【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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「はぁぁぁ、ようやく帰ってこれた」


 ラリーはの懐かしい香りを感じながら、大きく深呼吸した。
 子供たちは、戻って早々にランディ達にまとわりついて、外へと出ていった。やはり子供たちは狭いところよりも自然の多いところがいいのだろうと、そんなことを思いながら外へ行く後姿を見ていた。


「リサ。やっぱりここが俺たちの家だな」

「あなたには他にもいくつか家があるじゃないの」


 揶揄ってそんなことを言ったリサだが、その言葉を聞いたラリーは大いに焦りながら「あれは…その…」といい淀み、眉尻を下げてリサを捕まえるように抱きしめている。その顔を見ながら、その頬に軽く口付けをして笑った。


「ラリーってば可愛いわね」

「可愛いっ…、せめて格好いいって言ってくれよ」


 まだリサにまとわりつくラリーの姿は、謁見室での面影はない。ここではリサに惚れている普通の男だった。






 一方、王宮では敬愛する叔父から見捨てられたと思い込んだジークフリートが、落ち込んで塞ぎ込んでいた。

 見捨てたのではなく、ただ家族を選んだだけなのだが、そんな判断を王族がするとは思えないという思い込みが彼の思考を狂わせているのだろう。


「ジークよ。お前、ローレンスの言っていたはあるのか?」

「自覚…ですか?」

「そうだ。次期国王としての自覚だ。ローレンスはお前の為を思ってここを出たんだ。愛する人を追いかけるために出ていったのはきっかけに過ぎないだろう。あいつにとってはここは狭いのだ。もっと広い世界で生きることが似合っている男だ。だからこそ、今、アウローラコンパスの一員として彼らにも認められているのだろうな」

「叔父上が、アウローラコンパスの一員…」

「そうだ。子供たちと共に幸せに暮らしている。…いいか?今回は彼らのおかげで暗殺の首謀者も見つかり我の身も回復した。今、お前がしっかりと自身の土台を作れ」


 その日からジークフリートは今まで以上に政務に取り組んだ。

 父である国王からの言葉をしっかりと胸に刻み、未来の自分の味方になる人物を見極め、国民の為にと様々な方面からの声に耳を傾け、そして視察を重ね、安寧な時代と呼ばれる治世にするために。



 そして、それから7年……




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