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女子の苦労・おっぱいが痒いよぉ……(いらぬお世話……サイテー)

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 女子の苦労・おっぱいが痒いよぉ……(いらぬお世話……サイテー)


(ふわぁ……)
 
 5時間目という授業中、優子はほんのりとした眠気に甘んじる。眠くて死にそうって事はなく、かといってアタマがギンギラに目覚めているわけでもない。ねいらないけど眠気がたのしいって、絶妙な快楽状態にあった。だがそのときだ! 突然に異変が体に生じた。何事もなかった平和がまばたきの瞬間にぐらついた。

(あぅ……ぅ……)

 一瞬優子の表情がギュッと歪む。

(く……)

 首筋が固まる。落ち着かない感じをさとられまいと、ビリビリっと密かな苦悩を始めた。

(か、かゆい……)

 左手でポリポリっとアタマをかく優子、いったいどこが痒いのか? それは机に向かってふっくら豊かにふくらんでいる89cmのバストだった。オレンジ色のTシャツの下には白いフルカップブラがあり、その内部にしっかり収納されたやわらかい弾力ってふくらみの先端、乳輪の辺り……乳首の辺り……というのがかゆい。それはカップにしっかり守られている箇所ゆえ、そうそうかんたんにはかけない。

(つーっと……)

 他の場所をかいてごまそうと努力してみた。フリーの左手を膝の上に置くと、ズボンの上からガリガリっとかく。

(だ、ダメ……)

 元々かゆくない場所をかいても解決はしない。むしろジンジンと乳輪のかゆみがうずく。

(か、かきたい……)

 もしいま上のTシャツを脱ぎ捨てて、Eカップのブラからふくらみを外に取り出し、かゆい! という部分を好きなように好きなだけかけたら……と優子は想像してしまう。

 だが小6でEカップというふくらみの豊かさは、あっちこっちから目線をもらって止まないモノ。そんな人目をすべてすり抜け、ふくらみをかいて落ち着くということは、残念ながら優子には叶わないことだった。

(あ、あぅ……反対側のおっぱいまで……)

 そう、最初は右側だけだったのに、いきなり左側のバストも影響を受ける。そしてかゆみがどんどん意地悪な度合いを深めていく。

―かいちゃえよ、おっぱいかいちゃえよー

 かゆみから脳にメッセージが送られてくる。

(か、かくもんか)

 女子のプライドを守るため、優子はグッとこらえる。

―おっぱいかいちゃえよ、その方がきもちいいじゃん! おっぱいがうっとりって快感が味わえるじゃんー
 
 調子にのりくさったかゆみは優子の脳へ何度もささやく。かくもんか! と突っぱねるほどささやきはいやらしさを増す。

―せっかく女なんだからさぁ、おっぱいかいて気持ち良さを味わえよー

(あぎぎぅ……)

 こうなるとちょっとした戦争と変わらない。だが皮膚を心地よくいたぶるかゆみというのは、人の本能を刺激し行動するよう促す。

(う……)

 優子はかゆみという魔物に負けてしまった。でも女として、巨乳女子としてのプライドだけは捨てるまいとする。

 まずなんとなく色白でやわらかい両手を開いて見つめる。両手の指先をクイクイっと動かし、何か思うような演技をする。そして周囲を小さな横目で確認したら、さっと左手を動かす。

 ササッと左の指数本が右側のふくらみ、乳輪の辺りをかく。だが酷いことにこの努力では満足が得られない。

(くぅ……)

 せつないほど歯がゆいって表情が一瞬浮かぶ。優子はただいまTシャツを来ていて、真下には白いフルカップ。つまりかゆくてたまらない乳輪とか乳首の辺りというのは、分厚いガードに守られている。その上から指でササっとかいたくらいではダメ。むしろそれは逆効果を招く。

(う、うわ……余計にかゆくなってきた)

 脳みそに虫が湧いたような苦痛。あぁんぅ! と悶えるような声をだしたくなる誘惑。それはもうなかなかの暴力に等しい。

―かいちゃえよ、おっぱいが大きいからって恥ずかしがるな。女だからおっぱいは当たり前、人に見られてもいいからかいちゃえー

 かゆみの声はめちゃくそムカつくモノ。でも優子はそれにしたがってしまう。

(うぅ……)

 耐えられなかった……だから左手でグッとつよく右のふくらみを掴むと、指先に力を入れて乳輪の辺りをかく。これだって直にかくには劣る。でもさっきよりは気持ち良さが得られる。

(あぅんぅ……)

 思わず表情がうっとりしかけ焦る優子だった。巨乳の自分が自らおっぱいを掴んでうっとりなんて、しかも授業中にそれなんて見られたら明日から学校に来れなくなると思う。だが気の毒なことにそんな優子のサマを見ていた男子がいた。それは三人衆のひとりグリーンである。

(な、中野が自分のおっぱいを揉んでる!)

 おぉ! という目つきになったグリーンは、近くの席にいるブルーに小声でたずねた。

「あのさぁ、巨乳が自分の乳を揉むっていうのは、自分で快感を得るためにやるのかな?」

「はぁ? 急になんだ、どうしたんだ?」

「い、いやその……中野が自分の乳を揉んだりしてるのが見えた。あ、今度は反対側の乳を揉んだりしてる!」

「え、ほ、ほんとうか?」

 ブルーは無視できず優子に目をやる。どうせなら服を脱いでブラジャー姿になればいいのになんて思ったが、それは言わないでおく。代わりにやや紳士ぶった発言をかますのだった。

「あれは多分……おっぱいがかゆいんだ」

「かゆい?」

「中野は巨乳だからな、できるだけ目立たないようにやっているんだよ」

「でもさぁ、だったらトイレにでも行けばいいじゃん」

「それはまぁ、女の事情とかプライドとかあるんだろう」

「あ、じゃぁさ、中野のために援護射撃してやったらいいんだ。そしたら中野がおれにホレるとか、そういうが起こるかも」

「援護射撃ってなんだ?」

「いいから、いいから」

 グリーンはクフフっと笑った後、勢いよくまっすぐ手を上げた。めずらしいねぇと担任に言われて立ち上がると、大きな声で思いやりのセリフをぶちかましてやる。

「先生、中野さんがトイレに行きたがっています」

 そうすると即座に全員が優子に目をやる。ぎょっと焦った優子、真っ赤な顔になり慌ててふくらみから手を離す。

「べ、べつにトイレなんか……」

 優子が言うと途中でグリーンが大きな声で遮った。

「中野さんはおっぱいが痒いんです。でもトイレに行きたいのは恥ずかしくて言えないんです。だから巨乳の中野さんをトイレに行かせてあげてください」

 グリーンは心やさしい少年を演じた。教室の中がザワザワっとなり、優子がどうしようもないほど顔を赤くしている。もちろん優子は変な事を言うな! とグリーンに言ってトイレには行かなかった。

(これで中野にホレられた。今日から恋人になれる)

 グリーンはホクホク顔で次から次に妄想した。優子とデート。優子といっしょに歩けば豊かなおっぱいに腕組みしてもらえる。デートを重ねたらプールに行くことになって。ユッサユッサのビキニ姿を拝むことができて、2年後くらいには初体験してハッピー! などなど。

―そして迎えた放課後―

 グリーンがカバンに教科書だのノートだのを入れていたら、そこに優子がやってきた。

「ちょっと……」

 優子に言われてグリーンはテレた。さっきはありがとう! とか、わたしとつき合って! とか言われると信じて疑わないから。

「な、なに? 今日一緒に帰るとか?」

 えへへと笑いながらグリーンが立ち上がった。すると次の瞬間、教室内の生徒が全員振り返るほどでっかく痛い音が発生。

―ビッターンー

 いかなる眠気もぶっ飛ぶような音でビンタがされた。おわ! っと後ろのイスに腰を落とすグリーン。

「ったく……」

 怒りにワナワナっと震える優子がいた。なにか思いっきり言いたいと両手を握っているが、自分の評価を落とさないためグッとガマンしたようだ。

「ふん!」

 バーカ! って突き放すような目つきでグリーンを見てから、優子が立ち去る。

「え、え、え、なんで……なんで……」

 優子に感謝され恋人になれると思っていたグリーンは放心状態。そこにブルーとレッドの2人がやってきて慰める。

「グリーンさぁ、あの発言はない。あれはビンタされても仕方ない」

 普段ならグリーンより自爆度の高いキャラであるはずのレッドが、やれやれと呆れた顔をする。

「グリーン、中野に好かれるとかいう希望はもう諦めろ」

 気の毒にな! とグリーンの肩を叩くブルー。出来の悪い子どもを慰める父親みたいだ。

「なんだよ、中野が可哀想って思ったから、だから気を使ったのに! なんでおれが悪者にされるんだよ」

 怒りに満ちたグリーンは教室のドアを開けると、帰ろうとしていた優子に向かって叫んだ。

「人前でおっぱいもかけない根性なし! それでよく巨乳なんかやってられるな。中野のバカ巨乳、ブス巨乳、とっとと消え失せろ!」

 そんな風に叫ぶグリーンを後ろから見ていたレッドとブルーは顔を見合わせる。そして同じことをつぶやくのだった。

「グリーンは女にモテないだろうなぁ……」
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