64 / 69
another story②~彼らの長女の小話~
あたしのことを見てよ
しおりを挟む
「航!」
「光架!」
あたしを笑顔で出迎えてくれるのは、大好きな笑顔。
「今日さ、実家に来ない?」
「え?航の実家?」
「うん、母親がずっと光架に会ってみたがってて」
「うん、行く!」
航とは、付き合いが長いけど彼は高校生のときにはすでに一人暮らしをしていて。
お父さんとの折り合いが合わないとかで、離れていたから実家には1度も行ったことがなかった。
「お父さんはいるの?」
「んー、どうなんだろ。いても、まぁ俺のことなんて眼中にないだろ」
吐きすてるようにそう言う。
ずっと昔からお父さんとは仲が悪かったらしく、航自身あまりお父さんのことが好きではないみたい。
「.......航?」
実家の前にたどり着いて、航がドアノブに手をかけようとした瞬間、後ろから声がかかる。
「父さん.......」
「久しぶりだな、帰ってきてたのか」
優しそうなその雰囲気は、航が言っていたよりもずっと暖かい感じがした。
「.......っと、こちらは?」
「彼女」
「へぇ.......航の彼女が出来るような年になったんだな。お名前は?」
「あ、遊佐光架です。よろしくお願いします」
ぺこりとお父さんに向かって頭を下げる。
「遊佐.......?」
「あ.......」
そんなに珍しい苗字でもないから、大丈夫だと思っていたけど、考えが甘かったのだろうか。
ライバル会社の娘だと知ったら、うちみたいに交際を反対されてしまう。
「もしかしてだけど、遊佐とちとせの.......?」
「え.......あ、はい」
お母さんもこの人のことを知っていたことを思い出す。
「ちとせって.......光架のお母さん、ちとせっていうのか?」
「え?あ、うん.......?」
なんでそんなことを聞くのか不思議に思いながらもそう返事をする。
「ふーん、入ろう。光架」
「うん」
航のあとについて、家の中へとはいっていく。
そして、お父さんもその後に続く。
「光架ちゃん、お母さんは元気かな?」
「あ、はい.......母と知り合いなんですか?」
「あぁ、高校が一緒だったんだよ」
「そうなんですね.......」
お母さんと航のお母さんが高校が一緒だなんて、あたしと航が知り合うずっと前にふたりが知り合っていたことになんだか運命のようなものを感じる。
「光架、こっち行こう」
あたしとお父さんが話している間も、1度もお父さんとは話そうとしていなかった航。
あたしの手を握って、階段を上へのぼる。
「あいつと話さなくていいから」
「でも、航のお父さんだし無視なんてできないよ」
やっぱり好きな人のお父さんだもん。
あたしにも大切な人だ。
「なぁ、光架」
「ん?」
「俺が別れたいって言ったらどうする?」
「.......え?」
いままでこんなことを言われたことがなくて、ドキマギしてしまう。
「俺たち、結婚は無理だろうな」
「.......なんの話ししてるの?」
結婚だって、お互いの家のことがあるから難しいのはわかってるし、でも徐々に解決していこうって話していたはずだった。
「光架の母親がちとせさんなら、無理だよ」
「.......どうして?」
どうして、あたしのお母さんだからって無理なのか。
家柄のせいで結婚できないといわれるならまだわかるけど、そんなことで無理だなんて言われるなんて、思ってもいなかった。
「俺が光架の母さんを嫌いだからだよ」
「.......え?」
頭をなにかハンマーのようなもので、殴られたような感覚が走って、目の前が真っ白になる。
あたしが大好きなお母さんのことを目の前の好きな人は嫌いだと話す。
「でも、光架のことは好き」
「そんなの、わからないよ.......」
あたしは、好きな人の家族は大事にしたいって思ってる。
でも、航にとって、それは違うみたいで。
考え方の違いにショックを受ける。
「今日、母さんにあわせるために連れてきたけど、やめよう」
「う、うん.......」
航がそうした方がいいと思うなら、そうした方がいいんだろう。
「でも、どうして?どうして、お母さんのことが嫌いなの?」
どうしてもこれだけは聞いておきたかった。
「父さんが、昔から好きな女だからだよ」
「.......え?」
「俺が小さい頃かな、父さんの引き出しに大事にしまわれていた写真をみたのは。幼い俺はなんもわかんねぇで、母親に見せたんだよ」
「うん」
「引き出しには、たくさん光架のお母さんの写真があった。あとあと、その写真を見て母さんが泣いているのを見てから俺はずっと恨んでんだよ」
あたしに目を合わせず、淡々と出来事を話していく航。
「航、こっちみてよ!」
航の顔をグイッとあたしの方へと向かせる。
「あたしのことが好きっていうなら、あたしの事をみてよ!お母さんのこと含めて、あたしのことをちゃんと見れないなら、ここで終わらせてよ」
終わるなんて嫌だった。
でも、どうしても航がお母さんのことを憎いというなら、そうするしかない。
だって、あたしはお母さんが好きだから。
お母さんのことが大事だから。
「光架!」
