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トンネルの幽霊1
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トンネルの幽霊1
「幽霊?」
学校帰りの道を歩いている時、真治がすっとんきょうな声を出す。
「出るらしいぞ。しかも女の子の幽霊なんだって」
橘高重がちょっと得意気な顔をして、耳にしたうわさ話を語りだす。それによると夜になったら○○トンネル内に小6か中1くらいの女の子がボッ! っと出現するらしい。
「全体がボーッと青白いんだってさ」
「へぇ~」
「生きている人間とは思えない、だけど異常にうつくしいって感じらしいぞ」
「へぇ~」
一見すると真治はへっちゃら! って態度。そんなのいるわけないじゃん、ハハハハ! と余裕ぶっている。でも頬にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「こっち、こっち」
重が真治の白いTシャツをグッと掴み、歩くコースに変更をもたらした。見てどうするんだよ……とイヤがる真治を連れて、○○トンネルに寄り道身。
午後3時20分、晴天の明るさによって恐怖感は少し薄らぐ。でもトンネルってやつは、この時間帯に見ても小さいながらのホラーチックは持っている。
「昼間はどこかに潜んでいるのかなぁ」
うす暗いトンネル内を歩きながら、重は幽霊と出会いたいってフンイキを丸出し。
「な、なに? 幽霊にあってどうしようっていうのさ」
ひんやりって冷たさ、出口まで油断ができない緊張感、それらにドキドキする真治が問う。
「いやぁ、かわいい女の子っていうんだったら見てみたいと思わない?」
「べ、べつに……」
「もしさ、その幽霊の女の子が、かわいい上に巨乳だったらどうする?」
「え?」
「もしそうだったら、おれ……つき合ってもらおうかなと思って」
「はぁ? 幽霊とつき合うって……」
「いや、たとえ幽霊でもかわいくて巨乳って女の子だったら、おれ……真剣になるぞ」
「まったく橘高ってやつは……」
やれやれと呆れている真治だが、心の中ではピリピリっと感じていた。つまり重の言った事に同意できるという意識を隠し持つ。
「それでさ真治、夜になってからここに来ないか?」
「え、え、夜って……何時くらい?」
「そうだなぁ、夜10時くらいとか」
「それムリ。だって親が起きてるしお姉ちゃんだっているもん。そんな時間に外へは出られない。橘高だっていっしょだろう?」
「あ、言われてみたらそうだ……じゃぁ、家族が寝静まった午前1時だったらどうよ?」
「午前1時? マジで?」
「あ、どうした真治、震えてるのか? もしかしてガクブルですか? もしかしてオシッコもらしそうって怖いんですか?」
クククっと笑うのみならず、ちょびっと見下したような目をする。そんなモノを下から上へ流すようにして、イヤらしく向けてやれば真治のプライドをツンツンする効果あり。
「あーははははは、あーははははは、あーははははは、あーははははは」
わざと大声で重が笑う。それはトンネルという場所では見事なまでによーく不気味に響いた。ここでクラシックコンサートをやったら、ハイレゾ音源になる? と思わせるほどきれい。
「わかったよ……い、行くよ」
真治が渋々応じることにしたら、重は大声を出すのを止めた。それからおれに任せておけとか言い出す。護身用にコルクガン(射的ピストル)を持ってくると宣言。
「幽霊にコルクガン撃って効くわけ?」
真治のキブンが半分くらい沈みかける。でも重は大マジメに言うのだった。
「今どきの幽霊は何があるかわかんない。逆に言うと、どんな攻撃も通じる可能性あり。この間のテレビで、幽霊研究者ってエライ先生が言ってたぞ!」
こうして小学4年生の2人は、午前1時なんて時間帯に待ち合わせすると話をつける。そして以下の事をやろうと、あらかじめ決めて頭に入れておく。本番で取り乱したりしないためだ。
ー計画ー
・幽霊が出たらスマホで撮影
・かわいくて巨乳な女の子だったら、重がおつき合いを申し出る
・もし幽霊が凶暴だったら、コルクガンで攻撃しながら逃げる。
・おつき合いができずとも、撮影だけは出来ていた! というなら、動画はユーチューブにアップ。それで金を稼いで甘い汁を吸う。
ー以上ー
こうして迎えた午後8時過ぎ、真治が計画していた演技を開始。わざとしんどそうな顔をこしらえ、居間でテレビを見ている家族全員に見せつけていう。
「ぅ……きょうは、なんかすごくしんどい……調子悪いみたいだから、早く寝ることにする」
それはナイス! と絶賛されてもおかしくない演技力だった。父と母はカンペキに信じたと見受けられる。では最後の厄介者、姉の優子はどうだろうか?
