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第2章 学園・学校編
第16話 武術修練 ~武神アレス~
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アテナから事実上の卒業宣言をされたあとも、フリードリヒは神界に出入りする口実を探していた。
そこで思いついたのが戦いをつかさどる軍神アレスに戦術を習うということである。アテナも戦いをつかさどるが、こちらは軍略の方になる。
アレスは戦をつかさどる神でオリュンポス十二神の1柱。ゼウスとヘラの息子なのでアテナとは異母兄弟である。神界では1、2を争う美男子らしい。
アレスのもとを訪ねるといきなりこう言われた。
「お主。アテナにご執心のようだな。オリュンポス中の噂になっておるぞ。あんな鉄面皮のどこがいい?」
──神界の三美神の1柱に向かってそれはないだろう!
「アテナ様は素晴らしいお方です。こんな未熟な私でも丁寧にご指導くださいます」
「だがな。処女神などといってお高くとまっているあいつのことだ。やらせてはもらえないぞ」
「私は純粋に軍略が学びたいだけです」
──半分は本気だからね。
「はーん?顔にかいてあるぜ。『やりたい』ってな。男が女に近づく目的なんて一つに決まってるじゃないか」
「決してそのようなことは…」
「まあいいさ。で、俺に何の用だ?」
「実はアテナ様にもう教えることはないと言われまして。戦略の次はアレス様に戦術をご指南いただけないかと…」
「はっはっはっ。そりゃ振られたってことじゃねえか」
「いえ。アテナ様はまたいつでも来ていいと…」
「そりゃ方便ってやつだろ。それぐらい察してやれよ」
「はあ」
──それでも俺は信じたいんだ。
「で、戦術を習いたいんだったな。そんなに戦いが好きか?」
「決して人を殺すことが好きなわけではありません。むしろ殺し過ぎないように強くなることも必要かと…」
「そんな模範解答で俺が喜ぶとでも思ったか。戦いってのはそんな甘いものじゃない。戦いの何たるかを俺がたたきこんでやる!」
──はあ。この人は戦闘時の狂乱を神格化した荒ぶる神だからな…。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
「よし。表へ出ろ」
実際に戦ってみるとやはり神は違った。このパワーとスピードは桁違いだ。
フリードリヒは気で目いっぱい身体強化しているが、全くとどいていない。ヘラクレスや人族に負けたという話もあるが疑わしい。
攻撃を避けきれずに小さな傷があちこちに増えていく。
「お主。何をやっているのだ。神力を使え」
「そう言われましても…」
「お主も半神なのだから使えるはずだ。体の中からドバーッと湧いてくるものがあるだろう」
「そう言われましても…」
──ドバーッとって何だよ。それ!
フリードリヒは必死に体の感覚を探る。が、思い当たる感覚が見つからない。
そのうちアレスがしびれを切らして本気になってきた。ほとんど狂戦士状態だ。
油断したら腕や足の一本も持っていかれる。フリードリヒは危機感を覚えた。
──このくらい戦いに没頭しないと強くはなれないということか…
フリードリヒは自分の甘さを反省する。
──ならば俺も狂戦士になってやる。
フリードリヒは体の中に熱い何かを感じた。
と同時に理性がとんだ。
次に意識が戻った時、戦いは終わっていた。
「お主。やればできるではないか」
「しかし理性が完全にとんでしまって…。何も覚えていません。」
「それは次の課題だな」
「わかりました」
修練の糸口がつかめたことで、フリードリヒは興が乗ってきていた。
そんな感じで、半年が過ぎた頃。ようやく狂戦士化と理性のバランスがとれてきた。
「そろそろ俺が教えられることはないな」
──ええっ。アレスおまえもか。
「あとは2刀流の技を深めることだな。俺は2刀流じゃないから配下の者に相手をさせよう」
その配下の者がすごかった。
今更ながらに2刀流の難しさとすさまじさを思い知った。
修練はアレス以上に容赦がなく、毎回、体中がボロボロになったが、数カ月もするといろいろな技を習得できた。
狂戦士化と理性のバランスもだいぶ板についた感じだ。
すると「もういいだろう」というお墨付きをもらえた。
そのことをアレスに報告に行く。
「そうか。お主。上達が早いな。びっくりだ」
「恐縮です」
「そういえばアフロディーテがお主のことを気にかけておったぞ」
「アフロディーテ様?」
実は神界に武術修練に来た際にアテナのところにはちょくちょく顔を出していたのだが、アフロディーテとは最初に挨拶回りをした時の1回しか接点がなかったはず。
しかも内容は通り一遍のもので、取り立てて何かを話した記憶もない。
「特に思い当たることがありませんが…」
「まあ気をつけることだな」
──気をつけるとは?
