42 / 64
30. 救助
しおりを挟む
視点が変わります。
◇ ◇ ◇
池に飛び込んで沈んでいくエリザベスの手を掴み、ようやく水面へと引き上げた時、池の浅いところに教師の姿も見えた。どうやら見ていた生徒が呼びに行ったようだ。
ルカは腕に抱えたエリザベスを大人に託すことなく岸まで運んだ。
「リズ!!リズ!!目を開けろ!リズ!!」
息のしていないエリザベスを腕に抱き、その恐怖から何をしたらいいのかパニックになっていたルカに、教師が喝を入れた。
「しっかりしろ!水を吐かせて、気道の確保だ!」
「はいっ!」
見ていた生徒が呼びに行ってくれた保険医もきて、エリザベスの容態を確認していると、彼女がゴボッと水を吐いた。そしてうっすらと目を開けか細い声で何かを言って、そのまままた目を閉じた。
「リズ!!」
「運ぶぞ!」
「「はい!」」
ルカはエリザベスを抱き上げて、教師の先導で医療室へと向かった。
この学園では剣術の授業もある為、医療の資格のあるものが保険医として勤めていることもあり、近くの病院へ運ぶよりも適切な治療を受けられる。
そのこともあり、彼女を医療室へと運び込んだ。
ルカはエリザベスを抱えながら彼女の身体の冷たいことに、また恐怖を感じて何度もエリザベスに声をかけた。
「リズ、もう着くから」
「リズ、大丈夫か?」
「リズ、しっかり!」
付き添う教師でさえ、こういう状況でなければ微笑ましく思うその姿を視界に入れ、先を急いだ。
「春先とはいえこのままでは体が冷える。服を脱がせて毛布で包むんだ!」
ルカは何も考えず、自分でやるべきだという主張をするように彼女を腕から降ろして、その制服のボタンに手を伸ばすと、後ろから襟を掴まれ後ろに引き倒された。
「なっ…!」
「お前、バカか?令嬢の服を脱がすなどもってのほかだ!婚約者であってもダメだろう!」
そう叱責された瞬間、どこからか現れた看護助手の女性がカーテンをシャッと引いて、エリザベスの世話をし始めた。ルカはそこでようやく自分が何をしようとしたのかに気が付いた。
「…はい」
「しかし、よく助けたな。よくやった」
「先生…リズは…エリザベスは大丈夫ですよね?このまま何てことはないですよね?」
「水を吐いたからな。少し様子を見る必要はあるが、大丈夫だろう。お前もそれに着替えろ」
看護助手の女性が持ってきたと思われる予備の制服が机の上に置かれていて、ルカはそれに着替えた。
カーテンの向こう側の着擦れの音を耳にして、慌ただしく動く人の姿を目の端に捉えつつ、その中にエリザベスの声がないかと意識を向けた。
「それで?お前は見たんだろう?何があった?」
教師からの言葉で、ルカはエリザベスのあの落ちる瞬間を思い出し目をギュッと閉じた。
あいつらは許すものか!
◇ ◇ ◇
池に飛び込んで沈んでいくエリザベスの手を掴み、ようやく水面へと引き上げた時、池の浅いところに教師の姿も見えた。どうやら見ていた生徒が呼びに行ったようだ。
ルカは腕に抱えたエリザベスを大人に託すことなく岸まで運んだ。
「リズ!!リズ!!目を開けろ!リズ!!」
息のしていないエリザベスを腕に抱き、その恐怖から何をしたらいいのかパニックになっていたルカに、教師が喝を入れた。
「しっかりしろ!水を吐かせて、気道の確保だ!」
「はいっ!」
見ていた生徒が呼びに行ってくれた保険医もきて、エリザベスの容態を確認していると、彼女がゴボッと水を吐いた。そしてうっすらと目を開けか細い声で何かを言って、そのまままた目を閉じた。
「リズ!!」
「運ぶぞ!」
「「はい!」」
ルカはエリザベスを抱き上げて、教師の先導で医療室へと向かった。
この学園では剣術の授業もある為、医療の資格のあるものが保険医として勤めていることもあり、近くの病院へ運ぶよりも適切な治療を受けられる。
そのこともあり、彼女を医療室へと運び込んだ。
ルカはエリザベスを抱えながら彼女の身体の冷たいことに、また恐怖を感じて何度もエリザベスに声をかけた。
「リズ、もう着くから」
「リズ、大丈夫か?」
「リズ、しっかり!」
付き添う教師でさえ、こういう状況でなければ微笑ましく思うその姿を視界に入れ、先を急いだ。
「春先とはいえこのままでは体が冷える。服を脱がせて毛布で包むんだ!」
ルカは何も考えず、自分でやるべきだという主張をするように彼女を腕から降ろして、その制服のボタンに手を伸ばすと、後ろから襟を掴まれ後ろに引き倒された。
「なっ…!」
「お前、バカか?令嬢の服を脱がすなどもってのほかだ!婚約者であってもダメだろう!」
そう叱責された瞬間、どこからか現れた看護助手の女性がカーテンをシャッと引いて、エリザベスの世話をし始めた。ルカはそこでようやく自分が何をしようとしたのかに気が付いた。
「…はい」
「しかし、よく助けたな。よくやった」
「先生…リズは…エリザベスは大丈夫ですよね?このまま何てことはないですよね?」
「水を吐いたからな。少し様子を見る必要はあるが、大丈夫だろう。お前もそれに着替えろ」
看護助手の女性が持ってきたと思われる予備の制服が机の上に置かれていて、ルカはそれに着替えた。
カーテンの向こう側の着擦れの音を耳にして、慌ただしく動く人の姿を目の端に捉えつつ、その中にエリザベスの声がないかと意識を向けた。
「それで?お前は見たんだろう?何があった?」
教師からの言葉で、ルカはエリザベスのあの落ちる瞬間を思い出し目をギュッと閉じた。
あいつらは許すものか!
2,192
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た
ましろ
恋愛
──あ。
本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。
その日、私は見てしまいました。
婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
振られたあとに優しくされても困ります
菜花
恋愛
男爵令嬢ミリーは親の縁で公爵家のアルフォンスと婚約を結ぶ。一目惚れしたミリーは好かれようと猛アタックしたものの、彼の氷のような心は解けず半年で婚約解消となった。それから半年後、貴族の通う学園に入学したミリーを待っていたのはアルフォンスからの溺愛だった。ええとごめんなさい。普通に迷惑なんですけど……。カクヨムにも投稿しています。
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる