【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ

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「琥珀くん…俺は琥珀くんの嫌がるようなことは絶対にしたくありません。俺がこれ以上近づくことがもし嫌であれば、嫌だとはっきり告げてほしいです。」


昴がそう告げると、琥珀は大きく目を見開いた。次の瞬間、間髪入れずに言葉を返す。


「嫌なわけない! 昴のこと大好きだから。」


琥珀の言葉に、昴は驚きのあまり碧色の瞳を見開いた。まるで予想もしていなかったかのように。陶器のように白い頬は、一気に熱を持ち、みるみるうちに赤く染まる。


「大好き、すごく大好き。」


涙の跡を残したままの顔で琥珀はそう繰り返しながら、昴の首元に腕を回した。その行為に完全に固まってしまった昴の耳まで赤く染まる。


「っ……ちょっと、琥珀くん、それは……!!」


耐え切れなくなった昴は、片手で顔を覆い隠しながら自身の感情を落ち着かせるため、顔を天井の方へと向けた。しばらくその体制でいた後、ふとした衝動に駆られたように、琥珀の背中に腕を回し、さらに膝の裏にも手を添えると、そのまま軽々と持ち上げた。


「……!?」


琥珀は突然の出来事に驚き、困惑の表情を浮かべながら昴の首元にさらに強くしがみつく。まるで小動物のように震える。


「琥珀くん、あまりにも刺激が強すぎませんか?」

「え?」

「あなたがもし無意識で他の男にそんなことをしているのだとしたら……俺はきっと狂いそうなほど嫉妬してしまう。琥珀くんの行動の一つ一つ、言葉の一つ一つが、あまりにも愛おしすぎるんです。」


耳元で呟かれる昴の低く甘い囁きに、琥珀は再び頬を染めた。しかし、その言葉が嬉しくないはずがない。

昴は琥珀をベッドの上にそっと降ろすと、そのまま上から覆い被さった。そして再び、顔を至近距離まで近づける。だが、琥珀は昴から顔を逸らした。


「俺の顔、変じゃない……?」


琥珀が不安そうに問いかける。先ほどまでの涙のせいで、瞼はほんのり腫れ、頬には美沙に叩かれたことによる赤みが残っていた。


「全く変じゃありません。むしろ、ますます愛おしいですよ。琥珀くんの姿も、表情も、どんな形であろうと、琥珀くんという存在そのものに変わりはないんですから。」


昴はそう言いながら、琥珀の頬を優しく撫で、顎を指先で軽く触れると正面を向かせた。その仕草は、まるで壊れやすい宝石に触れるかのように繊細だった。


「昴……」


琥珀は昴の瞳をじっと見つめた後、そっと昴の頬を両手で包み込む。そして、ゆっくりと顔を引き寄せた。


「昴……俺のこと、好き?」

「……当たり前です。愛してますよ。そうやって何度も伝えているでしょう?」


昴はやや拗ねたような口調で答えた。その声に琥珀は蕩けるような笑みを浮かべる。


「昴、耳貸して。」


琥珀にそう言われ、昴はおとなしく耳を近づけた。すると、琥珀はそっと囁く。


「俺も大好き。」

「……っ!!!」


その瞬間、昴は目を見開き、勢いよく起き上がった。真っ赤になった顔を両手で覆い隠し、まるで動揺を隠すように袖で口元を押さえる。その様子があまりに可愛らしくて、琥珀は小さく笑った。


「俺のこと、嫌い……?」

「嫌いなわけない!!」


昴は思わず声を荒げた。しかし、言い切った直後にハッとした顔をする。


「……すみません、いきなり大声を出したから怖かったですよね?」


眉を八の字に曲げる昴に、琥珀は静かに腕を伸ばし、昴の腰に回して引き寄せた。


「俺から逃げないで……」


琥珀の掠れた声が、昴の耳に届く。


「逃げるわけないでしょう。こんな天使に囚われたら、もう逃げることなんてできません。むしろ、捕まえておくことで必死なのですから。」

「……昴、俺、昴のこと友達としてだけじゃなくて、恋愛的な意味で大好きだって言ったら、どうする?」


その言葉に、昴の瞳が大きく揺れる。そして、すぐに真剣な表情へと変わった。


「それは本当ですか? 無理してない?」


昴は動揺を隠しつつ、できるだけ落ち着いた声で琥珀に語りかける。


「うん。」

「……もし無理やり言っているのだとしたら、俺はその言葉を受け止めたくないです。」


そう言いながら、昴は再び琥珀と額を合わせた。その体が微かに震えているのが伝わってくる。だが、その瞳には、これまでにはないほどの真剣な光が宿っていた。


「昴。俺は無理なんてしてない。昴のことが好き。」


琥珀は、昴の目を見てはっきりと告げた。その言葉が嘘ではないことを証明するかのように。

昴は息をのむ。その瞳は、かすかに潤んでいるように見えた。そして、次の瞬間。

昴は、力が抜けたように琥珀の方へと倒れ込んだ。


「……っ!」


体重がかかり、重いはずなのに、琥珀はその重みすら愛おしく感じてしまう。思わず、ぎゅっと強く抱きしめた。


「俺は……こんなに幸せでいいんでしょうか?」


昴は、琥珀の耳元で力なく囁く。その声は、今にも消えてしまいそうなほどに儚かった。


「昴、俺のことも幸せにしてくれる?」


琥珀がそう尋ねると、昴は迷いなく答える。


「もちろんです。」


その言葉の直後、昴は琥珀の頭の両脇に手をつく。そして、片手をそっと琥珀の後頭部に回し、自分の顔を近づけた。

そして――。

琥珀の緊張で震える唇に、自身の唇を柔らかく重ねた。

それは、まるで確かめるように、そして誓うような、甘くて温かい口づけだった。

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