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九月になって涼しくて過ごしやすい日が増えたとは言え、まだまだ日中は日差しが強くて、買い物するのも一苦労だ。
少しだけ住み慣れた大豪邸から、散歩がてら近所のスーパーに買い出しに出ると、見慣れない海外の調味料に興味を惹かれてついつい荷物が増えていく。
そうして何軒かのスーパーを渡り歩き、それぞれの店の価格帯を確認すると、一番庶民的なスーパーを今後は使うことにして帰路に着く。
大きな門を潜って庭に入り、エコバッグを両脇に抱えたままポケットを探って鍵を取り出すと、玄関の鍵を開けて誰も居ないその場でただいまと呟く。
この家に引っ越してきて三週間近く経ったけど、樹貴さんが顔を出したことは一度もなく、それ以前に引っ越しの日以来、連絡が途絶えてしまった。
「ふう。冷蔵庫に全部入るかな」
キッチンに移動して、大量に買ってきた食材をエコバッグから取り出すと、大きな冷蔵庫に順番に放り込んでいく。
樹貴さんと連絡が途絶えたと言っても、メッセージのやり取りはたまにあって、すれ違いながらもお互いの仕事のことや休みについての連絡はしている。
だけど仕事が忙しいらしい樹貴さんは、いつも深夜に返信してくるし、私が送るメッセージになかなか既読がつかないことが多いのは確かだ。
だからつい、あの日の友梨さんとの電話の件を勘繰ってしまう。
「こんな状態、本当に付き合ってるって言うのかな」
寂しさと虚しさから、つい独り言が漏れる。
樹貴さんとは出会い方もあんな感じだったし、私が一晩限りのことだと思い込んだせいもあって、再会出来る可能性も低かった。
だけど偶然が重なったおかげで再会出来て、めでたく恋人として付き合うことになったけど、引っ越しのドタバタでしっかりしたデートはあの花火大会以来してない。
忙しい人だから、休みの日には家でゆっくりしたいだろうと思って、私も我慢まではいかなくても自由に意見を言えてない。
だってそんな中でも、仕事の終わりを合わせてくれて、一緒に食事に行ったりしてくれていたから、樹貴さんが出来る範囲で大切にしてくれてると思ってた。
だけどそれに変化があったのは、やっぱり引っ越して来た日の、友梨さんとのあの電話。
あの日、もちろん私からも電話をしてみたけど、樹貴さんはショーの仕事が入って忙しくなると、友梨さんの会話とは噛み合わない答えを私に返した。
実際にTOKYOガールズパーティーは、日本が誇るファッションショーで、日本でも指折りのトップヘアスタイリストである樹貴さんが、仕事で関わるのはホームページにも掲載されている。
だけどあの時の友梨さんの怒り方からして、樹貴さんが私には話すつもりのない事情を抱えているのは明らかだった。
「話すほどのことじゃないって思ってるのかな」
今になって、美咲の気持ちが理解出来る。
あの時は、石井くんの心境まで考える余裕があったし、美咲の気性を知ってるからこそ、きっと行き違いだろうなんて、無責任に考えてしまってた。
「美咲もこんな風に、しんどかったんだろうな」
私と樹貴さんは夫婦じゃないし、ましてや付き合ってまだそんなに時間も経ってない。
大切な家族という立場じゃなくて、所詮は他人なんだと思い知らされたようで、ますます暗い気分になってしまう。
「だめだ。なんか疲れちゃった」
勢いで夕食の準備をするつもりだったけど、その手を止めて、出してしまった食材を冷蔵庫に戻して溜め息を吐く。
手を洗ってキッチンを出ると、二階の自室に戻ってベッドに寝転び、ざわついて掻き乱される気持ちを落ち着けるように、テレビのスイッチをオンにして音量を上げた。
少しだけ住み慣れた大豪邸から、散歩がてら近所のスーパーに買い出しに出ると、見慣れない海外の調味料に興味を惹かれてついつい荷物が増えていく。
そうして何軒かのスーパーを渡り歩き、それぞれの店の価格帯を確認すると、一番庶民的なスーパーを今後は使うことにして帰路に着く。
大きな門を潜って庭に入り、エコバッグを両脇に抱えたままポケットを探って鍵を取り出すと、玄関の鍵を開けて誰も居ないその場でただいまと呟く。
この家に引っ越してきて三週間近く経ったけど、樹貴さんが顔を出したことは一度もなく、それ以前に引っ越しの日以来、連絡が途絶えてしまった。
「ふう。冷蔵庫に全部入るかな」
キッチンに移動して、大量に買ってきた食材をエコバッグから取り出すと、大きな冷蔵庫に順番に放り込んでいく。
樹貴さんと連絡が途絶えたと言っても、メッセージのやり取りはたまにあって、すれ違いながらもお互いの仕事のことや休みについての連絡はしている。
だけど仕事が忙しいらしい樹貴さんは、いつも深夜に返信してくるし、私が送るメッセージになかなか既読がつかないことが多いのは確かだ。
だからつい、あの日の友梨さんとの電話の件を勘繰ってしまう。
「こんな状態、本当に付き合ってるって言うのかな」
寂しさと虚しさから、つい独り言が漏れる。
樹貴さんとは出会い方もあんな感じだったし、私が一晩限りのことだと思い込んだせいもあって、再会出来る可能性も低かった。
だけど偶然が重なったおかげで再会出来て、めでたく恋人として付き合うことになったけど、引っ越しのドタバタでしっかりしたデートはあの花火大会以来してない。
忙しい人だから、休みの日には家でゆっくりしたいだろうと思って、私も我慢まではいかなくても自由に意見を言えてない。
だってそんな中でも、仕事の終わりを合わせてくれて、一緒に食事に行ったりしてくれていたから、樹貴さんが出来る範囲で大切にしてくれてると思ってた。
だけどそれに変化があったのは、やっぱり引っ越して来た日の、友梨さんとのあの電話。
あの日、もちろん私からも電話をしてみたけど、樹貴さんはショーの仕事が入って忙しくなると、友梨さんの会話とは噛み合わない答えを私に返した。
実際にTOKYOガールズパーティーは、日本が誇るファッションショーで、日本でも指折りのトップヘアスタイリストである樹貴さんが、仕事で関わるのはホームページにも掲載されている。
だけどあの時の友梨さんの怒り方からして、樹貴さんが私には話すつもりのない事情を抱えているのは明らかだった。
「話すほどのことじゃないって思ってるのかな」
今になって、美咲の気持ちが理解出来る。
あの時は、石井くんの心境まで考える余裕があったし、美咲の気性を知ってるからこそ、きっと行き違いだろうなんて、無責任に考えてしまってた。
「美咲もこんな風に、しんどかったんだろうな」
私と樹貴さんは夫婦じゃないし、ましてや付き合ってまだそんなに時間も経ってない。
大切な家族という立場じゃなくて、所詮は他人なんだと思い知らされたようで、ますます暗い気分になってしまう。
「だめだ。なんか疲れちゃった」
勢いで夕食の準備をするつもりだったけど、その手を止めて、出してしまった食材を冷蔵庫に戻して溜め息を吐く。
手を洗ってキッチンを出ると、二階の自室に戻ってベッドに寝転び、ざわついて掻き乱される気持ちを落ち着けるように、テレビのスイッチをオンにして音量を上げた。
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