「ありがとうございました」
こうして神界での武術修練は修了したわけだが、地上のぬるま湯に浸かっていてはなまりそうだ。
アレスのところにも、なるべく顔を出すようにしようと思うフリードリヒであった。
そこで思いついたのが戦いをつかさどる軍神アレスに戦術を習うということである。アテナも戦いをつかさどるが、こちらは軍略の方になる。
アレスは戦をつかさどる神でオリュンポス十二神の1柱。ゼウスとヘラの息子なのでアテナとは異母兄弟である。神界では1、2を争う美男子らしい。
アレスのもとを訪ねるといきなりこう言われた。
「お主。アテナにご執心のようだな。オリュンポス中の噂になっておるぞ。あんな鉄面皮のどこがいい?」
──神界の三美神の1柱に向かってそれはないだろう!
「アテナ様は素晴らしいお方です。こんな未熟な私でも丁寧にご指導くださいます」
「だがな。処女神などといってお高くとまっているあいつのことだ。やらせてはもらえないぞ」
「私は純粋に軍略が学びたいだけです」
──半分は本気だからね。
「はーん?顔にかいてあるぜ。『やりたい』ってな。男が女に近づく目的なんて一つに決まってるじゃないか」
「決してそのようなことは…」
「まあいいさ。で、俺に何の用だ?」
「実はアテナ様にもう教えることはないと言われまして。戦略の次はアレス様に戦術をご指南いただけないかと…」
「はっはっはっ。そりゃ振られたってことじゃねえか」
「いえ。アテナ様はまたいつでも来ていいと…」
「そりゃ方便ってやつだろ。それぐらい察してやれよ」
「はあ」
──それでも俺は信じたいんだ。
「で、戦術を習いたいんだったな。そんなに戦いが好きか?」
「決して人を殺すことが好きなわけではありません。むしろ殺し過ぎないように強くなることも必要かと…」
「そんな模範解答で俺が喜ぶとでも思ったか。戦いってのはそんな甘いものじゃない。戦いの何たるかを俺がたたきこんでやる!」
──はあ。この人は戦闘時の狂乱を神格化した荒ぶる神だからな…。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
「よし。表へ出ろ」
実際に戦ってみるとやはり神は違った。このパワーとスピードは桁違いだ。
フリードリヒは気で目いっぱい身体強化しているが、全くとどいていない。ヘラクレスや人族に負けたという話もあるが疑わしい。
攻撃を避けきれずに小さな傷があちこちに増えていく。
「お主。何をやっているのだ。神力を使え」
「そう言われましても…」
「お主も半神なのだから使えるはずだ。体の中からドバーッと湧いてくるものがあるだろう」
「そう言われましても…」
──ドバーッとって何だよ。それ!
フリードリヒは必死に体の感覚を探る。が、思い当たる感覚が見つからない。
そのうちアレスがしびれを切らして本気になってきた。ほとんど狂戦士状態だ。
油断したら腕や足の一本も持っていかれる。フリードリヒは危機感を覚えた。
──このくらい戦いに没頭しないと強くはなれないということか…
フリードリヒは自分の甘さを反省する。
──ならば俺も狂戦士になってやる。
フリードリヒは体の中に熱い何かを感じた。
と同時に理性がとんだ。
次に意識が戻った時、戦いは終わっていた。
「お主。やればできるではないか」
「しかし理性が完全にとんでしまって…。何も覚えていません。」
「それは次の課題だな」
「わかりました」
修練の糸口がつかめたことで、フリードリヒは興が乗ってきていた。
そんな感じで、半年が過ぎた頃。ようやく狂戦士化と理性のバランスがとれてきた。
「そろそろ俺が教えられることはないな」
──ええっ。アレスおまえもか。
「あとは2刀流の技を深めることだな。俺は2刀流じゃないから配下の者に相手をさせよう」
その配下の者がすごかった。
今更ながらに2刀流の難しさとすさまじさを思い知った。
修練はアレス以上に容赦がなく、毎回、体中がボロボロになったが、数カ月もするといろいろな技を習得できた。
狂戦士化と理性のバランスもだいぶ板についた感じだ。
すると「もういいだろう」というお墨付きをもらえた。
そのことをアレスに報告に行く。
「そうか。お主。上達が早いな。びっくりだ」
「恐縮です」
「そういえばアフロディーテがお主のことを気にかけておったぞ」
「アフロディーテ様?」
実は神界に武術修練に来た際にアテナのところにはちょくちょく顔を出していたのだが、アフロディーテとは最初に挨拶回りをした時の1回しか接点がなかったはず。
しかも内容は通り一遍のもので、取り立てて何かを話した記憶もない。
「特に思い当たることがありませんが…」
「まあ気をつけることだな」
──気をつけるとは?
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