【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一

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第62話 挑戦の数

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~織原朔真視点~

 配信の数は挑戦の数。

 僕は同じ同級生であるシロナガックスさんからの言葉が頭に浮かんでは消える。そんな言葉を反芻させているにも拘わらず、どこか冷静な自分がいた。

 現在僕はシロナガックスさんと担当していた索敵の位置を代え、南東に見えた敵に対して攻撃をしている。おそらく僕の緊張をとこうとしているのだろう。僕は拠点にしているバスの屋根に登り、南東にある建物の屋上にいる敵チームを積極的に撃った。防具を育たせ──敵に一定以上のダメージを与えると防具の強度が上がる──、敵チームの回復アイテムを削ろうという魂胆である。

 ──できればキルポイントも……っていやいや!さっき5%でもいいから実力を引き出そうって話したばかりじゃないか!!当てる!被弾させるだけで良いんだ!!

 僕は小刻みに動きながら、ビームライフルで屋上にいる敵に当てる。キュイーンとレーザービームをチャージする音がすると、一筋のオレンジ色した閃光が直進する。ラ○ュタの巨神兵のビームのように、一度放ったビームを横に動かすことでビームも横に移動する。つまり、敵の動きに合わせてビームを多少追尾させることができるのだ。

 敵にビームが数発命中する。青色のダメージ数が浮かび上がった。これは敵が青色の防具を着ているという証拠である。弾を撃つことで此方の居場所が敵にバレたが、向こうは撃ち返してこない。おそらく回復をしているのだろう。

 ──よし……

 此方の様子を僕と同じようにして小刻みに動きながら見てくる敵に対して、僕はもう一発命中させた。すると、屋上の遮蔽からまた別の者が顔を出す。チームメイトを守ろうとその者は此方に向かって幾らか弾を放ってきた。しかしそれらは僕に当たらない。小刻みに僕が動いているからだ。そして撃ってきた者に僕は撃鉄を絞り、命中させた。

「よしっ」

 今度は声に出た。弾が命中すればするほどにいつもの僕に戻っていく感じがした。

「紫防具と青防具ですね」

 敵の防具の色を仲間に知らせ、僕は着々とダメージ数を稼いだ。一定数のダメージに達すると僕の着ていた防具が青から紫へと変化する。それをせーの、の合図で薙鬼流ひなみに与えて、薙鬼流の着ていた青防具を僕が着た。

『エド先輩の温もりが……』

「キモいからやめろ!」

 積極的にダメージを与えられる僕が、防具を育てる。薙鬼流と交換した青防具をまた紫にしようと僕は狙いを定めた。

 するとまた、シロナガックスさんの言葉が頭を過る。

 配信の数は挑戦の数。

 敵にダメージを与えながら僕は思った。

 ──僕は一体何に挑戦していたのだろうか。

 お金稼ぎに挑戦していた?真っ先にそれを思い付いた。確かに初めはそうだった。しかし今はそれだけではない。それだけではない筈なのに上手く言葉で言い表せない。

 ビームが敵に命中する度に、お金稼ぎ以外の理由が浮かび上がるような気がしていた。

 ──なんだろう……敵に弾を当てるのが僕の挑戦?……んな訳ないか!

 しかしそれを否定しきれない想いが喉元まで押し寄せる。僕はこのまま弾を命中させればその答えがわかるのではないかと半ば冗談めいた確信を胸に撃鉄を引き絞る。

『ラウンド3、リングのカウトダウンが始動』

 僕はそのアナウンスを聞くとすぐに、攻撃と平行して画面左上のマップを見た。僕らのいるこのバスはラウンド3の円の中に入っている。

「流石シロナガックスさん!!」

 しかしそれは、これから激しい戦闘が始まることを意味している。僕らはこの安全地帯を他者の侵略から守らなければならない。

 そう意気込むとさっそく、薙鬼流ひなみが叫んだ。

『あぁ!来てます!こっちから来てます!!』

 僕は薙鬼流ひなみの見張る南西方面を見やると、僕らのいるバスの西側、山の頂上から僕らのいるバス目掛けて突撃してくる者達がいた。それらを僕が視認するのとほぼ同時にシロナガックスさんは自身のキャラクターアビリティであるスキャンを使って敵の動きと人数、他のチームが迫ってきていないかを確認すると、僕らに最もわかりやすい指示を飛ばす。

『撃って!!』

 シロナガックスさんはそう言うと、一番先頭を走る敵にダメージを負わせた。相手も撃ちながらこちらに攻め込んでくる。

 僕もバスの屋根上から戦闘に参加した。ビームライフルからアサルトライフルに持ち代え、左右に小刻みに動きながらトリガーを引いた。 

『薙鬼流さんもどんどん撃ってください!』

 それぞれの銃声が轟き、それぞれが放つ弾丸の拡散を目の当たりにした僕だが、オープニングゲームとは違って落ち着いていた。

 ビームライフルで幾つかダメージを負わせることに成功していたからだろうか?それともシロナガックスさんの実力を先程のオープニングゲームで目の当たりにして、安心したからなのかどうかわからない。

 僕らは突進してくる敵チームを1人、また1人とダウンさせることに成功した。

 敵チームを全滅させることに成功した僕らは、デスボックスを漁り、弾と回復アイテムやレア武器の補充を目論む。それらを僕が代表して行おうと思った矢先に、今度は僕らのいるバスの東側の家付近からシロナガックスさんの操るキャラクターと同じアビリティ、ブラバのスキャンが発動される。

 つまり、東側から他の敵チームが迫っているということだ。

「向こうの家に入られる!?」

『入られても良いです!むしろ私達がここにいることをアピールしましょう』

 シロナガックスさんはそういうと、家の2階の窓にチラチラと見える敵に向かって銃弾を放った。

『屋根の上にもいますね。重量武器の弾を幾つか貰っても良いですか?』

 僕は一旦停止していたデスボックス漁りを再開した。重量武器の弾と回復アイテム、紫色の防具があったが、先程の戦闘で僕の着ていた防具が紫に成長したので、触れなかった。僕の着ている防具の方が少しだけ耐久度が削れていたため、交換する方がベターではあるが、自分で育てた防具には愛着がわくものだ。

 バスに戻った僕は、床に戦利品をばらまく。

「弾とエイド、置いておきますね」

『ありがとうございます』

『ありがとうございますぅ』

 防具を回復させていると、東側の家から銃声が聞こえる。

「向こうは向こうでやりあってますね……」

 僕がそう呟くと、薙鬼流ひなみが震えながら質問する。

『ど、どうします!?行きますか!?』

 そんな薙鬼流を宥めるように落ち着いた口調でシロナガックスさんは口を開く。

『いえ、ここから向こうが顔を出せば撃つ程度で大丈夫です。場合によっては漁夫るつもりなので、その際はエドヴァルドさんと私で行きます。薙鬼流さんはここにいて見張っていてください』

 ゲームアナウンスが聞こえる。

『リング縮小開始』
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