45 / 63
44
しおりを挟む
「お話し中でしたか?すみません」
「これはエリザベス殿、お久しぶりですな」
「宰相様、お久しぶりです。以前にお会いしてから随分立ちますね」
「ええ、黎明の羅針盤として勲章を受け取られた時ですから八年程前ですか?しかし、まさかあなたが殿下の奥様になられるとは、あの頃には思いもしませんでしたよ。そちらはお子様ですか?」
「ええ、あなたたち、ご挨拶を」
「アレックス・ブレイクです」
「レリアナ・ブレイクです」
「賢そうなお子さんですね。殿下によく似ていらっしゃる」
「そうだろう?家族で一緒に過ごせる時間が本当にうれしくてな」
宰相は黒髪に赤い目を持つ二人の子を見て、王室の特徴を色濃く継いでいることを憂慮した。そんな彼らを市井に野放しにしている様な今の状況をどうにかしなければと色々と策を講じなければと頭の隅で考えていた。
「では夜に、迎えに上がります」
そう言い残して、宰相は屋敷を後にした。これからの予定も話し合っておいたので、不都合なことはないだろうとは思ったが、若干心配は残る。その姿を見たアレックスがローレンスに声をかけた。
「お父さん。どこか行くの?」
「ああ、お父さんのお兄さんが怪我をしてね、お見舞いに行くんだ」
「お見舞い?僕も行く。お父さんのお兄さんに早く良くなってほしいもん。セオが僕の回復魔法は上手だって褒めてくれたから大丈夫だよ」
「アル、お前は優しいな」
「お兄ちゃんが行くならアナも行くぅ~」
「わかった、わかった。一緒に行こうか」
「ラリー、いいの?」
「残していくと、また誰か来ても困るからな」
暗に王太子のことを言っているのだろうと気が付いたが、あえて何も言わずに笑みを浮かべた。
そして翌日の夜も更けた頃、宰相の家の馬車が屋敷に着き、それに乗って王宮にくるようにと伝言があった。
そしてその馬車に乗り込み、王宮の正門ではなく役人や使用人が出入りする裏に通用口へと向かった。
王宮の城を見上げていたアレックスは、ふとした疑問を口にした。
「このお家、お父さんのお家より大きいね。お父さんのお兄さんって偉いの?」
「そうだな。偉い人だな」
「じゃあ、お父さんも偉いの?」
「お父さんは偉くはないぞ。お母さんと一緒にいたくてここを出たからな」
「へぇ~、お父さん、お母さんの事大好きだもんね。そういえばレイがいっつも言ってるよ」
「レイが何を言ってるって?」
「『ラリーはリサがいないと腑抜けになる』って。腑抜けってなに?」
「レイがそんなこと言ってたの?ラリー、あなた何したのよ」
「いや…何もしてないはず…だぞ。まあ、リサがいないと心配にはなるが…」
ローレンスはレイモンドからそんなことを言われているとは思っていなかったが、確かにリサがいなくなると何もできないという事は自覚していたので、あまり大きな声で反論はできなかった。
「これはエリザベス殿、お久しぶりですな」
「宰相様、お久しぶりです。以前にお会いしてから随分立ちますね」
「ええ、黎明の羅針盤として勲章を受け取られた時ですから八年程前ですか?しかし、まさかあなたが殿下の奥様になられるとは、あの頃には思いもしませんでしたよ。そちらはお子様ですか?」
「ええ、あなたたち、ご挨拶を」
「アレックス・ブレイクです」
「レリアナ・ブレイクです」
「賢そうなお子さんですね。殿下によく似ていらっしゃる」
「そうだろう?家族で一緒に過ごせる時間が本当にうれしくてな」
宰相は黒髪に赤い目を持つ二人の子を見て、王室の特徴を色濃く継いでいることを憂慮した。そんな彼らを市井に野放しにしている様な今の状況をどうにかしなければと色々と策を講じなければと頭の隅で考えていた。
「では夜に、迎えに上がります」
そう言い残して、宰相は屋敷を後にした。これからの予定も話し合っておいたので、不都合なことはないだろうとは思ったが、若干心配は残る。その姿を見たアレックスがローレンスに声をかけた。
「お父さん。どこか行くの?」
「ああ、お父さんのお兄さんが怪我をしてね、お見舞いに行くんだ」
「お見舞い?僕も行く。お父さんのお兄さんに早く良くなってほしいもん。セオが僕の回復魔法は上手だって褒めてくれたから大丈夫だよ」
「アル、お前は優しいな」
「お兄ちゃんが行くならアナも行くぅ~」
「わかった、わかった。一緒に行こうか」
「ラリー、いいの?」
「残していくと、また誰か来ても困るからな」
暗に王太子のことを言っているのだろうと気が付いたが、あえて何も言わずに笑みを浮かべた。
そして翌日の夜も更けた頃、宰相の家の馬車が屋敷に着き、それに乗って王宮にくるようにと伝言があった。
そしてその馬車に乗り込み、王宮の正門ではなく役人や使用人が出入りする裏に通用口へと向かった。
王宮の城を見上げていたアレックスは、ふとした疑問を口にした。
「このお家、お父さんのお家より大きいね。お父さんのお兄さんって偉いの?」
「そうだな。偉い人だな」
「じゃあ、お父さんも偉いの?」
「お父さんは偉くはないぞ。お母さんと一緒にいたくてここを出たからな」
「へぇ~、お父さん、お母さんの事大好きだもんね。そういえばレイがいっつも言ってるよ」
「レイが何を言ってるって?」
「『ラリーはリサがいないと腑抜けになる』って。腑抜けってなに?」
「レイがそんなこと言ってたの?ラリー、あなた何したのよ」
「いや…何もしてないはず…だぞ。まあ、リサがいないと心配にはなるが…」
ローレンスはレイモンドからそんなことを言われているとは思っていなかったが、確かにリサがいなくなると何もできないという事は自覚していたので、あまり大きな声で反論はできなかった。
200
あなたにおすすめの小説
拾った指輪で公爵様の妻になりました
奏多
恋愛
結婚の宣誓を行う直前、落ちていた指輪を拾ったエミリア。
とっさに取り替えたのは、家族ごと自分をも売り飛ばそうと計画している高利貸しとの結婚を回避できるからだ。
この指輪の本当の持ち主との結婚相手は怒るのではと思ったが、最悪殺されてもいいと思ったのに、予想外に受け入れてくれたけれど……?
「この試験を通過できれば、君との結婚を継続する。そうでなければ、死んだものとして他国へ行ってもらおうか」
公爵閣下の19回目の結婚相手になったエミリアのお話です。
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
元男装傭兵、完璧な淑女を演じます。――嫁ぎ先はかつての団長でした!?
中野森
恋愛
貧乏男爵家の長女クラリスは、弟の学費を稼ぐために男装して傭兵団へ入団した。
副団長にまで上り詰め、団長をはじめとした仲間から信頼を得るが、決して正体は明かさなかった。
やがて戦争が終わり、傭兵団は解散となる。
出稼ぎするために流した嘘の悪評により、修道院入りを覚悟していたクラリスだったが、帰郷した彼女を待っていたのは父からの「嫁ぎ先が決まった」という一言だった。
慌ただしく始まる淑女教育、そして一度も未来の夫と顔合わせすることなく迎えた結婚式当日。
誓いの言葉を促され隣からきこてくる声に、クラリスは凍りつく。
……嘘でしょ、団長!?
かつての想い人でもある傭兵仲間が今は夫となり、妻の正体には気づいていない――気づかれてはいけないのだ、絶対に!
本作品はゆるふわ設定、ご都合主義、細かいことは気にしたら負け!
※この小説は、ほかの小説投稿サイトにも投稿しています。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる