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第8章 東方諸島セイホウ王国
第8章第001話 閑話 タロウさんの育児
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第8章第001話 閑話 タロウさんの育児
・Side:ツキシマ・レイコ
今日もいい天気だねという初夏の朝。マーリアちゃんが部屋から出てきましたが…なんかシルバーブロンドの髪の毛がボッサボサ。顔隠したら魔女でも出てきたのかと思っちゃいますよ。
「おはようマーリアちゃん…ってどうしたの?」
「…この子達に嘗め回された…」
ヒャンヒャンとマーリアちゃんに纏わり付くセレブロさんの子供達。ゴールデンレトリバーを多頭飼いしている動画を思い出します。
このサイズで三匹に同時にじゃれつかれれば、こうなりますか。マナ術使えなかったら振り回されています。
「…散歩の先にシャワー浴びてくる」
「いってらっしゃい。セレブロさん達にご飯はあげておくから」
「うん…よろしく…」
欠伸しながらお風呂場の方に向かうマーリアちゃんです。
最近はこれが日課という感じですね。
セレブロさんチルドレン。家に残しておくとイタズラで室内が大変なことになりますし。かといって柵や部屋に閉じ込めておくのも可哀想ですので。セレブロさんと一緒にファルリード亭へいつも連れてっています。
そこで、セレブロさんの寝床の周りに柵を置き、そこでセレブロさんが仔達の面倒を見ています。セレブロさん、頭良いですから。仔達が悪さしようとするとすぐに叱ってくれます。
一応、子供達への無断のお障りは禁止にしてありますが。女性のお客さんが、仔供達に興味津々。けっこうでかいですが、白くてモフモフの塊がコロコロとじゃれ合っているんです。もうキュンキュンですよ?
たまに男の人もニヨニヨしながら眺めていますが。
三匹の家の一匹、ケルちゃんが来週クリステーナ殿下に引き取られていきます。ちょっと…いえ、かなり寂しいですが。まぁ致し方ないですね。王都なら、会いに行こうと思えば日帰りできる距離ですし。私もマーリアちゃんも、行く機会はそこそこありますし。
世話がかかると言えば、三匹の他にも赤ちゃんが三人。家では結構大変なことになっています。
夜中でも三時間毎にお乳あげて。おしめを交換したりなんかもしなければいけません。付きっきりならそれこそ、二時間寝て一時間起きて…なんてことに。
アイリさん。昼間は大体、畳の間でタオルケット被って寝ていることが多いです。
ミオンさんの方は、なんか元気なんですよね。
「まぁモーラを育てた経験があるからね。お乳あげながら寝ることも出来るし」
それでも赤ちゃん二人は大変だと思うんですけど。そこはベテランですね。
幸いなことに女手は多いこの家。私やマーリアちゃんも、お乳以外はできる限りサポートしています。
マーリアちゃん。ユルガルムでのシュバール君のときもでしたが、赤ちゃんをけっこう好きな感じで。おしめにお風呂と積極的にお世話しています。赤ちゃんをあやしている様は絵になりますね。
アライさんも育児にはかなり適正がある感じで。赤ちゃんが泣くと、抱っこしながら何かキュルキュル言っているのですが、これで泣き止むんですよね。あとは鼻先でこしょこしょすると、きゃっきゃっと喜んでます。
「なんて言っているんですか?アライさん」
「ヒャー。とくに意味はないんてすけと、赤んほうをあやすときには、ラクーンの家てはこうしてたんてすよ」
ラクーン達は、赤ん坊は昼間は集落の一軒に集めてまとめて面倒見ていたそうです。世話をするのは、老人と子供の役目。あとはお母さん達が、仕事の合間に授乳にその家に寄るという感じで。
さきほどのキュルキュルも、"よしよし"とかそんな感じで皆が使っていたんだそうです。
そういえば。赤ん坊が泣いたときには、水を口に含んで空気を吸い込む音を聞かせると泣き止むとか。ジュルジュルと字面は悪いですが、この音がお母さんのお腹の中で聞いていた音に近いから、赤ちゃんが安心する…て聞いたことがありますね。
ファルリード亭の開業中は、カーラさんが赤ちゃん達の面倒を見てくれています。あとは適時、お乳をあげられる女性を六六から願いして、アイリさんとミオンさんも昼間は寝ることも出来ます。分業で昼夜逆転ですね。
ちなみに。お乳をあげられる女性は、産院の方で紹介してもらえます。とくにミオンさんのところは双子なので、お乳の追加は必須です。
