2 / 68
第一章
最初の出会いへ
しおりを挟む
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。
ただ、その前に最初の死神との出会いについて話さなければならない。
私は合計4回死神に会った。彼が私を連れ去る5分前で、彼は一旦時を一時的に止めてくれた。私が死を回避できる選択を過去に戻ってできれば5分の間に結果が変わる。
最初の死神との出会いは最悪だった。
私は大好きな人に捨てられた。私に見る目が無かったからなんてそんな綺麗事を言えるわけがない。馬車を薄着で下ろされ、死因は凍死。凍てつく寒さの中で死に至る瞬間、死神がやってきた。
ここまでくると私が大好きだった人は犯罪者と言えるかもしれない。貴族の顔をした犯罪者に騙され、危うく死に至る瞬間に私の元に死神がやってきたのだ。
「君がなんと言われているか知っているかな?」
彼の家に向かう馬車の中でそれは突然始まった。私は彼の両親に会わせると言われて彼が迎えに来た馬車に乗っていた。私は外の冬景色をぼんやりと眺めていた。緊張もしていた。彼の両親に会わせると言い出した彼の誘いは驚く話だったから。
私は外の景色から彼の顔に視線を移した。
「君は没落令嬢だよ」
私は驚いてすぐには言葉が出なかった。
――何を言い出すのかしら?
「僕の愛人になって、食べ物を工面してもらうぐらいしか君には生きる道はないだろう?」
私は富裕層特有の鼻持ちならない気取った話し方をする彼の口から、信じられない言葉を聞いた。
「……」
彼の手が私の肩に触れた。私はビクッとして思わず身をよじった。彼の手を振り払った。
「いやですっ!」
「嫌じゃないだろう?」
「愛人になんてなりませんっ!ここで馬車を下ろしてください」
「君の家には金がない。こうでもしなければ生きていけないんだろう?」
「手を離してください。私から離れてください」
「……ったく、聞き分けがない娘だ。もう知らん。勝手にしろ」
私は凍えるような寒さの中で馬車から降ろされた。コートを馬車の中に置いたままだ。コートは彼が馬車の中で引っ張って脱がしたままだった。
私を下ろした馬車はそのまま走り去った。信じられない思いでいると、雪がひらひらと舞って落ちてきた。
「お母様、マリアンヌお姉様、ごめんなさい」
私は涙が溢れてきたが、手がかじかみ、ガタガタと震え、はく息が白く濁るのを見つめて、必死で涙を堪えようとした。
――泣いている場合ではない。
――生きるためには、歩いて家に帰らねば。
雪が後から後から降り注いできた。その日、他の馬車はその道を通らなかった。私はトボトボと歩き続けて、目の前が見えなくなるほどの雪が舞ってきた時についに雪の中に倒れた。
――もうダメかもしれないわ……
公爵家に続くその道は、その日は雪が降るほど寒い日ということもあり、人っこ一人通らなかった。私を途中で馬車から降ろした人物は公爵家の次男だ。
私はバカだ。彼を立派な人物だとずっと好意を持っていた。好意どころではおさまらず、大好きだった。
――お母様、お姉様、本当にごめんなさい。不甲斐ない娘で、どうしようもない妹で本当にごめんなさい。
私は私の体に降り積もる雪を感じながら、そのまま意識を失った。
ただ、その前に最初の死神との出会いについて話さなければならない。
私は合計4回死神に会った。彼が私を連れ去る5分前で、彼は一旦時を一時的に止めてくれた。私が死を回避できる選択を過去に戻ってできれば5分の間に結果が変わる。
最初の死神との出会いは最悪だった。
私は大好きな人に捨てられた。私に見る目が無かったからなんてそんな綺麗事を言えるわけがない。馬車を薄着で下ろされ、死因は凍死。凍てつく寒さの中で死に至る瞬間、死神がやってきた。
ここまでくると私が大好きだった人は犯罪者と言えるかもしれない。貴族の顔をした犯罪者に騙され、危うく死に至る瞬間に私の元に死神がやってきたのだ。
「君がなんと言われているか知っているかな?」
彼の家に向かう馬車の中でそれは突然始まった。私は彼の両親に会わせると言われて彼が迎えに来た馬車に乗っていた。私は外の冬景色をぼんやりと眺めていた。緊張もしていた。彼の両親に会わせると言い出した彼の誘いは驚く話だったから。
私は外の景色から彼の顔に視線を移した。
「君は没落令嬢だよ」
私は驚いてすぐには言葉が出なかった。
――何を言い出すのかしら?
