結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ

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第三章~真実~

俺のお父さんなのに

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「社長と環坊っちゃまはあそこに入りましたよ」



病院について池田が、ひとつの病室を指さす。



「ちょっと見てくるから、池田は車で待っててよ」


「でも……」



まだ小学2年生の俺を1人にするのは危ないと思ったのか、池田が戸惑いを見せる。



「じゃあここから見守っててよ」


「わかりました。ここにいますからちゃんと戻ってきてくださいね」



池田はにっこりと笑う。



「わかった」



池田に手を振って、お父さんたちが入っていった病室を目指す。



「おい、ちとせ走るなって」



病室に入ったはずの環が小さな女の子を追いかけて部屋から出てくる。



「え!?学!?」



女の子を簡単につかまえて、抱きかえた環は俺の姿をみて目を丸くする。



「だれ、その子」


「俺の妹」



そう返事をすると、その子を床に立たせる。



「ほら、ちとせ。挨拶は?」


「おにいちゃんのおともらち?」



まだ、たどたどしい言葉で俺を見上げる。



「えっと……」



俺は環の友達でもないし、関係の説明に困ってしまう。
それにこの子に難しい話をしても伝わらない。



「本当なら一緒に父さんのとこ連れてってあげたいけどそれはできないから。ごめんな」



環はなぜか俺に頭を下げる。



「誰か入院してんの?」


「俺とちとせの母親」



ちらっと病室に目をやると、ベッドに横たわる女の人とその手を握ってるお父さんの姿があった。



「お父さんって……お母さんと結婚したのになんであの人の手を握ってるの?」



幼いながらに、見えた光景が普通の光景ではないことがわかった。



「学は知らなくていいよ」



はぁっとため息をつく。



「なんでだよ!俺だって知りたい!」



なぜだか嫌だった。
俺はお父さんのこと本当のお父さんのように思ってたから。
お母さん以外の人といるお父さんなんて、いて欲しくなかった。



「ごめんな。ずっと一緒にいてやれなくて。でも、君とちとせを不自由ない生活をさせてあげるために僕は遊佐家に入ったんだ。もしものことがあってもちとせのことは一生守っていくから」



そう話すとベッドの女の人がお父さんに手を伸ばす。



「学、見るなよ」



環に引っ張られて、俺は病室に背を向ける形になる。



「なんでだよ、あれは俺のお父さんだよ」



まだ信じたかった。
俺のことを本当の息子だと思ってくれてると。

だから、環の制止も振り切って振り向いた。



「あ……」



振り向いて、目に入ってきたのは横たわる女性とキスをしてるお父さんの姿。



「は?」



いくら幼いとはいえ、キスがなんなのかわかってる。

俺のお母さんとお父さんがするものであって。
あの女の人とお父さんがらするものじゃない。



「だから見るなって言ったじゃん」


「なんで?なんで?お父さんは、俺らのお父さんだよ?」


「お前、バカかよ」



一層低い環の声が頭上から聞こえる。



「え?」


「俺とちとせの父さんだよ。勘違いすんじゃねー」



そのまま何事もなかったかのように、病室の中に入っていく環。


環の言葉が俺の胸に刺さった気がした。
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