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頭を抱えてるけど、ここで強く否定しないってことは、友梨さんも言ってたけど、結婚とかそういうことには一切興味がなくて、自由に生きてきたんだろう。
だって、こんなに素敵な人を周りの女性が放っておくとは思えない。
ただ情けなく凹んだ姿ですら、やたら無駄に色気があってカッコよくて、なけなしの母性本能がくすぐられるんだから。
「あの」
「なあに」
「あの時、どうして私に声を掛けたんですか」
絆されるみたいで癪だけど、私は落ち込んだ様子の彼の手を取って、自分よりも大きなその手を握る。
「特に理由はないよ。ただ単純に可愛らしいなって思っただけ」
「ビール飲んでしゃっくりしてるのがですか」
「女の子のギラついた感じがなかったから」
ギラついた女性ってどんな感じなんだろうかと、若干引っ掛かりを覚えつつも、真面目に答えてくれてる様子の彼の顔を覗き込む。
「それで声掛けたんですか」
「君と一緒にご飯食べたら、きっと美味しいんだろうなって」
「寂しかったんですか」
「いや、別に」
「じゃあ食事の後、バーに誘ったのはどうしてですか」
「話し足りなかったから。君もそうだからついてきたんじゃないの」
「確かに、もっと話したいとは思いました」
「でしょ。ただずっと一緒に居たかっただけだよ」
不意に彼の手が私の手を包むように掴み直されると、右手の指が絡め取られて、指の間をしなやかな指が意味あり気にゆっくりと動く。
そこからはろくな会話もなく、彼の熱っぽい目が私を射抜いて視線が絡むと、自然と身体を寄せて唇が重なった。
参ったな。私はどうしてこんなにも流されやすいんだろう。
だけど彼の唇は、まるで大好物の食べ物みたいにどれだけ味わっても足りない気がして、啄むようなキスを何度も繰り返す。
「おかしいよね」
「なにがですか」
キスの合間に彼が笑うので、困惑して答えると、お互いに名乗りもしてないと、今更なことを口にしながら恋人みたいに甘いキスをする。
「ねえ」
「なんですか」
「俺、このままだと勘違いしそう」
「なにをですか」
「ハッキリさせたいんだけど」
「どうしたんですか」
キスの嵐が止んだかと思うと、おでこを寄せ合ったままで、彼は私の頬を愛しそうに撫でながら私の名前を呼んだ。
「香澄ちゃん」
「なんでしょう」
「俺たち付き合うってことで良いのかな」
「本気ですか」
「俺みたいなオッサンは嫌かな」
「いや、私なんかでお相手が務まるのかなって」
「それ前も聞いた。本当に面白い子だね」
頬を撫でていた彼の指先が、いつの間にか私の耳朶を弄んで、耳孔をくすぐられる。
「んっ」
「ねえ、俺のこと好きになってくれる?」
「好きじゃなかったら、キスしないです」
「そっか。だからそんな色っぽい顔をしてるんだ」
「揶揄ってますよね」
「口説いてるんだよ」
ニッと悪戯っぽく口角を上げた彼と、また唇を重ねてキスをすると、しっとりした舌先が唇を割って口内に入り込んできて、舌を搦め取られて翻弄される。
彼のキスは刺激的なのに、なんだか懐かしいような気がして変な気分だ。
大切なものを扱うように背中を抱かれ、そのままソファーの上で押し倒されると、背中を守っていた手が前に回り込んで、ブラウスの中のキャミソールをめくって肌に触れる。
「あ、の」
「なに」
色気が溢れ出てる視線に捉えられて、このままここで抱かれるのかと決意しそうになるものの、やっぱりなんだか汗臭い気もするし、今日はシャワーを浴びてしまいたい。
「今日は暑かったから、その、めちゃくちゃ汗かきましたし。シャワー浴びたくて」
「そっか。うちには駅から歩いて来たんだっけ」
「はい」
「じゃあ抱いても良いんだ?」
「え」
「シャワー浴びたら良いんでしょ? どのみちゴム用意してないから、俺もちょっとコンビニかドラッグストアに行ってこないと」
あんなことしておいて、まさか揶揄い半分だったなんて、本当にこの人は。
だって、こんなに素敵な人を周りの女性が放っておくとは思えない。
ただ情けなく凹んだ姿ですら、やたら無駄に色気があってカッコよくて、なけなしの母性本能がくすぐられるんだから。
「あの」
「なあに」
「あの時、どうして私に声を掛けたんですか」
絆されるみたいで癪だけど、私は落ち込んだ様子の彼の手を取って、自分よりも大きなその手を握る。
「特に理由はないよ。ただ単純に可愛らしいなって思っただけ」
「ビール飲んでしゃっくりしてるのがですか」
「女の子のギラついた感じがなかったから」
ギラついた女性ってどんな感じなんだろうかと、若干引っ掛かりを覚えつつも、真面目に答えてくれてる様子の彼の顔を覗き込む。
「それで声掛けたんですか」
「君と一緒にご飯食べたら、きっと美味しいんだろうなって」
「寂しかったんですか」
「いや、別に」
「じゃあ食事の後、バーに誘ったのはどうしてですか」
「話し足りなかったから。君もそうだからついてきたんじゃないの」
「確かに、もっと話したいとは思いました」
「でしょ。ただずっと一緒に居たかっただけだよ」
不意に彼の手が私の手を包むように掴み直されると、右手の指が絡め取られて、指の間をしなやかな指が意味あり気にゆっくりと動く。
そこからはろくな会話もなく、彼の熱っぽい目が私を射抜いて視線が絡むと、自然と身体を寄せて唇が重なった。
参ったな。私はどうしてこんなにも流されやすいんだろう。
だけど彼の唇は、まるで大好物の食べ物みたいにどれだけ味わっても足りない気がして、啄むようなキスを何度も繰り返す。
「おかしいよね」
「なにがですか」
キスの合間に彼が笑うので、困惑して答えると、お互いに名乗りもしてないと、今更なことを口にしながら恋人みたいに甘いキスをする。
「ねえ」
「なんですか」
「俺、このままだと勘違いしそう」
「なにをですか」
「ハッキリさせたいんだけど」
「どうしたんですか」
キスの嵐が止んだかと思うと、おでこを寄せ合ったままで、彼は私の頬を愛しそうに撫でながら私の名前を呼んだ。
「香澄ちゃん」
「なんでしょう」
「俺たち付き合うってことで良いのかな」
「本気ですか」
「俺みたいなオッサンは嫌かな」
「いや、私なんかでお相手が務まるのかなって」
「それ前も聞いた。本当に面白い子だね」
頬を撫でていた彼の指先が、いつの間にか私の耳朶を弄んで、耳孔をくすぐられる。
「んっ」
「ねえ、俺のこと好きになってくれる?」
「好きじゃなかったら、キスしないです」
「そっか。だからそんな色っぽい顔をしてるんだ」
「揶揄ってますよね」
「口説いてるんだよ」
ニッと悪戯っぽく口角を上げた彼と、また唇を重ねてキスをすると、しっとりした舌先が唇を割って口内に入り込んできて、舌を搦め取られて翻弄される。
彼のキスは刺激的なのに、なんだか懐かしいような気がして変な気分だ。
大切なものを扱うように背中を抱かれ、そのままソファーの上で押し倒されると、背中を守っていた手が前に回り込んで、ブラウスの中のキャミソールをめくって肌に触れる。
「あ、の」
「なに」
色気が溢れ出てる視線に捉えられて、このままここで抱かれるのかと決意しそうになるものの、やっぱりなんだか汗臭い気もするし、今日はシャワーを浴びてしまいたい。
「今日は暑かったから、その、めちゃくちゃ汗かきましたし。シャワー浴びたくて」
「そっか。うちには駅から歩いて来たんだっけ」
「はい」
「じゃあ抱いても良いんだ?」
「え」
「シャワー浴びたら良いんでしょ? どのみちゴム用意してないから、俺もちょっとコンビニかドラッグストアに行ってこないと」
あんなことしておいて、まさか揶揄い半分だったなんて、本当にこの人は。
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