「だいじょうぶなの?」
セリフは弟を心配してくれている。言うなればやさしいナイチンゲール予備軍。でもなんとなく声色とか、向けてくる目が問題。まるで刑事みたいにちょっと疑っているように伝わってくる。
「うん、だいじょうぶ。心配してくれてありがとう」
あえて演技を過剰なモノにした。かわいく素直に振る舞うことで、病人はチヤホヤされることを真治は知っていたのだ。
こうして部屋に戻ったら寝る前にがっちり目覚まし時計をセット。なんせ午前1時に待ち合わせだ。余裕もって午前0時20分には起きねばならない。目覚ましを忘れたらまず起きられないだろう。
「さてと……寝るか」
起きてすぐ動けるようにTシャツとパンツ一枚でベッドに潜り込む。そうして全然寝つけないって苦しみにイライラ。
「なんかなぁ……行くのが面倒くさいなぁ……」
だんだんイヤになってきた。
「たまには約束をやぶっても罪にはならないはず」
そうだそうだ、くだらない話なんか薄っぺらい紙みたいに破り捨てろ! って声が脳に響いてくる。でもそこで生真面目な意識が善人ボイスを脳に響かせた。約束を守れない人間は誰からも愛してもらえないよ? なんて、良心ってモノをビリビリ震わせる。
「やっぱり行こうっと……約束は守らなきゃ……」
ググっとベッドに潜り込み、かわいくて巨乳な幽霊に会えますように! と祈って目を閉じた。その祈りが聞き入れられたのか、びっくりするほど急激な眠気が発生。スッテンコロリンと転がり落ちるように、真治は眠りに突入。
ーそうして迎えた午前0時20分ー
ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ。
目覚ましが鳴り響く。気持ちよく寝入っていた真治は、快楽をぶっ壊され脳がジュワっと感に満ちる。死にそうって目をしながら、唸っている目覚ましのスイッチを叩く。
「あうぅ……」
ひとまずベッドから立ち上がりはした。そうして真夜中の世界にのみ生じる絵心的な空気をヒシヒシと感じた。月明かりってモノに照らされるカーテンは、美しさと怖さをいっしょに伝えてくれる。
「よし、行こう」
ズボンにくつ下をチャチャっと装着すると、ソーッと部屋のドアを開ける。ゆっくり、ゆっくり、できるだけ音を立てずに部屋から出る。
(よし……)
可能な限り音を殺してドアを閉めた。大成功! と思い、ゆっくり歩き出す。
「こら真治!」
突然に聞こえる優子の声。
「ひゃんぅ!」
ドキッとして変な声を出したら、パッと明かりがつけられた。まるでこうなる事をわかっていたって表情の優子がいて、歩み寄るとすぐ真治の頬をつねる。
「こんな時間にどこへ行こうっていうのかなぁ、言うてみ!」
ぎゅわーっと容赦なく頬をつねり上げる姉。
「あぅいたたた……」
真治は仕方なく自分の部屋に姉と入り、電気をつけてから手短に事情を説明。これは約束だから行かなきゃいけないんだと主張。
「ったく、こんな時間に子供が出歩くな!」
「そ、そりゃぁそうかもしれないけど、お、お姉ちゃんだって……大して年齢変わらないくせに」
「は? なんだって? もう一回言うてみ?」
ズイっと真治に接近する優子。真治はドキドキしながらも、姉のTシャツのふくらみ具合に目を向ける。黄色い色に黒い文字、それらがEカップのふくらみにふっくらって見栄えになっていたら、どうしたって見つめてしまう。これはもう避けられない宿命とばかりに……
「人のおっぱいばっかり見つめてないで、質問に答えろつーんだよ!」
優子、今度は両手で弟の頬をグリグリつねり回す。誰が外に出させるものかと、母親みたいな勢いが生々しく浮かんでいる。
でも真治は約束を守るために奮い立つ。これは止められる話じゃないんだ! と、男気を込めて主張。ちょっと泣きそうな感じを見せれば効果的って、あざとい考えも込みの顔。
「人は……約束をやぶっちゃいけないんだ。それは人が人に対して、絶対にやっちゃいけない事なんだ」
アニメ調に正論をぶっ放す。
「まぁ……ね、それはそうなんだけど……そうまでして行きたいわけ? 幽霊なんか見たって何もたのしくないじゃんか」
優子が心底あきれるって声を出すと、ムッ! っとなった真治はついつい正直に言ってしまった。せっかく伏せていたのに自らバラす。
「幽霊がかわいくて巨乳な女の子だったら、やっぱり見てみたい」
「は? 今なんて言った?」
「あ、いやその……ゆ、幽霊がかわいい女の子だったら、見てみたいと思って……」
「まったくもう……どうして弟っていうのは、どうして男子っていうのは……」
あぁ……と嘆く優子がいた。そうして豊満なるイエローのふくらみに手を当て、これは自分のせいなのかなぁと哀しくつぶやく。自分が早くから魅力的な巨乳女子だから、だから弟がおかしくなったのかなぁと、責任を感じるような面持ちになる。
「真治、わたしも行くよ」
「えぇ!? お、お姉ちゃんは来なくていいよ」
「ダメ、わたしも行く。だって幽霊がかわいくて巨乳な女子だったら、真治はフラフラっとなるかもしれない。それで幽霊に取り憑かれたりするかもしれない」
姉の力説を聞いて、そこまで言う? と思いつつ、確かにそうかも……って反論できない真治だった。こうして2人は夜の家をこっそり出ることになる。
「でもさぁ、お姉ちゃん、ぼくが外出するってよくわかったね」
「女子の勘を甘く見るべからず。それに真治の部屋から目覚ましも聞こえたしね」
優秀な女子および保護者みたいなオーラを立てる優子、弟と2人で真夜中の外に出る。そうして音を立てないよう注意しながらカギをかけた。
「あ、あのさぁ……お姉ちゃん……」
ここでちょっぴり甘えん坊モードが真治に出る。
「なに?」
「自転車って個別の2台? それとも2人乗り?」
エヘっとテレ笑いする真治の心、それは巨乳な姉と2人乗りしたいって青春願望。もっとも理想的な展開というのは、姉が運転して自分は後ろ。それなら何かの弾みがあれば、豊かでやわらかいふくらみを触っても無罪。うまくいけばモミモミしたって執行猶予がつくかもしれない。
「真治……あんた幽霊に取り憑かれて死んだらどう?」
「え?」
「それぞれ個別に決まってるでしょう、バカ!」
イライラしながら自転車を引っ張り出す優子。なんでこんなバカを心配しなきゃいけないのかなぁと言いながらも、引き下がる気はないようだ。
「じゃぁ、行くよ。ほら!」
門を閉め終えると、びっくりするほど真っ暗で静寂な世界を、2人の自転車が走り出す。それを大量のお星さまたちが見つめていた。
「幽霊?」
学校帰りの道を歩いている時、真治がすっとんきょうな声を出す。
「出るらしいぞ。しかも女の子の幽霊なんだって」
橘高重がちょっと得意気な顔をして、耳にしたうわさ話を語りだす。それによると夜になったら○○トンネル内に小6か中1くらいの女の子がボッ! っと出現するらしい。
「全体がボーッと青白いんだってさ」
「へぇ~」
「生きている人間とは思えない、だけど異常にうつくしいって感じらしいぞ」
「へぇ~」
一見すると真治はへっちゃら! って態度。そんなのいるわけないじゃん、ハハハハ! と余裕ぶっている。でも頬にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「こっち、こっち」
重が真治の白いTシャツをグッと掴み、歩くコースに変更をもたらした。見てどうするんだよ……とイヤがる真治を連れて、○○トンネルに寄り道身。
午後3時20分、晴天の明るさによって恐怖感は少し薄らぐ。でもトンネルってやつは、この時間帯に見ても小さいながらのホラーチックは持っている。
「昼間はどこかに潜んでいるのかなぁ」
うす暗いトンネル内を歩きながら、重は幽霊と出会いたいってフンイキを丸出し。
「な、なに? 幽霊にあってどうしようっていうのさ」
ひんやりって冷たさ、出口まで油断ができない緊張感、それらにドキドキする真治が問う。
「いやぁ、かわいい女の子っていうんだったら見てみたいと思わない?」
「べ、べつに……」
「もしさ、その幽霊の女の子が、かわいい上に巨乳だったらどうする?」
「え?」
「もしそうだったら、おれ……つき合ってもらおうかなと思って」
「はぁ? 幽霊とつき合うって……」
「いや、たとえ幽霊でもかわいくて巨乳って女の子だったら、おれ……真剣になるぞ」
「まったく橘高ってやつは……」
やれやれと呆れている真治だが、心の中ではピリピリっと感じていた。つまり重の言った事に同意できるという意識を隠し持つ。
「それでさ真治、夜になってからここに来ないか?」
「え、え、夜って……何時くらい?」
「そうだなぁ、夜10時くらいとか」
「それムリ。だって親が起きてるしお姉ちゃんだっているもん。そんな時間に外へは出られない。橘高だっていっしょだろう?」
「あ、言われてみたらそうだ……じゃぁ、家族が寝静まった午前1時だったらどうよ?」
「午前1時? マジで?」
「あ、どうした真治、震えてるのか? もしかしてガクブルですか? もしかしてオシッコもらしそうって怖いんですか?」
クククっと笑うのみならず、ちょびっと見下したような目をする。そんなモノを下から上へ流すようにして、イヤらしく向けてやれば真治のプライドをツンツンする効果あり。
「あーははははは、あーははははは、あーははははは、あーははははは」
わざと大声で重が笑う。それはトンネルという場所では見事なまでによーく不気味に響いた。ここでクラシックコンサートをやったら、ハイレゾ音源になる? と思わせるほどきれい。
「わかったよ……い、行くよ」
真治が渋々応じることにしたら、重は大声を出すのを止めた。それからおれに任せておけとか言い出す。護身用にコルクガン(射的ピストル)を持ってくると宣言。
「幽霊にコルクガン撃って効くわけ?」
真治のキブンが半分くらい沈みかける。でも重は大マジメに言うのだった。
「今どきの幽霊は何があるかわかんない。逆に言うと、どんな攻撃も通じる可能性あり。この間のテレビで、幽霊研究者ってエライ先生が言ってたぞ!」
こうして小学4年生の2人は、午前1時なんて時間帯に待ち合わせすると話をつける。そして以下の事をやろうと、あらかじめ決めて頭に入れておく。本番で取り乱したりしないためだ。
ー計画ー
・幽霊が出たらスマホで撮影
・かわいくて巨乳な女の子だったら、重がおつき合いを申し出る
・もし幽霊が凶暴だったら、コルクガンで攻撃しながら逃げる。
・おつき合いができずとも、撮影だけは出来ていた! というなら、動画はユーチューブにアップ。それで金を稼いで甘い汁を吸う。
ー以上ー
こうして迎えた午後8時過ぎ、真治が計画していた演技を開始。わざとしんどそうな顔をこしらえ、居間でテレビを見ている家族全員に見せつけていう。
「ぅ……きょうは、なんかすごくしんどい……調子悪いみたいだから、早く寝ることにする」
それはナイス! と絶賛されてもおかしくない演技力だった。父と母はカンペキに信じたと見受けられる。では最後の厄介者、姉の優子はどうだろうか?
「だいじょうぶなの?」
セリフは弟を心配してくれている。言うなればやさしいナイチンゲール予備軍。でもなんとなく声色とか、向けてくる目が問題。まるで刑事みたいにちょっと疑っているように伝わってくる。
「うん、だいじょうぶ。心配してくれてありがとう」
あえて演技を過剰なモノにした。かわいく素直に振る舞うことで、病人はチヤホヤされることを真治は知っていたのだ。
こうして部屋に戻ったら寝る前にがっちり目覚まし時計をセット。なんせ午前1時に待ち合わせだ。余裕もって午前0時20分には起きねばならない。目覚ましを忘れたらまず起きられないだろう。
「さてと……寝るか」
起きてすぐ動けるようにTシャツとパンツ一枚でベッドに潜り込む。そうして全然寝つけないって苦しみにイライラ。
「なんかなぁ……行くのが面倒くさいなぁ……」
だんだんイヤになってきた。
「たまには約束をやぶっても罪にはならないはず」
そうだそうだ、くだらない話なんか薄っぺらい紙みたいに破り捨てろ! って声が脳に響いてくる。でもそこで生真面目な意識が善人ボイスを脳に響かせた。約束を守れない人間は誰からも愛してもらえないよ? なんて、良心ってモノをビリビリ震わせる。
「やっぱり行こうっと……約束は守らなきゃ……」
ググっとベッドに潜り込み、かわいくて巨乳な幽霊に会えますように! と祈って目を閉じた。その祈りが聞き入れられたのか、びっくりするほど急激な眠気が発生。スッテンコロリンと転がり落ちるように、真治は眠りに突入。
ーそうして迎えた午前0時20分ー
ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ。
目覚ましが鳴り響く。気持ちよく寝入っていた真治は、快楽をぶっ壊され脳がジュワっと感に満ちる。死にそうって目をしながら、唸っている目覚ましのスイッチを叩く。
「あうぅ……」
ひとまずベッドから立ち上がりはした。そうして真夜中の世界にのみ生じる絵心的な空気をヒシヒシと感じた。月明かりってモノに照らされるカーテンは、美しさと怖さをいっしょに伝えてくれる。
「よし、行こう」
ズボンにくつ下をチャチャっと装着すると、ソーッと部屋のドアを開ける。ゆっくり、ゆっくり、できるだけ音を立てずに部屋から出る。
(よし……)
可能な限り音を殺してドアを閉めた。大成功! と思い、ゆっくり歩き出す。
「こら真治!」
突然に聞こえる優子の声。
「ひゃんぅ!」
ドキッとして変な声を出したら、パッと明かりがつけられた。まるでこうなる事をわかっていたって表情の優子がいて、歩み寄るとすぐ真治の頬をつねる。
「こんな時間にどこへ行こうっていうのかなぁ、言うてみ!」
ぎゅわーっと容赦なく頬をつねり上げる姉。
「あぅいたたた……」
真治は仕方なく自分の部屋に姉と入り、電気をつけてから手短に事情を説明。これは約束だから行かなきゃいけないんだと主張。
「ったく、こんな時間に子供が出歩くな!」
「そ、そりゃぁそうかもしれないけど、お、お姉ちゃんだって……大して年齢変わらないくせに」
「は? なんだって? もう一回言うてみ?」
ズイっと真治に接近する優子。真治はドキドキしながらも、姉のTシャツのふくらみ具合に目を向ける。黄色い色に黒い文字、それらがEカップのふくらみにふっくらって見栄えになっていたら、どうしたって見つめてしまう。これはもう避けられない宿命とばかりに……
「人のおっぱいばっかり見つめてないで、質問に答えろつーんだよ!」
優子、今度は両手で弟の頬をグリグリつねり回す。誰が外に出させるものかと、母親みたいな勢いが生々しく浮かんでいる。
でも真治は約束を守るために奮い立つ。これは止められる話じゃないんだ! と、男気を込めて主張。ちょっと泣きそうな感じを見せれば効果的って、あざとい考えも込みの顔。
「人は……約束をやぶっちゃいけないんだ。それは人が人に対して、絶対にやっちゃいけない事なんだ」
アニメ調に正論をぶっ放す。
「まぁ……ね、それはそうなんだけど……そうまでして行きたいわけ? 幽霊なんか見たって何もたのしくないじゃんか」
優子が心底あきれるって声を出すと、ムッ! っとなった真治はついつい正直に言ってしまった。せっかく伏せていたのに自らバラす。
「幽霊がかわいくて巨乳な女の子だったら、やっぱり見てみたい」
「は? 今なんて言った?」
「あ、いやその……ゆ、幽霊がかわいい女の子だったら、見てみたいと思って……」
「まったくもう……どうして弟っていうのは、どうして男子っていうのは……」
あぁ……と嘆く優子がいた。そうして豊満なるイエローのふくらみに手を当て、これは自分のせいなのかなぁと哀しくつぶやく。自分が早くから魅力的な巨乳女子だから、だから弟がおかしくなったのかなぁと、責任を感じるような面持ちになる。
「真治、わたしも行くよ」
「えぇ!? お、お姉ちゃんは来なくていいよ」
「ダメ、わたしも行く。だって幽霊がかわいくて巨乳な女子だったら、真治はフラフラっとなるかもしれない。それで幽霊に取り憑かれたりするかもしれない」
姉の力説を聞いて、そこまで言う? と思いつつ、確かにそうかも……って反論できない真治だった。こうして2人は夜の家をこっそり出ることになる。
「でもさぁ、お姉ちゃん、ぼくが外出するってよくわかったね」
「女子の勘を甘く見るべからず。それに真治の部屋から目覚ましも聞こえたしね」
優秀な女子および保護者みたいなオーラを立てる優子、弟と2人で真夜中の外に出る。そうして音を立てないよう注意しながらカギをかけた。
「あ、あのさぁ……お姉ちゃん……」
ここでちょっぴり甘えん坊モードが真治に出る。
「なに?」
「自転車って個別の2台? それとも2人乗り?」
エヘっとテレ笑いする真治の心、それは巨乳な姉と2人乗りしたいって青春願望。もっとも理想的な展開というのは、姉が運転して自分は後ろ。それなら何かの弾みがあれば、豊かでやわらかいふくらみを触っても無罪。うまくいけばモミモミしたって執行猶予がつくかもしれない。
「真治……あんた幽霊に取り憑かれて死んだらどう?」
「え?」
「それぞれ個別に決まってるでしょう、バカ!」
イライラしながら自転車を引っ張り出す優子。なんでこんなバカを心配しなきゃいけないのかなぁと言いながらも、引き下がる気はないようだ。
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