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淫欲八姫
第11話 “まーくん”って暗いの怖かったりするの?
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本日の宿はルームサービスの類が一切ないという事なので飲み物と軽食を買ってから向かう事になったのだが、アスモちゃんは何か禍々しいイラストの描かれた瓶を何本か手に取っていた。
明らかに怪しい感じのイラストとカラフルなテキストに目を奪われてしまったが、この世界の文字を全く読めない俺には何が書かれているのか全く理解出来なかった。
ただ、何となくエナジードリンクに似ているような印象は持ってしまっていた。
「“まーくん”がこっちの世界の食べ物に対してネガティブな印象を受けなくて良かったよ。さっきの店はちょっと変わってるものを出す店だったんだけど、その方がかえって“まーくん”にとって良かったのかもね。ほら、“まーくん”がもともといた世界で食べた料理に似ているって言ってたでしょ?」
「うん、中華料理に似てるなって思って食べてたよ。食材はたぶん全然違うモノなんだろうけど、味付けとか見た目は凄く似ていたね。でも、あんなふうに姿作りで出てくるのはちょっと驚いたけどね」
「それはオレも驚いたよ。顔のマークがついてたのはそういう意味だったんだってお会計の時に教えて貰ったからね。顔なしよりも少しだけ高かったのはそういう事だったんだってわかったよ」
「ハハハ、次に行くときは顔なしの方でお願いしたいね」
そんな事を話しながら料理店から歩いているのだが、少しずつ人通りも少なくなり街灯の数も減っていっていた。
元々そこまで多くはなかった街灯がさらに減ると見えない部分が多くなって、時々出現する路地が薄気味悪く思えてきた。
明らかにナイフを隠し持ってそうな若者がこちらをチラチラと見ていたり、体に鎖をジャラジャラと巻き付けている筋肉質な男が集団でいたりと物騒な環境になっている。何かあってもアスモちゃんを守れるか心配になっているのだけど、アスモちゃんはそんな周りの様子を一切気にすることも無く楽しそうに話を続けて歩いていた。
俺はどうしても周りの事が気になってアスモちゃんとの会話に集中出来なかったのだが、その事に気付いたアスモちゃんは俺の前で立ち止まると少し怒ったような感じで顔を見てきた。
「“まーくん”はオレと話したくないのかな?」
「そういうわけじゃないんだけど、何となくここで立ち止まるのは良くないんじゃないかな」
「別にどこで立ち止まってもいいだろ。オレと話すのが嫌ならそう言ってくれればいいのに。オレは“まーくん”と話すの楽しいんだけど」
「俺もアスモちゃんとの話すのは楽しいよ。この世界の事も色々と教えてくれるし」
「じゃあ、なんでオレの事よりも他の人の事ばっかり見てるのさ。それっておかしいじゃん」
「そういうわけではないんだけど」
ここで立ち止まるのは良くないんじゃないかな。
街灯の切れ間にある何もない公園だけど、何人か人がいるのはぼんやりと見えていた。
その見える人たちはどう見ても普通の人っぽくないし、何か時々キラリと反射しているのが見えるので金属の何かを所持しているのもわかっている。
ここにとどまっては良くないと思いながらも、俺はアスモちゃんを説得することが出来なかった。
そんな俺たちのやり取りを見て公園にいた人が興味を持ったのか、ぞろぞろとこちらに近付いてくるのがわかった。
何とかこの場を離れようとしたのだけれど、アスモちゃんに肩を掴まれて動けない。
その細い腕のどこにこのような力があるのだろうと思うくらい強力な力で、肩を掴まれているだけなのにもかかわらず腰も足も腕も何もかもが動かない。どんなに力を入れても体が俺の意志を無視するかのように、全く動こうとはしなかった。
「なんかここはヤバいからとにかく移動しようよ。俺は別にいいんだけど、アスモちゃんが心配だから」
「そんなに心配してくれるならオレの話もちゃんと聞いてよ。別にここはヤバくないし。もしかして、“まーくん”って暗いの怖かったりするの?」
そう言ってバカにした感じのアスモちゃんを見て誤解されてもいいと思い、俺は暗い場所が怖いという事を伝えてでもこの場を離れようとした。
だが、俺の言葉よりも早く知らない人が話しかけてきた。
今まさにこの場を離れようと思っていた俺にとって、最悪のタイミングで話しかけてきたのだ。
「あんたらさっきから俺たちの縄張りでイチャイチャして見られたいのか?」
「お前らには関係ないから話しかけんな。これはオレと“まーくん”の問題だからな」
「そうかそうか、それなら俺らには関係ないな。ただ、俺らに迷惑かけた分はきっちり払ってもらう必要があるんだけどな。お前、皇帝の所にいるメイドだろ。俺は一度でいいからメイドに相手をしてもらいたいって思ってたんだ。ちょうどいい機会だから俺にも試させてくれよ」
「ちっ、めんどくせえな。そんなわけだからオレはちょっとこいつの相手をしてくるよ。“まーくん”はこの荷物持っててもらっていいかな?」
アスモちゃんから袋を受け取った俺は情けないことに動くことが出来なかった。
恐ろしく発達した筋肉と人を殺すために作られたとしか思えない形状の鉄の塊を持っている大男が怖くて涙が出そうになっていた。それ以外にも出そうにはなっていたけれど、大男の連れの美女がじっとこちらを見ていたので何とか堪えることは出来た。
