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王子の婚約者に立候補する偽伯爵令嬢たち
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「マリゴールドは殿下との結婚を望んでおりませんわ」
姉のエレンが思いがけないことを言い始めた。
「ええ?」
王子殿下は思いっきり驚いた。
本人ではない姉のエレンが口出ししたのに驚いたのではない。
不肖エドワード、はばかりながらこれまで女性には事欠かなかった。皆さんからイケメン、イケボと讃えられ、剣の腕前も一流、学業も一流とケチのつけようがない全宇宙のあこがれだったからだ。
自分との婚約を望まない女性なんて、想像の圏外である。
エレンは訳知り顔にうなずいた。
「自宅にこもって出てこないのです。それに過剰なダイエットに励んでいまして」
「そうそう! ダイエットに励んでいます」
自称伯爵夫人も声を上げた。
食べ物をやらなければいずれ死ぬ。
あの娘さえいなければ、合法的に伯爵位と財産はすべて自分たちのものになる。
でも、だからと言って直接手を下すのは嫌だった。
だが、料理番の顔を見た時にひらめいたのだ。
料理番の女は、自分より残酷なのだと。
自称伯爵夫人は自分の手を下さずに、最もこの世で要らない人間をあの世送りにする方法を見つけたのだ。無意識のうちに。
それと、今、ダイエットという言葉を聞いた途端、過剰なダイエットは死に至ることがあると思いだした。
素晴らしい。よくできた話だ。
「そうか」
王子殿下は、婚約解消を持ち出されても、ちっとも残念そうではなかった。
「まあ、最終的な意思確認は必要だと思うが……」
「絶対に大丈夫です。マリゴールドは結婚など望んでいません」
今度は妹のアメリアが自信たっぷりに言った。
「本人に手紙を書かせますわ」
自称伯爵夫人がいそいそと言った。
「それなら確かでしょう」
王子殿下は流石に首をひねった。
自分との婚約解消を推進する家があるとは新鮮だった。
「代わりにわたくしが!」
「いえ! わたくしが!」
自称伯爵令嬢の二人が争うように王子殿下の前に出てきた。
うん。この反応が普通だよね。
王子殿下は冷たく手を振った。
「王妃様に伝えておく」
姉のエレンが思いがけないことを言い始めた。
「ええ?」
王子殿下は思いっきり驚いた。
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自分との婚約を望まない女性なんて、想像の圏外である。
エレンは訳知り顔にうなずいた。
「自宅にこもって出てこないのです。それに過剰なダイエットに励んでいまして」
「そうそう! ダイエットに励んでいます」
自称伯爵夫人も声を上げた。
食べ物をやらなければいずれ死ぬ。
あの娘さえいなければ、合法的に伯爵位と財産はすべて自分たちのものになる。
でも、だからと言って直接手を下すのは嫌だった。
だが、料理番の顔を見た時にひらめいたのだ。
料理番の女は、自分より残酷なのだと。
自称伯爵夫人は自分の手を下さずに、最もこの世で要らない人間をあの世送りにする方法を見つけたのだ。無意識のうちに。
それと、今、ダイエットという言葉を聞いた途端、過剰なダイエットは死に至ることがあると思いだした。
素晴らしい。よくできた話だ。
「そうか」
王子殿下は、婚約解消を持ち出されても、ちっとも残念そうではなかった。
「まあ、最終的な意思確認は必要だと思うが……」
「絶対に大丈夫です。マリゴールドは結婚など望んでいません」
今度は妹のアメリアが自信たっぷりに言った。
「本人に手紙を書かせますわ」
自称伯爵夫人がいそいそと言った。
「それなら確かでしょう」
王子殿下は流石に首をひねった。
自分との婚約解消を推進する家があるとは新鮮だった。
「代わりにわたくしが!」
「いえ! わたくしが!」
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うん。この反応が普通だよね。
王子殿下は冷たく手を振った。
「王妃様に伝えておく」
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