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番外編
手合わせくじ引き・2「可能な限り全力で」
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「ここでは手狭だな。演習場へ行こう」
「了解した」
全力ともなれば、術式による周囲の損壊は避けられない。セディウスはネウクレアや他の騎士の面々を引き連れて屋外の演習場へと向かった。
数十名の騎士たちが戦闘を繰り広げても十分に動き回れる広さの演習場の真ん中で、二人は刃を潰した訓練用の剣を携えて対峙した。
「よし! じゃあ、手合わせ始めるぞ。魔導術式も体術も剣術もなんでもありだ! はじめっ!」
審判役を受け持つファイスが興奮もあらわな声と共に、片手を振り下ろした。
「……まさか、お前と手合わせをすることになるとは」
「貴方の力を知りたい。可能な限り全力での手合わせを希望する」
ネウクレアは感情の凪いだ口調で、なんとも大胆な発言をした。
前線部隊に馴染んでいるところからも知れる通り、存外に男らしく戦闘狂的な気質を持ち合わせていることを、セディウスは改めて認識した。
「あ、ああ、わかった。できるだけ全力を出そう。怪我をしない程度にな」と、承諾の返事を返した。
手加減をしては、きっとネウクレアの心に傷と不満を残す。
「来い。全力で受け止める」
「承知した」
ぐらりと、ネウクレアの体が前方に大きく傾ぐ。
「接敵開始」
倒れ込みそうなほどの急角度で地面を蹴り、前方へ飛ぶことで瞬時に距離を詰めた。
――ドウッ!
鈍い破砕音。
腹部に衝撃が走り、拳と共に爆発術式を叩き込まれたと気付いたときには吹き飛ばされていた。
「……っ!」
低く宙を舞った長躯を、青みを帯びた黒い鎧が追いかける。叩き落とそうとせんばかりに振り上げられた腕を、セディウスの防壁術式が阻み、体ごと弾き飛ばす。
「ぐっ……」
追撃を防いだものの、セディウスは背中を強かに地面に叩きつけられた。衝撃に息が詰まるが、怯まず瞬時に身を起こし、同じように地面に叩きつけられたネウクレアを視界に入れる。
「これほどとは……!」
土くれを飛ばして駆け出しながら剣を抜き放ち、跳ねるように起き上がったネウクレアへ接近する。
「術式展開」
その動きよりも早くネウクレアが小さく呟く。
――キイィンッ!
振り下ろされた鋭い剣を、防壁がけたたましい音を立てて退けた。
「迎撃」
静かな声とともにネウクレアも剣を抜き、斬り掛かってきた。
あらゆる方向から襲い来る剣の軌跡をことごとく受け止め、受け流し、躱しながら、セディウスは激しい一撃をいくつも返していく。
ネウクレアも負けてはいない。
防壁と剣撃を織り交ぜながら、セディウスの反撃をひとつひとつ確実に受け止めた。
紛い者でない、実力者同士の戦いだ。
立て続けに繰り出される妙技。激しい剣戟の音と共に繰り広げられる、攻防のすべてが美しい。
途切れることのない応酬に、騎士たちの歓声は熱を帯びて高まっていった。
「了解した」
全力ともなれば、術式による周囲の損壊は避けられない。セディウスはネウクレアや他の騎士の面々を引き連れて屋外の演習場へと向かった。
数十名の騎士たちが戦闘を繰り広げても十分に動き回れる広さの演習場の真ん中で、二人は刃を潰した訓練用の剣を携えて対峙した。
「よし! じゃあ、手合わせ始めるぞ。魔導術式も体術も剣術もなんでもありだ! はじめっ!」
審判役を受け持つファイスが興奮もあらわな声と共に、片手を振り下ろした。
「……まさか、お前と手合わせをすることになるとは」
「貴方の力を知りたい。可能な限り全力での手合わせを希望する」
ネウクレアは感情の凪いだ口調で、なんとも大胆な発言をした。
前線部隊に馴染んでいるところからも知れる通り、存外に男らしく戦闘狂的な気質を持ち合わせていることを、セディウスは改めて認識した。
「あ、ああ、わかった。できるだけ全力を出そう。怪我をしない程度にな」と、承諾の返事を返した。
手加減をしては、きっとネウクレアの心に傷と不満を残す。
「来い。全力で受け止める」
「承知した」
ぐらりと、ネウクレアの体が前方に大きく傾ぐ。
「接敵開始」
倒れ込みそうなほどの急角度で地面を蹴り、前方へ飛ぶことで瞬時に距離を詰めた。
――ドウッ!
鈍い破砕音。
腹部に衝撃が走り、拳と共に爆発術式を叩き込まれたと気付いたときには吹き飛ばされていた。
「……っ!」
低く宙を舞った長躯を、青みを帯びた黒い鎧が追いかける。叩き落とそうとせんばかりに振り上げられた腕を、セディウスの防壁術式が阻み、体ごと弾き飛ばす。
「ぐっ……」
追撃を防いだものの、セディウスは背中を強かに地面に叩きつけられた。衝撃に息が詰まるが、怯まず瞬時に身を起こし、同じように地面に叩きつけられたネウクレアを視界に入れる。
「これほどとは……!」
土くれを飛ばして駆け出しながら剣を抜き放ち、跳ねるように起き上がったネウクレアへ接近する。
「術式展開」
その動きよりも早くネウクレアが小さく呟く。
――キイィンッ!
振り下ろされた鋭い剣を、防壁がけたたましい音を立てて退けた。
「迎撃」
静かな声とともにネウクレアも剣を抜き、斬り掛かってきた。
あらゆる方向から襲い来る剣の軌跡をことごとく受け止め、受け流し、躱しながら、セディウスは激しい一撃をいくつも返していく。
ネウクレアも負けてはいない。
防壁と剣撃を織り交ぜながら、セディウスの反撃をひとつひとつ確実に受け止めた。
紛い者でない、実力者同士の戦いだ。
立て続けに繰り出される妙技。激しい剣戟の音と共に繰り広げられる、攻防のすべてが美しい。
途切れることのない応酬に、騎士たちの歓声は熱を帯びて高まっていった。
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