【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ

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「ここで話すのもなんだから一緒にこっちで話そ?ね?」


りりの癖となっているのだろう首の傾げにやはり凪の断る術がない。

仕方なく首を縦に振った。自分のはっきりと断れない性格に嫌気を感じながらも、馨は凪が知らない間どのようなことをしていたのかに興味があった。

りりが個室を開くとまだ食事途中なのか皿の上には少しの食材が残っていた。
りりと馨の2人だけにしては多い品数に凪は少しの疑問を持った。


「あのね、本当は3人でご飯に来てたんだけど、ルイは今、これでお留守なの」


りりは口元に何か加えるような仕草をして、ふうと天井に向かって煙を吐く仕草をしたため、その人がタバコを吸いに行っていると言うことがわかった。


「ルイ?」

「うん、りりのベスフレ!」


りりは満面の笑みを馨に向ける。
もう1人、りりのようなタイプの人間がいると思うと凪の心は少しすくんだ。


「あの…さっきから言っているそのベスフレっていうのはどういう意味ですか?」

「ん?ベスフレはベストフレンドっていうことだよ!つまりは親友!」


りりはいたずらっ子のような表情をすると、凪の方を人差し指で指差した。


「そうなんですね…ベスフレ…」

「そうそう、小鳥ちゃんも使ってみて、ベスフレね!」

「…はい」


おそらく使わないだろうと思いつつ、凪は適当な返事を返した。


「小鳥ちゃん、なんか食べる?
ていうか、誰かとご飯来てたんだよね?誰と誰と?さては恋人!??」


りりから数個の質問を一気にされ、真面目な凪は何から答えるべきか頭が混乱する。


「えっと、まずはご飯は軽く食べているので大丈夫ですっ。次に合コンでここに来ました。最後に合コンなので恋人ではないです…」


凪は必死に頭を働かせながら順序よく質問に答えた。するとりりがぷっと吹き出す。


「小鳥ちゃん必死で可愛い!困らせちゃってごめんね」
 

りりは立ち上がると凪の頭をポンポンと撫でた。
異性から頭を撫でられることなんて初めてだった凪はほんのりと顔を赤らめる。


「小鳥ちゃんっていちいち反応可愛いね!りり、可愛い子大好きなの!」


りりは凪に突然抱きつく。


「りりさん??!」

「ごめんね、びっくりした?
可愛い子見ると抱きつきたくなっちゃうの!」


りりは悪気のない顔で笑顔を見せて、凪から離れていく。
顔を真っ赤に染めた凪の顔を見てて、えへへとまたいたずらっ子のような笑みを浮かべ再び椅子に座る。

りりから香った甘いベリーのような香りに凪の頬はさらにほてった。


「小鳥ちゃんはかおるんのお友達なんでしょ?」

「お友達というかなんというか、ただの中学生の頃の同級生なんです
同窓会に行ったらたまたま再会して」

「中学の頃…?」


その話を聞いてりりは考え込むような表情した後、何かを思い出したようにハッとした表情を浮かべた。


「あ!!じゃあ、かおるんの大好きちゃんのこと知ってる??!」

「大好きちゃん…??」

一体なんのことなのか、凪は首を傾げた。それにベスフレに続き大好きちゃんという言語にも聞き覚えがない。

ベスフレと同じような親友という意味なのかと思い凪は馨の仲良かったような人を思い浮かべるが、特別仲良くしているような人物が思い浮かばなかった。


「大好きちゃんってかおるんが好きな人だよ。もちろんラブの意味で!!」

「好きな人…?」

誰かに思いを馳せている様子は見なかったが、もしかしたら好きな人がいたのかもしれない。

凪の胸には何故かズキンとした痛みが走った。
何故そんなことに傷つく必要があるのか、凪にはわからなかった。馨が誰を好きだとしてもどうでもいいはずなのに。


「そう。かおるんはね大好きちゃんに対してずっっっと後悔してるんだよ」

「…何をですか?」

「大好きちゃんに周りの言いなりになって嫌な想い沢山させてきたし、素直に思いも伝えられなかったし、守ってもあげられなかったっていつも後悔してる。そのとき、かおるんすごく悲しそうな顔するんだ。
だからね、りりは終わったこと後悔してもしょうがないんだから、その子こと忘れるためにいろんな女の子と付き合ってみなよって言ったの。恋愛の傷を忘れるためには恋愛がいいっていうでしょ?」


誰とも付き合ったことがない凪にはその感覚はわからないが、とりあえず頷いた。


「だからそう言ってみても大好きちゃんにしか興味がないし、ちゃんと謝るまで誰とも付き合わないって。でも、大好きちゃんはすごくすごく素敵すぎるし、ベリーキュートな子だから近寄ったら緊張してボロしか出ないし、言いたいこと言えないしとか意味不明なこと言ってるの!」


りりは身振り手振りをつけて語りながらグラスに入ったオレンジュースを手に取り、ストローを吸い込む。
飲み終わりグラスをテーブルに置いたりりは何故か口の端を曲げて肩を落とした。


「かおるんも頑固だよねえ。
小鳥ちゃんが何か情報知ってるかなって思ったんだけど…」

「すいません。僕には見当がつかないです…」


そう呟きつつ、馨に一つ文句が言いたくなった。
なぜ数年も追い続けるほど好きな人がいるというのに、自分に対して思わせぶりなことばかりを言ってくるのか全くもって理解できなかった。

膝の上に置かれた手を強く握りしめ、震えそうになる体をグッと堪えた。
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