あたしを笑顔で出迎えてくれるのは、大好きな笑顔。
「今日さ、実家に来ない?」
「え?航の実家?」
「うん、母親がずっと光架に会ってみたがってて」
「うん、行く!」
航とは、付き合いが長いけど彼は高校生のときにはすでに一人暮らしをしていて。
お父さんとの折り合いが合わないとかで、離れていたから実家には1度も行ったことがなかった。
「お父さんはいるの?」
「んー、どうなんだろ。いても、まぁ俺のことなんて眼中にないだろ」
吐きすてるようにそう言う。
ずっと昔からお父さんとは仲が悪かったらしく、航自身あまりお父さんのことが好きではないみたい。
「.......航?」
実家の前にたどり着いて、航がドアノブに手をかけようとした瞬間、後ろから声がかかる。
「父さん.......」
「久しぶりだな、帰ってきてたのか」
優しそうなその雰囲気は、航が言っていたよりもずっと暖かい感じがした。
「.......っと、こちらは?」
「彼女」
「へぇ.......航の彼女が出来るような年になったんだな。お名前は?」
「あ、遊佐光架です。よろしくお願いします」
ぺこりとお父さんに向かって頭を下げる。
「遊佐.......?」
「あ.......」
そんなに珍しい苗字でもないから、大丈夫だと思っていたけど、考えが甘かったのだろうか。
ライバル会社の娘だと知ったら、うちみたいに交際を反対されてしまう。
「もしかしてだけど、遊佐とちとせの.......?」
「え.......あ、はい」
お母さんもこの人のことを知っていたことを思い出す。
「ちとせって.......光架のお母さん、ちとせっていうのか?」
「え?あ、うん.......?」
なんでそんなことを聞くのか不思議に思いながらもそう返事をする。
「ふーん、入ろう。光架」
「うん」
航のあとについて、家の中へとはいっていく。
そして、お父さんもその後に続く。
「光架ちゃん、お母さんは元気かな?」
「あ、はい.......母と知り合いなんですか?」
「あぁ、高校が一緒だったんだよ」
「そうなんですね.......」
お母さんと航のお母さんが高校が一緒だなんて、あたしと航が知り合うずっと前にふたりが知り合っていたことになんだか運命のようなものを感じる。
「光架、こっち行こう」
あたしとお父さんが話している間も、1度もお父さんとは話そうとしていなかった航。
あたしの手を握って、階段を上へのぼる。
「あいつと話さなくていいから」
「でも、航のお父さんだし無視なんてできないよ」
やっぱり好きな人のお父さんだもん。
あたしにも大切な人だ。
「なぁ、光架」
「ん?」
「俺が別れたいって言ったらどうする?」
「.......え?」
いままでこんなことを言われたことがなくて、ドキマギしてしまう。
「俺たち、結婚は無理だろうな」
「.......なんの話ししてるの?」
結婚だって、お互いの家のことがあるから難しいのはわかってるし、でも徐々に解決していこうって話していたはずだった。
「光架の母親がちとせさんなら、無理だよ」
「.......どうして?」
どうして、あたしのお母さんだからって無理なのか。
家柄のせいで結婚できないといわれるならまだわかるけど、そんなことで無理だなんて言われるなんて、思ってもいなかった。
「俺が光架の母さんを嫌いだからだよ」
「.......え?」
頭をなにかハンマーのようなもので、殴られたような感覚が走って、目の前が真っ白になる。
あたしが大好きなお母さんのことを目の前の好きな人は嫌いだと話す。
「でも、光架のことは好き」
「そんなの、わからないよ.......」
あたしは、好きな人の家族は大事にしたいって思ってる。
でも、航にとって、それは違うみたいで。
考え方の違いにショックを受ける。
「今日、母さんにあわせるために連れてきたけど、やめよう」
「う、うん.......」
航がそうした方がいいと思うなら、そうした方がいいんだろう。
「でも、どうして?どうして、お母さんのことが嫌いなの?」
どうしてもこれだけは聞いておきたかった。
「父さんが、昔から好きな女だからだよ」
「.......え?」
「俺が小さい頃かな、父さんの引き出しに大事にしまわれていた写真をみたのは。幼い俺はなんもわかんねぇで、母親に見せたんだよ」
「うん」
「引き出しには、たくさん光架のお母さんの写真があった。あとあと、その写真を見て母さんが泣いているのを見てから俺はずっと恨んでんだよ」
あたしに目を合わせず、淡々と出来事を話していく航。
「航、こっちみてよ!」
航の顔をグイッとあたしの方へと向かせる。
「あたしのことが好きっていうなら、あたしの事をみてよ!お母さんのこと含めて、あたしのことをちゃんと見れないなら、ここで終わらせてよ」
終わるなんて嫌だった。
でも、どうしても航がお母さんのことを憎いというなら、そうするしかない。
だって、あたしはお母さんが好きだから。
お母さんのことが大事だから。
0
あなたにおすすめの小説
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる