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2 私を騙す気ですか?
生き残ったのは誰? (2)
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***
「さあ、これが王位継承権リストだ」
私は馬車の中でアルベルト王太子に差し出された紙を手に取った。これは極秘リストだ。
「5位以下のお名前は私も初めて知りましたわ」
――あっ!ブランドン公爵令嬢のお名前がある。
「そうだ。21位がブランドン公爵令嬢ディアーナだ。いいかい?王位継承権を持っていて、かつ、あの時食堂車にいて亡くなった人たちに印をつけるよ」
アルベルト王太子がグッと私に身を寄せてきて、私が持っている紙にペンで印をつけて行った。
私は微かにアルベルト王太子から漂う芳しい香りにドキッとしてしまった。
――だめ……静まれーっ!私の胸の動悸よ……。
氷の貴公子は大人の魅力に溢れていて、彼の胸には思わず飛び込んでしまいたくなるような包容力が溢れている。
サラサラとペンが走り、あっという間に20位の名前まで印が付けられた。
「リチャードもいた……ケイシーもいた……クイーンベリー家なんて全員いたぞ?まずいな……」
馬車の蹄の音しかしなくなった。私たちは、アルベルト王太子が印をつけた紙を無言で見つめた。
「1位であるあなたから、20位までが全員乗っていたということですか?」
私の声は掠れた。
「そうなるな……気になって調べてみようと思ったんだが。俺があの時食堂車で会った人たちに印をつけたら、ディアーナまでは全員乗っていたことになる。あぁ、だからあの時彼女は泣きながら『死ぬな』と俺に言ったんだな。これを予見していたのか……?」
ぶつぶつアルベルト王太子が呟いている。彼がブランドン公爵令嬢との昔の思い出を手繰り寄せている様を私はまざまざと見せつけらた。
心が苦しい。
――人妻でありながら、アルベルト王太子の心をいまだに虜にする女性……。そうね。彼女にはとんでもない魔力があったのだから、アルベルト様に危険が及ぶのを前もって予見して忠告できたのね。
――アルベルト様の婚約相手はそういう魔力がある方が相応しいのよ……。私なんて、魔力なんて何にもない……。
「フローラ、ちょっと見て。いいかい?ディアーナの3つ下が誰だかわかるか?」
「あっ!オズボーン!?」
「そうだ、オズボーン公爵だ。24位だ」
「たとえばブレンジャー子爵はどうでしょう?」
「27位だ」
――ちょっと待って?
――このリストの中で、あの時生き残っていた人が犯人となる?
「このリストで生き残ったは誰?」
「ディアーナ、オズボーン、ブレンジャーだけだ」
「なぜそんなに大挙してあの寝台列車に乗っていたのでしょう。それにあなたのリストには第2位が抜けているわ」
私は第1位と第3位の間が抜けているのに気づいた。
「あぁ、俺の弟のフェリクスが第2位で、フェリクスは列車には乗っていなかった。元々兄弟で同じ列車に乗ることは禁じられているから。俺たちは何かあった時のスペアだから」
私はその言葉にぼーっとアルベルトを見つめた。
――弟君のフェリクス様は全く疑わないということね……?
途端にアルベルト王太子が徐々に真っ赤になった。
――え?なに?
「そんなに見つめられると……ちょっと……」
氷の貴公子であるはずのアルベルト王太子は耳まで赤面して、上を見上げて胸を押さえてみじろぎをした。
――え?
「君に見つめられると心臓がドキドキするんだ。ごめん」
私はぽかんとしてアルベルト王太子を見つめた。
「だから、君に……その……見つめられると……」
しどろもどろになってアルベルト王太子が息も切れ切れのように言葉を紡ぐ様を見て、私は初めての感情に包まれた。
――可愛い……。
私はハッとした。
――私、今、アルベルト王太子様を可愛いと思った?
――ダメダメ。私のことなんて本気で気になるはずがないのだから。アルベルト様はブランドン公爵令嬢にぞっこんなのだから。
私は目を逸らした。
だが、次の言葉に飛び上がりそうになった。
「俺はどうやら君のことが……好きなんだ……ディアーナより君が好きだ……君に見つめられると心臓が、もたない」
透き通ったブルーの瞳はキラキラとしていて、アルベルト王太子が真剣に言っているということが分かった。
私はどうしたら良いのかわからない感情で体がカッと熱くなった。
「さあ、これが王位継承権リストだ」
私は馬車の中でアルベルト王太子に差し出された紙を手に取った。これは極秘リストだ。
「5位以下のお名前は私も初めて知りましたわ」
――あっ!ブランドン公爵令嬢のお名前がある。
「そうだ。21位がブランドン公爵令嬢ディアーナだ。いいかい?王位継承権を持っていて、かつ、あの時食堂車にいて亡くなった人たちに印をつけるよ」
アルベルト王太子がグッと私に身を寄せてきて、私が持っている紙にペンで印をつけて行った。
私は微かにアルベルト王太子から漂う芳しい香りにドキッとしてしまった。
――だめ……静まれーっ!私の胸の動悸よ……。
氷の貴公子は大人の魅力に溢れていて、彼の胸には思わず飛び込んでしまいたくなるような包容力が溢れている。
サラサラとペンが走り、あっという間に20位の名前まで印が付けられた。
「リチャードもいた……ケイシーもいた……クイーンベリー家なんて全員いたぞ?まずいな……」
馬車の蹄の音しかしなくなった。私たちは、アルベルト王太子が印をつけた紙を無言で見つめた。
「1位であるあなたから、20位までが全員乗っていたということですか?」
私の声は掠れた。
「そうなるな……気になって調べてみようと思ったんだが。俺があの時食堂車で会った人たちに印をつけたら、ディアーナまでは全員乗っていたことになる。あぁ、だからあの時彼女は泣きながら『死ぬな』と俺に言ったんだな。これを予見していたのか……?」
ぶつぶつアルベルト王太子が呟いている。彼がブランドン公爵令嬢との昔の思い出を手繰り寄せている様を私はまざまざと見せつけらた。
心が苦しい。
――人妻でありながら、アルベルト王太子の心をいまだに虜にする女性……。そうね。彼女にはとんでもない魔力があったのだから、アルベルト様に危険が及ぶのを前もって予見して忠告できたのね。
――アルベルト様の婚約相手はそういう魔力がある方が相応しいのよ……。私なんて、魔力なんて何にもない……。
「フローラ、ちょっと見て。いいかい?ディアーナの3つ下が誰だかわかるか?」
「あっ!オズボーン!?」
「そうだ、オズボーン公爵だ。24位だ」
「たとえばブレンジャー子爵はどうでしょう?」
「27位だ」
――ちょっと待って?
――このリストの中で、あの時生き残っていた人が犯人となる?
「このリストで生き残ったは誰?」
「ディアーナ、オズボーン、ブレンジャーだけだ」
「なぜそんなに大挙してあの寝台列車に乗っていたのでしょう。それにあなたのリストには第2位が抜けているわ」
私は第1位と第3位の間が抜けているのに気づいた。
「あぁ、俺の弟のフェリクスが第2位で、フェリクスは列車には乗っていなかった。元々兄弟で同じ列車に乗ることは禁じられているから。俺たちは何かあった時のスペアだから」
私はその言葉にぼーっとアルベルトを見つめた。
――弟君のフェリクス様は全く疑わないということね……?
途端にアルベルト王太子が徐々に真っ赤になった。
――え?なに?
「そんなに見つめられると……ちょっと……」
氷の貴公子であるはずのアルベルト王太子は耳まで赤面して、上を見上げて胸を押さえてみじろぎをした。
――え?
「君に見つめられると心臓がドキドキするんだ。ごめん」
私はぽかんとしてアルベルト王太子を見つめた。
「だから、君に……その……見つめられると……」
しどろもどろになってアルベルト王太子が息も切れ切れのように言葉を紡ぐ様を見て、私は初めての感情に包まれた。
――可愛い……。
私はハッとした。
――私、今、アルベルト王太子様を可愛いと思った?
――ダメダメ。私のことなんて本気で気になるはずがないのだから。アルベルト様はブランドン公爵令嬢にぞっこんなのだから。
私は目を逸らした。
だが、次の言葉に飛び上がりそうになった。
「俺はどうやら君のことが……好きなんだ……ディアーナより君が好きだ……君に見つめられると心臓が、もたない」
透き通ったブルーの瞳はキラキラとしていて、アルベルト王太子が真剣に言っているということが分かった。
私はどうしたら良いのかわからない感情で体がカッと熱くなった。
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