転生ジーニアス ~最強の天才は歴史を変えられるか~

普門院 ひかる

文字の大きさ
136 / 215
第4章 国主編

第118話 ルシファーの結婚(2) ~ペートラの大変身~

しおりを挟む
 それからペートラがヴィオランテの私室に呼びだされた。
 大公の正妻からの突然の呼び出しにペートラは仰天した。

 緊張したおもむきでペートラはヴィオランテの前に出た。
 見ると横にイザベルが控えている。そこでペートラは事情を悟った。

「急に呼びだしてごめんなさいね。驚いたでしょう」
「問題ありません」

「単刀直入に言うわ。あなたフェヒナー卿のことが好きなのでしょう」
「は、はい」

「でも、自分に自信がないと?」
「はい。私のような者がフェヒナー卿とつりあうはずがございません」

「それはどうかしら。私に言わせれば、あなたは宝石の原石みたいなものよ。磨けばいくらでも光るわ」
「そんなものでしょうか?」

「そうねえ。まずは服を脱いでみてくれる?」
「えっ!脱ぐんですか」

 恥ずかしかったが、ペートラは服を脱いだ。

 彼女は他の女性よりも少しばかり背が高かった。そして手も足もすらりと伸びており形も良い。いわゆるモデル体型だったのだ。

 ヴィオランテの目がキラリと光る。
 ペートラの体型がヴィオランテのファッション・デザイナー魂に火をつけてしまった。

 しかし、ペートラは自分の高い身長も少しコンプレックスに思っていた。確かにもてる女性は小柄な人が多い。それをもって、大女はもてないと思い込んでいたのだ。

 ヴィオランテはクローゼットに入ると服を何着か持ってきた。

「これを着てみてちょうだい」
「はい」

 服を着た姿を見てイザベルは目を見張った。さすがヴィオランテのチョイスである。
「ペートラ。綺麗よ」
「ほ、本当ですか?」
「嘘なんかじゃないわ」

 ヴィオランテが言った。
「私の服だからサイズが少しあっていないけれど、思ったとおり似合うわね。
 私決めたわ。ペートラ専用の侍女服を作る」
「そんな。もったいない」

「いいのよ。私の道楽でやるだけだから気にしないで」
「申し訳ございません」

「謝ることはないわ。
 それから髪とお肌のお手入れも必要ね。もちろんお化粧も覚えるのよ」
「ええっ! そんなに…」

「女が美しくなるのは一朝一夕ではできないの。たいへんなのよ。これもすべてフェヒナー卿のためと思いなさい」
「わかりました」

    ◆

 翌日。
 ペートラ用の侍女服が早くも出来上がった。
 ヴィオランテが待ちきれず徹夜で作ったらしい。

 ペートラは早速試着してみる。
「あのう。これサイズが間違っていませんか。ひざが出ちゃっているし、胸の谷間も見えちゃっているんですけど…」
「いいえ。予定どおりよ」

 ナンツィヒの城で使われている侍女・メイド服はヴィオランテがデザインしたもので、ふくらはぎが半分ほど出る長さのものだ。それでもこの時代は煽情的せんじょうてきだと話題になっており、貴族の間では評判になっていた。

 今回は一気に膝上まで短くした訳だ。

「やっぱり恥ずかしいです」
「仕方ないわね。じゃあストッキングをはいてみる?」

 ストッキングは現代のようなものは技術的に難しいので、いわゆるガーターベルトで止めるタイプのものである。
 が、これはこれでマニアには垂涎すいぜんのものだった。

 中にはガーターベルトに愛の告白の文字を入れ、スカートをめくりあげ、その文字を見せて告白するようなことをする者もいた。

 ストッキングを試着したペートラは言った。
「これならばなんとか我慢します」

「じゃあ。少し歩く練習をしましょう」
「歩く練習?」

 ヴィオランテの前世の紅葉くれは自身はモデルの経験はなかったが、デザイナーだからモデル歩きの指導くらいはできる。

 幸いペートラは運動神経がよく、少し練習するだけでそれっぽくなった。

 一連のことを見ていたイザベルは言った。

「ペートラ。綺麗というか、カッコいいです。感動しました」
「そんなあ。これでお城の中を歩くと思うとはずかしいですぅ」

 ヴィオランテがダメ押しをする。
「あなたの美しさは私が太鼓判を押すわ。あなたはさっき教えたとおり胸を張って堂々と歩けばいいのよ」
「はい。やってみます」

    ◆

 ペートラが城の中を歩くと、すれ違うもものが男も女も皆が驚き振り返る。しかし、よく見るとペートラだということがわかり、「なあんだ。ペートラか」という表情に戻った。

 そしてルシファーのところに顔を出した。
 ルシファーはペートラのあまりの変わりように目を見張った。

「恥ずかしいから、そんなに見ないでください」
「ああ。悪かった」

 ペートラはそれから何事もなかったかのように仕事を始めた。
「またあ。グレゴール様ったらだらしないんだから」
 といつもの愚痴を言いながら片付けをしている。

 ルシファーはむき出しになったふくらはぎや胸の谷間にチラチラと目が行くのを止められない。
 姿勢によっては太もももチラリと見える。

 ルシファーは赤面しそうになるのを覚え、視線を窓の外の景色に移した。

 ──地獄のあるじたるものがこれしきのことで動揺してどうする。

 必死に自分に言い聞かせていた。

 それからというもの、髪や肌の手入れの効果も表れ、お化粧も上達して日々小綺麗になっていくペートラに城の人々は認識を新たにしていった。「なあんだ。ペートラか」と思う人はもういない。

 ルシファーも日々高まっていく感情をいつか抑えきれなくなるのではないかと思い始めていた。

    ◆

 そしてルシファーが剣術の稽古を終え、着替えを手伝っている時、ペートラは感極まってルシファーの背中に抱きついてしまった。

「何をしている。汗臭いだろう」
「いいえ。いい匂いがいたします。この匂いを嗅いでいると幸せな気持ちになれるのです。私はもうグレゴール様なしでは生きていけません」

 しばらくの間があってルシファーが言った。

「これはいつかわかることだから言っておく。私を含め第4中隊は蠅騎士団フリーゲリッターと同じく、悪魔の軍団なのだ。
 それでもいいのか?」
「あのう。グレゴール様の悪魔としての本性も見せていただいてもよろしいですか?」

「ああ。構わない」
 そういうとルシファーは12枚の羽を生やした天使の姿となった。

 それをじっと見つめていたペートラは言った。
「とっても綺麗です。怖くなんかありません。それにロートリンゲンには異形いぎょうの人たちがたくさんいますから、これしきの事で驚いていてはお城務めなんかできませんよ」
「それもそうだな」

 2人はクスクスと笑いあった。

「ということで、私をグレゴール様の愛妾あいしょうにしていただけませんか?」
「いや。ダメだ」

「えっ!そんな…」
「おまえは私の正妻にする」

「しかし、私は貴族ではなく庶民の出ですが…」
「そんなことはどうでもよい」

「わかりました。不束者ですがよろしくお願いいたします」
「ああ。こちらこそよろしく頼む」

    ◆

 ルシファーとペートラの結婚式はナンツィヒの大聖堂で無事行われた。

 そして結婚初夜の日。
 ペートラは仰天した。

 グレーテルから色ごとについては、一通りのことは教わっていたのだが、ルシファーの一物を目の当たりにしたペートラは恐怖を覚えた。
 地獄のあるじルシファーの一物は大きさも長さも地獄級だったのだ。

 そして…

    ◆

 翌日。
 破瓜の痛みに耐えながらペートラはグレーテルのもとへ向かった。

「グレーテルさん。話が違いますよ。グレゴール様のあれはこんなに大きかったんですよ」

 それを聞いてもグレーテルは動じることはなかった。
「まあ。あれは個人差が大きいから仕方ないわね」
「グレーテルさんは驚かないんですか」

「私もそういう人と長年付き合ってきたから…」
「まさか大公閣下も…」

 グレーテルは無言でうなずいた。

「でもこの痛さは異常です。もしかして私のあそこは壊れてしまったかもしれません」
「そこまで言うなら見せてごらんなさい」

「えっ! あそこをですか?」
「見なければわからないじゃない」

 恥ずかしながらも脱いでいくペートラ。
「ほら。もっと足を広げないと見えないじゃない」
「わかりましたぁ」

 ペートラは恥ずかしさを我慢して足を開く。
「うーん。見たところ外傷はないわね。じゃあ、少し開いて中の方もちょっと見てみるね」
「いえ。そこまでは…ひゃっ」

「中も大丈夫みたいよ」
「そうですか良かったです」

「慣れてない男の人だと無理やりやって傷つけたりすることも珍しくないらしいから…グレゴール様が上手な人でよかったわね」
「それは…ありがとうございます」

「しかし、こんなことにずっと耐えられるのでしょうか」
「そこは女の体の神秘なところでね。やっていくうちにだんだんと体の方が適応していくから大丈夫よ。心配しないで」

「はあ。そういうものなのですね」

 それからはルシファーとペートラは上手くいっているらしく、ペートラがグレーテルのもとを再び訪ねることはなかった。

    ◆

 グレーテルから一連の話を聞いたフリードリヒは思った。
 ペートラ頑張れと…ルシファーが欲求不満になって暴れ出したりしたら世界が滅びかねないからな。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

処理中です...