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ジハコと真治の恋物語2(男子は夢さえ見ればシアワセになれる?)

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 ジハコと真治の恋物語2(男子は夢さえ見ればシアワセになれる?)


「絶対に何かある!」

 優子はここ最近の真治を思いっきり疑っていた。夜にちょっとだけひとり散歩は前からやっていたが、ランランキブンを隠しているのが見て取れる。それはまるで恋人との逢瀬を重ねているかのよう。

「真治に彼女なんかいるわけない」

 姉としてきっぱり断言する優子。でも、それじゃぁ答えは? となったらわからなくてモヤモヤさせられる。

 そこで今宵は真治の尾行を決意。もし人様に言えないような事をやっているのだったら、家庭裁判にかけて有罪を言い渡すつもり。

(よし……)

 夜8時に家を出た弟の後を追いかける。すると最初はふつうの散歩コースだと思った。でも次第にマニアックっぽい道成になって、やがてはトンネルの近くに到達する。

(えぇ、こんなところを毎晩ひとりで歩いてるわけ?)

 密かに弟を見張りながらも、優子はちょっとドキドキする。Eカップのやわらかいふくらみに手を当てキモチを落ち着かせる。

「ジハコ、今日も来ちゃった」

 突然に真治がうれしそうな声を放つ。

(は? なんだって?)

 一瞬アタマがグラっとして戸惑う優子だった。そっと身を隠しながらキョロキョロやってみるが、どこにも他人とか女子の姿はない。でもたしかに真治は女子の名前みたいなモノを口にした。

(誰?)

 ますます高まっていく優子のドキドキ。するとどうだろう、真治はとある自販機の前に立って独り言をやり始めた。

「ジハコは元気だった?」

「うん、元気だったよ。真治くんと会う時間だけを楽しみにしていた」

 なんと真治の独り言に対して受け答えがある。優子は色白な手で片目をゴシゴシとかやってみたが、どう見たって真治は自販機と会話をしている。

 それはそれは奇妙で微笑ましくも不気味なシーンだった。真治の声とか口調っていうのは、女の子との会話にときめく男子そのもの。えへ! っとテレるおバカな空気すら漂っている。それを自販機相手にかましているとなれば、優子はまた豊かにしてやわらかい弾力に手を当て心配になる。

(真治がバカになった……)

 ほんとうにそうとしか思えない光景が続く。真治ってやつは自販機の真横に立つと、テレくさそうに肩を当ててスリスリやったりする。それはもう完全に、イチャラブする男女そのもの。

「ジハコってかわいい。なんかいっしょにいると胸がドキドキする」

「やだ、真治くんったら……」

 理解不可能! 優子のアタマはもう凸凹になってしまいそうだった。わけがわからないので狼のように吠えてみたくなる。

(おちついて……おちついて……おちついて考えよう)

 ジリジリっとするイライラを抑えようと腕組みをした。ボワン! と巨乳の証が揺れて両腕にやわらかさが当たる。そうして優子は目にする絵はどういう事かと考える。

 まず思う可能性1。真治は性格に問題はないが大のおっぱい星人なので、ふつうに考えてモテるわけがない。その寂しさによってアタマがクルクルパーになったという話。

(ありえるっぽいけど……でもなぁ……)

 クッと両腕で自分のふくらみを少し揺さぶった。それを感じてから思う限り、真治は固い平面に恋するは考えられない。優子が思うに弟が恋の代用として用いるのは、なんであれやわらかいモノであるはずとする。

 ではつぎに考えられる可能性2。あの自販機の中に誰かが隠れていて、真治をからかっているという話。

(だけど……それだとしてもずっと騙されっぱなしとかありえるのかなぁ)

 そういう事で結局2つともちがうという結論になる。そうなったらもう自販機を調べるしかないと思いが至る。

 しかし真治というのは自販機相手にデレデレしまくり。時間が許す限り女の子に現を抜かす男子でしかない。

「まったくあのバカはもう……」

 この夜は仕方なく先に帰宅。真治が密かにやっていた事については不問としてやった。

―そうして翌日の午後―

「あ、それってAI自販機ってこともよ」

 下校時に優子から話を聞かされた香苗がつぶやいた。

「AI自販機?」

「正確には、えぇ愛自販機! っていうんだけどね」

「なにそれ……」

「知らないの? 優子ってこういう話にはうといね」

「わたしの事はいいから自販機について語ってよ」

「じゃぁ教えてあげよう」

 おっほんと得意気に咳払いした香苗が語りだす。それによるとちょい前に人工知能を持った自販機が世に放たれたという。それもただの学習マシーンではなく、女子として生きるための自販機。

 それは人間と会話をし、相手が男子であれば特殊スイッチが自動的に入り、女子にはない男子の心や寂しさを可能な限り学ぶ。そうして情報が蓄積されていくと、対話する男子の好みって女子像を見せることができる。そうすることで、この世からさみしい思いをする男子を減らそうって計画だそうだ。

「はぁ? 自販機にホレたって意味ないじゃん!」

 優子が言うと香苗は両手を広げ、やれやれ! というアクションをしながらつぶやいた。

「でもほら、男子は夢さえ見ればシアワセになれるらしいからいいじゃん。男は女とちがって夢追い人だから」

 そうして香苗は真治には夢を見させてあげればいいんじゃないの? と笑ったりした。

「だってほら、優子みたいなかわいくておっぱいが大きい女子なんてめったにいない。そういうのを求めると不幸になっちゃうじゃん? だからほら、夢で満たされたら現実に納得できるんじゃないかなぁって」

 香苗が放つなかなかの正論。しかし優子はそれを納得出来ないとした。いつも豊かな胸を無料で見つめられまくりの巨乳女子にしてみれば、あれだけエロいくせに夢へ逃げる男子は根性が腐っているとのこと。

 そうこうしていたら2人はお目当ての自販機に到着。優子は不機嫌に満ちた顔で、四角く固い機械の前に立つ。

「いらっしゃいませ」

 内側から女子の声が聞こえてきた。それは昨夜に真治と会話していたボイスだとすぐに思った。

「ジハコ……」

 思わずつぶやくと自販機はテレたような声で言う。同じ女の子に名前を覚えてもらうのも嬉しいとかなんとか。

「アホかぁ!」

 優子がグッと片手をにぎって怒る。女子であるゆえ、自販機を蹴るような行動は取れないから、ギュぅっとつよく手をにぎる。

「ジハコって自販機だし、人間じゃないし、ただの機械だし、それが女の子とかうざい! ふん、四角く固い平面のくせに何が女の子。人肌の温もりとかないくせに、やわらかいとか無縁のくせに」

 優子が言いまくったらジハコが怒った。どうしてそんなひどい事を言うんですか? とケンカみたいなフンイキになる。

「あなたみたいに意地悪な女の子はキライ」

「自販機に好かれたくない。それに弟を惑わすのが許せないし」

「弟?」

「真治っていうのがわたしの弟」

 するとどうだろう、ジハコの勢いが一瞬止まった。そして今度は急に歩み寄りみたいな感じをべったり出してくる。

「こんにちはお姉さん、よろしくです」

「お姉さんとか言うな、きもい」

「わたしと真治くんが結ばれたら、わたしたちは姉妹になるんですよね」

「は、はぁ?」

 なんじゃこいつは! と腹が立ってきた優子。疑問に思っていた事を荒い声でぶちまけてやる。

「ねぇジハコ、あんたどうやって真治を誘惑してんの? だっておかしいじゃん、あんたつめたく固い機械だもん。色っぽいわけじゃないし、かわいくもないし、やわらかい弾力とかあるわけでもない
。そんなやつがどうして、おっぱい星人の真治を誘惑できるわけ?」

 するとジハコはよくぞ聞いてくれました! って感じで、真治の理想像になれるのだという。

「真治くんの理想とする女の子を、真治くんにだけ見せる事ができるのです。だからわたしは真治くんのハートを掴むことができるのです。

「どんな? せっかくだから見せてみなさいよ」

「はい、他ならぬお姉さんの頼みとあらばよろこんで!」

 そんなやり取りをしたら、どうしたことか突然にジハコが人間のように見えてきた。

「な……」

 目にするモノにおどろきガクガク震える優子。

「なになに、わたしにも見えるようにして」

 今までだまっていた香苗が横から割り込む。そうしてジハコの姿が人間女子の姿に見えたとき、たまらず大きな声を出すのだった。

「お、おぉ! なんか優子に似てる巨乳女子!」

 そう、それはなんとなく優子に似ていておっぱいが豊かな巨乳女子。それはもう真治の心がグイグイ引っ張られても仕方のないモノだった。
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