18 / 45
18、リュークという人
しおりを挟む
ダイアナと村に行った帰りだ。手紙を出す用を済ませ、そこで、配達前の手紙を幾つか受け取った。母のものに交じり、姉宛のものがあった。ハミルトン氏の娘ジュリアからのものだった。
それらを手に、通りを歩く。行き合った商店の人が声をかける。
「スタイルズのお嬢様。奥様に、明日のご注文は確かに承りましたとお伝え下さい」
「母は何を頼んだの?」
「ご招待をなさるそうで。品のいい魚をご注文です」
姉妹は顔を見合わせる。母から誰かを招いての晩餐のことは聞いていない。高価な魚を注文するのは、母がちょっと気を入れた招待の証拠だ。
誰であれ、近隣の人物には違いない。
(ダイアナの件で、とうとうキースがお母様に打ち明けたのかも)
母は姉の心情は知らないはずで、キースからの求婚は願ってもない良縁に思えるだろう。
村外れの草原に出た。そこでエヴィを連れたリュークと行き合った。
挨拶を交わし、連れ立って家路に向かう。少し先をエヴィが駆ける。
リュークの登場に、エマは少し二人から距離を取った。姉の気持ちは知っていた。しかし、彼が姉を気に入っていることも事実だ。
(リュークさんは素敵だもの。ダイアナの気持ちだって、どう変わるかわからない)
ボンネットを押さえ、教誨師館の屋根に目をやった。
不意に彼女に声がかかった。リュークだ。
「村へは何か用事で?」
「ええ。手紙を出しに。散歩がてら、手紙の配達を待たずに行くことも多いのです」
「村まで結構距離があるのに、この辺りの女性はよく歩きますね」
「そうかしら? 外を知らないので。慣れているから、何とも思わずにいました」
「エヴィはここで育って、幸せだ」
「そう思って下さると、わたしたちは嬉しいですわ」
言葉を返しながら、エマには自分にばかり話しかけるリュークが意外だった。彼女を無視しない儀礼的な会話には、少し長すぎる気がした。
そこで、ダイアナが言う。
「エマ。わたし、先に帰ってもいいかしら? 手紙を読んでしまいたくて」
姉の手にはジュリアからの手紙があった。彼女は驚いたが、納得のいく思いつきだ。ジュリアからの手紙には、再びハミルトン氏からの便りも入っているかもしれないのだから。
「ええ」
「じゃあ、リュークさん、よろしければ我が家へお茶に寄っていらして」
「はい、伺います」
先を小走りに行くダイアナの背をエヴィが追いかけた。館にいるアシェルに会いたいのだろう。少女は振り返り、父親に手を振った。声の届かないほど距離が出来た。二人は手を取り歩いて行く。
エマの歩調に合わせ、リュークはゆっくりと歩く。
「エヴィは朗らかで活発ないい子ですね」
「ああ、そのようです。ミス・ハンナの教育もいいのでしょう。兄が甘やかし過ぎるように思うが、まあ、たまにしか会えないわたしには文句も言えない」
「我が家の父が亡くなったのは、アシェルが三歳でした。奥様はエヴィの幾つの時にお亡くなりに?」
リュークの返事がない。立ち入ったことを尋ねたのか、とエマは慌てた。妻の死は、それを送った夫には神聖な事柄のはず。エヴィの話の延長のつもりで、つい口にしてしまった。
「ごめんなさい。失礼でしたわ。今のは忘れて下さい」
「いや。それは誰から聞いたのですか? 兄がそのように?」
怪訝そうな声だ。彼を見上げると困った表情を見せる。不快な様子はなかった。
「妻は死んでいませんよ。いや、元妻か」
「え」
次はエマが困る番だった。
バート氏は姪を、母のいない子と紹介した。単純にそれをエマたちは母親を亡くしたのだと受け取った。
誤解の元になったのは、アシェルの存在だ。弟もより幼い頃に父を亡くしていることから、勝手にそう理解した。
(そういえば、ウェリントン領地の晩餐でエヴィのお母様の話が出て、バートさんが困ったお顔を見せたことがあった)