「僕の愛人になって、食べ物を工面してもらうぐらいしか君には生きる道はないだろう?」
私は富裕層特有の鼻持ちならない気取った話し方をする彼の口から、信じられない言葉を聞いた。
「……」
彼の手が私の肩に触れた。私はビクッとして思わず身をよじった。彼の手を振り払った。
「いやですっ!」
「嫌じゃないだろう?」
「愛人になんてなりませんっ!ここで馬車を下ろしてください」
「君の家には金がない。こうでもしなければ生きていけないんだろう?」
「手を離してください。私から離れてください」
「……ったく、聞き分けがない娘だ。もう知らん。勝手にしろ」
私は凍えるような寒さの中で馬車から降ろされた。コートを馬車の中に置いたままだ。コートは彼が馬車の中で引っ張って脱がしたままだった。
私を下ろした馬車はそのまま走り去った。信じられない思いでいると、雪がひらひらと舞って落ちてきた。
「お母様、マリアンヌお姉様、ごめんなさい」
私は涙が溢れてきたが、手がかじかみ、ガタガタと震え、はく息が白く濁るのを見つめて、必死で涙を堪えようとした。
――泣いている場合ではない。
――生きるためには、歩いて家に帰らねば。
雪が後から後から降り注いできた。その日、他の馬車はその道を通らなかった。私はトボトボと歩き続けて、目の前が見えなくなるほどの雪が舞ってきた時についに雪の中に倒れた。
――もうダメかもしれないわ……
公爵家に続くその道は、その日は雪が降るほど寒い日ということもあり、人っこ一人通らなかった。私を途中で馬車から降ろした人物は公爵家の次男だ。
私はバカだ。彼を立派な人物だとずっと好意を持っていた。好意どころではおさまらず、大好きだった。
――お母様、お姉様、本当にごめんなさい。不甲斐ない娘で、どうしようもない妹で本当にごめんなさい。
私は私の体に降り積もる雪を感じながら、そのまま意識を失った。
18
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
グリモワールの塔の公爵様【18歳Ver】
屋月 トム伽
恋愛
18歳になり、結婚が近いと思われたプリムローズは、久しぶりに王都の邸にいる婚約者に会いに行っていた。
だけど、義姉クレアと婚約者ジャンのベッドインを目撃してしまい、婚約破棄されてしまったプリムローズ。
プレスコット伯爵家から追い出すための名目で、金持ちの子爵様に売られるも同然の後妻に入ることになったプリムローズ。
そんなある日、夜会で出会ったクライド・レイヴンクロフト次期公爵様から結婚をもうしこまれる。
しかし、クライドにはすでに親の決めた婚約者がおり、第2夫人でいいなら……と、言われる。
後妻に入るよりは、第2夫人のほうがマシかもとか思っていると、約束だ、と頬にキスをされた。
「必ず迎え入れる」と約束をしたのだ。
でも、クライドとのデートの日にプリムローズは来なかった。
約束をすっぽかされたと思ったクライドは、その日から一向にプリムローズと会うことはなかった。
時折出す手紙のやり取り。プリムローズがどうしたいのかわからないクライドは困惑していた。
そして、プレスコット家での現状を知り、クライドはプリムローズをプレスコット伯爵邸から連れ出し、グリモワールの塔に連れて行き……。
最初は、形だけの結婚のつもりかと思っていたのに、公爵様はひどく甘く、独占欲の固まりだった。
※以前投稿してました作品を【18歳Ver】に書き直したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる