【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一

文字の大きさ
106 / 185

第106話 飛んで火にいる

しおりを挟む
~Rain視点~

「オープニングゲーム!ビクトリークラウンを手にしたのはYummyヤミー選手です!!」

 実況の武藤さんの声が僕の鼓膜を刺激する。

「只今集計の間、Yummy選手のインタビューをしたいと思います!」

 ステージ奥のゲーミングPCが大量に置かれた僕らのいるここから、Yummy君だけが立ち上がり、観客、インタビュアーの芸人さんと椎名町の2人のいるところまで歩いていく。その歩き方は堂々たるもので、オープニングゲームのチャンピオンに相応しかった。

 ──クソ……

 自分に苛立つ。

 ──僕らしくないプレイをした。Yummy君と1V1になった際、いつもとは違う速度で建築をしていたのだ。

 それは試合後半、僕の隣にいるMANAMIさんとの1V1のせいであった。彼女の建築があまりにも速くて、それに当てられてしまったのだ。

 ──一瞬敗けを確信した。彼女のエイムが定まらなかったお陰で生き残ることができたのだ。

 僕は命拾いをしたという、焦りにも似た恐怖によって、彼女を打ち負かすべく大会の最中にも拘わらず普段よりも建築スピードを上げてプレイしてしまった。その結果ミスをした。

「おめでとうございます!今の心境はどうですか?」

 芸人さんの元気な声が聞こえた。

「まだあと2戦ありますが、素直に嬉しいです」

 ハキハキとした声でYummy君が話す。

 僕は自分のメンタルコントロールを行う。大会では初戦の結果が振るわなくとも2戦目、3戦目で取り返すことができる。卓球やバレーボールでも1セットを奪われてしまった後、2セット目、3セット目で驚異的な集中力を発揮して逆転することはよくある。それをするためにはやはりメンタルのコントロールが大事だ。

 ──ここは、MANAMIさんに殺られて12位をとるよりかはかなりマシだと考えよう。現在キルポイントと順位の集計中だが、十分優勝を狙える順位のはずだし。よし、いつも通りのプレイをしよう!

 僕は深呼吸をして頭を切り替えた。しかしここで隣のブースのMANAMIさんから声が聞こえてきた。
 
「よし、これでもう大丈夫」

 何が大丈夫なのだろうか?彼女も自分のメンタルコントロールをしたのだろうと僕は結論付けると、インタビュアーである芸人さんの声が耳に入った。

「次のマッチはどのような作戦で行くか決めてますか?」

 中々攻めた質問だ。対戦相手が後ろにいるというのに、作戦をバラす選手がいるのだろうか?

「次の試合も初戦と同じ様にガンガンキルしていこうと思います。ラストマッチをやらなくても結果がわかるような試合運びをしたいです!」

 強気だな。しかしこれはブラフで実際は慎重な動きをするかもしれない。いや、更にその裏をかいて、なんてことも考えられるが結局のところ僕は自分らしいプレイができればそれで良いという結論に至る。

──────────────────────────────────────────────────

~Yummy視点~

 インタビューを終え、俺は観客達の拍手とポケットジャングルの2人、椎名町45のかたりん、ふみかちゃんに見送られながら自分のブースへ戻った。

 オープニングゲームをモノにすることができた。最後のRainとの1V1は流石にヒヤリとしたが、しかしヤツは大会のプレッシャーからか建築がおざなりとなっていた。ヤツのピースコントロールは相手を倒すための手段ではなく目的になってしまっているように見えた。相手の動きを読んで、行動を限定させる。つまりは自分が仕留める為の手段としてピースコントロールはあるべきだ。しかしRain、ヤツは俺を捕らえることに躍起になっていた。

 大会が始まる前に、前もってRainのプレイ動画を見た時は舌を巻いたが、今のヤツになら勝てる。

 ──ていうか全国に俺の名前と顔が出た。

 動画やテレビで見る芸人やアイドルが俺にインタビューをして称賛を浴びせる。

 この快感は癖になりそうだ。それにこの大会に優勝すればCZカップにも出れる。

 1つの目標でもあるCZカップで良い成績がとれたらと思うと、逸る気持ちを抑えきれなくなる。

 ──おおっと、もうセカンドゲームが始まる。あぁ、なんなら優勝したらかたりんに連絡先聞こうかな……

 またしてもゲーム以外のことを考えてしまった。

 ──よし!集中しよう。

 画面は既に空中をバスが走っている。

 宣言通り、俺は激戦区となるであろうエヴァンスインダストリーというランドマーク目掛けてバスから飛び降りた。

 多くの選手が俺と同じランドマーク目掛けて滑空してくる。おそらく初戦、50位以下の選手達だろう。ここには強い武器があるだけでなく、それを狙って来たたくさんの選手をキルできるホットスポットでもある。無論、上手くいかなければ早々に散ってしまう。

 ──望むところだ!!

 エヴァンスインダストリーのベランダに着地すると鍬を使って宝箱の音のする方向へ一直線。着地してから淀みない動きによって宝箱までの道を切り開いた。トイレに目当ての宝箱があり、それを開ける。

 ──よっしゃ!!得意のサブマンシガン型のレア武器だ!これでもう2戦目の上位は固い。そしてここでもキルを大量にもぎ取って……

 そう考えていると、こちらに向かって足音が聞こえてくる。

 ──飛んで火に入る夏の虫だな……

 俺は息を潜めて、その足音のするトイレの入り口に向かって先程手に入れたばかりのサブマシンガンを構えた。

 1人の敵が入り口から出たり入ったりと小刻みに動きながら姿を現す。

 俺は撃つが、相手は直ぐ様入り口の壁に隠れた為、ダメージを入れることはできなかった。

 ──チッ、逃がさねぇよ!!

 俺はそいつの背中を追って、トイレの入り口に向かって走り出す。敵の足音は遠ざかっていく。それは敵の装備が貧弱である証拠だ。俺は構わず追っていく。

 トイレから出ると、敵の逃げた方角を見た。窓から飛び降りて外へと逃げていく様子が窺えた。

 ──待てよ!!

 俺も敵の導線をそのまま辿り、窓から外へ出た。逃げる敵は俺が追ってくるのを確認するためか、飛び降りている俺を見ている。俺が窓から飛び降りた空中で2発、着地したところをもう1発の合計3発被弾した。思ったよりも敵との距離が近くて驚いた。

 ──最初から俺を迎え撃つつもりだったか?でも今のでお前の武器が弱いことがわかったぞ?

 俺は敵の持っているハンドガン型の武器よりも強力なサブマシンガンをぶっ放す。しかし敵は建築を駆使して俺の攻撃を防いだ。そして、その建築でできた壁の端から小刻みに横移動をしながら、またしても1発の弾丸が俺に命中した。

 ──上手い……

 武器だよりの戦闘は止め、建築を施し、遮蔽物を造り上げ、こちらも防御をした。ダメージを食らったことによって俺は一旦、建築を駆使しながら退いて回復を考える。しかし敵は俺の動きを見てとったのか、直ぐに前へ詰めてきた。

 俺は壁の上に屋根を造ってジャンプをした。屋根に登り、またその屋根の上に壁を造って要塞を造り上げながらその場から退こうとしたその時、高速で積み上がる建築によって俺は上をとられ、天井を張り替えられる。

 ──はやっ!!その天井を編集して上から攻撃か?

 俺は自分で造った横の壁に穴を空けて、逃げるがしかしそこはもう敵のテリトリーだった。

「まっず!!」

 横の真四角の壁が対角線に編集で切れ込みを入れられ、中にいた俺の膝から上の姿が顕となる。

 更に敵はその対角線に沿うように階段を建築して俺からの攻撃を当てにくくしている。敵は階段を上りきるとジャンプしながら俺にまたしても1発当て、階段に蓋をするように天井を造り、編集で穴を空けてから再び俺に上から攻撃してきた。

 ──はっや……

 俺は慌ててエイムを合わせるが、遅かった。

 初戦ビクトリークラウンを手にした俺だが、2戦目の最初の犠牲者として名を刻むこととなった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル

諏訪錦
青春
アルファポリスから書籍版が発売中です。皆様よろしくお願いいたします! 6月中旬予定で、『クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル』のタイトルで文庫化いたします。よろしくお願いいたします! 間久辺比佐志(まくべひさし)。自他共に認めるオタク。ひょんなことから不良たちに目をつけられた主人公は、オタクが高じて身に付いた絵のスキルを用いて、グラフィティライターとして不良界に関わりを持つようになる。 グラフィティとは、街中にスプレーインクなどで描かれた落書きのことを指し、不良文化の一つとしての認識が強いグラフィティに最初は戸惑いながらも、主人公はその魅力にとりつかれていく。 グラフィティを通じてアンダーグラウンドな世界に身を投じることになる主人公は、やがて夜の街の代名詞とまで言われる存在になっていく。主人公の身に、果たしてこの先なにが待ち構えているのだろうか。 書籍化に伴い設定をいくつか変更しております。 一例 チーム『スペクター』       ↓    チーム『マサムネ』 ※イラスト頂きました。夕凪様より。 http://15452.mitemin.net/i192768/

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。 その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに! 戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

処理中です...