72 / 72
第72話 結婚して十年が経って
しおりを挟む
それぞれの結婚式は、華やかに行われた。
私の式にはアラベラ嬢とアイリス嬢も参列してくれた。
驚いたことに、私の式で、二人は王立高等学院の卒業生の方に見染められて、一年後に結婚した。ご縁なんてどこに転がっているのかわからない。
マチルダ様もローズマリー様も結婚し、最後にアーネスティン様が式をあげた。
アーネスティン様の式は、注目の的だった。隣国の王はその頃には相当具合が悪くなっていた。当然、後継者問題は大問題で、アーネスティン様のご夫君、オーウェン様の父上が一番可能性が高いとみなされていたからだ。
ただ、それには王妃様が徹底的に反対していた。なんでも、王妃の地位を利用して自分の甥を王の養子にして王位を継承させようと画策していたが、国中の他の貴族たちが大反対をしていた。そして評判の悪い王妃の代わりに、摂政の地位を占めていたのが、ウチの父だった。
王妃の評判が悪いので、隣国の侯爵にいろいろおまかせしてもいいか、という発想は、真剣に訳がわからないと思う。
たまに届く父からの手紙を読んだ私は、本気で、父が過労死しそうだと思った。
「外国人だからね。どの派閥にも属さない。野心がない。というか、野心を持てない。何かあると嫌そうに帰国してしまい、事態が悪化、王様からならまだわかるが、臣下から泣きが入るそうだ」
事情通のマーク様が、おもしろそうに言う。
「お義父様は大変だと思う。子守唄を歌うほかに、最近では、読み聞かせが増えたらしい」
私たちは新しく作ったバラ園の中でお茶をしていた。
でも、私、父なんかどうでもいいと思うの。なんだかすごく苦労しているみたいだけど、私も父のせいでしなくていい苦労を相当したもの。
「隣国の大臣だの有力家族全員が、ハワード侯爵を黙認しているのは理由がある。どうしてかわかる?」
他国の内情なんか、関心ないなあ。
「嫌だわ、マーク。私がそんなこと、知ってる訳がないじゃありませんか」
彼は相変わらずきれいな目をしている。うん。うっとり。
ちょっとゴツくなったかな。でも、やっぱりキレイめ男子よ。
私を見る目は、笑いを含んでいるようだ。
「フフ。あなたとアーネスティン様が大の親友だからさ」
「え?」
私は、ナッツ入りクッキーをポトリと手から落とした。
確かにアーネスティン様とは、しょっちゅう会っている。
でも、それとなんの関係があるの?
「未来の王妃様と目されている」
「夫のオーウェン様こそが未来の王様なんですけど?」
次の王と目されているのは、国王の実弟のモントローズ公爵だが、何分にも現王と大して年齢が違う訳ではないので、皆が着目しているのは若いオーウェン様の方だ。
「オーウェン様はアーネスティン様に骨抜きだ。アーネスティン様の言うことなら、何でも聞くだろう」
「でも……」
言いたいことはわかる。
オーウェン様はとても優しくて良い方で、愛妻家だ。教養もあり芸術に関心がある。人付き合いもうまく、頭もよい。でも、なんて言ったらいいのだろう。行く道を照らす光が見えない。
一方のアーネスティン様には、しっかりしていると言うだけでは語りきれない何かがある。
「アーネスティン様はあなたと同じ匂いがするよ。この国の王族だしね」
それから。
アーネスティン様とオーウェン様が隣国に赴いたのは、結婚後十年も経ってからだった。
その頃には、父はもうへとへとで、もう隣国にはいたくないと、固くお断りを出していた。
「国に戻れば、息子も娘も孫たちもいる。私はもう隠居する年です」
「わしはもう死ぬ年だ。年寄り自慢するな。わしだって隠居希望なのに」
隣国の王はまだ生きていた。
「そうはいきません。王妃様は国中から総スカンを食ってますが、ご健在です。王妃様を抑えられるのは、あなたしかいません」
「次の王は、オーウェン殿でいいじゃないか。わしの甥だ。嫁が美人だし。あの嫁ならなんとかするじゃろ。お前んとこの娘夫婦も一緒に来るはずじゃ。だからお前もここにいろ」
「いやです」
にべもなし。
そんな会話があったらしいが、オーウェン様とアーネスティン様は、三人の子どもを連れて、ようやく隣国に赴いた。
ピエール夫人も一緒だった。
「あなたたちも来なさい。隣国で権力を欲しいままにしたハワード侯爵二代目になるのよ」
違います。権力を欲しいままになんてしてません。父は、ストレスで死にそうになってました。それに、私たちは権力なんかいりません。
「いえ。それはちょっと……」
私は遠慮したかったのだが、王妃様付き第一侍女になってしまった。そして、マーク様は国王付き武官になってしまった。
「第一武官は、止めておく。国に帰れなくなりそうだ。第一侍女は辞められると思うよ」
彼は、どう見ても薄ら笑いにしか見えない表情を浮かべて言った。
「おもしろそうだね、エレクトラ」
面白くない、面白くないよ!
