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しおりを挟む女が馨を個室に案内しようとしたため、凪はその反対方向を歩こうとしたが、馨に手首を掴まれる。
「馨くん、まって!」
「何?」
「僕のいうことに全く耳を傾けてくれない。なんで…?僕のこと嫌いだから?」
「…凪、ごめん
俺、凪と再会してからずっと浮かれてて凪の嫌がるようなことしかできていない」
馨は凪の方を向いて、眉を顰めた。
「あー!かおるん、男の子に乱暴してるぅ!いけないんだあ!」
扉の隙間から顔を出していたのは金髪にしっかりとマスカラが施された丸い大きな目とうっすらとピンクに色づいた頬、薄く小さな唇。ゆで卵のようにツルッとした白い肌の美少女というのに相応しい女が顔を出した。
格好は大胆でスタイルがはっきりとでるヘソの出たTシャツに蛍光色をしたタボっとしたパンツを履いている。耳元には耳を埋め尽くすほどのピアスがついていた。そして、ヘソにもピアスがついている。
凪は思わず少女の方をじっと見てしまう。
「かおるん!ナンパはダメでしょ!!」
かおるん…凪は一体誰のことだろうと考えたが、少女は馨の方を見ている。おそらく馨のあだ名であるが、聞いたことのない愛称に凪は戸惑う。
美少女は頬をぷくっと膨らませ馨を睨みつける。
この少女は馨の彼女なのだろうかとじっと見ていると彼女と視線がぶつかった。
「かおるんのお友達??それとも今から連れ去られようとしてるの?」
彼女は首をコテンと横に傾け凪に問いかけてくる。
「りり、絡んでこないで」
「やだ、かおるんが男の子連れて行って何するかわかんないもーん」
リリと呼ばれた彼女は部屋から出てくると小
柄な身体で長身の馨にギュッと抱きつく。
「やめて、誤解される」
「別にいいじゃん、いつもしてるし、りりとかおるんの仲だよ?」
「じゃあ、今すぐ駿に言いつける」
「なんでそんなこというの!!かおるんの意地悪!!最低!」
2人の間で繰り広げられる会話に凪はついていけずに呆然としてしまう。
「ごめん、凪
こいつのこと気にしなくていいから」
抱きつくりりを腕で遠ざける馨に対して、彼女は絶対離れないとばかりにくっついた。
「やだやだ!!かおるんのお友達とりりも話したい!!」
「だめ、よけないなこと言うでしょ」
「いいからちょっとだけだからっ!!おはなししーたーいー!!」
りりが大きな声で騒ぎ始めたため、馨が咄嗟にりりの口を手で塞ぐ。異様に仲の良さそうな2人に対して凪の胸のうちに何か違和感を感じる。それを気のせいだと感じて流した。
「ね?いいよね?」
顔を至近距離まで近づけられて凪はどう断ればいいのかわからない。
「凪断っていいよ
全然大丈夫だから」
「いやだ、断らないで」
美形の2人に同時に視線を向けられ凪は困惑するしかない。
「あの、私先に部屋戻りますね!」
その場に立ち尽くしていた合コン相手の女子はその場にいるのが気まずくなったのか苦笑いを浮かべて足早に個室の方へと戻ってしまった。
数秒の沈黙が流れた時、その場に電子音が響き渡った。
「あ、俺の携帯だ」
馨は携帯をポケットから取り出し、その画面を見ると顔を顰めた。
「かおるん、誰から電話~?」
りりが間延びした声で問いかけると馨は無言で彼女の方へと画面を向けた。
画面を見たりりも顔を顰める。
「大変だね、早く電話出てあげなよ~」
「凪、ごめん
ちょっとだけ待ってて、電話してすぐ戻ってくるから
お願いだから帰らないで」
「あ、ちょっと!!」
凪は慌てて馨を引き止めようと声をかけたが、それを聞くこともなく馨は再び店の出口の方へと向かってしまう。
「やった、ナイスタイミング
じゃありりとお話ししよっ!」
りりは凪の腕に手を回し、自分たちの個室の方へと凪を連れて行こうとする。
「あの、ちょっと待ってください!
デート中なのにいいんですか?」
「デート中?誰と誰がデート中なの?」
りりは凪を見上げると可愛らしく首をコテンと傾げた。
「えっと…馨くんとりりさん?が…」
りりは何を言っているのか理解できていないようで数秒の間があいた。
そして、しばらくの沈黙が流れた後、りりは「え!!」と大きな声を上げた。その声に驚き凪は肩をびくんと揺らす。
「もしかしてかおるんとりりが付き合ってると思ってるの?!」
「…はい」
凪がりりの顔を伺うようにして問いかけるとりりはあははと高い声をあげて笑い出した。
「かおるんのこと、大大大好きだけどカップルじゃないよ~
かおるんはね、恋人は一切作らない主義なんだよ~だからりりとかおるんはベスフレって感じ!」
なぜあれほどモテるのに恋人を作らないのか凪は不思議に感じたが、りりは考える暇も与えず質問をする。
「名前はなんていうの~?」
「小鳥遊凪って言います…」
「どういう字かくの?」
「小鳥に遊ぶって書いてたかなしで凪はわかりにくいかもしれないのですが、夕凪の凪です」
「えー!!超可愛い名前!じゃあ小鳥ちゃんね!なぎって名前も可愛くてぴったりだけど、小鳥ちゃんは見た目も小鳥って感じで可愛いもん」
理由はいまいち理解できなかったが、小鳥ちゃんなんて呼ばれたことのない相性に凪は困惑した。
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