美女は俺に笑顔を見せてくれた。
その笑顔にどんな意味があるのかわからないが、俺はアスモちゃんから受け取った袋が異常に重い事にも衝撃を受けていた。
明らかに怪しい感じのイラストとカラフルなテキストに目を奪われてしまったが、この世界の文字を全く読めない俺には何が書かれているのか全く理解出来なかった。
ただ、何となくエナジードリンクに似ているような印象は持ってしまっていた。
「“まーくん”がこっちの世界の食べ物に対してネガティブな印象を受けなくて良かったよ。さっきの店はちょっと変わってるものを出す店だったんだけど、その方がかえって“まーくん”にとって良かったのかもね。ほら、“まーくん”がもともといた世界で食べた料理に似ているって言ってたでしょ?」
「うん、中華料理に似てるなって思って食べてたよ。食材はたぶん全然違うモノなんだろうけど、味付けとか見た目は凄く似ていたね。でも、あんなふうに姿作りで出てくるのはちょっと驚いたけどね」
「それはオレも驚いたよ。顔のマークがついてたのはそういう意味だったんだってお会計の時に教えて貰ったからね。顔なしよりも少しだけ高かったのはそういう事だったんだってわかったよ」
「ハハハ、次に行くときは顔なしの方でお願いしたいね」
そんな事を話しながら料理店から歩いているのだが、少しずつ人通りも少なくなり街灯の数も減っていっていた。
元々そこまで多くはなかった街灯がさらに減ると見えない部分が多くなって、時々出現する路地が薄気味悪く思えてきた。
明らかにナイフを隠し持ってそうな若者がこちらをチラチラと見ていたり、体に鎖をジャラジャラと巻き付けている筋肉質な男が集団でいたりと物騒な環境になっている。何かあってもアスモちゃんを守れるか心配になっているのだけど、アスモちゃんはそんな周りの様子を一切気にすることも無く楽しそうに話を続けて歩いていた。
俺はどうしても周りの事が気になってアスモちゃんとの会話に集中出来なかったのだが、その事に気付いたアスモちゃんは俺の前で立ち止まると少し怒ったような感じで顔を見てきた。
「“まーくん”はオレと話したくないのかな?」
「そういうわけじゃないんだけど、何となくここで立ち止まるのは良くないんじゃないかな」
「別にどこで立ち止まってもいいだろ。オレと話すのが嫌ならそう言ってくれればいいのに。オレは“まーくん”と話すの楽しいんだけど」
「俺もアスモちゃんとの話すのは楽しいよ。この世界の事も色々と教えてくれるし」
「じゃあ、なんでオレの事よりも他の人の事ばっかり見てるのさ。それっておかしいじゃん」
「そういうわけではないんだけど」
ここで立ち止まるのは良くないんじゃないかな。
街灯の切れ間にある何もない公園だけど、何人か人がいるのはぼんやりと見えていた。
その見える人たちはどう見ても普通の人っぽくないし、何か時々キラリと反射しているのが見えるので金属の何かを所持しているのもわかっている。
ここにとどまっては良くないと思いながらも、俺はアスモちゃんを説得することが出来なかった。
そんな俺たちのやり取りを見て公園にいた人が興味を持ったのか、ぞろぞろとこちらに近付いてくるのがわかった。
何とかこの場を離れようとしたのだけれど、アスモちゃんに肩を掴まれて動けない。
その細い腕のどこにこのような力があるのだろうと思うくらい強力な力で、肩を掴まれているだけなのにもかかわらず腰も足も腕も何もかもが動かない。どんなに力を入れても体が俺の意志を無視するかのように、全く動こうとはしなかった。
「なんかここはヤバいからとにかく移動しようよ。俺は別にいいんだけど、アスモちゃんが心配だから」
「そんなに心配してくれるならオレの話もちゃんと聞いてよ。別にここはヤバくないし。もしかして、“まーくん”って暗いの怖かったりするの?」
そう言ってバカにした感じのアスモちゃんを見て誤解されてもいいと思い、俺は暗い場所が怖いという事を伝えてでもこの場を離れようとした。
だが、俺の言葉よりも早く知らない人が話しかけてきた。
今まさにこの場を離れようと思っていた俺にとって、最悪のタイミングで話しかけてきたのだ。
「あんたらさっきから俺たちの縄張りでイチャイチャして見られたいのか?」
「お前らには関係ないから話しかけんな。これはオレと“まーくん”の問題だからな」
「そうかそうか、それなら俺らには関係ないな。ただ、俺らに迷惑かけた分はきっちり払ってもらう必要があるんだけどな。お前、皇帝の所にいるメイドだろ。俺は一度でいいからメイドに相手をしてもらいたいって思ってたんだ。ちょうどいい機会だから俺にも試させてくれよ」
「ちっ、めんどくせえな。そんなわけだからオレはちょっとこいつの相手をしてくるよ。“まーくん”はこの荷物持っててもらっていいかな?」
アスモちゃんから袋を受け取った俺は情けないことに動くことが出来なかった。
恐ろしく発達した筋肉と人を殺すために作られたとしか思えない形状の鉄の塊を持っている大男が怖くて涙が出そうになっていた。それ以外にも出そうにはなっていたけれど、大男の連れの美女がじっとこちらを見ていたので何とか堪えることは出来た。
美女は俺に笑顔を見せてくれた。
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