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泊まる用意をしてくるからとキス一つで私を残して出て行った彼は、出掛ける前に連絡先をしっかりと交換して、今度は自分の口から自己紹介して、名前で呼ぶようにと白い歯を覗かせた。
お兄さんと呼ばれると、今となってはどうしても友梨さんが頭をよぎるから、やめて欲しいというのが大きな理由らしい。
「そうなんだよね。よく考えたら、樹貴さんは友梨さんのお兄さんなんだよね」
シャワーを浴びながら、つい頭をよぎる不安が口を吐く。
全く関係なく出会って恋に落ちたとはいえ、今後の生活で家主と居候の関係になるのは確定してる。
友梨さんからしてみれば、菜穂ちゃんから頼まれて一時的に預かる保護者的な気持ちで居るだろうし、樹貴さんと私が付き合うだなんて青天の霹靂に違いない。
いや、青天の霹靂どころか、一回り以上歳の離れた私が、樹貴さんに遊ばれてると思わない方がおかしいかも知れない。
「先に言っておいた方が良いのかな」
菜穂ちゃんにしろ、友梨さんにしろ、昔から可愛がってくれている大好きなお姉ちゃんに心配を掛ける訳にはいかない。
とりあえず汗を流して早めにシャワーを切り上げると、サーキュレーターの冷風で涼みながら髪を乾かす。
これと言って刺激的だったり可愛らしい下着は持っていないし、こんな時に、恋愛から遠のき過ぎた自分を情けなく思う。
「今度買いに行こ」
そして可愛らしさの欠片もないTシャツとハーフパンツに着替えると、樹貴さんが出ていく前に約束した昼ご飯を作ることにした。
とはいえ買い物に行った訳じゃないから、冷蔵庫にあるものでどうにかしないといけない。
朝からなにも食べてないという樹貴さんのために、とりあえずご飯を炊いて、メインになるおかずを考えながら冷蔵庫を物色する。
「鶏ミンチと豆腐でハンバーグにしようかな」
豆腐を水切りしてる間にマカロニと野菜を茹でて、解凍したシーフードミックスとそれを和えて、レモン風味のヨーグルトドレッシングを作る。
それが出来た頃に、水切りした豆腐と鶏ミンチで青じそを効かせたハンバーグを作って少しタネを寝かせる。
ハンバーグを焼くのは、樹貴さんが帰ってくる頃に合わせた方が良いだろうから、リビングに置いていたスマホを手に取ると、今どこですかとメッセージを送った。
泊まる用意と言っていたので、一旦家に帰ったのかも知れない。
樹貴さんの自宅は、私がこれからお世話になる実家と少し離れていて、本社として機能してる店舗の近くのマンションに住んでいると言っていた。
まだまだ知らないことばかりで、私のことを本当に好きなのかもよく分からないけど、恋のセンサーが錆び付いた私にしてみれば、彼の言葉を信じるしかない。
彼もシャワーを浴びるかも知れないので、浴室の掃除を簡単に済ませると、樹貴さんから返事のメッセージが届いた。
【あと十分くらいで戻るよ】
了解しましたとメッセージを返すと、キッチンに戻ってハンバーグを焼き始める。
他人のために料理をするのは、美咲がまだ家に住んでた頃以来だし、そもそも美咲の方が料理が得意だったから、なんだか緊張してしまう。
食べられないほど酷い料理を作ったことはないけど、基本的にお腹が膨れれば良いとしか思ってないところがあるので、味までは保証出来ない。
それでも香ばしい香りがしてきて、ハンバーグに良い焦げ目がついたところで火を弱め、水を入れて蒸し焼きにする。
ちょうどそのタイミングでインターホンが鳴ると、モニターに樹貴さんが映っていて小さく手を振っている姿がなんとも可愛らしい。
十個以上も歳が離れている男性に、可愛らしいなんて失礼かも知れないけど、三年ぶりの恋のせいで、些細なことでも心が高鳴るのは仕方ないと思う。
しばらくすると玄関のインターホンが鳴って、樹貴さんのためにドアを開けると、結構な大荷物を抱えた姿に驚いてしまう。
「どうしたんですか、その荷物」
「ん? 少しでも一緒に居たいから多めに持ってきた」
