【完結】旦那様に隠し子がいるようです。でも可愛いから全然OK!

曽根原ツタ

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 スフィミア、僅かに朱に染った顔で唇を開く。

「あの……お隣に行っても……よろしいですか」
「もちろんだとも。おいで」

 優しく目を細める、手招きする彼。すっと座席から立ち上がり、向かいに座っているハネスの横にくっつくように座る。
 彼はスフィミアが冷えないようにブランケットを膝にかけてくれた。どちらからともなく手を繋ぎ、彼の肩に頭を乗せる。

「今日は、久しぶりにアドニス様に会えました」
「そうだな。またスフィミアに迷惑をかけてしまった。油断していた」
「迷惑だなんてとんでもないです。会えて嬉しかったです。やはり……呪いを完全に克服するというのは難しいのですね」
「それでも、以前のことを思えばマシだ」
「ふふ、ですね」

 ふいに、手を握るハネスの手の力が強まる。

「ずっと……厄介な呪いだとばかり思っていたが、あなたと思い合えたのはこれのおかげでもある。今はこの呪いが祝福にさえ思える」
「そのお言葉で、私も救われた気持ちになります」

 彼が今まで、呪いのことでどれだけ悩んできたかは想像もつかないが、自分の存在のおかげで前向きに捉えられるようになったというなら、それほど嬉しいことはない。
 スフィミアはそっと目を閉じ、口角を上げた。

「……スフィミアは、子どもが好きなのか?」
「はい。特にアドニス様が大好きですよ」
「あなたの子どもなら、きっともっと可愛いんだろうな」
「!」

 突然降ってきた言葉に驚き、かっと目を開いて彼の方を見る。ハネスは余裕たっぷりの様子で不敵な笑みを浮かべていて。

(旦那様は……ずるい)

 なら、ハネスの子どもだってものすごく可愛いのだろう。照れた顔で彼を見つめていたら、頬に手を添えられる。
 口付けをされるのだろうとそっと目を閉じると、タイミング良くスフィミアのお腹がぐぅと鳴った。雰囲気は台無し。ハネスはスフィミアからさっと離れ、破顔する。

「もうすぐ夕食の時間だな」
「ふふ、そうですね」

 今日の夕食はなんだろう。そんな幸せな想像をしながら、ゆったりと馬車の時間を過ごしたのだった。



 ◇◇◇



 数年後。スフィミアとハネスの間に第一子が生まれた。彼はアドニスにそっくりな男の子に成長していった。
 スフィミアの実家だが、しばらくは金を無心する手紙を送って来ていたが、そのうちにふつと連絡が途絶えてしまった。領地と爵位も売り払ったらしいが、今彼らがどこで何をしているのかは分からない。

「ち、ちちうえ……! またははうえが道端のきのこを焼いて食べようとしてる!」
「きのこ?」
「赤くて白い模様があるなんかヤバそうなやつ」
「早急に止めろ」
「しょうち!」

 公爵夫人は相変わらず食べ物に目がない大食らい。底なしの食欲を管理するのは息子と夫の仕事だ。土地神の祝福を受ける公爵家は、いつも笑い声が絶えなかった。



-----------------
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

新連載のお知らせ。
『他の令嬢をひいきする婚約者と円満に別れる方法はありますか?』
お楽しみいただければ幸いです…!
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感想 6

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みんなの感想(6件)

こいぬ
2024.09.30 こいぬ

素敵なお話ありがとうございました。一気読みしました。

解除
Conanlove
2024.07.23 Conanlove

楽しかったです!道端のキノコ🍄を食べようとしているのに笑う!二人(親子)で止めている姿にほっこりですね。

解除
かかし
2023.10.13 かかし

すごく良いお話でした!
公爵様の爵位受ける前の過去(黒歴史?)が気になるものの、今の彼らには関係ないですね!幸せになって良かったーアドニスくん似の長男も素直で可愛いです!「しょうち!」にほっこりです

解除

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