六六なら、赤ちゃんの居る家庭はまずいつもありますし、そういったお母さんらは働くのに支障が出ますからね。こう言っては何ですが、貴族やお金持ちの家への出張授乳は、賃金以外にも送り迎えに加えて食事を出されたりと、結構美味しい仕事なんだそうです。依頼する側も、いいお乳出して欲しいですからね、出した栄養は補給して帰ってもらう、ここでケチってお乳の出が悪いなんて本末転倒です。
一緒に連れてきた赤ん坊の簡易診断をレッドさんがするのも、いつもの光景です。
最初のころには、夜の育児ローテーションにタロウさんも参加していました。イクメンタロウさん。
「娘の赤ん坊の時期なんて今しかないんだっ! このかわいさを記憶に焼き付けておくんだっ!」
とばかりに、なかなか甲斐甲斐しかったのですが。
タロウさんはこれでも、ランドゥーク商会の次期会頭にして重役です。ご両親は王都の支店の会頭なので…支店と言っても王都に居を構える王侯貴族も相手にする店なので、規模は匹敵するくらいなのですが。エイゼル市の本店はそのままおじいさんのジャック会頭からタロウさんに継がれる予定です。
必然的に、仕事のある昼間は寝ていられません。朝は名残惜しそうに出かけ。帰ってきてからは、時間があれば赤ちゃんにかまっています。寝るまでというより、寝てからも随時起きてアイリさんの授乳に付き合っています。
「タロウ、ちゃんと休む時間には休まないと」
「休んでるよ。この子と居る時間が僕には癒やしなんだ…」
と嘯いていました。もうベタベタですね。
などとやりつつも。二週間くらい経ったある日の午後、タロウさんが商会から馬車で運ばれてきました。業務中に倒れたそうです。
もう医者には診せており、多分過労だろうと診断されたのですが。家に居たアイリさんがぐったりしているタロウさんを見て慌てます。
私も家に居たので、急遽レッドさんに診断してもらいました。…やはり睡眠不足からくる疲労だそうです。
「休み時間に昼寝するんだよ。軽く寝ておくだけでかなり違うぞ」
とはカヤンさんの言。カヤンさんも育児は経験済みなので。この辺は無理にならない範囲で適度に手伝いしています。
「お昼は休んでるよ…書類は眺める程度だし」
「休んでいないじゃないっ!」
「そりゃ早く帰って、ハルカに会いたいからね。仕事はとっとと終わらせたいよ。…それに、アイリにだけ負担かけるわけにも行かないだろ」
「もう…タロウったら」
まぁ気持ちは分からないでもないんだけど。
イクメンはかっこいいのですが、「だめだこりゃ」ということで急遽家族会議です。女衆で話し合った結果、働くお父さん達には、夜はゆっくり寝かせてあげようということになりました。
夜は客間にて、アイリさんミオンさんと赤ちゃん、それに私やマーリアちゃんにアライさん、カーラさんにモーラちゃんが交代で一緒に寝ることにしました。授乳にお母さんは外せませんので、その他の部分は皆でバックアップです。
タロウさんとカイヤさんは、ちと寂しいでしょぅが一人で寝ていただきます。…まぁカイヤさんはモーラちゃんがたまに一緒に寝ていますが。
アイリさんやミオンさんは昼間に休めていますから。赤ちゃんのお世話がしたいのなら、起きている間に…という配慮です。
「ハルカをかまいのなら、スッキリ起きているうちに効率良くかまいなさい。仕事も一緒でしょ?」
「効率良くか…わかったよアイリ」
アイリさんの一喝。さもありなん。
まぁ男女平等もいいですけど。家庭への貢献は、"同じことをする"必要はありません。そもそも男が家庭のために外で稼いでくる。立派な貢献です。
各自得意なこと…以前の問題として。粉ミルクがあった日本ならともかく、どのみちお乳は母親しかあげられませんしね。同じことは出来ないのですから、出来ることを分担するしかないのです。
ヤギや牛のお乳とか、代替の入手手段はありますが。保存や温めを考えると、やはり非常用という感はあります。赤ちゃんの免疫はまで未熟ですから、この辺は用心もしすぎと言うことはないので。
牛乳の低温殺菌か、65度で三十分だったかな? 実施するのはさほど難しくはないのですが。こちらの牛乳にこれで有効かどうかを確認する方法がないんですよね。実験するわけには行かないし。
「クーククッ…」
レッドさんが、細菌の検査も出来るって言っていますが。毎回それをするわけにも行かないでしょうし。何より、広めるとなると家だけの話ではありません。検査技術が発達しないことには、安易に広められませんね。今のところ、出来るだけ新鮮なものをくらいしか出来ることはないですか。
…昼寝がいらなくなったタロウさんが、お昼休みに一時帰宅するようになりました。家には三十分もいられないのに…
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今日もいい天気だねという初夏の朝。マーリアちゃんが部屋から出てきましたが…なんかシルバーブロンドの髪の毛がボッサボサ。顔隠したら魔女でも出てきたのかと思っちゃいますよ。
「おはようマーリアちゃん…ってどうしたの?」
「…この子達に嘗め回された…」
ヒャンヒャンとマーリアちゃんに纏わり付くセレブロさんの子供達。ゴールデンレトリバーを多頭飼いしている動画を思い出します。
このサイズで三匹に同時にじゃれつかれれば、こうなりますか。マナ術使えなかったら振り回されています。
「…散歩の先にシャワー浴びてくる」
「いってらっしゃい。セレブロさん達にご飯はあげておくから」
「うん…よろしく…」
欠伸しながらお風呂場の方に向かうマーリアちゃんです。
最近はこれが日課という感じですね。
セレブロさんチルドレン。家に残しておくとイタズラで室内が大変なことになりますし。かといって柵や部屋に閉じ込めておくのも可哀想ですので。セレブロさんと一緒にファルリード亭へいつも連れてっています。
そこで、セレブロさんの寝床の周りに柵を置き、そこでセレブロさんが仔達の面倒を見ています。セレブロさん、頭良いですから。仔達が悪さしようとするとすぐに叱ってくれます。
一応、子供達への無断のお障りは禁止にしてありますが。女性のお客さんが、仔供達に興味津々。けっこうでかいですが、白くてモフモフの塊がコロコロとじゃれ合っているんです。もうキュンキュンですよ?
たまに男の人もニヨニヨしながら眺めていますが。
三匹の家の一匹、ケルちゃんが来週クリステーナ殿下に引き取られていきます。ちょっと…いえ、かなり寂しいですが。まぁ致し方ないですね。王都なら、会いに行こうと思えば日帰りできる距離ですし。私もマーリアちゃんも、行く機会はそこそこありますし。
世話がかかると言えば、三匹の他にも赤ちゃんが三人。家では結構大変なことになっています。
夜中でも三時間毎にお乳あげて。おしめを交換したりなんかもしなければいけません。付きっきりならそれこそ、二時間寝て一時間起きて…なんてことに。
アイリさん。昼間は大体、畳の間でタオルケット被って寝ていることが多いです。
ミオンさんの方は、なんか元気なんですよね。
「まぁモーラを育てた経験があるからね。お乳あげながら寝ることも出来るし」
それでも赤ちゃん二人は大変だと思うんですけど。そこはベテランですね。
幸いなことに女手は多いこの家。私やマーリアちゃんも、お乳以外はできる限りサポートしています。
マーリアちゃん。ユルガルムでのシュバール君のときもでしたが、赤ちゃんをけっこう好きな感じで。おしめにお風呂と積極的にお世話しています。赤ちゃんをあやしている様は絵になりますね。
アライさんも育児にはかなり適正がある感じで。赤ちゃんが泣くと、抱っこしながら何かキュルキュル言っているのですが、これで泣き止むんですよね。あとは鼻先でこしょこしょすると、きゃっきゃっと喜んでます。
「なんて言っているんですか?アライさん」
「ヒャー。とくに意味はないんてすけと、赤んほうをあやすときには、ラクーンの家てはこうしてたんてすよ」
ラクーン達は、赤ん坊は昼間は集落の一軒に集めてまとめて面倒見ていたそうです。世話をするのは、老人と子供の役目。あとはお母さん達が、仕事の合間に授乳にその家に寄るという感じで。
さきほどのキュルキュルも、"よしよし"とかそんな感じで皆が使っていたんだそうです。
そういえば。赤ん坊が泣いたときには、水を口に含んで空気を吸い込む音を聞かせると泣き止むとか。ジュルジュルと字面は悪いですが、この音がお母さんのお腹の中で聞いていた音に近いから、赤ちゃんが安心する…て聞いたことがありますね。
ファルリード亭の開業中は、カーラさんが赤ちゃん達の面倒を見てくれています。あとは適時、お乳をあげられる女性を六六から願いして、アイリさんとミオンさんも昼間は寝ることも出来ます。分業で昼夜逆転ですね。
ちなみに。お乳をあげられる女性は、産院の方で紹介してもらえます。とくにミオンさんのところは双子なので、お乳の追加は必須です。
六六なら、赤ちゃんの居る家庭はまずいつもありますし、そういったお母さんらは働くのに支障が出ますからね。こう言っては何ですが、貴族やお金持ちの家への出張授乳は、賃金以外にも送り迎えに加えて食事を出されたりと、結構美味しい仕事なんだそうです。依頼する側も、いいお乳出して欲しいですからね、出した栄養は補給して帰ってもらう、ここでケチってお乳の出が悪いなんて本末転倒です。
一緒に連れてきた赤ん坊の簡易診断をレッドさんがするのも、いつもの光景です。
最初のころには、夜の育児ローテーションにタロウさんも参加していました。イクメンタロウさん。
「娘の赤ん坊の時期なんて今しかないんだっ! このかわいさを記憶に焼き付けておくんだっ!」
とばかりに、なかなか甲斐甲斐しかったのですが。
タロウさんはこれでも、ランドゥーク商会の次期会頭にして重役です。ご両親は王都の支店の会頭なので…支店と言っても王都に居を構える王侯貴族も相手にする店なので、規模は匹敵するくらいなのですが。エイゼル市の本店はそのままおじいさんのジャック会頭からタロウさんに継がれる予定です。
必然的に、仕事のある昼間は寝ていられません。朝は名残惜しそうに出かけ。帰ってきてからは、時間があれば赤ちゃんにかまっています。寝るまでというより、寝てからも随時起きてアイリさんの授乳に付き合っています。
「タロウ、ちゃんと休む時間には休まないと」
「休んでるよ。この子と居る時間が僕には癒やしなんだ…」
と嘯いていました。もうベタベタですね。
などとやりつつも。二週間くらい経ったある日の午後、タロウさんが商会から馬車で運ばれてきました。業務中に倒れたそうです。
もう医者には診せており、多分過労だろうと診断されたのですが。家に居たアイリさんがぐったりしているタロウさんを見て慌てます。
私も家に居たので、急遽レッドさんに診断してもらいました。…やはり睡眠不足からくる疲労だそうです。
「休み時間に昼寝するんだよ。軽く寝ておくだけでかなり違うぞ」
とはカヤンさんの言。カヤンさんも育児は経験済みなので。この辺は無理にならない範囲で適度に手伝いしています。
「お昼は休んでるよ…書類は眺める程度だし」
「休んでいないじゃないっ!」
「そりゃ早く帰って、ハルカに会いたいからね。仕事はとっとと終わらせたいよ。…それに、アイリにだけ負担かけるわけにも行かないだろ」
「もう…タロウったら」
まぁ気持ちは分からないでもないんだけど。
イクメンはかっこいいのですが、「だめだこりゃ」ということで急遽家族会議です。女衆で話し合った結果、働くお父さん達には、夜はゆっくり寝かせてあげようということになりました。
夜は客間にて、アイリさんミオンさんと赤ちゃん、それに私やマーリアちゃんにアライさん、カーラさんにモーラちゃんが交代で一緒に寝ることにしました。授乳にお母さんは外せませんので、その他の部分は皆でバックアップです。
タロウさんとカイヤさんは、ちと寂しいでしょぅが一人で寝ていただきます。…まぁカイヤさんはモーラちゃんがたまに一緒に寝ていますが。
アイリさんやミオンさんは昼間に休めていますから。赤ちゃんのお世話がしたいのなら、起きている間に…という配慮です。
「ハルカをかまいのなら、スッキリ起きているうちに効率良くかまいなさい。仕事も一緒でしょ?」
「効率良くか…わかったよアイリ」
アイリさんの一喝。さもありなん。
まぁ男女平等もいいですけど。家庭への貢献は、"同じことをする"必要はありません。そもそも男が家庭のために外で稼いでくる。立派な貢献です。
各自得意なこと…以前の問題として。粉ミルクがあった日本ならともかく、どのみちお乳は母親しかあげられませんしね。同じことは出来ないのですから、出来ることを分担するしかないのです。
ヤギや牛のお乳とか、代替の入手手段はありますが。保存や温めを考えると、やはり非常用という感はあります。赤ちゃんの免疫はまで未熟ですから、この辺は用心もしすぎと言うことはないので。
牛乳の低温殺菌か、65度で三十分だったかな? 実施するのはさほど難しくはないのですが。こちらの牛乳にこれで有効かどうかを確認する方法がないんですよね。実験するわけには行かないし。
「クーククッ…」
レッドさんが、細菌の検査も出来るって言っていますが。毎回それをするわけにも行かないでしょうし。何より、広めるとなると家だけの話ではありません。検査技術が発達しないことには、安易に広められませんね。今のところ、出来るだけ新鮮なものをくらいしか出来ることはないですか。
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