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南国編 四章:マシラとの別れ
星空の下で
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マギルスを仲間にした日の夜。
アリア達はとある平原で野営をしていた。
食事は動けるようになったケイルが作ると、
マギルスとエリクは黙々と食べ尽くし、
一方でアリアは軽く食べて食事を済ませた。
マギルスの青馬にも食事が必要か聞くと、
元々は実体の無い精神生命体に食事は必要は無いが、
趣向としての食事はしたいようで、
元々買っていた馬用の野菜をマギルスが与えた。
食事を終えたマギルスは満足すると、
子供ながらに早く就寝し、
それに寄り添うように青馬もマギルスの傍で寝る。
マギルスが寝た後に、ケイルがアリアに聞いた。
「良いのかよ? あいつまで連れて来て」
「しょうがないでしょ。愚図られたら面倒そうだし、馬が無いとマシラから出るのが難しかったのは確かだったし」
「それを差し引いても、後々が面倒だろ。第一、遊ぶってなんだよ?」
「マギルスの定義だと、遊ぶというのは戦うって事なんでしょうね」
「お前、マギルスと戦うのか?」
「嫌よ、面倒臭い。適当に誤魔化すわ」
「誤魔化せる相手かよ……」
そうケイルが不安を漏らし、
アリアはマギルスを振り切る策を心の中で巡らせる中で、
薪の火の傍でマギルスを見ていたエリクが、
呟くようにアリアに聞いた。
「……あの子供は、戦うのが遊びなのか?」
「ええ。そうみたいね」
「……」
「どうしたの、エリク?」
「……俺は生きる為に戦ってきた。だが、遊びで戦うというのは、した事が無い」
「そうね。でも、マギルスは戦いを遊びにして生きて来たのは、本当だと思うわ」
「?」
「あの子、やたら強さに拘ってた。強い事が全てだと思い込んでる。そういう競争社会の中に生きていれば、そういう思考に陥るのも納得するわ。エリク、貴方が生きる為に強くなったのと同じように、マギルスも戦う為に強くなったんでしょうね」
「……生きる為に強く。戦う為に強く、か……」
マギルスを見ていたエリクは、
視線を逸らして焚き火に目を向けた。
アリアとケイルは質問の意図を理解し損ねると、
見張りの順番を決めてから就寝する事にした。
ケイルとアリアは荷馬車で寝る事を決め、
エリクは見張りを買って出た。
二人が荷馬車で布を敷いて寝ると、
エリクは星空を見ながら静かに目を閉じ、
アリアに教えられた修練方法を続ける。
そして数時間が経過した深夜。
荷馬車で寝ていたアリアが布を纏いながら、
目を瞑りながら座るエリクに近付いた。
エリクはそれを察し、アリアに話し掛けた。
「……アリアか」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや。ずっと起きていた」
「魔法の訓練をしてたの?」
「ああ」
「そっか」
焚き火は消え、星空と月だけが明かりとなっている中で、
アリアはエリクの隣に座り、一緒に星空を見る。
そうして沈黙するアリアとエリクの二人だったが、
先に口を開いて話し掛けたのは、アリアだった。
「……ねぇ、エリク」
「ん?」
「……ううん。やっぱり、何でもない」
「そうか」
「……」
「……もしかして、聞いた方が良いのか?」
「……そうね。エリクから聞いてくれた方が、楽かな」
「そうか。すまん」
「いいわよ。察せられるだけ、エリクが成長してるって証拠だもの」
微笑みながら話すアリアに、
エリクは僅かに口元を微笑ませながら、改めて聞いた。
「どうしたんだ?」
「……エリクは、子供の頃に魔物を初めて殺したのよね?」
「ああ」
「……最初に人を殺したのは、いつ頃だった?」
