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2 私を騙す気ですか?
婚約発表はするのですか?(4)
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「きゃーっ!アルベルト王太子様がフローラ嬢を送っていらっしゃいましたわ!」
「素敵ー!」
「見て見て、指輪をなさってらっしゃるわ!」
若いレディたちの盛大な歓声に私たちは迎えられて、私は一気に恥ずかしくなった。
「はい!皆様!ちょっと通してくださいね」
ジャックが張り切って道を開けようとしてくれていた。
ジャックの顔も事態に引き攣ってはいるが、余計な混乱を与えないために事情を誰にも話していないようだ。
「行こう、堂々として」
アルベルト王太子に囁かれた私は小さくうなずいた。
私たちはレディたちにもみくちゃにされそうになりながら、聖ケスナータリマーガレット第一女子学院の本館に入った。
そこからは2人で走るようにしてブランドン公爵令嬢の研究メモが保管されている特別室まで行った。
「シャーロット手伝って!」
「ジャックも手伝ってくれ!」
私たちは後ろからついてくるシャーロットとジャックを振り替えってお願いして、王太子特権で鍵を入手できた特別室に入った。
荒い息を整えていると、黒髪の女性が見えた。
そこにはすでに先着がいたのだ。
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が死に物狂いで何かを探していた。彼女は黒髪で、グリーンの瞳だ。実に神秘的な美しさのある顔立ちだ。
「フローラ嬢!?あなたも気づいたのね。さすがだわ!」
「アリス!?」
「じゃ、ここは任せるわ。ブランドン公爵令嬢が記した魔力の解除方法を探して!偽の魔力の作り方は分かったから!」
旋風のように部屋を飛び出したアリス・ブレンジャー子爵令嬢は急いで戻ってきた。
「アルベルト王太子様、護衛を何人か貸してくれないかしら?エミリーお姉さまがクリスを釈放しようとして魔力を使うわ!私はそれを食い止めて見せるわ!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢の言葉にアルベルト王太子はすぐさま応じた。
「ジャック、ここはいいから彼女を手伝ってくれ!何人か連れて行ってくれて構わない」
アリスはふっと笑った。
「あなた、心を入れ替えたのね。姉の悪魔の囁きから逃れたみたいね。でも、私はザックリードハルトのルイ皇太子推しだからー!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が風のように立ち去ったので、最後の言葉は微かに聞こえるぐらいだったが、氷の貴公子は途端にムッとした顔になった。
「フローラ、君を生涯大切にするよ。ルイは確かにいい男ですごいイケメンだが……とにかく彼には俺も負けないつもりだから」
彫刻のような美貌を誇る彼が真顔で私に近づいていうので、私は小さく「はい」とうなずくしかなかった。たじたじとなった私に、シャーロットが横から声をかけた。
彼女は相変わらずもぐもぐ何かを食べていたが、特別室に入ってからは、何も口にしていないし、手も綺麗に洗ったようだ。
「お嬢さまぁ!見つけましたぁ!」
シャーロットのフルーツを隠し持ったバスケットの影に魔力箱詰虫の解剖図を見つけた私は踊りあがった。シャーロットは手にヒラヒラと何か紙の束を持って振っている。
「1874年2月15日の研究記録。この方法で仕掛けた魔法を解く鍵をここに記す。大量の魔力が必要とするが……はいぃ、これはブランドン公爵令嬢の名前がありますから、これだと思います」
――17歳ぐらいのブランドン公爵令嬢の研究記録だわ。
「シャーロット、でかしたぞ!」
氷の貴公子はシャーロットを笑顔で誉めた。
「えへ……」
シャーロットは喜びのあまりに体をくねくねとさせている。
「お嬢様とアルベルト様の結婚発表は新聞に載りますか?」
シャーロットの問いかけに、私は顔が真っ赤になった。
「の……載る!もちろんだ!君も一緒にジャックと一緒に写真を撮ろう!」
アルベルト王太子の言葉にシャーロットのまあるいほっぺは引き攣った。
「違うの、違うの。シャーロット、新聞には載せないけれど、シャーロットのお国のお母様に贈る写真のことをアルベルト様はおっしゃっているのよ」
私は慌てて2人の間に入り、シャーロットの持っている紙の束を受け取った。私の言葉に驚いたシャーロットはパァッと顔を輝かせた。
「はいぃ!是非にお願いします!フローラお嬢さまと私の写真……」
「そうよ。ありがとう。見つけてくれたから、お礼にたくさんのフルーツをまた用意してもらうわね」
シャーロットはフルーツを隠し持ったバスケットと、ついでにその横にある機械的な精巧図形のような魔力箱詰虫の解剖図を手に取った。
「こちらもどうぞ。時計みたいですが、魔力で動く何かみたいですから」
「そうよ、これを探していたの、ありがとう」
シャーロットと私は微笑み合い、こっそりシャーロットに私は囁かれた。
「素敵な旦那さまになりそうですね!フローラお嬢さま!」
私はその言葉に真っ赤になって照れてしまった。
「そ……そうなの……ありがとう」
アルベルト王太子は私たちのやりとりが聞こえたのか、耳まで真っ赤になっていた。
「さあ、2人とも時間がないぞ。トケーズ川上空にあるものを本来あるべき場所に戻して、魔力箱詰虫のゼンマイを撒き直そう」
