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14. 王太子殿下の言葉
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曲が終わってお兄様の元へと戻りましたが、どういうわけかリュベルス殿下までもが私にダンスをと申し出られました。
これはお兄様の仕業ですわね。
「リュベルス殿下、兄が無理を言ったようで申し訳ございません」
「いや、私がエリザベス嬢と踊りたかったんだ」
また、お世辞がうまいですわ。
王族といい高位貴族の方々は表情をお作りになるのも上手なのですね。そのお言葉も甘いものが多くてもうお腹いっぱいですわ。一応お礼だけは伝えておいて、この時間が早く終わるように願うだけね。
「今日はルカにまだ会ってないのか?」
「ダンスの途中にお見かけしたような気はしましたが、直接にはまだ…」
「そうか。あそこにいるが、なんか私のことを睨んでいるようだぞ」
リュベルス殿下は笑顔を浮かべられました。もちろん社交辞令という部類のものでしょう。でも、その中にはなぜだか楽しんでいるような感じがしますわね。
ルカ様のことをそんな風におっしゃるということは、やっぱり楽しんでいるのでしょうか。
「ご冗談を。政略の相手にそのような視線を向けるわけありませんでしょう?」
「政略の相手…ねぇ」
「きっと私から声をかけないことが気に入らないのでしょう。まあ、かけるつもりもありませんが」
「エリザベス嬢、弟の友人でもあるルカのことは私から謝らせてもらおう。すまないな」
「殿下が謝られる必要はないですわ」
リュベルス殿下は少し気まずい顔をしましたが、一瞬で仮面をつけられたようでさわやかな笑顔に戻っています。さすがです。見習いたいくらいですわね。
「だが、ルカと話をしていないのだろう?」
「学園に入学する前は、お昼をルカ様とご一緒に…とか、放課後に町へ…とか、楽しみにしてたのですよ。それなのにルカ様は一方的に時間が取れないと私に手紙で告げられ、こちらからお誘いしても断られ、私は歩み寄ろうと努力はしました。でも、もうルカ様も卒業ですしどうにもなりません。それに、私もこの先の事を少しは考えておりますし」
「それは、ルカを見限るという事か?」
「そうですわね。父も兄も限界の様ですし、私も先のない未来に夢は見ませんし」
「エリザベス嬢。ルカにも事情があるとは考えないのか?」
「たとえ事情があったとして、それは、何も話さなくてもよいという事でしょうか?私が傷ついても構わないと?ないがしろにしても大丈夫だと、そうお思っていらっしゃるのですか?」
「いや…そういうことではない。すまなかった」
リュベルス殿下はすぐに訂正されました。冷徹だという噂の通り人の気持ちは二の次なのかしら?なんだか残念だわ。
お兄様の上司で次期国王とはいえ、少し……いえ、言わないでおきましょう。
そしてお兄様のところへと戻りましたら、お父様がいらっしゃいました。どうやらルカ様のご両親のコゼルス侯爵夫妻が、慌てた様子でお父様に謝られたようです。
そうですわよね。この婚約が破談となれば、コゼルス侯爵家の家業にも影響が出ますからね。
「明日にでもルカ殿を謝罪に行かせるとか言っていたが、リズはどうしたい?」
「今更ですわ。何年会っていないとお思いですか?もうどうでもいいです。どうせ言うことは決まっているのでしょう?連絡が遅れてすまないとか、エスコートするつもりだった…とか、コレはお詫びに…とか言って花の一つでもお持ちになるのでしょう?本当に何をされても、その何もかもが今更なのです」
口にすると、自分がなんだか情けなくなってきました。ここが大勢の人が集まる場所でなければ、泣いていたかもしれません。
自分で言ってなんですけど、ルカ様のとる行動が…その光景が目に浮かぶようですわ。
私の顔もお分かりになるのかしらね?
「明日は友人達と街へ行く約束をしていますから、ルカ様が来られても私は不在ですわ。勝手にさせておけばいいのでは?そもそも、謝るつもりがあるのでしたら、いま会場にいらっしゃるのだから声を掛けられるはずでしょう?」
そうです。謝るつもりがあるのなら、今この場でお父様や私に声をかけるべきでは?エスコートできなかったからと、ダンスの申し込みをするくらいの気持ちがあって然りですわよ。
私もここまで来ると意地の張り合いになっている気もしないことはないですけど、会いたくないものは会いたくないですし、今更という気持ちもあるのですよ。
「お父様、そろそろ帰りませんこと?足が痛くて」
新しい靴を履いてのダンス4曲は、少し堪えたようです。
友人達とは話もしましたし、明日また会う予定なのでこれで帰っても困りませんわね。
「そうだな。ヘイデンはまだいるのだろう?私たちは先に帰る。もし、あのバカから接触があったら、お前に任せる。好きにしろ」
「任せてください。まあ、私に声をかける度胸があればですがね」
お兄様は楽しそうにそうお父様に言っていますけど、そうですわね、ルカ様はお兄様のことが苦手でしたわね。
口数の少ないルカ様とその反対で多いお兄様。お二人の会話は私とルカ様の時よりも酷いものですし。
まあ、歩み寄りをするかどうかをしっかりと考えなければ、私の未来は真っ暗ですわね。
デビュタントもどうなるかと思いましたが、これはこれで思い出に残るものでしたわ。
これがルカ様と参加できていたら……
そう思うのは、仕方ないことかもしれません。
口ではああいいましたが、私の中にはまだルカ様への想いは残っているのですね。
これはお兄様の仕業ですわね。
「リュベルス殿下、兄が無理を言ったようで申し訳ございません」
「いや、私がエリザベス嬢と踊りたかったんだ」
また、お世辞がうまいですわ。
王族といい高位貴族の方々は表情をお作りになるのも上手なのですね。そのお言葉も甘いものが多くてもうお腹いっぱいですわ。一応お礼だけは伝えておいて、この時間が早く終わるように願うだけね。
「今日はルカにまだ会ってないのか?」
「ダンスの途中にお見かけしたような気はしましたが、直接にはまだ…」
「そうか。あそこにいるが、なんか私のことを睨んでいるようだぞ」
リュベルス殿下は笑顔を浮かべられました。もちろん社交辞令という部類のものでしょう。でも、その中にはなぜだか楽しんでいるような感じがしますわね。
ルカ様のことをそんな風におっしゃるということは、やっぱり楽しんでいるのでしょうか。
「ご冗談を。政略の相手にそのような視線を向けるわけありませんでしょう?」
「政略の相手…ねぇ」
「きっと私から声をかけないことが気に入らないのでしょう。まあ、かけるつもりもありませんが」
「エリザベス嬢、弟の友人でもあるルカのことは私から謝らせてもらおう。すまないな」
「殿下が謝られる必要はないですわ」
リュベルス殿下は少し気まずい顔をしましたが、一瞬で仮面をつけられたようでさわやかな笑顔に戻っています。さすがです。見習いたいくらいですわね。
「だが、ルカと話をしていないのだろう?」
「学園に入学する前は、お昼をルカ様とご一緒に…とか、放課後に町へ…とか、楽しみにしてたのですよ。それなのにルカ様は一方的に時間が取れないと私に手紙で告げられ、こちらからお誘いしても断られ、私は歩み寄ろうと努力はしました。でも、もうルカ様も卒業ですしどうにもなりません。それに、私もこの先の事を少しは考えておりますし」
「それは、ルカを見限るという事か?」
「そうですわね。父も兄も限界の様ですし、私も先のない未来に夢は見ませんし」
「エリザベス嬢。ルカにも事情があるとは考えないのか?」
「たとえ事情があったとして、それは、何も話さなくてもよいという事でしょうか?私が傷ついても構わないと?ないがしろにしても大丈夫だと、そうお思っていらっしゃるのですか?」
「いや…そういうことではない。すまなかった」
リュベルス殿下はすぐに訂正されました。冷徹だという噂の通り人の気持ちは二の次なのかしら?なんだか残念だわ。
お兄様の上司で次期国王とはいえ、少し……いえ、言わないでおきましょう。
そしてお兄様のところへと戻りましたら、お父様がいらっしゃいました。どうやらルカ様のご両親のコゼルス侯爵夫妻が、慌てた様子でお父様に謝られたようです。
そうですわよね。この婚約が破談となれば、コゼルス侯爵家の家業にも影響が出ますからね。
「明日にでもルカ殿を謝罪に行かせるとか言っていたが、リズはどうしたい?」
「今更ですわ。何年会っていないとお思いですか?もうどうでもいいです。どうせ言うことは決まっているのでしょう?連絡が遅れてすまないとか、エスコートするつもりだった…とか、コレはお詫びに…とか言って花の一つでもお持ちになるのでしょう?本当に何をされても、その何もかもが今更なのです」
口にすると、自分がなんだか情けなくなってきました。ここが大勢の人が集まる場所でなければ、泣いていたかもしれません。
自分で言ってなんですけど、ルカ様のとる行動が…その光景が目に浮かぶようですわ。
私の顔もお分かりになるのかしらね?
「明日は友人達と街へ行く約束をしていますから、ルカ様が来られても私は不在ですわ。勝手にさせておけばいいのでは?そもそも、謝るつもりがあるのでしたら、いま会場にいらっしゃるのだから声を掛けられるはずでしょう?」
そうです。謝るつもりがあるのなら、今この場でお父様や私に声をかけるべきでは?エスコートできなかったからと、ダンスの申し込みをするくらいの気持ちがあって然りですわよ。
私もここまで来ると意地の張り合いになっている気もしないことはないですけど、会いたくないものは会いたくないですし、今更という気持ちもあるのですよ。
「お父様、そろそろ帰りませんこと?足が痛くて」
新しい靴を履いてのダンス4曲は、少し堪えたようです。
友人達とは話もしましたし、明日また会う予定なのでこれで帰っても困りませんわね。
「そうだな。ヘイデンはまだいるのだろう?私たちは先に帰る。もし、あのバカから接触があったら、お前に任せる。好きにしろ」
「任せてください。まあ、私に声をかける度胸があればですがね」
お兄様は楽しそうにそうお父様に言っていますけど、そうですわね、ルカ様はお兄様のことが苦手でしたわね。
口数の少ないルカ様とその反対で多いお兄様。お二人の会話は私とルカ様の時よりも酷いものですし。
まあ、歩み寄りをするかどうかをしっかりと考えなければ、私の未来は真っ暗ですわね。
デビュタントもどうなるかと思いましたが、これはこれで思い出に残るものでしたわ。
これがルカ様と参加できていたら……
そう思うのは、仕方ないことかもしれません。
口ではああいいましたが、私の中にはまだルカ様への想いは残っているのですね。
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