「……確か、俺が傭兵になった数ヵ月後だ」
「帝国との戦場?」
「詳しくは分からない。だが、帝国とではなかった。王国内だったと思う」
「……もしかして、内乱?」
「内乱?」
「確か二十数年前に、ベルグリンド王国内で大規模な内乱が起きたはずよ。貴族領が王族に反旗を翻して、独立しようとしたって。子供の頃に聞いた事がある」
「そうか。なら、それかもしれない」
「それが、エリクの初陣だったんだ」
「ああ。その戦場で、俺は初めて人を殺した」
星空を見ながらエリクは語り始める。
初めて経験した戦場。
そして初めて経験した、人を殺した時の話。
それはアリアにとって、今は他人事では無い話だった。
「俺は、王国の傭兵団に入り、初めて戦場に連れて行かれた」
「……」
「武器を持って隊列を組み、貴族の命令で目の前の敵兵と戦った」
「……」
「俺が初めて殺したのは、鉄の鎧と兜を被った男だった。顔は、よく見えなかった。だが、あまり強くはなかった。武官ではなかったのかもしれない」
「……」
「俺は鎧の隙間を狙い、脇腹に剣を突き刺した。そして相手は倒れた」
「……それだけだったの?」
「……いや」
「?」
「倒れた男が、何かを言った」
「……何を?」
「よく分からなかった。俺はその時も、言葉をよく知らなかったから」
「……」
「男は血を吐き出しながら、また起き上がろうとした。俺はまた構えたが、男は起き上がれずに倒れた」
「……」
「……そうだ。あの男は確か、名前らしき言葉を呟いていた」
「……名前……」
「二つの言葉。多分、二人分の名前を呟いていた。……それから動かなくなり、男は死んだ」
「……」
「それからは、同じ事をした。剣を持って、他にも兵士を殺した。剣が折れたら周りの傭兵達を真似て、倒れた兵士の剣を拾いながら、敵の兵士を殺した。そうしていたら、いつの間にか戦いは終わっていた」
「……そっか」
エリクが簡潔に述べる初陣の話は、
それでも苛烈なモノだったのだとアリアは察した。
目の前の兵士達を相手にするのが精一杯で、
戦況も状況も理解できずに戦うだけの新米傭兵。
その頃のエリクには、
人を生かして倒すだけの応用力も無く、
戦闘技術も稚拙であった事が話で窺えた。
そして話し終えたエリクが、アリアに聞いた。
「アリア」
「なに?」
「初めて、人を殺したんだな」
「……うん」
「そうか」
「……何も、聞かないの?」
「聞いた方が良いのか?」
「……ううん。聞かなくていい」
「そうか」
元闘士達に強襲された時、
アリアは躊躇せず元闘士達を殺した。
そうしなければ、
アリアが嬲り殺される立場となっていただろう。
仮に殺さず生かして捕らえる手段もあっただろうが、
元闘士達の恨み辛みは憎しみへ変わり、
どのような遺恨として残ったか分からない。
あの場で躊躇せず元闘士達を殺した選択は正しい。
そう自身の中で正当性ある判断と結果だと考えながらも、
心に割り切れない淀みが生まれているアリアは、
食も細くなり、安眠の妨げになっていた。
「エリク」
「?」
「今日は、ここで寝て良い?」
「荷馬車で寝ないのか?」
「エリクの傍で寝ると、安心出来るかなと思って」
「そうか。君が寝られるなら、そうするといい」
「うん、そうする」
エリクの肩へ頭を寄せ、
身体をエリクの腕に預けたアリアは、
布を纏いながら静かに目を閉じた。
初めて人を殺した心の淀み。
安否が不明な父親と反乱が起きた祖国への不安。
そうした心配から精神的な衰弱からアリアは脱し切れていない事を、
エリクは感覚的に悟っていた。
そんなアリアが目を瞑りながら、エリクに問い掛けた。
「……ねぇ、エリク」
「ん?」
「エリクは、どうして私を守ってくれるの?」
「君を守ると、約束したからだ」
「……どうして、約束を守るの?」
「どういうことだ?」
「約束は、どんな形でもいつかは破られるものよ。……エリクがゴズヴァールと戦って重傷を負った時も、そうだったでしょ?」
「……」
「エリク、前にも言ったわよね。一時の情に流されて、自分の道を狭めないでって」
「……あ、ああ」
「……忘れてる?」
「お、覚えている。南の国に行く前に、宿で話した事だろう?」
「そうよ。……これからも、私は厄介事に巻き込まれるかもしれない。そういう星の下で生まれちゃったみたいだし」
「?」
「だから、もしそうなった時。私は自分の力を隠さずに対応するつもり。……エリク、貴方は私に何か遭って別れたとしても冷静に状況を見据えて、私がやりそうな事を考えて、そして事態に対応して」
「……君に、何かあっても?」
「大抵の事だったら、本気の私は自分で解決出来る自信がある。でも、そうなった時に貴方が私の事ばかり気にすれば、解決に辿れる道は狭まってしまう。今回の事件みたいにね」
「……」
「王宮に無策のまま突入した貴方を責めてるわけじゃない。私自身、状況を深読みし過ぎたせいで事態を悪化させた事は自覚してる。でも、冷静に状況を見据えられる人物が一人でも居れば、事態を解決に導く道は見つけられる。……今回はその役目を、ケイルがやってくれて助かったわ」
「……そうだな。ケイルが居てくれて、良かった」
「だから、もしケイルや私が何か遭った時。……その時にはエリク、その役目は貴方に任せるわね」
「……俺に、出来るだろうか?」
「……出来るわよ。……だって貴方は……いずれ……私が……えいゆ……に……」
「……アリア?」
「……すぅ……すぅ……」
「……寝たのか」
話しながら声が虚ろになっていくアリアは、
最後まで会話を続けられずに寝静まった。
エリクはその寝息を聞きながら、
再び目を閉じて魂を見つめる訓練を開始した。
そして夜は明け、一行は荷馬車を走らせた。
こうしてマシラ共和国での波乱は終わり、
アリアとエリク、そして新たに仲間になったケイルと、
乱入した魔人の少年マギルスは、新たな国へ旅立った。
アリア達はとある平原で野営をしていた。
食事は動けるようになったケイルが作ると、
マギルスとエリクは黙々と食べ尽くし、
一方でアリアは軽く食べて食事を済ませた。
マギルスの青馬にも食事が必要か聞くと、
元々は実体の無い精神生命体に食事は必要は無いが、
趣向としての食事はしたいようで、
元々買っていた馬用の野菜をマギルスが与えた。
食事を終えたマギルスは満足すると、
子供ながらに早く就寝し、
それに寄り添うように青馬もマギルスの傍で寝る。
マギルスが寝た後に、ケイルがアリアに聞いた。
「良いのかよ? あいつまで連れて来て」
「しょうがないでしょ。愚図られたら面倒そうだし、馬が無いとマシラから出るのが難しかったのは確かだったし」
「それを差し引いても、後々が面倒だろ。第一、遊ぶってなんだよ?」
「マギルスの定義だと、遊ぶというのは戦うって事なんでしょうね」
「お前、マギルスと戦うのか?」
「嫌よ、面倒臭い。適当に誤魔化すわ」
「誤魔化せる相手かよ……」
そうケイルが不安を漏らし、
アリアはマギルスを振り切る策を心の中で巡らせる中で、
薪の火の傍でマギルスを見ていたエリクが、
呟くようにアリアに聞いた。
「……あの子供は、戦うのが遊びなのか?」
「ええ。そうみたいね」
「……」
「どうしたの、エリク?」
「……俺は生きる為に戦ってきた。だが、遊びで戦うというのは、した事が無い」
「そうね。でも、マギルスは戦いを遊びにして生きて来たのは、本当だと思うわ」
「?」
「あの子、やたら強さに拘ってた。強い事が全てだと思い込んでる。そういう競争社会の中に生きていれば、そういう思考に陥るのも納得するわ。エリク、貴方が生きる為に強くなったのと同じように、マギルスも戦う為に強くなったんでしょうね」
「……生きる為に強く。戦う為に強く、か……」
マギルスを見ていたエリクは、
視線を逸らして焚き火に目を向けた。
アリアとケイルは質問の意図を理解し損ねると、
見張りの順番を決めてから就寝する事にした。
ケイルとアリアは荷馬車で寝る事を決め、
エリクは見張りを買って出た。
二人が荷馬車で布を敷いて寝ると、
エリクは星空を見ながら静かに目を閉じ、
アリアに教えられた修練方法を続ける。
そして数時間が経過した深夜。
荷馬車で寝ていたアリアが布を纏いながら、
目を瞑りながら座るエリクに近付いた。
エリクはそれを察し、アリアに話し掛けた。
「……アリアか」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや。ずっと起きていた」
「魔法の訓練をしてたの?」
「ああ」
「そっか」
焚き火は消え、星空と月だけが明かりとなっている中で、
アリアはエリクの隣に座り、一緒に星空を見る。
そうして沈黙するアリアとエリクの二人だったが、
先に口を開いて話し掛けたのは、アリアだった。
「……ねぇ、エリク」
「ん?」
「……ううん。やっぱり、何でもない」
「そうか」
「……」
「……もしかして、聞いた方が良いのか?」
「……そうね。エリクから聞いてくれた方が、楽かな」
「そうか。すまん」
「いいわよ。察せられるだけ、エリクが成長してるって証拠だもの」
微笑みながら話すアリアに、
エリクは僅かに口元を微笑ませながら、改めて聞いた。
「どうしたんだ?」
「……エリクは、子供の頃に魔物を初めて殺したのよね?」
「ああ」
「……最初に人を殺したのは、いつ頃だった?」
「……確か、俺が傭兵になった数ヵ月後だ」
「帝国との戦場?」
「詳しくは分からない。だが、帝国とではなかった。王国内だったと思う」
「……もしかして、内乱?」
「内乱?」
「確か二十数年前に、ベルグリンド王国内で大規模な内乱が起きたはずよ。貴族領が王族に反旗を翻して、独立しようとしたって。子供の頃に聞いた事がある」
「そうか。なら、それかもしれない」
「それが、エリクの初陣だったんだ」
「ああ。その戦場で、俺は初めて人を殺した」
星空を見ながらエリクは語り始める。
初めて経験した戦場。
そして初めて経験した、人を殺した時の話。
それはアリアにとって、今は他人事では無い話だった。
「俺は、王国の傭兵団に入り、初めて戦場に連れて行かれた」
「……」
「武器を持って隊列を組み、貴族の命令で目の前の敵兵と戦った」
「……」
「俺が初めて殺したのは、鉄の鎧と兜を被った男だった。顔は、よく見えなかった。だが、あまり強くはなかった。武官ではなかったのかもしれない」
「……」
「俺は鎧の隙間を狙い、脇腹に剣を突き刺した。そして相手は倒れた」
「……それだけだったの?」
「……いや」
「?」
「倒れた男が、何かを言った」
「……何を?」
「よく分からなかった。俺はその時も、言葉をよく知らなかったから」
「……」
「男は血を吐き出しながら、また起き上がろうとした。俺はまた構えたが、男は起き上がれずに倒れた」
「……」
「……そうだ。あの男は確か、名前らしき言葉を呟いていた」
「……名前……」
「二つの言葉。多分、二人分の名前を呟いていた。……それから動かなくなり、男は死んだ」
「……」
「それからは、同じ事をした。剣を持って、他にも兵士を殺した。剣が折れたら周りの傭兵達を真似て、倒れた兵士の剣を拾いながら、敵の兵士を殺した。そうしていたら、いつの間にか戦いは終わっていた」
「……そっか」
エリクが簡潔に述べる初陣の話は、
それでも苛烈なモノだったのだとアリアは察した。
目の前の兵士達を相手にするのが精一杯で、
戦況も状況も理解できずに戦うだけの新米傭兵。
その頃のエリクには、
人を生かして倒すだけの応用力も無く、
戦闘技術も稚拙であった事が話で窺えた。
そして話し終えたエリクが、アリアに聞いた。
「アリア」
「なに?」
「初めて、人を殺したんだな」
「……うん」
「そうか」
「……何も、聞かないの?」
「聞いた方が良いのか?」
「……ううん。聞かなくていい」
「そうか」
元闘士達に強襲された時、
アリアは躊躇せず元闘士達を殺した。
そうしなければ、
アリアが嬲り殺される立場となっていただろう。
仮に殺さず生かして捕らえる手段もあっただろうが、
元闘士達の恨み辛みは憎しみへ変わり、
どのような遺恨として残ったか分からない。
あの場で躊躇せず元闘士達を殺した選択は正しい。
そう自身の中で正当性ある判断と結果だと考えながらも、
心に割り切れない淀みが生まれているアリアは、
食も細くなり、安眠の妨げになっていた。
「エリク」
「?」
「今日は、ここで寝て良い?」
「荷馬車で寝ないのか?」
「エリクの傍で寝ると、安心出来るかなと思って」
「そうか。君が寝られるなら、そうするといい」
「うん、そうする」
エリクの肩へ頭を寄せ、
身体をエリクの腕に預けたアリアは、
布を纏いながら静かに目を閉じた。
初めて人を殺した心の淀み。
安否が不明な父親と反乱が起きた祖国への不安。
そうした心配から精神的な衰弱からアリアは脱し切れていない事を、
エリクは感覚的に悟っていた。
そんなアリアが目を瞑りながら、エリクに問い掛けた。
「……ねぇ、エリク」
「ん?」
「エリクは、どうして私を守ってくれるの?」
「君を守ると、約束したからだ」
「……どうして、約束を守るの?」
「どういうことだ?」
「約束は、どんな形でもいつかは破られるものよ。……エリクがゴズヴァールと戦って重傷を負った時も、そうだったでしょ?」
「……」
「エリク、前にも言ったわよね。一時の情に流されて、自分の道を狭めないでって」
「……あ、ああ」
「……忘れてる?」
「お、覚えている。南の国に行く前に、宿で話した事だろう?」
「そうよ。……これからも、私は厄介事に巻き込まれるかもしれない。そういう星の下で生まれちゃったみたいだし」
「?」
「だから、もしそうなった時。私は自分の力を隠さずに対応するつもり。……エリク、貴方は私に何か遭って別れたとしても冷静に状況を見据えて、私がやりそうな事を考えて、そして事態に対応して」
「……君に、何かあっても?」
「大抵の事だったら、本気の私は自分で解決出来る自信がある。でも、そうなった時に貴方が私の事ばかり気にすれば、解決に辿れる道は狭まってしまう。今回の事件みたいにね」
「……」
「王宮に無策のまま突入した貴方を責めてるわけじゃない。私自身、状況を深読みし過ぎたせいで事態を悪化させた事は自覚してる。でも、冷静に状況を見据えられる人物が一人でも居れば、事態を解決に導く道は見つけられる。……今回はその役目を、ケイルがやってくれて助かったわ」
「……そうだな。ケイルが居てくれて、良かった」
「だから、もしケイルや私が何か遭った時。……その時にはエリク、その役目は貴方に任せるわね」
「……俺に、出来るだろうか?」
「……出来るわよ。……だって貴方は……いずれ……私が……えいゆ……に……」
「……アリア?」
「……すぅ……すぅ……」
「……寝たのか」
話しながら声が虚ろになっていくアリアは、
最後まで会話を続けられずに寝静まった。
エリクはその寝息を聞きながら、
再び目を閉じて魂を見つめる訓練を開始した。
そして夜は明け、一行は荷馬車を走らせた。
こうしてマシラ共和国での波乱は終わり、
アリアとエリク、そして新たに仲間になったケイルと、
乱入した魔人の少年マギルスは、新たな国へ旅立った。
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