【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。

稲垣桜

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 そしてマックスが乗ってきた馬車に乗り屋敷へと戻った。

 イザベラにはケイトに伝言を届けてもらうことにしたが、今度会ったときは何を聞かれるかわからない。すべて話すまで帰してもらえないかもしれない。

 でも、公爵家を出ることになれば色々と頼まないといけないな。そんなことを考えて馬車の窓から外をみた。
 さすがにマックスの顔を見たくないが、どういう訳か馬車の中でも私の横に座ってしっかりと腰に手を回している。逃げると思っているのだろうか。


 屋敷について、鬘は取ってあるから私だと認識されているようだが、流石に服装がメイド服のようなものを着ているので使用人たちは目を丸くしている。
 そうだろうなぁと思いながら、マックスに手を引かれて彼の執務室の横にある彼が休憩するときに使う部屋に連れていかれた。

 目の前にグラスが置かれ、ワインやブランデー、ウイスキーなど置かれ、どれを飲むか聞かれた。
 そこで、彼が手にしていたブランデーを選ぶとグラスに入れてくれて、それを口に運ぶ。
 芳醇な香りが気持ちを落ち着かせてくれるようだ。


 店で話しているときは直後ということもあり感情的になったが、時間がたったことで今はだいぶん落ち着いた。冷静に話せるかもしれない。

 マックスもブランデーをグラスに入れて口に運んだ。


「リディはこの家が嫌いか?」

「……嫌いじゃないわ。好きにさせてもらえるし、今まで出来なかったことが出来て、嬉しいこともあるもの」


 マックスが私を見る視線に耐えられず、グラスのお酒を次々と口へ運んだ。
 グラスが空くと、彼がまた注いでくれるのだ。この香りは本当に不思議な気持ちにさせる。


「私ね。孤児院に行って子供たちと話をしたり遊んだりしているのが楽しくて、この子たちが大きくなるまで見守ってあげたいなって思うの。それに、みんな孤児になんてならなくてもいい生活が送れないかなって」


 彼は思い出したように私が病院や教会などへ顔を出していることを口にする。やっぱり、私のしていることはすべて把握しているんだ。

 レ・グランとラ・シュエットのことは知らなかったんだな。名義を変えておいてよかったと思いながら、イザベラとのことは言うべきだろうかと頭の隅で考えた。


「そういえば、孤児院への慰問によく行っているな」

「みんな自分の兄弟姉妹、そして子供のような存在なのよ。可愛い子たちなの」

「リディ……」

「私を追い出すならそれでもいい。でもあの子たちには十分な援助をしてほしいの」

「リディ…俺は、君を追い出すような事はしない。ずっとここに居てもらいたいんだ」


 彼の言葉がどこまで本気なのかわからず、考えないように更にグラスを傾ける。


「マックスは私の事、どこまで知ってるの?」

「どこまでって、どういうことだ?」

「レ・グランは今日バレちゃったけど、ラ・シュエットは?イザベラとのこともわかってる?」

「ラ・シュエットの事業の事は画期的だと思うが……まさか、それにも」

「ふふふっ、そうよ。最初は私とイザベラの二人で始めたのよ。今は私の名前は消したけど、まだ共同経営者なの」

「レ・グランだけでなくラ・シュエットもか……」
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