学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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西条 誠

第一話

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周りの生徒も皆帰り初めているので恭介も帰ることにした
桜田門学院高等学校はすごく広い、だから歩いていたらキリがないため校内を周回しているバスが存在する。一年生の教室がある建物は門から歩いて10分ほどだがバス停にバスが来ていたので恭介は乗り込んだ

3分ほどバスに揺られて校門前のバス停で降りた
すると何人か周りに同じクラスの学生がいるようだ

なんか、避けられてる?

恭介はそう思った。辺りを見回すとあからさまに恭介から離れて歩いている。すると一人、恭介に近ずいてきた

「御機嫌よう西蓮寺さん。私は一条晴美ですわ」
「えっ、あっ僕は西蓮寺恭介です。よろしくお願いします」
「あら?私は別によろしくなんて言ってなくってよ?」
「えっ?」
「庶民と仲良くするつもりはなくてよ。私は一条グループの令嬢ですわ。貧乏人と私とでは格が違うのです。教室では話しかけないで下さいね?」
「えっ、ちょっと待って───」 

一条さんと言い合っていると校門のすぐ右側にある校庭から飛んできたサッカーボールが顔面に直撃した

「っ……!わ、悪い!怪我はしてないか!」
「い、いえ大丈夫です」

鼻をおさえて恐らくボールを僕にぶつけた人の顔をみた

なんと、クラスメイトの西条くんでした


「少し心配だ。医務室に行くか?」
「いえ!そこまでは大丈夫です。迎えも来てますし」

この学院の生徒は基本的に保護者や使用人が車で迎えに来る

「ならそこまで送ろう。確か一条…だったよな?西蓮寺と話してたのに悪いな」
「い、いえ!大丈夫ですわ。西条くん彼はきっと大丈夫ですわ!それより私の家にいらっしゃらない?」
「いや、そういう訳にはいかない。俺に非があるからな」
「そ、そうですわね。まぁ、今回は無理かもしれませんが、是非次の機会にいらして下さいね」

西条くんにはにっこりと微笑んでいたのに校門の方に振り返る一瞬、僕は一条さんに睨まれた気がした

「あの女狐め」

西条くんの口から凄い悪口が聞こえた気がしたが気の所為だよね?そうだよね、うん
僕は腕を西条くんの肩に回して校門を出て学院前のロータリーに待っているはずのウチの使用人を探す

「あっ、いたいた!杉本さん!」
「若様、お待ちしておりました。おや、そちらの方はご学友ですか?」

この優しそうなちょび髭の男の人はウチの運転手の杉本さんだ

「あっ、この人はクラスメイトの西条くんだよ」
「そうでしたか。私は西蓮寺家の運転手を務めている杉本と申します。」

西条くんは驚いた感じの顔をして僕を見た

「若様、どうでしょうか?西条様を御屋敷に招いては?」
「えっ、そんな迷惑だよ。西条くんも忙しいはずだし」
「別に構わない。今日は特に予定は無いからな」
「えっ、大丈夫なんですか?」
「あぁ、西蓮寺の家がどんなのか見てみたいしな」
「では決まりですね。早速屋敷に連絡しておきますね」

杉本さんはポケットからスマートフォンを取り出して屋敷に電話をかけて許可を貰ったらしく僕達を車の中へと誘導した。

「それでは若様、西条様お乗り下さい」

僕達二人が乗り込むと黒のリムジンは西蓮寺家に向けて出発した。僕の家は学校から車で30分くらい走った所にあって白を基調とした洋風のお家なんだ。西条くんが狭いとか汚いとか思わないといいけどちょっと不安だなぁ

「西蓮寺、お前の家って確か医療関係の事業をしてるんだったな。」
「えっ?急にどうしたんですか?」
「いや、月城先生が何も言わなかったから西蓮寺の家があの『西蓮寺』かどうか確かめたかったんだ」
「西条くんは僕の家の事気づいたんですか!?」
「それはそうだろう?天下の西蓮寺家を忘れているなんて月城先生くらいなものだぞ」
「ちょっと大きめの病院を経営してるだけの家ですよ?」

ちょっと謙遜しすぎたかもしれない

「日本中に点在している西蓮寺家の傘下の病院を見ていると病院とは思えないが?」
「まぁ、あれでも日本では一番大きいらしいですから」
「西蓮寺は自分のお父上がどれ程素晴らしい人か今一度考えるべきだな」
「ふふっ、立派な人だというのは分かっているんですが家ではちょっと残念な面が多い人ですからね」
「なるほど、『西蓮寺の鬼神』と謳われる西蓮寺理事長も息子の前では違う一面を見せているってことか?」 
「えっ!?そんな異名初めて知りました!」
「そうなのか?結構有名だと思うぞ?」

そんなたわいもない話をしていると杉本さんが声をかけてきた

「若様、西条様、屋敷に到着しました」

そんなこんなしている内に家に着いたみたいだ
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