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第十三章 ヘタレ教育制度改革
第三十四話 ファルケンブルクの味
しおりを挟む「ジークフリートです。みなさんよろしくお願いしますね」
「男?」
「えーあんなきれいな男の人はいないでしょ」
「男だからね! さっき姉上が僕を紹介するときに『自分の弟』って言ってたじゃないか……」
「そういう人なのかなって」
「違うから!」
出来上がった料理を持ってリビングに入ると、学園から帰宅したガキんちょどもとジークが騒いでいた。
自己紹介がちょうど終わったタイミングらしいのだが、どうやらジークの性別でもめている様だ。
美男子なのも大変なんだな。
あとどういう人を想定してるんだ?
リボ〇の騎士的な?
「はいはいお前ら飯だぞ。あとジークは女性じゃなくて男性だぞ多分」
「「「はーい!」」」
「義兄上、そこはしっかり否定してください……」
がっくりと肩を落とすジークを横目に、テーブルの上に料理を並べていく。少し弄り過ぎたかと思ったが、並べられた料理を見たジークは瞳を輝かせている。
今日の料理はソーメンチャンプルーとゴーヤチャンプルー、ポーク玉子、ラフテー風豚角煮にジューシー風炊き込みご飯、ポークむすびと沖縄風料理がメインで並ぶ。
から揚げやコーンポタージュスープ、サラダなど残りはいつものメニューだ。
「お兄ちゃん、今日の料理って初めて見るのがあるね」
料理にくぎ付けのミコトとエマの頭を撫でながらエリナが聞いてくる。
「ポーク缶詰の試作品を貰ったからな。ポーク缶詰を使った料理がメインだから初めて出す料理だな」
「へー楽しみ!」
「少し食べてみたが美味かったぞ。ポークむすびは朝の弁当販売の新メニューにしても良いかもな。まだポーク缶詰の値段が高いから難しいけど」
朝と昼に行っている弁当販売はすでに官営化して俺たちの手からは離れてしまったが、メニューの考案や販売価格などの設定はクレアを中心に行われているのだ。
昼は学園内に併殺されたカフェテリアと一緒に弁当販売所でも学園生のアルバイトを採用して、実家に仕送りがしたい生徒にも喜ばれている。
アルバイトとして学園生を雇うという案は、当初は学園に通うことで労働力を取られる所得の少ない家庭の生徒向けの物だったのだが、実情は王都から留学に来ている下級貴族の子弟が困窮している実家に仕送りするために活用しているというのが現状なのだ。
「兄さま、並べ終わりましたよ」
「ありがとうなクレア。いいかお前ら! お代わりは副菜しかないからな!」
「「「はーい」」」
「じゃあ食っていいぞ!」
「「「いただきまーす!」」」
初めて見る料理にも関わらず、ほとんどのガキんちょどもが躊躇なく口に入れていく。
こいつら怖いもん知らずだな。
俺なんか見慣れないものが料理に入ってると「これって何?」とか普通に聞いちゃうんだけど。
え? ヘタレ? うるせー。
「お兄ちゃん、美味しいよこれ!」
「口に合ってよかったけどちょっとしょっぱいんだよな。減塩バージョンも考えないとだけど、保存期間との兼ね合いもあるからそのあたりは今後の改良次第だな」
「パパ! おいしー!」
「ぽーくたまごすき!」
「そかそか。いっぱい食えよ」
「ねーパパ、ヤマトとムサシは?」
……しまった、忘れてた。
鳥カゴにいれたまま厨房に置きっぱなしだった。
「今連れてくる……」
「わすれてたの?」
「やまととむさしかわいそー」
厨房に行くと、案の定ブチ切れていたヤマトとムサシが、ギャースカ騒ぎまくっていたので、すぐにカゴから出してやる。
「痛い痛いって! 忘れてて悪かった!」
カゴから出した途端に頭の上に乗って頭皮をつついてきたので、持ってきたポークむすびを食わせてみる。
「「ピッピ!」」
どうやら気に入ってくれたようで、俺の頭皮をつつくのをやめてくれた。
持ってきたポークむすび二個をあっという間に食われたので、リビングに連れて行く。
さっさとミコトとエマに渡そう。
「ほれ連れてきたぞ」
「ヤマトおいで!」
「むさしごはんだよ!」
バササっと俺の頭からそれぞれの主人の頭の上に飛び乗ると、すぐにミコトとエマが二羽に給餌を始める。
「義兄上!」
「ジーク、どうだ? 誤解は解けたか?」
「とっくに解けましたよ! それより義兄上とクレアの作った料理はとてもおいしいですね!」
「今日の料理はエルフ王国の食材をメインで使ってるけど、ポーク缶詰とかファルケンブルクで開発した食材や亜人国家連合の食材なんかも使ってるからな」
「なるほど、ならこれがファルケンブルクの味ということですね」
ファルケンブルクというか沖縄料理なんだがな。
とはいえ、沖縄風料理だけじゃなく、インスタントラーメンとか日本の料理も作ってるし、まあ俺が慣れ親しんだ日本の味はファルケンブルクの味ってことでも問題ないか。
著作権とかは無いし。商標関連は良くないけどな!
「ああ、そうなるな。今ファルケンブルクには亜人国家連合や周辺の諸侯領などあちこちから食材なんかが入ってくるから、ファルケンブルクでしか食べられない料理は多いと思うぞ」
「流通革命がもたらしたんですね」
「今は馬車に頼っている輸送力が、蒸気機関車や魔導駆動車にとって代われば王都というか国中に波及すると思うぞ」
「なるほど。真の流通革命はまだこれからだということですね」
「そうだな。西ガルバニア帝国がその点で一歩先に行かれたからこちらも負けられないな」
「こちらで協力できることがあれば何でも言ってくださいね義兄上!」
「わかった。その時は頼りにしている」
「はい!」
かなりの数の間者を帝国に潜入させているが、現在は前線基地に少しずつ兵力を集めている程度らしい。
鉄道の敷設工事が終わるまでは大きく動く可能性は低いということだが……。
ま、ジークもちわっこもこれから忙しくなるだろうし、収穫祭の間だけでも政治を忘れて楽しんでくれればな。
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本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
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