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王子殿下、正面突破に出掛ける
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聞いた王妃様は、息子の王子殿下よりもっと驚いた。こちらは訳の分からない自称伯爵家の出現とマリゴールド嬢が姿を見せず、ダイエットに励んでいるという情報にびっくりしたのだ。
「絶対いじめられています!」
王妃様は、正しく事情を理解して息子の王子向かって怒鳴ってしまった。
「確認してらっしゃい!」
面倒くさい。
正直、面倒なのはあの四人。
訪問しても、バカ娘二人がギラギラしながら出てくるだけで、マリゴールド嬢のカケラも見当たらないに違いない。
手紙は握りつぶされる気がするし、返事はあの姉妹から返ってきそう。
マリゴールド嬢を招待しても、見知らぬ一家がなんとも下品に飾り立てて我が物顔に現れると言う噂は山ほど聞いた。王宮からの招きなら尚更だろう。空気が読めないとか言ったレベルの話ではない。
王子殿下は正面突破することにした。
夜間、伯爵邸を襲撃する。マリゴールド嬢に会う。婚約解消の確認をする。母の王妃様に報告する。終わり。
だが、まずは邸内の間取りとか、家族の行動とかの調査が必要だ。
夜中の伯爵邸に侵入して、まかり間違って、あの二人の姉妹の部屋のドアなんかを開けてしまったらおしまいだ。大歓迎されるに決まっている。
それは全くよろしくない。
もちろん自称伯爵ご夫妻の寝室もNGだ。見たくない。
スパイには、殿下に負けず劣らず美形揃いと噂の側近の中から、特に美形を入念に選び出した。
「出入りの商人になりすまして、女中の誰かと仲良くなり、マリゴールド嬢の普段の様子を聞いてこい」
王子殿下の命令は絶対なので、側近は不本意だったが、市民の服を着て現れた。
「こんなもんでいかがでしょう」
王子殿下はつくづく側近を眺めたが、却下した。
「かっこだけ市民の、高位貴族にしか見えない」
見かねた他の側近が忠告した。
「当たり前でしょう! 彼は侯爵家の嫡男、生粋の貴族ですよ? それに顔は抜群ですが、演技力はないんです」
人選を誤ったか。
「それに、夜中に強行突破したいだなんて、もっとマシな方法がいくらでもあるでしょう!」
側近たちに責められた。側近全員がこのプランには反対だった。
「他に方法があるでしょう! 王妃様に言いつけますよ!」
別に次代の王になるわけじゃないので、側近と言っても気楽なものだ。
王子殿下は反論した。
「さっさと片付けて終わりにしたいのだ。だが、あの一家はマリゴールド嬢を絶対に出してこないだろう。ならば家宅捜索するのみではないか」
勝手な家宅捜索は罪に問われます……と言いたいところだったが、王子殿下は素早く侯爵家嫡男から平民服を奪い取って身につけた。
「何してるんですか!」
全く似合わなかった。貴族臭がプンプンする。側近全員が思った。侯爵家の嫡男より悪化している。
「母上には内緒だぞ? 行ってくる」
「え……?」
止める間もなく王子殿下は夜陰に消えてしまった。
「絶対いじめられています!」
王妃様は、正しく事情を理解して息子の王子向かって怒鳴ってしまった。
「確認してらっしゃい!」
面倒くさい。
正直、面倒なのはあの四人。
訪問しても、バカ娘二人がギラギラしながら出てくるだけで、マリゴールド嬢のカケラも見当たらないに違いない。
手紙は握りつぶされる気がするし、返事はあの姉妹から返ってきそう。
マリゴールド嬢を招待しても、見知らぬ一家がなんとも下品に飾り立てて我が物顔に現れると言う噂は山ほど聞いた。王宮からの招きなら尚更だろう。空気が読めないとか言ったレベルの話ではない。
王子殿下は正面突破することにした。
夜間、伯爵邸を襲撃する。マリゴールド嬢に会う。婚約解消の確認をする。母の王妃様に報告する。終わり。
だが、まずは邸内の間取りとか、家族の行動とかの調査が必要だ。
夜中の伯爵邸に侵入して、まかり間違って、あの二人の姉妹の部屋のドアなんかを開けてしまったらおしまいだ。大歓迎されるに決まっている。
それは全くよろしくない。
もちろん自称伯爵ご夫妻の寝室もNGだ。見たくない。
スパイには、殿下に負けず劣らず美形揃いと噂の側近の中から、特に美形を入念に選び出した。
「出入りの商人になりすまして、女中の誰かと仲良くなり、マリゴールド嬢の普段の様子を聞いてこい」
王子殿下の命令は絶対なので、側近は不本意だったが、市民の服を着て現れた。
「こんなもんでいかがでしょう」
王子殿下はつくづく側近を眺めたが、却下した。
「かっこだけ市民の、高位貴族にしか見えない」
見かねた他の側近が忠告した。
「当たり前でしょう! 彼は侯爵家の嫡男、生粋の貴族ですよ? それに顔は抜群ですが、演技力はないんです」
人選を誤ったか。
「それに、夜中に強行突破したいだなんて、もっとマシな方法がいくらでもあるでしょう!」
側近たちに責められた。側近全員がこのプランには反対だった。
「他に方法があるでしょう! 王妃様に言いつけますよ!」
別に次代の王になるわけじゃないので、側近と言っても気楽なものだ。
王子殿下は反論した。
「さっさと片付けて終わりにしたいのだ。だが、あの一家はマリゴールド嬢を絶対に出してこないだろう。ならば家宅捜索するのみではないか」
勝手な家宅捜索は罪に問われます……と言いたいところだったが、王子殿下は素早く侯爵家嫡男から平民服を奪い取って身につけた。
「何してるんですか!」
全く似合わなかった。貴族臭がプンプンする。側近全員が思った。侯爵家の嫡男より悪化している。
「母上には内緒だぞ? 行ってくる」
「え……?」
止める間もなく王子殿下は夜陰に消えてしまった。
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