「えっと、ここに滞在する感じですか」
「だって、引っ越してくるの待ってられないよ」
お兄さんと呼ばれると、今となってはどうしても友梨さんが頭をよぎるから、やめて欲しいというのが大きな理由らしい。
「そうなんだよね。よく考えたら、樹貴さんは友梨さんのお兄さんなんだよね」
シャワーを浴びながら、つい頭をよぎる不安が口を吐く。
全く関係なく出会って恋に落ちたとはいえ、今後の生活で家主と居候の関係になるのは確定してる。
友梨さんからしてみれば、菜穂ちゃんから頼まれて一時的に預かる保護者的な気持ちで居るだろうし、樹貴さんと私が付き合うだなんて青天の霹靂に違いない。
いや、青天の霹靂どころか、一回り以上歳の離れた私が、樹貴さんに遊ばれてると思わない方がおかしいかも知れない。
「先に言っておいた方が良いのかな」
菜穂ちゃんにしろ、友梨さんにしろ、昔から可愛がってくれている大好きなお姉ちゃんに心配を掛ける訳にはいかない。
とりあえず汗を流して早めにシャワーを切り上げると、サーキュレーターの冷風で涼みながら髪を乾かす。
これと言って刺激的だったり可愛らしい下着は持っていないし、こんな時に、恋愛から遠のき過ぎた自分を情けなく思う。
「今度買いに行こ」
そして可愛らしさの欠片もないTシャツとハーフパンツに着替えると、樹貴さんが出ていく前に約束した昼ご飯を作ることにした。
とはいえ買い物に行った訳じゃないから、冷蔵庫にあるものでどうにかしないといけない。
朝からなにも食べてないという樹貴さんのために、とりあえずご飯を炊いて、メインになるおかずを考えながら冷蔵庫を物色する。
「鶏ミンチと豆腐でハンバーグにしようかな」
豆腐を水切りしてる間にマカロニと野菜を茹でて、解凍したシーフードミックスとそれを和えて、レモン風味のヨーグルトドレッシングを作る。
それが出来た頃に、水切りした豆腐と鶏ミンチで青じそを効かせたハンバーグを作って少しタネを寝かせる。
ハンバーグを焼くのは、樹貴さんが帰ってくる頃に合わせた方が良いだろうから、リビングに置いていたスマホを手に取ると、今どこですかとメッセージを送った。
泊まる用意と言っていたので、一旦家に帰ったのかも知れない。
樹貴さんの自宅は、私がこれからお世話になる実家と少し離れていて、本社として機能してる店舗の近くのマンションに住んでいると言っていた。
まだまだ知らないことばかりで、私のことを本当に好きなのかもよく分からないけど、恋のセンサーが錆び付いた私にしてみれば、彼の言葉を信じるしかない。
彼もシャワーを浴びるかも知れないので、浴室の掃除を簡単に済ませると、樹貴さんから返事のメッセージが届いた。
【あと十分くらいで戻るよ】
了解しましたとメッセージを返すと、キッチンに戻ってハンバーグを焼き始める。
他人のために料理をするのは、美咲がまだ家に住んでた頃以来だし、そもそも美咲の方が料理が得意だったから、なんだか緊張してしまう。
食べられないほど酷い料理を作ったことはないけど、基本的にお腹が膨れれば良いとしか思ってないところがあるので、味までは保証出来ない。
それでも香ばしい香りがしてきて、ハンバーグに良い焦げ目がついたところで火を弱め、水を入れて蒸し焼きにする。
ちょうどそのタイミングでインターホンが鳴ると、モニターに樹貴さんが映っていて小さく手を振っている姿がなんとも可愛らしい。
十個以上も歳が離れている男性に、可愛らしいなんて失礼かも知れないけど、三年ぶりの恋のせいで、些細なことでも心が高鳴るのは仕方ないと思う。
しばらくすると玄関のインターホンが鳴って、樹貴さんのためにドアを開けると、結構な大荷物を抱えた姿に驚いてしまう。
「どうしたんですか、その荷物」
「ん? 少しでも一緒に居たいから多めに持ってきた」
「えっと、ここに滞在する感じですか」
「だって、引っ越してくるの待ってられないよ」
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