込みました。もちろん今回は、最初から醤油付き。うん、大きめの魚は捌いて照り焼きがいいですね。もう定番です。
実は、ファルリード亭では魚の煮つけがちょっとした人気です。ファルリード亭というとフライが大人気メニューですが。揚げ物はちょっと重たい…という人向けに、魚がメインのメニューを提案してみました。甘めの酒を使って砂糖は節約しています。
単に魚を煮た物と侮るなかれ。身を崩さないように煮て綺麗に盛り付けると、見た目もコースの一品を張れます。ブリ(っぽい魚)の煮付けなんて最高じゃないですか、私は大好物です。
料理騎士さんが早速伯爵邸に調理法を持ち帰ってました。魚をぶつ切りをごった煮するような料理は今までもありますが。切った身のまま綺麗に煮る料理は今まで無かったそうです。崩れやすいですからね、気を使いますよ?。
バーベキューの場でフライを揚げるのは難しいので、村の奥さん方には煮つけを伝授いたします。小さめのフライパンを使ってくつくつと。貴族街では小骨が多い魚は嫌われますが。網にかかったいろんな魚を煮つけにして試しています。なかなか好評でした。
この漁村の近くに醤油畑が出来ているそうで、そちらで働いている人も結構いるとか。かけるだけではない醤油の使い方、覚えていってくださいね。
「アイリさん、フライより煮付けの方がカロリーずっと少ないから。これからはファルリード亭でも煮込みの方を食べましょう」
「え?そうなのレイコちゃん?」
「魚のフライは油吸うから。お肉よりカロリー高いくらいですよ」
いまさらガーンという顔をしているアイリさん。…フライ、好きですもんね。
「はっはっは。結婚を控えるといろいろ大変だな」
笑いながら、エカテリンさんがエールをあおってます。
…誰ですか? エール樽用の冷蔵庫を荷馬車に紛れ込ませたのは。はいハンマ親方ですね。知ってます。
覇王様たちと護衛騎士達は、護衛と監視の任務があるので飲めません。申し訳ないと声をかけたのですが。
「うむ。妻と子らと共に出かけている時は、どのみち飲まないのだ。護衛しているとの同じだからな」
「ヒャッハー。姉御と子らが居るときには、そっち優先だぜ」
うーん。護衛の時の見た目は世紀末なのですが。…普通にカッコイイですよね。
「…控えたいけど、美味しくて止らない…レイコちゃんのせい…」
アイリさん、まだ言いますか?
「結婚式の秋まで頑張って」
「…痩せた体を維持するのも、食べても痩せない体を維持するのも、どっちも大変よね…」
ランニングくらいは続けてもらうしかないとしても。しょっちゅう騎士団と訓練とか、毎週水泳に来るわけにも行きません。
間に合うかどうか分かりませんが、地球の運動器具、考案してみましょうかね?
うーん…例の海兵隊の体操でも運動量は間に合っているようにも思いますが。アイリさん続けてます?
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