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しおりを挟む隣で着替える楓が細身でスタイルのいい筋肉質な上半身をさらしながら横目で琥珀を横目で見る。
また何か余計なことを言われるのではないのかと、無意識に威嚇すると楓が口を開いた。
「こは、俺思うんだけどさ」
「ん?」
「いや、やっぱり大丈夫
でもさ、気をつけたほうがいいよ
今は牙を隠してるだけかもしれないしさ」
琥珀は楓の言葉をよく理解できずに、その言葉を聞き流してし、ジャージを着たことで上機嫌のまま更衣室を出て行った。
体育の授業が終わり、廊下を歩いていると目の前から教科書を持った美沙が歩いてきた。男子たちが美沙の姿を見て活気だつ声を上げる中、美沙は琥珀の目の前で立ち止まる。
「んだよ、邪魔
どけよ」
いつもは口元に余裕の笑みを含んでいる美沙が笑顔をなくし、琥珀のジャージに刺繍された佐伯という字を冷たい目でじっと見つめる。
「なんだよ、どけって」
「琥珀くん、放課後ちょっと時間ある?」
なんの脈絡もなしにそんなことを言われ、琥珀は首を傾げた。
「なんでお前に時間使わないといけないの?」
「ちょっと話があるから」
「嫌だね」
「そうなんだ、琥珀くんがいいなら別にいいけど」
そんな言い方をされると、単純な性格の琥珀は少し内容が気になってしまう。
「どんな内容の話だよ」
「それは放課後に話すから。今ここじゃ話しにくいし
テニスコートの近くに来てもらってもいい?」
「…わかった」
琥珀はしばらく間を置いて返事をする。
2人はその後、特に何も話すことなく別れた。
そして、放課後
テニス部が部活を始めようとしているが、部員たちからは目につきにくい場所に立って美沙がくるのを待つ。
しばらく待っていると、美沙が現れた。
琥珀を見つけると、軽く視線を送るだけで手を振ってきたりなどはしない。
「で、話って何?
さっさとしろよ」
「今日、慶也のジャージ着てたと思うんだけどなんでかな?
ちょっと気になっちゃったんだ」
美沙は無表情だった顔に偽りの笑顔を貼り付ける。
「そんなことで俺を呼び出したのかよ」
「そんなことじゃないでしょ
だって彼女なんだから
私から慶也に返しておくからそのジャージ貸してくれる?」
「嫌だよ
これは俺が借りたんだから、俺から慶也に返す」
「だから、そう言うのがい…って…の」
美沙が小さな声でつぶやいたが琥珀にはところどころしか聞き取れなかった。
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