その場にいたベルが会話を逸らせ、その話はそれきりになった。あの違和感はここにつながるのか。
(離婚なさったのだわ)
死別でなくても、個人の繊細な部分の話題だ。他人が易々と触れていいものではない。
エマは居心地が悪くなった。やや俯いて、なだらかな草原を見つめる振りをした。
「兄が説明したものだと思っていました。ダイアナさんもエヴィを影のない気丈な子だと褒めてくれたが、去った元妻のことを指すのだとばかり」
ダイアナの場合、ハミルトン家の幼い姉妹のことも念頭にあったに違いない。彼女たちも母を亡くしているからだ。
エマは十分言葉を選んだ後で言った。
「エヴィはお母様に会うことはありますの?」
「会わせる気はありません。兄も許さないでしょう」
断言するように返され、彼女はまた言葉を失う。先に帰ってしまったダイアナを羨ましく思った。
「隠す気はないから言います。元妻はわたしが軍務に就いている間に、エヴィを置いて逃げたのです。あの子がまだ赤ん坊の頃だ」
エマは驚きに口元を指で覆った。幼い我が子を、どんな理由があれば置き去りに出来るのだろう。
彼女の様子をちらりと眺め、リュークは淡々とつないだ。
「兄が艦を下りる三年前までは、姉が面倒を見てくれました。その後は、兄が育ててくれています」
「……元の奥様はどうして?」
「さあ。軍人の妻の生活が理想とは違い、虚しくなったのでしょう。そんなようなことが手紙に書いてありました。我々は年の半分以上は海に出る。待つのが務めだとは知っていたはずなのに」
夫の帰宅を待ち侘びる妻側の寂しさ辛さは、同じ女性として理解出来る。しかし、だからといって子供を置き去りにして家を出るのは、許されることではない。
(リュークさんたちが、エヴィをお母様に会わせたくないと言うのも当然だわ)
それらを聞き、エマもダイアナがエヴィに持った印象と同じものを感じる。
「姉の言うように、やはりエヴィは影のない気丈な子ですわ。もちろん、育った環境も良いのでしょうね」
「姉は街暮らしです。利便性はあるが都会は奢侈に流され易い気がして、わたしは好みません。引き取った兄も、エヴィのことを考えて田舎の土地を探したそうです」
「ふふ。田舎では牛を前に着飾ってもしょうがないもの」
自嘲したのでも自虐な訳でもない。彼の言葉が彼女の持つ感覚に合ったから、自然に出た軽口だった。
リュークはエマの言葉に笑った。
「勘違いしないでほしい。こちらを家畜だらけと言っているのではないのだから。こちらの社交界は魅力的ですよ。善良な人々が集ってのどかに過ごしている。あの兄も牙を抜かれて、すっかり好々爺めいてきた」
「でも悪人もいますわ」
「どんな?」
「村の商店で会計を誤魔化す夫人とか……。よそのお宅のシガーを何本も上着に仕舞い込む方もいます」
リュークが肩を揺らして、長くおかしがっている。
何か妙なことでも言ったのかと、彼女は首を傾げた。
やっと笑いを引っ込めた彼が、呟いた。
「それは大悪人だ」
それらを手に、通りを歩く。行き合った商店の人が声をかける。
「スタイルズのお嬢様。奥様に、明日のご注文は確かに承りましたとお伝え下さい」
「母は何を頼んだの?」
「ご招待をなさるそうで。品のいい魚をご注文です」
姉妹は顔を見合わせる。母から誰かを招いての晩餐のことは聞いていない。高価な魚を注文するのは、母がちょっと気を入れた招待の証拠だ。
誰であれ、近隣の人物には違いない。
(ダイアナの件で、とうとうキースがお母様に打ち明けたのかも)
母は姉の心情は知らないはずで、キースからの求婚は願ってもない良縁に思えるだろう。
村外れの草原に出た。そこでエヴィを連れたリュークと行き合った。
挨拶を交わし、連れ立って家路に向かう。少し先をエヴィが駆ける。
リュークの登場に、エマは少し二人から距離を取った。姉の気持ちは知っていた。しかし、彼が姉を気に入っていることも事実だ。
