ヘタレ転移者 ~孤児院を救うために冒険者をしていたら何故か領地経営をすることになったので、嫁たちとスローライフを送るためにも頑張ります~

茶山大地

文字の大きさ
98 / 317
第六章 ヘタレ領主の領地改革

第二十二話 大晦日の準備

しおりを挟む


 慌ただしい年末の日々が過ぎていく。
 ラインブルク王国では新年のお祝いが一番盛大に行われる。
 公的な年齢も一律で加齢する扱いとなるため、庶民は誕生日のお祝いも一緒にやってしまうのだ。

 一月一日から三日まではどこも休日となり、商店も閉まるので、大晦日の市場は大賑わいだ。
 公共事業で日当を貰って従事している作業員には年末特別手当として、雇用月数に応じて寸志を渡して一日から三日までは休日とした。
 作業員には、午前中に道具の整理整頓や掃除だけして貰って、寸志を配って終了だ。もちろん日当は満額支払った。
 また、アンナの母親のように、託児所の職員として内定の出ている者中で希望者には、三が日は研修期間として、託児所で簡単な作業を担当して貰うことになった。
 帰る家が無い者、簡易宿泊所で寝泊まりできるのを当て込んで家を引き払ったりした者もいるので、現場の簡易宿泊所を解放し、一日二食だが簡単な食事も提供する。
 アンナの母親たち内定者には、そちらも担当して貰う。
 ゆくゆくは朝の弁当販売も手伝って貰う予定だが、これは正式採用後になるだろう。

 早い昼飯を簡単に済ませた俺とエリナは市場に買い物に来ている。
 残りのメンバーは職員棟兼住居の大掃除だ。
 クレアと婆さんは帳簿、クリスとシルは報告に来たアイリーンや武官の対応をしている。


「お兄ちゃん、買い物はこれで大丈夫かな?」


 俺と腕を組んでご機嫌なエリナが、クレアから渡されたお買い物リストをぴらぴらと俺に見せながら聞いてくる。


「去年は食材が足りなくなりそうだったからな、クレアの見積りより少し多めに買っておきたい。簡易宿泊所分の食材も多めに買っておこう」

「じゃあ保存食を多めに買うの?」

「マジックボックスがあるから生鮮食品でも良いんだぞ」

「あ、そっか! じゃあお肉もお野菜も小麦粉も多めに買うだけだね!」

「その多めが問題なんだけどな」

「あの子たちいっぱい食べるからね」


 一応肉屋の親父にも野菜売りのおばちゃんにも大量に買い付けにいく事は伝えてあるし、作業現場が休業するので、一度に購入する食材は減っているんだが、在庫は大丈夫かな?
 などと考えながら買い物をどんどん済ませていく。


「そういや結局あいつらへの誕生日プレゼントは服になっちゃったな」

「託児所の子たちも服をあまり持ってないから丁度いいと思うよ」

「月二回の買い食い日くらいしか着る機会なさそうだけど、孤児院メンバーみたいに男女ともおしゃれに気を遣うようになれば良いんだけどな」

「お兄ちゃんがいつも言ってる、『いしょくたりてれいせつをしる』だっけ」

「原文はもうちょっと長いんだがそういうことだ」

「えへへ!  あの子たちにいつも優しいお兄ちゃん大好き!」

「家族なんだから当たり前だ」

「照れてるお兄ちゃんも好き!」

「優しいのはエリナの方だろ、こんな俺をずっと好きでいてくれるんだから」

「お兄ちゃん……」


『ペッ!』


「ほら、独身のブサイクなおっさんが、俺達に嫉妬して道端にツバ吐いてるから、イチャつくのはあとにしようぜエリナ。あと今年はお世話になったなブサイクなおっさん」

「はーい!」

「それに結局エリナたちへのプレゼントも服になったけど良かったのか?」

「私たちもあまり服を持ってないしね、お姉ちゃんたちも平服は少ないって言ってたし」

「ならいいんだけどな。他に欲しいものとか無いのか?」

「うーん、お兄ちゃんにキスして欲しいかな!」


『ペッ!』


「ほら、独身のブサイクなおっさんが、また俺達に嫉妬して道端にツバ吐いてるから、イチャつくのはあとにしようぜエリナ。あと来年もよろしくなブサイクなおっさん」

「はーい!」


 同一人物かはわからないが、俺たちは嫉妬されつつ市場を練り歩き、買い物を終わらせる。

 家に戻ったら早速料理の開始だ。
 晩飯を作るの前に、おやつとして大量のラスクを作るんだけどな。
 定期的にラスクを出さないと怖い子がいるので。


「お兄ちゃんラスクをそんなに作るの?」


 俺がマジックボックスから取り出した大量のパンの耳を見て、エリナがビックリした声をあげる。


「半分はおやつとして出すけど、残りは晩飯で出すからな」

「ミリィが喜びそうだね」

「うるさいからなあいつ」


 巨大な鍋に油を注いで、コンロに火を着ける。
 俺の横では、エリナが大量のジャガイモを茹でる準備を始めている。
 ポテサラにコロッケなど今日は大量にジャガイモを使うからな。


「そういえば、ミリィに『お兄ちゃんとラスクどっちが好き? 』って聞いたらお兄ちゃんって言ってたよ!」

「エリナ、それは『頼めばいくらでもラスクを作ってくれる俺』が好きなだけだぞ。目先のひとつのラスクより、俺を選んだ方が、結局たくさんラスクが食えるから。とかそんな理由だぞ」

「そっかなー?」

「そうなんだよ、ミリィの好き嫌いは全てラスク前提なんだよ」

「そう言われればそんな気もしてきた!」


 お姉ちゃんに残念な評価を下されたミリィの為に大量のラスクを作る。
 いつもの砂糖味とシナモン味の他に、ハチミツ味とキャラメル味も作ってやる。
 抹茶やメイプルシロップ味も用意したかったが、売ってなかったので、プレーンなラスクも用意して、ジャムをつけて食べて貰うようにしよう。

 なんで俺はこんなにラスクを熱心に作ってるんだと思いつつ、ラスクを揚げ終わったので、いくつか味付けをしてマジックボックスに収納する。

 マジックボックスのおかげで揚げたてを提供出来るし、出来上がり時間を調節して料理をする必要がなくなったのでありがたい。
 貴重なマジックボックスをこんな使い方してる奴なんかいないだろうけどな。

 さて、おやつ作りも終わったのでメインの料理に取り掛かるか。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...