【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 三日後には眠っている彼女の顔色もよくなり目覚めるのも近いだろうと感じていた。
そのラリーの考え通り、お昼を過ぎた頃に彼女の握る手に変化を感じて声をかけ続けた。


「リサ、リサ、聞こえるか?」

「ラリー…?」 

「リサ!俺がわかるか?」

「ふふっ黒髪のあなたも素敵ね」


 リサはゆっくりと腕を伸ばし、ラリーの黒髪に指を通した。その手に自分の手を重ね、ラリーは自分の視界が歪むのがわかった。


「なあに?ラリー。泣いてるの?らしくないわね」

「泣いてない。リサの目が覚めて、嬉しいんだ」


 ラリーはリサを抱きしめた。その手はわずかに震え、リサはそっとその腕に手を重ね、良かったと何度も繰り返すラリーに「迷惑かけちゃったね」と言ったが、ラリーはただ「愛している」と彼女にキスをした。


「レイが来たの?知らせてくれたのね」


 指にはめられた見覚えのある指輪を逆の手でさすりながら、懐かしい目を浮かべる。
 何かあった時の為にと魔道具に自分の魔力を込めたものを渡しておいたのだが、まさかこんなことで役に立つとは思わなかった。やはり、なんでもやっておくのもいいことだとリサは思った。


「ああ、リサに何かあったら容赦しないと脅されたよ。だが、彼の言うことも理解できるからな」


 リサの横に座り、彼女を抱き寄せたままそう話した。リサが倒れてから今までの出来事、そして自分の正体もなにもかもを全て打ち明けたのだ。


「ローレンスが本当の名前なのね。私たち、お互いの事何も話していなかったわね」

「そうだな。今からでもゆっくりと話していこう。だが、リサがあの伝説のパーティの一員とは思わなかった」

「別になりたくてなった訳じゃなくて、いつの間にかなってたのよ」

「リサが目が覚めない間、心配で仕方なかった。俺が怪我を負ったばっかりにこんなことになって、すまなかった」

「ラリーは?怪我は治ってる?」

「ああ、お前が治してくれたからな。感謝している。俺の一番大切なリサ……」


 ラリーはそのままリサを抱きしめて糸が切れたように眠りについた。
 リサが運び込まれてからほとんど眠ることなく彼女の側についていたからか、ここにきて緊張の糸が切れたのだろう。その眠った顔を見ながらラリーを助けることが出来たとわかり、ホッと胸をなでおろした。


「ラリー…あなたが無事でよかったわ」


 リサはラリーの髪を撫でながら、これからの事を考えた。
 幾分かの身分は持っているとは思っていたが、まさか王弟だとは思わなかったからだ。自分の身分は冒険者だ。国からするとSS級冒険者は並の貴族より高位とみなされてはいるが、リサは冒険者は冒険者なのだと思っていた。

 ラリーとのことは後悔してはいないし、正直言うとこのまま彼の側にいることは良くないのではと考えてしまう。とりあえずはラリーが目覚めてから、ゆっくりと話をしてもいいかもしれない。

 そんなことを考えながら、リサもまた眠りについた。


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