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第113話 リハーサル
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~音咲華多莉視点~
ステージに立って歌を歌っていると客席がよく見える。たまに照明がきつくて客席の奥の方を見渡すことができないこともあるけれど、それでも前列の席にいるお客さんは見える。よく来てくれる人、ライブを盛り上げようとしてくれる人、大声で掛け声を出してくれる人、握手会に来てくれる人等を私は覚えてしまう。
全国高校eスポーツ選手権大会に、愛美ちゃんがサプライズで出演したのもあって、私は客席に視線を向けることはなかった。しかし愛美ちゃんの優勝者インタビューの時、私は見た。
客席に織原朔真がいた。選手入場までは空席だったところに、当然のように座っていた。
愛美ちゃんと付き合ってるのかな?2人で勉強会をしていた時は後輩の女の子のことしか訊かなかった。もし仮に愛美ちゃんと織原が付き合ってたのだとしたらディスティニーシーに一緒にいたあの女の人とはどんな関係なの?
せっかく愛美ちゃんが優勝して、自分の演技になんだか自信が持てそうになったのに、織原のせいで集中力が続かない。
その時、私と希さんがぶつかりそうになった。なんとか転ばずにすんだが、よろけて体制が崩れた。そのお陰で綺麗なフォーメーションが歪んでしまった。私はすぐに修正して、何食わぬ顔でダンスを続ける。
現在、FMS歌謡祭のリハーサル中だ。
カメラの動き等をチェックし、メンバーの一人一人がちゃんと画面に写るように演出されている。
「ありがとうございます!本番も宜しくお願いします!!」
リハーサルを終え、控え室に向かう途中、先程ぶつかりそうになった希さんが声をかけてくれた。
「華~多莉ちゃ~ん!何か悩み事でもあるの?」
流石は椎名町45のリーダーだ。
「華多莉ちゃんはわかりやすいからなぁ~、ほら、お姉さんに話してごらんなさい?」
いつまでも子供扱いされるのは正直うざったいが、私は話すことにした。
「どこから話せば良いのか……」
「うんうん、ゆっくりでいいよぉ~」
「この前、eスポーツの全国大会の応援マネージャーとして出たんですけど──」
全国高校eスポーツ選手権大会と愛美ちゃんのことから話をした。
「最近、演技のことでも悩んでたんですけど愛美ちゃんが、臆病な自分も本当の自分なんだって言ってて、それで私も、演技している自分や強がって本音を言えない自分なんかも本当の自分の一部なんじゃないかって思ったんです」
途中話が脱線してしまったけれど、希さんは興味深く聞いてくれている。
「なるほど、その愛美ちゃんっていうお友達のお陰で自分のことや演技にも自信が持てるようになったってことね。私もその愛美ちゃんに会ってみたいなぁ~……で、何に悩んでたんだっけ?」
「そ、それで、そのeスポーツの大会に、この前話をした男の子が客席にいて……ですね」
「気になっちゃったのかぁ!!」
「ち、違います!気になったのはそうなんですけど、たぶん愛美ちゃんと付き合ってるみたいで……その……」
「え?嫉妬しちゃったの?」
「違いますよ!!その男の子、私がこの前ロケでディスティニーシーに行った時、偶然パーク内で見かけたんです。でもアイツ、知らない女の人と一緒にいて……だからそのことを愛美ちゃんに話した方が良いのかどうか迷ってて……」
希さんは、目を薄く伸ばして微笑む。その笑みには私の話に何かを感じて、私の気付いていないことにも気付いているような、そんな感情が含まれていた。
「でも確かにその女の人は気になるね。たまたま園内にいた人だっていう可能性はないの?」
「その割には親しそうにしていたというか……アイツ、私と目があって、何て言うか『マズイ』みたいな顔をしてたんですよ」
希さんは顎に手を当てて、まるで探偵のような佇まいで思考に沈んだ。
「その女性の特徴は?その子のお姉さんってことはない?」
織原にお姉さんはいない。ホテルの支配人が妹がいると言っていたのは覚えている。妹以外の肉親がいないことも。お姉さん説を否定してから私は希さんに訊かれるがままに、その女性の特徴を語った。
「身長は私くらいで、細身で、綺麗な金髪をサイドテールにしてて、目がぱっちりてしてて、鼻筋が通ってて……」
私は織原と一緒にいたその女性を必死になって思い出す。希さんと同様に顎に手を当てて、俯くようにして女性の特徴を挙げ連ねた。その時、希さんが呆気にとられながら口ずさむ。
「あの人みたいな?」
あの人?
私は控え室に続く長い廊下からこちらに向かってやって来る一行を見た。先頭を歩いているのはスーツ姿の女性で後ろを振り向きながら喋っている。見たところマネージャーのようで、後ろをついて歩くタレントを叱り付けているように見えた。声が聞こえてくる。
「だから言ったでしょ!?遅刻しないでって!この音楽番組は生放送なんだから、そのリハーサルがどれだけ大事かわかってるの!?」
叱られているタレントの姿が鮮明に見えてきた。
──身長は私くらいで、細身で、綺麗な金髪をサイドテールにしてて、目がぱっちりてしてて、鼻筋が通ってて……!!
「この女だ……」
噂の女性がマネージャーらしき女性に謝りながら私の横を通りすぎようとしたその時、私と目があった。
「あ!かたりん!!」
マネージャーは怒りのボルテージが突然焼失したかのように、私達に向かって挨拶をした。
「お疲れ様です!本日は宜しくお願い致します」
突如として面食らった私は、咄嗟に挨拶を返すことしかできなかった。
「こ、こちらこそ宜しくお願いします……」
希さんも挨拶をする。すると例の女は言った。
「うわぁ!のんちゃんもいる!!可愛いなぁ……」
すると希さんは訊いた。
「この前、ディスティニーシーで、男の子と一緒にいませんでした?」
「ちょっと希さん!!」
私が止めに入るが、質問された女は言った。
「え?ディスティニーシーには行きましたけど、女の子と一緒に……ってあぁ!!エド……」
「えど?」
「えっど……たまたま近くにいた男の子と仲良くなってお話してましたね。それがどうかしたんですか?てかやっぱりあの時、目があってたんですねぇ!覚えててくれて嬉しい!!」
私は呆気にとられながらその女性と別れた。
「ほら?偶然パーク内にいただけだったじゃない?その愛美ちゃんには何も伝えなくて良さそうだね?てかかなりの偶然じゃない?テーマパーク内で偶然華多莉ちゃんの想い人と仲良くなった女性とここで出会うなんて」
確かにそうだ。
「って想い人じゃないですよ!!それよりもあの女の人もFMSに出るんですよね?こういう現場では初めて見たかも…希さん知ってます?」
「ん~あんまりテレビ見ないからなぁ……って!ここであんまりそういうこと言わない方が良いよね……何かのインフルエンサーなんじゃない?」
ふ~んと曖昧な返事をして、私は遠ざかっていくその女の背中を見ていた。
──────────────────────────────────────────────────
~天久カミカ視点~
私は今、マーカーのついた全身スーツを着て自分を囲むように並べられたたくさんのカメラ──1台900万円程だと聞いている──の中心にいる。
Vチューバーの3Dライブで用いられるモーションキャプチャーはこの光学式モーションキャプチャーが採用されることが多い。他にも、慣性式モーションキャプチャーや磁気式モーションキャプチャー等があるが、この光学式が今のところ一番精度が高いと言われている。
原理は一度聞いたことがあるがよくわからなかった。確か、私を取り囲むカメラから赤外線が発せられて、このスーツに付いている赤外線を反射させるマーカーがカメラからの赤外光を反射させて、その動きを読み取る、みたいなことを言っていた。
「軽く動いてみてください」
スタッフさんにそう言われて、アイドルステップを踏んだ後に、コマネチをしてみた。周囲にいるスタッフさんが笑う。
「ありがとうございます。次に声を貰ってもいいですか?」
「あ~、あ~」
ダンスをしながら歌を歌うので、SHUREのヘッドセットマイクに声を発する。左頬から出る細くて心許ない小さなマイクなのだが、十分なボリュームが出る。最近だとK-POPの人が着けてるAKGのヘッドセットマイク等も有名だが、私はこれがお気に入りなのだ。
FMS歌謡祭、富士見テレビの大型音楽特番。新高輪のホテルにある『飛翔の間』という大型宴会場にて行われる音楽番組だ。様々な豪華アーティストが出演しており、そのアーティスト達が織り成す異色のコラボレーション等もその番組の魅力の1つである。
しかし年々、視聴率の低下に伴い、豪華なアーティスト達というよりかは話題性で呼ばれる、歌手とは言えないような人達も出演するようになった。チャンネル登録者数が1000万人を超えたユーチューバーや再生回数1億回といった歌手のようなインフルエンサー、そして私みたいなVチューバーだ。
私もチャンネル登録者数が250万人を超えており、テレビの視聴率で言えば約2%の視聴率を保持している計算となる。
ちなみにFMS歌謡祭にVチューバーが出るのは初めてである。他の音楽番組には『ブルーナイツ』のメンバーが出演したことはあるのだが、出演と言っても実際に客席に向かって歌を歌っているわけではなく、映像として放映されるだけにとどまっていた。しかし今回私が出るこのFMS歌謡祭は実際に客席にいる人達に向かってこのモーションキャプチャーを使った映像と共に歌を歌うこととなる。これはテレビ番組では初の試みだ。
私の所属する『LIVER・A・LIVE』が企画、運営する音楽イベントやVチューバー達しか出ない音楽イベントなら何回も出演したことはあるが、私以外の出演者全員が生身なのは初めてだ。
大変なのはスタッフさんで、たった数分しか歌を歌わない私のために馬鹿でかいスクリーンに、このモーションキャプチャー用の部屋とひくほど高い機材まで用意しなければならない。それを準備するだけでも物凄く時間のかかることなのだが、私は遅刻してしまった。このFMS歌謡祭だけでなく様々な案件や他のライバー達との打ち合わせ等をしていて、遅刻してしまったのだ。
しかしそのお陰でもう一度、かたりんに会えたのだ。会えたのだが、まさかあんなことを訊かれるなんて。
『この前、ディスティニーシーで、男の子と一緒にいませんでした?』
厳密に言えばかたりんではなく、斎藤希さんに訊かれたのだが、あれは間違いなくかたりんが私に訊きたかったことだろう。
──そう言えばあの時、エドヴァルドくんの様子がおかしかった気が……
「それでは音源流します、全部歌っても良いですし、途中で切っても構いません。それでは5秒前、4、3……」
2、1は声を出さずに指をおって番組スタッフは私に示す。
私のオリジナル曲のイントロが流れた。
ステージに立って歌を歌っていると客席がよく見える。たまに照明がきつくて客席の奥の方を見渡すことができないこともあるけれど、それでも前列の席にいるお客さんは見える。よく来てくれる人、ライブを盛り上げようとしてくれる人、大声で掛け声を出してくれる人、握手会に来てくれる人等を私は覚えてしまう。
全国高校eスポーツ選手権大会に、愛美ちゃんがサプライズで出演したのもあって、私は客席に視線を向けることはなかった。しかし愛美ちゃんの優勝者インタビューの時、私は見た。
客席に織原朔真がいた。選手入場までは空席だったところに、当然のように座っていた。
愛美ちゃんと付き合ってるのかな?2人で勉強会をしていた時は後輩の女の子のことしか訊かなかった。もし仮に愛美ちゃんと織原が付き合ってたのだとしたらディスティニーシーに一緒にいたあの女の人とはどんな関係なの?
せっかく愛美ちゃんが優勝して、自分の演技になんだか自信が持てそうになったのに、織原のせいで集中力が続かない。
その時、私と希さんがぶつかりそうになった。なんとか転ばずにすんだが、よろけて体制が崩れた。そのお陰で綺麗なフォーメーションが歪んでしまった。私はすぐに修正して、何食わぬ顔でダンスを続ける。
現在、FMS歌謡祭のリハーサル中だ。
カメラの動き等をチェックし、メンバーの一人一人がちゃんと画面に写るように演出されている。
「ありがとうございます!本番も宜しくお願いします!!」
リハーサルを終え、控え室に向かう途中、先程ぶつかりそうになった希さんが声をかけてくれた。
「華~多莉ちゃ~ん!何か悩み事でもあるの?」
流石は椎名町45のリーダーだ。
「華多莉ちゃんはわかりやすいからなぁ~、ほら、お姉さんに話してごらんなさい?」
いつまでも子供扱いされるのは正直うざったいが、私は話すことにした。
「どこから話せば良いのか……」
「うんうん、ゆっくりでいいよぉ~」
「この前、eスポーツの全国大会の応援マネージャーとして出たんですけど──」
全国高校eスポーツ選手権大会と愛美ちゃんのことから話をした。
「最近、演技のことでも悩んでたんですけど愛美ちゃんが、臆病な自分も本当の自分なんだって言ってて、それで私も、演技している自分や強がって本音を言えない自分なんかも本当の自分の一部なんじゃないかって思ったんです」
途中話が脱線してしまったけれど、希さんは興味深く聞いてくれている。
「なるほど、その愛美ちゃんっていうお友達のお陰で自分のことや演技にも自信が持てるようになったってことね。私もその愛美ちゃんに会ってみたいなぁ~……で、何に悩んでたんだっけ?」
「そ、それで、そのeスポーツの大会に、この前話をした男の子が客席にいて……ですね」
「気になっちゃったのかぁ!!」
「ち、違います!気になったのはそうなんですけど、たぶん愛美ちゃんと付き合ってるみたいで……その……」
「え?嫉妬しちゃったの?」
「違いますよ!!その男の子、私がこの前ロケでディスティニーシーに行った時、偶然パーク内で見かけたんです。でもアイツ、知らない女の人と一緒にいて……だからそのことを愛美ちゃんに話した方が良いのかどうか迷ってて……」
希さんは、目を薄く伸ばして微笑む。その笑みには私の話に何かを感じて、私の気付いていないことにも気付いているような、そんな感情が含まれていた。
「でも確かにその女の人は気になるね。たまたま園内にいた人だっていう可能性はないの?」
「その割には親しそうにしていたというか……アイツ、私と目があって、何て言うか『マズイ』みたいな顔をしてたんですよ」
希さんは顎に手を当てて、まるで探偵のような佇まいで思考に沈んだ。
「その女性の特徴は?その子のお姉さんってことはない?」
織原にお姉さんはいない。ホテルの支配人が妹がいると言っていたのは覚えている。妹以外の肉親がいないことも。お姉さん説を否定してから私は希さんに訊かれるがままに、その女性の特徴を語った。
「身長は私くらいで、細身で、綺麗な金髪をサイドテールにしてて、目がぱっちりてしてて、鼻筋が通ってて……」
私は織原と一緒にいたその女性を必死になって思い出す。希さんと同様に顎に手を当てて、俯くようにして女性の特徴を挙げ連ねた。その時、希さんが呆気にとられながら口ずさむ。
「あの人みたいな?」
あの人?
私は控え室に続く長い廊下からこちらに向かってやって来る一行を見た。先頭を歩いているのはスーツ姿の女性で後ろを振り向きながら喋っている。見たところマネージャーのようで、後ろをついて歩くタレントを叱り付けているように見えた。声が聞こえてくる。
「だから言ったでしょ!?遅刻しないでって!この音楽番組は生放送なんだから、そのリハーサルがどれだけ大事かわかってるの!?」
叱られているタレントの姿が鮮明に見えてきた。
──身長は私くらいで、細身で、綺麗な金髪をサイドテールにしてて、目がぱっちりてしてて、鼻筋が通ってて……!!
「この女だ……」
噂の女性がマネージャーらしき女性に謝りながら私の横を通りすぎようとしたその時、私と目があった。
「あ!かたりん!!」
マネージャーは怒りのボルテージが突然焼失したかのように、私達に向かって挨拶をした。
「お疲れ様です!本日は宜しくお願い致します」
突如として面食らった私は、咄嗟に挨拶を返すことしかできなかった。
「こ、こちらこそ宜しくお願いします……」
希さんも挨拶をする。すると例の女は言った。
「うわぁ!のんちゃんもいる!!可愛いなぁ……」
すると希さんは訊いた。
「この前、ディスティニーシーで、男の子と一緒にいませんでした?」
「ちょっと希さん!!」
私が止めに入るが、質問された女は言った。
「え?ディスティニーシーには行きましたけど、女の子と一緒に……ってあぁ!!エド……」
「えど?」
「えっど……たまたま近くにいた男の子と仲良くなってお話してましたね。それがどうかしたんですか?てかやっぱりあの時、目があってたんですねぇ!覚えててくれて嬉しい!!」
私は呆気にとられながらその女性と別れた。
「ほら?偶然パーク内にいただけだったじゃない?その愛美ちゃんには何も伝えなくて良さそうだね?てかかなりの偶然じゃない?テーマパーク内で偶然華多莉ちゃんの想い人と仲良くなった女性とここで出会うなんて」
確かにそうだ。
「って想い人じゃないですよ!!それよりもあの女の人もFMSに出るんですよね?こういう現場では初めて見たかも…希さん知ってます?」
「ん~あんまりテレビ見ないからなぁ……って!ここであんまりそういうこと言わない方が良いよね……何かのインフルエンサーなんじゃない?」
ふ~んと曖昧な返事をして、私は遠ざかっていくその女の背中を見ていた。
──────────────────────────────────────────────────
~天久カミカ視点~
私は今、マーカーのついた全身スーツを着て自分を囲むように並べられたたくさんのカメラ──1台900万円程だと聞いている──の中心にいる。
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原理は一度聞いたことがあるがよくわからなかった。確か、私を取り囲むカメラから赤外線が発せられて、このスーツに付いている赤外線を反射させるマーカーがカメラからの赤外光を反射させて、その動きを読み取る、みたいなことを言っていた。
「軽く動いてみてください」
スタッフさんにそう言われて、アイドルステップを踏んだ後に、コマネチをしてみた。周囲にいるスタッフさんが笑う。
「ありがとうございます。次に声を貰ってもいいですか?」
「あ~、あ~」
ダンスをしながら歌を歌うので、SHUREのヘッドセットマイクに声を発する。左頬から出る細くて心許ない小さなマイクなのだが、十分なボリュームが出る。最近だとK-POPの人が着けてるAKGのヘッドセットマイク等も有名だが、私はこれがお気に入りなのだ。
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しかし年々、視聴率の低下に伴い、豪華なアーティスト達というよりかは話題性で呼ばれる、歌手とは言えないような人達も出演するようになった。チャンネル登録者数が1000万人を超えたユーチューバーや再生回数1億回といった歌手のようなインフルエンサー、そして私みたいなVチューバーだ。
私もチャンネル登録者数が250万人を超えており、テレビの視聴率で言えば約2%の視聴率を保持している計算となる。
ちなみにFMS歌謡祭にVチューバーが出るのは初めてである。他の音楽番組には『ブルーナイツ』のメンバーが出演したことはあるのだが、出演と言っても実際に客席に向かって歌を歌っているわけではなく、映像として放映されるだけにとどまっていた。しかし今回私が出るこのFMS歌謡祭は実際に客席にいる人達に向かってこのモーションキャプチャーを使った映像と共に歌を歌うこととなる。これはテレビ番組では初の試みだ。
私の所属する『LIVER・A・LIVE』が企画、運営する音楽イベントやVチューバー達しか出ない音楽イベントなら何回も出演したことはあるが、私以外の出演者全員が生身なのは初めてだ。
大変なのはスタッフさんで、たった数分しか歌を歌わない私のために馬鹿でかいスクリーンに、このモーションキャプチャー用の部屋とひくほど高い機材まで用意しなければならない。それを準備するだけでも物凄く時間のかかることなのだが、私は遅刻してしまった。このFMS歌謡祭だけでなく様々な案件や他のライバー達との打ち合わせ等をしていて、遅刻してしまったのだ。
しかしそのお陰でもう一度、かたりんに会えたのだ。会えたのだが、まさかあんなことを訊かれるなんて。
『この前、ディスティニーシーで、男の子と一緒にいませんでした?』
厳密に言えばかたりんではなく、斎藤希さんに訊かれたのだが、あれは間違いなくかたりんが私に訊きたかったことだろう。
──そう言えばあの時、エドヴァルドくんの様子がおかしかった気が……
「それでは音源流します、全部歌っても良いですし、途中で切っても構いません。それでは5秒前、4、3……」
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