(リュークさんは素敵だもの。ダイアナの気持ちだって、どう変わるかわからない)
ボンネットを押さえ、教誨師館の屋根に目をやった。
不意に彼女に声がかかった。リュークだ。
「村へは何か用事で?」
「ええ。手紙を出しに。散歩がてら、手紙の配達を待たずに行くことも多いのです」
「村まで結構距離があるのに、この辺りの女性はよく歩きますね」
「そうかしら? 外を知らないので。慣れているから、何とも思わずにいました」
「エヴィはここで育って、幸せだ」
「そう思って下さると、わたしたちは嬉しいですわ」
言葉を返しながら、エマには自分にばかり話しかけるリュークが意外だった。彼女を無視しない儀礼的な会話には、少し長すぎる気がした。
そこで、ダイアナが言う。
「エマ。わたし、先に帰ってもいいかしら? 手紙を読んでしまいたくて」
姉の手にはジュリアからの手紙があった。彼女は驚いたが、納得のいく思いつきだ。ジュリアからの手紙には、再びハミルトン氏からの便りも入っているかもしれないのだから。
「ええ」
「じゃあ、リュークさん、よろしければ我が家へお茶に寄っていらして」
「はい、伺います」
先を小走りに行くダイアナの背をエヴィが追いかけた。館にいるアシェルに会いたいのだろう。少女は振り返り、父親に手を振った。声の届かないほど距離が出来た。二人は手を取り歩いて行く。
エマの歩調に合わせ、リュークはゆっくりと歩く。
「エヴィは朗らかで活発ないい子ですね」
「ああ、そのようです。ミス・ハンナの教育もいいのでしょう。兄が甘やかし過ぎるように思うが、まあ、たまにしか会えないわたしには文句も言えない」
「我が家の父が亡くなったのは、アシェルが三歳でした。奥様はエヴィの幾つの時にお亡くなりに?」
リュークの返事がない。立ち入ったことを尋ねたのか、とエマは慌てた。妻の死は、それを送った夫には神聖な事柄のはず。エヴィの話の延長のつもりで、つい口にしてしまった。
「ごめんなさい。失礼でしたわ。今のは忘れて下さい」
「いや。それは誰から聞いたのですか? 兄がそのように?」
怪訝そうな声だ。彼を見上げると困った表情を見せる。不快な様子はなかった。
「妻は死んでいませんよ。いや、元妻か」
「え」
次はエマが困る番だった。
バート氏は姪を、母のいない子と紹介した。単純にそれをエマたちは母親を亡くしたのだと受け取った。
誤解の元になったのは、アシェルの存在だ。弟もより幼い頃に父を亡くしていることから、勝手にそう理解した。
(そういえば、ウェリントン領地の晩餐でエヴィのお母様の話が出て、バートさんが困ったお顔を見せたことがあった)
その場にいたベルが会話を逸らせ、その話はそれきりになった。あの違和感はここにつながるのか。
(離婚なさったのだわ)
死別でなくても、個人の繊細な部分の話題だ。他人が易々と触れていいものではない。
エマは居心地が悪くなった。やや俯いて、なだらかな草原を見つめる振りをした。
「兄が説明したものだと思っていました。ダイアナさんもエヴィを影のない気丈な子だと褒めてくれたが、去った元妻のことを指すのだとばかり」
ダイアナの場合、ハミルトン家の幼い姉妹のことも念頭にあったに違いない。彼女たちも母を亡くしているからだ。
エマは十分言葉を選んだ後で言った。
「エヴィはお母様に会うことはありますの?」
「会わせる気はありません。兄も許さないでしょう」
断言するように返され、彼女はまた言葉を失う。先に帰ってしまったダイアナを羨ましく思った。
「隠す気はないから言います。元妻はわたしが軍務に就いている間に、エヴィを置いて逃げたのです。あの子がまだ赤ん坊の頃だ」
エマは驚きに口元を指で覆った。幼い我が子を、どんな理由があれば置き去りに出来るのだろう。
彼女の様子をちらりと眺め、リュークは淡々とつないだ。
「兄が艦を下りる三年前までは、姉が面倒を見てくれました。その後は、兄が育ててくれています」
「……元の奥様はどうして?」
「さあ。軍人の妻の生活が理想とは違い、虚しくなったのでしょう。そんなようなことが手紙に書いてありました。我々は年の半分以上は海に出る。待つのが務めだとは知っていたはずなのに」
夫の帰宅を待ち侘びる妻側の寂しさ辛さは、同じ女性として理解出来る。しかし、だからといって子供を置き去りにして家を出るのは、許されることではない。
(リュークさんたちが、エヴィをお母様に会わせたくないと言うのも当然だわ)
それらを聞き、エマもダイアナがエヴィに持った印象と同じものを感じる。
「姉の言うように、やはりエヴィは影のない気丈な子ですわ。もちろん、育った環境も良いのでしょうね」
「姉は街暮らしです。利便性はあるが都会は奢侈に流され易い気がして、わたしは好みません。引き取った兄も、エヴィのことを考えて田舎の土地を探したそうです」
「ふふ。田舎では牛を前に着飾ってもしょうがないもの」
自嘲したのでも自虐な訳でもない。彼の言葉が彼女の持つ感覚に合ったから、自然に出た軽口だった。
リュークはエマの言葉に笑った。
「勘違いしないでほしい。こちらを家畜だらけと言っているのではないのだから。こちらの社交界は魅力的ですよ。善良な人々が集ってのどかに過ごしている。あの兄も牙を抜かれて、すっかり好々爺めいてきた」
「でも悪人もいますわ」
「どんな?」
「村の商店で会計を誤魔化す夫人とか……。よそのお宅のシガーを何本も上着に仕舞い込む方もいます」
リュークが肩を揺らして、長くおかしがっている。
何か妙なことでも言ったのかと、彼女は首を傾げた。
やっと笑いを引っ込めた彼が、呟いた。
「それは大悪人だ」
17
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
婚約破棄された令嬢は、ざまぁの先で国を動かす ――元王太子の後悔が届かないほど、私は前へ進みます』
ふわふわ
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢ロザリーは、
王太子エドワードの婚約者として完璧に役目を果たしてきた――はずだった。
しかし彼女に返ってきたのは、
「聖女」と名乗る平民の少女に心酔した王太子からの一方的な婚約破棄。
感情論と神託に振り回され、
これまでロザリーが支えてきた国政はたちまち混乱していく。
けれど、ロザリーは泣かない。縋らない。復讐に溺れもしない。
「では、私は“必要な場所”へ行きますわ」
冷静に、淡々と、
彼女は“正しい判断”と“責任の取り方”だけで評価を積み上げ、
やがて王太子すら手を出せない国政の中枢へ――。
感情で選んだ王太子は静かに失墜し、
理性で積み上げた令嬢は、誰にも代替できない存在になる。
これは、
怒鳴らない、晒さない、断罪しない。
それでも確実に差がついていく、**強くて静かな「ざまぁ」**の物語。
婚約破棄の先に待っていたのは、
恋愛の勝利ではなく、
「私がいなくても国が回る」ほどの完成された未来だった。
――ざまぁの、そのさらに先へ進む令嬢の物語。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
竜帝と番ではない妃
ひとみん
恋愛
水野江里は異世界の二柱の神様に魂を創られた、神の愛し子だった。
別の世界に産まれ、死ぬはずだった江里は本来生まれる世界へ転移される。
そこで出会う獣人や竜人達との縁を結びながらも、スローライフを満喫する予定が・・・
ほのぼの日常系なお話です。設定ゆるゆるですので、許せる方のみどうぞ!
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる