結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ

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第三章~真実~

会った方がいいよ

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「ちとせちゃんもすっかり慣れたね」



食堂で後片付けをしていると、結城さんがあたしにニッコリと微笑んでくれた。



「はい。みんないい人たちばかりで助かってます」


「タマちゃんが馴染めるようにしてくれたもんね」


「そうですね。タマのおかげです」



シェアハウスに来て、1週間がたった。

本当は仕事にすぐにでも行くつもりだったけど。



『落ち着いてないのに、無理しなくていいよ。僕は君には甘いようだ』



なんて社長が言ってくれてお言葉に甘えてる。

あたしのことを学くんの妻だと思ってるから、優しくしてくれるんだよね。
本当は違うだなんて、口にすることもできない。
口にしたくない。



──ピリリリ



スマホの電源をつけた瞬間に鳴る着信に、スマホを落としそうになる。



「もしもし?」



ディスプレイに表示されていたのが、燿くんだったから安心して電話に出た。

あれから、幾度となくかかってきてた学くんからの電話。



『あー、ちとせー。やっと繋がった』



安心したような声を出す燿くん。



「ごめんね、心配かけて」


『お前、もう施設じゃないんだろ?どこにいるわけ?』


「あ……あのね……『おい、お前一体なにやってんだよ!』



スマホを奪われたのだろう。
あたしの言葉を遮って聞こえて来た声に耳を塞ぎたくなった。



「学くん……」


『どういうつもりなわけ?仕事にはこねぇ、家には帰ってこねぇ……『ちょっと、副社長……』



学くんの横で燿くんが必死に取り返そうとしているのが、電話越しでも伺える。



『いい加減帰ってきたらどうなんだよ。あんな置き手紙ひとつで納得できるわけねーだろ』


「あたしはもう無理なんで……「六丁目のシェアハウスにいるよ」



今度はあたしのスマホが奪われた。



「ちょ……!?タマ!?」



必死にスマホを奪い返そうとするけど、背の高いタマには到底届かない。



「ちゃんと話さないとダメだろー」



タマは勝手に電話を切って、あたしの手にスマホを乗せる。



「あたしはもう会いたくなんてないのに……」


「会ったほうがいいよ。〝学くん〟に」


「名前……」


「婚姻届でも見たし、電話でも聞こえてるよ」



にっこりと笑うタマ。



「なんか言ってた?」


「てめぇ、覚えてろよ!って」



ケラケラ笑いながら話す。



「もう、笑い事じゃないよ」


「大丈夫、大丈夫。それに本当にちとせがその学くんから離れたいなら守ってあげなくもないよ?」



ポンっとあたしの頭に手を乗せる。



「……っ」



不意に胸がとくんと鳴ってしまう。

これは、タマが優しいから?
それとも、タマが学くんに似ているから?

学くんがダメならタマ。
だなんて、そんなのあたしは嫌だ。

でも、きっと今日学くんはここにやってくる。
そしたら、あたしはまた学くんに恋をする。

学くんのことは決して諦めきれないから。
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