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第1話 彼女の人生 1
しおりを挟む繰り返しの始まりは、婚約者の浮気相手に苦言をして、嫌われて捨てられたというものだ。
私が王子の婚約者だからとか、身分が高いとか低いとか関係なかった。
婚約者に近付くな、と当たり前のことを言っただけなのに、浮気相手の女を守る婚約者である王子とその取り巻き、私を嫌いだったたくさんの人によって、私は悪女と呼ばれ、学園の卒業祝賀パーティーで婚約破棄されその場を追われた。
訳も分からず帰り着いた家では、未来の王と王妃に睨まれては困るからと、残された家族と領民のためにと家に入る事さえできなかった。
生まれてからずっと何をするにも人の手を借りている貴族の女が、急に庶民として暮らす事など出来るわけもない。
馬車でしか通った事のない町を、豪華なドレスを引きずって歩きまわった。
生きるためのお金も、それを得るための知恵もなく。
明らかに訳ありな貴族の女を助けようとする人も、逆にその手にかけようとする者もいなかった。
何も出来ないまま王都を彷徨い、それでも一週間かかってとうとう王都の掃溜めと呼ばれる場所にまで追いやられた。
あんなに苦しかった淑女教育も、王子妃教育も何の役にも立たなかった。
それどころかそれによって培われた馬鹿みたいなプライドで誰にも助けを求めることも出来なくて。
最期の日は、春も遅い寒波に見舞われ、酷い寒さだった。
羽織るものも、暖もなく、私はぼろぼろになったドレスを握りしめ、凍えて死んだ。
そう、私は確かに死んだ。
――― 死んだ、筈だった。
―――作者より―――
読んでくださりありがとうございます。
いろいろ放置していますが、また連載です。
時間もなく、書き続けらる気力もなんだか……
とりあえずまたまたリハビリです。
ファンタジー大賞は記念エントリーです。
気長に更新をお待ちいただけると幸いです。
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