クシャクシャのブロンドヘアを無造作にかきあげたアルベルト王太子は、真っ赤な顔でキッパリと言い切った。
「素敵ー!」
「見て見て、指輪をなさってらっしゃるわ!」
若いレディたちの盛大な歓声に私たちは迎えられて、私は一気に恥ずかしくなった。
「はい!皆様!ちょっと通してくださいね」
ジャックが張り切って道を開けようとしてくれていた。
ジャックの顔も事態に引き攣ってはいるが、余計な混乱を与えないために事情を誰にも話していないようだ。
「行こう、堂々として」
アルベルト王太子に囁かれた私は小さくうなずいた。
私たちはレディたちにもみくちゃにされそうになりながら、聖ケスナータリマーガレット第一女子学院の本館に入った。
そこからは2人で走るようにしてブランドン公爵令嬢の研究メモが保管されている特別室まで行った。
「シャーロット手伝って!」
「ジャックも手伝ってくれ!」
私たちは後ろからついてくるシャーロットとジャックを振り替えってお願いして、王太子特権で鍵を入手できた特別室に入った。
荒い息を整えていると、黒髪の女性が見えた。
そこにはすでに先着がいたのだ。
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が死に物狂いで何かを探していた。彼女は黒髪で、グリーンの瞳だ。実に神秘的な美しさのある顔立ちだ。
「フローラ嬢!?あなたも気づいたのね。さすがだわ!」
「アリス!?」
「じゃ、ここは任せるわ。ブランドン公爵令嬢が記した魔力の解除方法を探して!偽の魔力の作り方は分かったから!」
旋風のように部屋を飛び出したアリス・ブレンジャー子爵令嬢は急いで戻ってきた。
「アルベルト王太子様、護衛を何人か貸してくれないかしら?エミリーお姉さまがクリスを釈放しようとして魔力を使うわ!私はそれを食い止めて見せるわ!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢の言葉にアルベルト王太子はすぐさま応じた。
「ジャック、ここはいいから彼女を手伝ってくれ!何人か連れて行ってくれて構わない」
アリスはふっと笑った。
「あなた、心を入れ替えたのね。姉の悪魔の囁きから逃れたみたいね。でも、私はザックリードハルトのルイ皇太子推しだからー!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が風のように立ち去ったので、最後の言葉は微かに聞こえるぐらいだったが、氷の貴公子は途端にムッとした顔になった。
「フローラ、君を生涯大切にするよ。ルイは確かにいい男ですごいイケメンだが……とにかく彼には俺も負けないつもりだから」
彫刻のような美貌を誇る彼が真顔で私に近づいていうので、私は小さく「はい」とうなずくしかなかった。たじたじとなった私に、シャーロットが横から声をかけた。
彼女は相変わらずもぐもぐ何かを食べていたが、特別室に入ってからは、何も口にしていないし、手も綺麗に洗ったようだ。
「お嬢さまぁ!見つけましたぁ!」
シャーロットのフルーツを隠し持ったバスケットの影に魔力箱詰虫の解剖図を見つけた私は踊りあがった。シャーロットは手にヒラヒラと何か紙の束を持って振っている。
「1874年2月15日の研究記録。この方法で仕掛けた魔法を解く鍵をここに記す。大量の魔力が必要とするが……はいぃ、これはブランドン公爵令嬢の名前がありますから、これだと思います」
――17歳ぐらいのブランドン公爵令嬢の研究記録だわ。
「シャーロット、でかしたぞ!」
氷の貴公子はシャーロットを笑顔で誉めた。
「えへ……」
シャーロットは喜びのあまりに体をくねくねとさせている。
「お嬢様とアルベルト様の結婚発表は新聞に載りますか?」
シャーロットの問いかけに、私は顔が真っ赤になった。
「の……載る!もちろんだ!君も一緒にジャックと一緒に写真を撮ろう!」
アルベルト王太子の言葉にシャーロットのまあるいほっぺは引き攣った。
「違うの、違うの。シャーロット、新聞には載せないけれど、シャーロットのお国のお母様に贈る写真のことをアルベルト様はおっしゃっているのよ」
私は慌てて2人の間に入り、シャーロットの持っている紙の束を受け取った。私の言葉に驚いたシャーロットはパァッと顔を輝かせた。
「はいぃ!是非にお願いします!フローラお嬢さまと私の写真……」
「そうよ。ありがとう。見つけてくれたから、お礼にたくさんのフルーツをまた用意してもらうわね」
シャーロットはフルーツを隠し持ったバスケットと、ついでにその横にある機械的な精巧図形のような魔力箱詰虫の解剖図を手に取った。
「こちらもどうぞ。時計みたいですが、魔力で動く何かみたいですから」
「そうよ、これを探していたの、ありがとう」
シャーロットと私は微笑み合い、こっそりシャーロットに私は囁かれた。
「素敵な旦那さまになりそうですね!フローラお嬢さま!」
私はその言葉に真っ赤になって照れてしまった。
「そ……そうなの……ありがとう」
アルベルト王太子は私たちのやりとりが聞こえたのか、耳まで真っ赤になっていた。
「さあ、2人とも時間がないぞ。トケーズ川上空にあるものを本来あるべき場所に戻して、魔力箱詰虫のゼンマイを撒き直そう」
クシャクシャのブロンドヘアを無造作にかきあげたアルベルト王太子は、真っ赤な顔でキッパリと言い切った。
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