私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜

文字の大きさ
38 / 64

26. 届かないルカの声

しおりを挟む
「その呼び方はやめてくださるように言いましたが。……では、リリアンナ様の事をどなたかにお話をするつもりだったのなら、どうしてそれが最初ではなかったのですか?どうしてリリアンナ様から言われた時に行動しなかったのですか?それは、私がどうでもいいと考えていたという証拠では?」

「違う!!リズの…君の事を守りたくて」

「結構です。もうお話することはございません。お父様、コゼルス侯爵様、お先に失礼させていただきます」

「まって、エリザベスさん」


 コゼルス侯爵夫人が私を呼び止めました。
 あまりお話したことはないけど、お優しい方だったわよね。なんだか疲れた顔をしていらっしゃるわ。


「ルカの事、許してほしいとは言わないわ。でも、ルカがあなたを想う気持ちは本当なの。ルカはあなただけを想ってきたのよ。どうかそれだけはわかってやってくれないかしら」

「コゼルス侯爵夫人。ごめんなさい…失礼します」


 私は応接室を後にしてそのまま自室に籠った。
 侯爵夫妻は知らなかったのだから、あんな態度をとるつもりはなかったけど、でも、なんだか気持ちを押し付けられている様で、我慢できなかった。

 私は、ただ、一言でいいから説明してほしかった。

 結局ルカ様が何も言わず、私だけが置いて行かれているような、そんな状況が気に入らなかったのね。
 自分で意地を張っているのはわかってる。そんなことはわかってるけど、納得できない自分がいるのよ。

 そして、私が部屋を出た後、お兄様が私の抜けた席に座って話を続けた事を後から聞いた。

 お兄様は前にルカ様が屋敷を訪れた際に聞き出していたようで、挽回できるように行動を起こせと言ったらしい。そして学園で私に声をかけたものの、話が出来ずじまいだったとか。


 話そうとしてくださっていたのかしら。


 そしてお兄様はルカ様が一応行動を起こしたことを認められたのか、私にもう一度挽回するチャンスを与えてやれとみんな帰った後に部屋を訪ねてきてそう言った。


「お兄様はルカ様の事をどう思っているの?」

「俺か?バカだと思ってるぞ」

「バカ…ですか」

「そうだろう?唯一の愛を守るために道化を演じたんだぞ」

「唯一の愛って…」

「そうだろ?その為に好きでもない女の側に居続けたんだからな」


 ん?

 好きでもない?

 あんなに仲良さそうにいたのに、ルカ様はリリアンナ様に想いはないの?リリアンナ様は可愛らしいお方だから、私はそうなんだって思っていたけど…


「好きでもないって、お兄様?言い切ってるけど…」

「ルカ殿が恥ずかしげもなく私に言ったからな。『私が愛しているのはリズだけだ!』とな」


 え……ちょっと待って。それはそれで恥ずかしいんだけど。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました

鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と 王女殿下の騎士  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、3話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました

珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。 なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。

【完結】本当に愛していました。さようなら

梅干しおにぎり
恋愛
本当に愛していた彼の隣には、彼女がいました。 2話完結です。よろしくお願いします。

『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様

恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。 不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、 伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。 感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、 ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。 「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」 足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。 「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」 一度凍りついた心は、二度と溶けない。 後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、 終わりのない贖罪の記録。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た

ましろ
恋愛
──あ。 本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。 その日、私は見てしまいました。 婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

処理中です...