隣国の王位交代劇に立ち会うのよ。そして、私たちはアーネスティン様たちをお守りする役割なのよ?
「いやー、楽しいな。何が起きるかな」
もう十年も前の話で、私がまだ若かった頃、私はアーネスティン様と知り合いになった。
アーネスティン様は尊敬に値する、そう思った。でも、アーネスティン様はその時、侍女にならなくていいとおっしゃった。
「ついてきて、エレクトラ」
そして、今、アーネスティン様はそう言った。
「国を治めるために、私にはあなたが必要なの」
仕方がなかった。アーネスティン様の肩にはいろいろなものが乗っかっている。どれもこれも放っておけないようなものばかりだ。
「参りましょう、アーネスティン様」
私は言った。
「大丈夫ですとも。私たち、何が起きてもどうにかできますわ」
私の返事を後で聞いたマーク様は言った。
「愛されてるね、エレクトラ。アーネスティン様はただ者じゃない。その人にこうまで言われるとはね」
「オーウェン様は?」
聞かなくてもわかってた。オーウェン様は立派なお方。しかし、アーネスティン様のような、静かな炎は持たないのだ。
「大丈夫、大丈夫。僕はオーウェン様に信頼されているしね」
「子どもたちはどうしましょうか?」
「バイリンガルになれる」
そんなに簡単にいくか!
「世界を知ることはいいことだ。僕はあなたについて行く。始めからそのつもりだって言ったよね?」
それはずっと前の約束だった。彼は覚えていたのか。
「重荷は背負える肩にやってくるっていうじゃない。だから来たんだよ。あなたとアーネスティン様のところへ」
「いやですわ……」
「背負えると言っているんだよ、僕は」
結婚したら終わりじゃなくて、続きがあった。続きを一緒に歩く人ができた。
「マーク、ありがとう」
マークのきれいな目がチラッと動いた。
「危なくなったらアーネスティン様を裏切って、妻を子どももろとも必ず救い出すのが僕の役目だからね」
私はマークの肩に頭を預けた。大好きよ、マーク。愛してる。
私の式にはアラベラ嬢とアイリス嬢も参列してくれた。
驚いたことに、私の式で、二人は王立高等学院の卒業生の方に見染められて、一年後に結婚した。ご縁なんてどこに転がっているのかわからない。
マチルダ様もローズマリー様も結婚し、最後にアーネスティン様が式をあげた。
アーネスティン様の式は、注目の的だった。隣国の王はその頃には相当具合が悪くなっていた。当然、後継者問題は大問題で、アーネスティン様のご夫君、オーウェン様の父上が一番可能性が高いとみなされていたからだ。
ただ、それには王妃様が徹底的に反対していた。なんでも、王妃の地位を利用して自分の甥を王の養子にして王位を継承させようと画策していたが、国中の他の貴族たちが大反対をしていた。そして評判の悪い王妃の代わりに、摂政の地位を占めていたのが、ウチの父だった。
王妃の評判が悪いので、隣国の侯爵にいろいろおまかせしてもいいか、という発想は、真剣に訳がわからないと思う。
たまに届く父からの手紙を読んだ私は、本気で、父が過労死しそうだと思った。
「外国人だからね。どの派閥にも属さない。野心がない。というか、野心を持てない。何かあると嫌そうに帰国してしまい、事態が悪化、王様からならまだわかるが、臣下から泣きが入るそうだ」
事情通のマーク様が、おもしろそうに言う。
「お義父様は大変だと思う。子守唄を歌うほかに、最近では、読み聞かせが増えたらしい」
私たちは新しく作ったバラ園の中でお茶をしていた。
でも、私、父なんかどうでもいいと思うの。なんだかすごく苦労しているみたいだけど、私も父のせいでしなくていい苦労を相当したもの。
「隣国の大臣だの有力家族全員が、ハワード侯爵を黙認しているのは理由がある。どうしてかわかる?」
他国の内情なんか、関心ないなあ。
「嫌だわ、マーク。私がそんなこと、知ってる訳がないじゃありませんか」
彼は相変わらずきれいな目をしている。うん。うっとり。
ちょっとゴツくなったかな。でも、やっぱりキレイめ男子よ。
私を見る目は、笑いを含んでいるようだ。
「フフ。あなたとアーネスティン様が大の親友だからさ」
「え?」
私は、ナッツ入りクッキーをポトリと手から落とした。
確かにアーネスティン様とは、しょっちゅう会っている。
でも、それとなんの関係があるの?
「未来の王妃様と目されている」
「夫のオーウェン様こそが未来の王様なんですけど?」
次の王と目されているのは、国王の実弟のモントローズ公爵だが、何分にも現王と大して年齢が違う訳ではないので、皆が着目しているのは若いオーウェン様の方だ。
「オーウェン様はアーネスティン様に骨抜きだ。アーネスティン様の言うことなら、何でも聞くだろう」
「でも……」
言いたいことはわかる。
オーウェン様はとても優しくて良い方で、愛妻家だ。教養もあり芸術に関心がある。人付き合いもうまく、頭もよい。でも、なんて言ったらいいのだろう。行く道を照らす光が見えない。
一方のアーネスティン様には、しっかりしていると言うだけでは語りきれない何かがある。
「アーネスティン様はあなたと同じ匂いがするよ。この国の王族だしね」
それから。
アーネスティン様とオーウェン様が隣国に赴いたのは、結婚後十年も経ってからだった。
その頃には、父はもうへとへとで、もう隣国にはいたくないと、固くお断りを出していた。
「国に戻れば、息子も娘も孫たちもいる。私はもう隠居する年です」
「わしはもう死ぬ年だ。年寄り自慢するな。わしだって隠居希望なのに」
隣国の王はまだ生きていた。
「そうはいきません。王妃様は国中から総スカンを食ってますが、ご健在です。王妃様を抑えられるのは、あなたしかいません」
「次の王は、オーウェン殿でいいじゃないか。わしの甥だ。嫁が美人だし。あの嫁ならなんとかするじゃろ。お前んとこの娘夫婦も一緒に来るはずじゃ。だからお前もここにいろ」
「いやです」
にべもなし。
そんな会話があったらしいが、オーウェン様とアーネスティン様は、三人の子どもを連れて、ようやく隣国に赴いた。
ピエール夫人も一緒だった。
「あなたたちも来なさい。隣国で権力を欲しいままにしたハワード侯爵二代目になるのよ」
違います。権力を欲しいままになんてしてません。父は、ストレスで死にそうになってました。それに、私たちは権力なんかいりません。
「いえ。それはちょっと……」
私は遠慮したかったのだが、王妃様付き第一侍女になってしまった。そして、マーク様は国王付き武官になってしまった。
「第一武官は、止めておく。国に帰れなくなりそうだ。第一侍女は辞められると思うよ」
彼は、どう見ても薄ら笑いにしか見えない表情を浮かべて言った。
「おもしろそうだね、エレクトラ」
面白くない、面白くないよ!
隣国の王位交代劇に立ち会うのよ。そして、私たちはアーネスティン様たちをお守りする役割なのよ?
「いやー、楽しいな。何が起きるかな」
もう十年も前の話で、私がまだ若かった頃、私はアーネスティン様と知り合いになった。
アーネスティン様は尊敬に値する、そう思った。でも、アーネスティン様はその時、侍女にならなくていいとおっしゃった。
「ついてきて、エレクトラ」
そして、今、アーネスティン様はそう言った。
「国を治めるために、私にはあなたが必要なの」
仕方がなかった。アーネスティン様の肩にはいろいろなものが乗っかっている。どれもこれも放っておけないようなものばかりだ。
「参りましょう、アーネスティン様」
私は言った。
「大丈夫ですとも。私たち、何が起きてもどうにかできますわ」
私の返事を後で聞いたマーク様は言った。
「愛されてるね、エレクトラ。アーネスティン様はただ者じゃない。その人にこうまで言われるとはね」
「オーウェン様は?」
聞かなくてもわかってた。オーウェン様は立派なお方。しかし、アーネスティン様のような、静かな炎は持たないのだ。
「大丈夫、大丈夫。僕はオーウェン様に信頼されているしね」
「子どもたちはどうしましょうか?」
「バイリンガルになれる」
そんなに簡単にいくか!
「世界を知ることはいいことだ。僕はあなたについて行く。始めからそのつもりだって言ったよね?」
それはずっと前の約束だった。彼は覚えていたのか。
「重荷は背負える肩にやってくるっていうじゃない。だから来たんだよ。あなたとアーネスティン様のところへ」
「いやですわ……」
「背負えると言っているんだよ、僕は」
結婚したら終わりじゃなくて、続きがあった。続きを一緒に歩く人ができた。
「マーク、ありがとう」
マークのきれいな目がチラッと動いた。
「危なくなったらアーネスティン様を裏切って、妻を子どももろとも必ず救い出すのが僕の役目だからね」
私はマークの肩に頭を預けた。大好きよ、マーク。愛してる。
506
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(15件)
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄された私。大嫌いなアイツと婚約することに。大嫌い!だったはずなのに……。
さくしゃ
恋愛
「婚約破棄だ!」
素直であるが故に嘘と見栄で塗り固められた貴族社会で嫌われ孤立していた"主人公「セシル」"は、そんな自分を初めて受け入れてくれた婚約者から捨てられた。
唯一自分を照らしてくれた光を失い絶望感に苛まれるセシルだったが、家の繁栄のためには次の婚約相手を見つけなければならず……しかし断られ続ける日々。
そんなある日、ようやく縁談が決まり乗り気ではなかったが指定されたレストランへ行くとそこには、、、
「れ、レント!」
「せ、セシル!」
大嫌いなアイツがいた。抵抗するが半ば強制的に婚約することになってしまい不服だった。不服だったのに……この気持ちはなんなの?
大嫌いから始まるかなり笑いが入っている不器用なヒロインと王子による恋物語。
15歳という子供から大人へ変わり始める時期は素直になりたいけど大人に見られたいが故に背伸びをして強がったりして素直になれないものーーそんな感じの物語です^_^
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
愛しい人へ~愛しているから私を捨てて下さい~
ともどーも
恋愛
伯爵令嬢シャティアナは幼馴染みで五歳年上の侯爵子息ノーランドと兄妹のように育ち、必然的に恋仲になり、婚約目前と言われていた。
しかし、シャティアナの母親は二人の婚約を認めず、頑なに反対していた。
シャティアナの父は侯爵家との縁続きになるのを望んでいたため、母親の反対を押切り、シャティアナの誕生日パーティーでノーランドとの婚約を発表した。
みんなに祝福され、とても幸せだったその日の夜、ベッドで寝ていると母親が馬乗りになり、自分にナイフを突き刺そうとしていた。
母親がなぜノーランドとの婚約をあんなに反対したのか…。
母親の告白にシャティアナは絶望し、ノーランドとの婚約破棄の為に動き出す。
貴方を愛してる。
どうか私を捨てて下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全14話です。
楽しんで頂ければ幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の落ち度で投稿途中にデータが消えてしまい、ご心配をお掛けして申し訳ありません。
運営の許可をへて再投稿致しました。
今後このような事が無いように投稿していく所存です。
ご不快な思いをされた方には、この場にて謝罪させていただければと思います。
申し訳ありませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
実は、
そろそろ新シリーズかな?と期待しての感想でした。
厚かましくて、ごめんなさい🙇♀️
見事な溺愛ご馳走様でした🩷
あらゆる苦難を乗り越えてのハッピーエンドは、やっぱり気持ち良いです。
配信後すぐに読ませていただきましたのに、その満足感のお礼をしていませんでした。遅ればせながら、スッキリ完結ありがとうございました😊
しずぽん様
感想をありがとうございます!
話が皆様の想像していたのと違う形で終わってしまったかなと、反省しておりました。
終わり方って難しいですねっ
なろうには省略系の終わり方のものを載せてみました。
マークすげー!!
もっともっとやっちゃって〜!!
やけど
偽姉達の
強烈さ
今になって
お花畑感
クセになってしまってる汗汗
Quantum1105様
感想を書いてくださってありがとうございます😭 (今頃)
なぜ、せっかくいただいた感想を見逃していたのか、申し訳ありません。
次はお花畑な婚約者の話を載せますので
気が向けばまた読んでやってください!