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第26話 三人に取り囲まれる
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翌朝、義母が意を決したように私に向かって命令した。
「ルテイン伯爵家、ロス男爵家、レシチン家の、アンとステラへの誤解を解いてちょうだい」
「誤解とは?」
「せっかくお手紙をもらえたのに、あなたが悪口を言ったせいでアンとステラの縁談がダメになってしまいました」
「どんなお手紙を受け取ったのですか?」
「アンとステラと交際したいと言う手紙ですわ」
「見せていただいてもいいかしら?」
デイジーも涙目でこちらを見ていたが、急いで手紙を持ってきた。
初めて見る手紙を私は念入りに検分した。
「いいですか? 宛先は私になっています。アンとステラは関係ありません」
どう読んでも私宛てだ。これのどこを読み間違える気だ。
「でも、この家には交際を申し込めるような年頃の、良い娘はアンとステラしかいません」
義母が訴えた。どういう思考回路だ。もう我慢がならぬ。しかし、私は我慢して説明した。
「私宛ての手紙の主は、私に用事があるのです。あなたやアンやステラに用事があるわけではありません。大体、爵位もない男性をお呼びしてどうするのです」
「全員、嫡男だと答えてくれましたわ」
ええ、失礼なことばっかり聞くな、もう!
「伯爵家では不足です! 侯爵令嬢なら侯爵令嬢らしく、相応の身分の方をお呼びしなさい。身分の低い私宛ての手紙を、高位貴族のあなたが開けてどうするのですか」
ハードルを上げてやった。
「でも……」
これくらいではへこたれないと思うが、一応念押しした。もう、関わらないで欲しい。
「洗濯女の親戚からの手紙をいちいち開けて読むのですか? 侯爵家なのですよ。今後は相手をお選びになるように!」
そして翌日学園に行くと、私は三人の男性に取り囲まれた。
三人はハワード家の客間で知り合いになったらしい。
「ハワード嬢」
彼らは私と同い年くらいの普通の男性だった。礼儀正しく、身なりもきちんとしていた。
「突然、話しかけて申し訳ございません」
「ルテイン伯爵家のルイスと申します」
「ロス男爵家のロビンです。こちらはレシチン家のレオナルド様」
だろうなと思ったのだけど、やはり、あの物凄いお茶会に参加なさった三人だった。
「ハワード家のエレクトラですわ」
もう、ここは平謝りに謝るしかなかった。
それから、義母が手紙を取り上げてしまったこと、昨日のお茶会については全く知らないこと、モートン様との婚約はお話が出ているものの決定ではなく、婚約破棄にもならないことなどを説明しなくてはならなかった。
「どこのお家でも、お話はそろそろ出てくる頃かと存じます」
私は殊勝に言った。
「モートン様とのお話は、父が持ってきました。他の方からのお誘いも、できれば父を通していただければと思います」
お父様、便利。
「それから、私の婚約話はまだ検討の段階に過ぎませんので、他の方にお知らせするようなものではございません。それぞれの家の思惑がありますので、他言なさらないでいただくと助かります」
人の家のことは放っておいてほしい。
「検討の段階なら、候補に入れてほしいものです」
「モートン様も父を通じてのお話ですので」
父が何を考えて、モートン様を婚約者にしたのか理由がわからない。それがわからないと、判断できないわ。
「父を通してくださいませ」
「それは現実的には少し難しいですね」
真面目な様子のルイス様がおっしゃった。眉毛の端がちょっと反り返って、口元はおちょぼ口だ。あくまで個人的な意見だけど、ちょっとゾォッとする顔のような気がする。
「あなたのお父様は隣国におられる。直接、お会いすることができないので、おうちに手紙を出したのです。婚約を検討している家があるのでと一度はお断りされましたが、その後、婚約はまだ確定しているわけではないからと、お屋敷に招かれました」
ルテイン伯爵家のルイス様が、後についてきた二人を振り返ると、二人がうなずいた。ロス男爵家のロビン様とレシチン家のレオナルド様ね。どっちがどっちかわからないけど。
「あなたの家から正式にエレクトラ様の婚約者候補としてお招きいただいた上は、私たちは全員、大いに期待しました」
そう言われると一言もない。
義母の大馬鹿。
婚約を検討している家があるのでお断りしますで 終わっておけばいいのだ。なんで家に呼んだのよ。
「ルテイン伯爵家、ロス男爵家、レシチン家の、アンとステラへの誤解を解いてちょうだい」
「誤解とは?」
「せっかくお手紙をもらえたのに、あなたが悪口を言ったせいでアンとステラの縁談がダメになってしまいました」
「どんなお手紙を受け取ったのですか?」
「アンとステラと交際したいと言う手紙ですわ」
「見せていただいてもいいかしら?」
デイジーも涙目でこちらを見ていたが、急いで手紙を持ってきた。
初めて見る手紙を私は念入りに検分した。
「いいですか? 宛先は私になっています。アンとステラは関係ありません」
どう読んでも私宛てだ。これのどこを読み間違える気だ。
「でも、この家には交際を申し込めるような年頃の、良い娘はアンとステラしかいません」
義母が訴えた。どういう思考回路だ。もう我慢がならぬ。しかし、私は我慢して説明した。
「私宛ての手紙の主は、私に用事があるのです。あなたやアンやステラに用事があるわけではありません。大体、爵位もない男性をお呼びしてどうするのです」
「全員、嫡男だと答えてくれましたわ」
ええ、失礼なことばっかり聞くな、もう!
「伯爵家では不足です! 侯爵令嬢なら侯爵令嬢らしく、相応の身分の方をお呼びしなさい。身分の低い私宛ての手紙を、高位貴族のあなたが開けてどうするのですか」
ハードルを上げてやった。
「でも……」
これくらいではへこたれないと思うが、一応念押しした。もう、関わらないで欲しい。
「洗濯女の親戚からの手紙をいちいち開けて読むのですか? 侯爵家なのですよ。今後は相手をお選びになるように!」
そして翌日学園に行くと、私は三人の男性に取り囲まれた。
三人はハワード家の客間で知り合いになったらしい。
「ハワード嬢」
彼らは私と同い年くらいの普通の男性だった。礼儀正しく、身なりもきちんとしていた。
「突然、話しかけて申し訳ございません」
「ルテイン伯爵家のルイスと申します」
「ロス男爵家のロビンです。こちらはレシチン家のレオナルド様」
だろうなと思ったのだけど、やはり、あの物凄いお茶会に参加なさった三人だった。
「ハワード家のエレクトラですわ」
もう、ここは平謝りに謝るしかなかった。
それから、義母が手紙を取り上げてしまったこと、昨日のお茶会については全く知らないこと、モートン様との婚約はお話が出ているものの決定ではなく、婚約破棄にもならないことなどを説明しなくてはならなかった。
「どこのお家でも、お話はそろそろ出てくる頃かと存じます」
私は殊勝に言った。
「モートン様とのお話は、父が持ってきました。他の方からのお誘いも、できれば父を通していただければと思います」
お父様、便利。
「それから、私の婚約話はまだ検討の段階に過ぎませんので、他の方にお知らせするようなものではございません。それぞれの家の思惑がありますので、他言なさらないでいただくと助かります」
人の家のことは放っておいてほしい。
「検討の段階なら、候補に入れてほしいものです」
「モートン様も父を通じてのお話ですので」
父が何を考えて、モートン様を婚約者にしたのか理由がわからない。それがわからないと、判断できないわ。
「父を通してくださいませ」
「それは現実的には少し難しいですね」
真面目な様子のルイス様がおっしゃった。眉毛の端がちょっと反り返って、口元はおちょぼ口だ。あくまで個人的な意見だけど、ちょっとゾォッとする顔のような気がする。
「あなたのお父様は隣国におられる。直接、お会いすることができないので、おうちに手紙を出したのです。婚約を検討している家があるのでと一度はお断りされましたが、その後、婚約はまだ確定しているわけではないからと、お屋敷に招かれました」
ルテイン伯爵家のルイス様が、後についてきた二人を振り返ると、二人がうなずいた。ロス男爵家のロビン様とレシチン家のレオナルド様ね。どっちがどっちかわからないけど。
「あなたの家から正式にエレクトラ様の婚約者候補としてお招きいただいた上は、私たちは全員、大いに期待しました」
そう言われると一言もない。
義母の大馬鹿。
婚約を検討している家があるのでお断りしますで 終わっておけばいいのだ。なんで家に呼んだのよ。
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