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始まりの春休み編
沙緒莉姉さんは露出癖があるのか?
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いつもよりしっかりと朝食をとったせいなのか、僕は部屋に戻らずにソファに座ってテレビを眺めていた。さっきまでは父さんがテレビでニュースを見ていたのだけれど、父さんが仕事に向かっていったのを確認した母さんは真弓を誘ってゲームをしていたのだ。僕が見ているのはテレビ番組ではなく二人がやっているゲーム画面だった。
母さんはそこまでゲームをやったことが無いので複雑なものは出来ないと思うのだが、昔からテトリスやぷよぷよと言った落ちもの系のゲームを延々とやっていたこともあって、そのジャンルに限って言えばゲーム歴は真弓の年齢よりも長いのかもしれない。ただ、そんな母さんも普段は誰かとやる機会もないので対戦になるとそこまで強くないという事実が判明したのだが、さすがに一時間もやっていると攻撃の仕組みもわかってきたみたいで一方的にやられるということも無くなっていた。その代わり、真弓が一方的に攻撃される場面も増えてきてはいたのだった。
「ねえ、おばさんってあんまりゲームやらないのかと思ってたけどさ、テトリス強いよね」
「僕が物心つく前からテトリスとぷよぷよだけはやってたみたいだからね。一時期は凄いのめり込んで延々とやってたこともあったんだけどさ、ああやって対戦する事って無かったかも。そもそも、僕も父さんもテトリスは全然上手くないからね」
「へえ、それならさ、おじさんも得意なゲームとかあるの?」
「どうだろう。あんまりゲームやってるとこは見た事ないけど、ダビスタとかシムシティとかは結構やってたかも」
「競馬と街を作るやつだよね?」
「そうだね。どっちも僕はやらないけど、いまだに昔のゲーム機のやつをやってるっぽいよ」
「新しい方がいいってわけでもないんだね。あ、ついに真弓の方が負け越したみたいだよ。なんでも得意な真弓でも勝てない相手っているんだね」
「最初の頃は真弓の方が強かったみたいだけど、攻撃システムを理解したらずっとやりこんでた母さんの方に分があるのかもね。でも、夜までやってたら真弓の方が逆転しそうだけどな」
「どうして?」
「だってさ、母さんはそんなに集中力もたないと思うんだよね。今だって負けにはつながってないけどちょいちょいミスをしてるみたいだしさ、昼ご飯をどうするかって考えだしたら負けちゃうんじゃないかな」
「それならさ、私達でお昼ご飯は作ろうよ。真弓もおばさんも楽しそうにゲームやってることだし、ご飯の事でそれを途切れさせるのも悪いしね。じゃあ、お姉ちゃんを起こしてお昼の相談をしようか?」
「そう言えば、沙緒莉姉さんってまだ起きてきてなかったんだね。勝手に起きるの早そうって思ってたよ」
「えっとね、お姉ちゃんって何か用事がある時はちゃんと起きれる人なんだよね。でも、予定が無かったら逆にいつまででも寝てられる人なの。予定が無かったら目覚ましもかけないし、凄い時は丸一日起きてこなかったこともあるんだよ」
「凄いな。それじゃあさ、今日はこのまま起きてこないって可能性もあるんじゃない?」
「さすがにここに来て最初の朝にそれは無いと思うけどね。でも、起こしに行かなければずっと寝ているって可能性もあるのよね。起こしに行ったらすぐに起きると思うんだけど、問題は起こしてから何をするかって事よね。今決まってるのはお昼ご飯を何か作ろうって事だけで、何を作るか決めてないし、昌晃は何か食べたいものある?」
「そうだな、きっと夜は重いものを食べると思うから、軽くサッパリしたものが良いと思うよ」
「そうね、夜はおばさんに料理を教えてもらう予定だし、手の込んだものって可能性もあるわよね。じゃあさ、さっぱりした物って事は、餃子とかいいんじゃないかな。手作りとかしてたら楽しそうだし」
「え、餃子って別に軽くないと思うけど」
「お店で食べるのはそうかもしれないけど、私達が作るのはそうでもないのよ。お肉よりも野菜がたっぷりだし、付けダレも醤油とかじゃなくて米酢か果実酢でさっぱりさせるのよ」
「へえ、それならあんまり重くなくていいかもね。でも、そういう料理を作れるって聞いてたのと違って意外だな」
「そうでしょ。そうなのよ。ウチのママってなんでも薄味で素材本来の味を活かすだけの料理が多いんだけど、餃子だけは美味しく食べることが出来たのよね。でも、初めて外で餃子を食べた時は凄く驚いたのを覚えているわ。餃子って野菜の甘さに酢を付けた酸っぱいものだって感覚だったから、しっかりと肉の味がするって衝撃だったもの。でも、私はどっちの餃子も好きなのよね。ママの作ってくれた餃子は本物じゃないかもしれないけど、私にとってはそれが正しい餃子って事だしね」
「なんだか陽香の話を聞いていると、その餃子も美味しそうだって思えてきたよ。どんな味なのかは正直言って想像もつかないけれど、前田家の家庭の味って事だもんね」
「まあ、齋藤さんに比べたら薄味で味気ないかもしれないけど、餃子だけは美味しいよ。あと、ママの作るお好み焼きとパパの作るたこ焼きも美味しいんだけど、それってどっちもソースをたくさん使っていいからなんだよね。ソースのない部分を食べたら普通に味がしなかったからさ」
「お好み焼きは美味しいよね。明日はお好み焼きを作るのもいいかもね。うちではほとんどお好み焼きを食べた記憶はないけど、たまに外で食べた時は凄く美味しかったよ」
「お好み焼きならお姉ちゃんも真弓の上手に焼いてくれるよ。私もたぶんそこそこ上手には出来ると思うけどね。そろそろお姉ちゃんを起こしに行って買い物に行こうか。冷蔵庫の中にあるものを使っていいのか聞いてみてから買い物に行った方が良さそうね。じゃあ、私はお姉ちゃんを起こしてくるから昌晃は朝食の洗い物しといてね。お姉ちゃんは朝ごはん食べないから気にしないで洗い物してていいからね」
昨日見た感じだと陽香は一通りなんでも家事はこなせそうに見えた。陽香たちのおばさんの料理は食べたことが無いのだけれど、話を聞いている限りでは味付けはほとんどないって事だったんで、そこのところのさじ加減を覚えれば問題なんて無さそうな気がするんだよな。さっき聞いていた餃子の話も美味しそうだったし、普通に塩コショウで味を付ければある程度は食べられるものが出来ると思うんだけど、それでは足りない何かがあるのかな。そんな事を考えているといつの間にか洗い物も終わってしまい、僕は陽香と沙緒莉姉さんが下りてくるのを待っていた。
洗い物が終わってから結構時間が経っているように思うんだけど、まだ二人は下りてこない。途中で母さんと真弓が疲れたのか休憩をはさんでいたのだけれど、その休憩が終わっても二人はまだ下りてこないのだ。ちなみに、その休憩の時に陽香がお昼に餃子を作りたいと伝えたところ、冷蔵庫に入っている物は何でも使っていいとのことだった。晩御飯はまだ決めていないけれど、帰りに父さんが買い物をしてくるそうなので足りないものがあればその時にお願いするそうだ。
女性の準備には時間がかかるとは聞いたことがあるのだけれど、連絡もないというのは少し心配になってしまう。僕は何も無ければそれでいいと思いながらもリビングを出たのだが、階段を上ろうとしたときに二階から二人が言い争う声がかすかに聞こえてきた。僕は二人が喧嘩を始めてしまったのかと思って慌てて階段を駆け上がったのだが、僕が二階に到着すると同時に二人の言い争う声は聞こえなくなってしまった。
そして、沙緒莉姉さんの部屋のドアがゆっくりと開くと中から陽香が気まずそうに顔を出して僕を見ていた。
「時間がかかっちゃってごめんね。お姉ちゃんは起きてるんだけどさ、ちょっと変な事を言い出したから言い合いになっちゃってね。でも、喧嘩とかじゃないから気にしないでね」
「喧嘩じゃないならいいけどさ、買い物に行くのどうするかな?」
「え、どうするってどういう意味?」
「沙緒莉姉さんが嫌がってるなら僕と陽香の二人でもいいのかなって思うんだけど」
「ああ、それね。それなら大丈夫。お姉ちゃんも買い物には行くって言ってるからさ。それで、お願いがあるんだけどいいかな?」
「お願いってなに?」
「えっとね、お姉ちゃんなんだけど、夏服しか持ってきてなかったみたいでさ、昌晃の持ってる服をいくつか貸してもらってもいいかな?」
「それくらいなら構わないけど、陽香のじゃダメなの?」
「ちょっとね、私とお姉ちゃんじゃサイズが違うからちょっと無理かもなんだよね。それでさ、トレーナーとかパーカーを持ってるんだったら借りたいんだけど、大丈夫かな?」
「うん、それならいくつか持ってくるよ。あんまり派手なのは無いと思うから大丈夫だと思うけど、どんなのでもいいよね?」
「なんでもいいんでお願いね。このままじゃお姉ちゃんは夏まで外に出られなくなっちゃうかもしれないから。あ、ちょっとお姉ちゃん。今はまだ部屋から出ちゃ駄目だって」
「おはよう昌晃君。私は久しぶりに熟睡することが出来たよ。それにしても、春だって言うのにまだ寒いんだね。こっちの方って私達の住んでた場所と違うから気候も少し違ったりするのかもね。あ、服を貸してくれるって話なんだけど、どんな感じの物か見せてもらってもいいかな?」
部屋から出てきた沙緒莉姉さんは下着だけを身に付けただけの姿だった。やっていることは完全におかしい人そのものなのだけれど、話している内容はいたってまとも野な物であったので僕は少し混乱してしまった。
「ちょっとお姉ちゃん。そんな恰好で出たら昌晃が困っちゃうでしょ。いいから部屋に戻って服を持ってくるのを待っててよ。そんな恰好でウロウロされたらこっちの方が恥ずかしいよ」
「そうかな。この姿で会った方が昌晃君も喜ぶと思うんだけどね。でも、陽香の言っていることは納得出来ないな。陽香みたいに凹凸のない体だと恥ずかしいかもしれないけど、私はちゃんと出てるところは出ているんだからね」
「お姉ちゃん。いい加減にしないと怒るよ。昌晃も黙って下を向いてないで早く服をとってきてもらえるかな?」
僕は昨日から何回も沙緒莉姉さんの下着姿を見ているような気がするのだけれど、もしかして、沙緒莉姉さんって見せることに喜びを見出している人なのだろうか?
正直に言えば、沙緒莉姉さんのそんな姿を見ることが出来るのは嬉しいのだけれど、他の人に対してもそうだとしたらちょっと複雑だな。そんな事を考えながら僕は沙緒莉姉さんに渡す服を選んでいた。
あれ、貸すって事はいずれ返ってくるって事なのかな?
母さんはそこまでゲームをやったことが無いので複雑なものは出来ないと思うのだが、昔からテトリスやぷよぷよと言った落ちもの系のゲームを延々とやっていたこともあって、そのジャンルに限って言えばゲーム歴は真弓の年齢よりも長いのかもしれない。ただ、そんな母さんも普段は誰かとやる機会もないので対戦になるとそこまで強くないという事実が判明したのだが、さすがに一時間もやっていると攻撃の仕組みもわかってきたみたいで一方的にやられるということも無くなっていた。その代わり、真弓が一方的に攻撃される場面も増えてきてはいたのだった。
「ねえ、おばさんってあんまりゲームやらないのかと思ってたけどさ、テトリス強いよね」
「僕が物心つく前からテトリスとぷよぷよだけはやってたみたいだからね。一時期は凄いのめり込んで延々とやってたこともあったんだけどさ、ああやって対戦する事って無かったかも。そもそも、僕も父さんもテトリスは全然上手くないからね」
「へえ、それならさ、おじさんも得意なゲームとかあるの?」
「どうだろう。あんまりゲームやってるとこは見た事ないけど、ダビスタとかシムシティとかは結構やってたかも」
「競馬と街を作るやつだよね?」
「そうだね。どっちも僕はやらないけど、いまだに昔のゲーム機のやつをやってるっぽいよ」
「新しい方がいいってわけでもないんだね。あ、ついに真弓の方が負け越したみたいだよ。なんでも得意な真弓でも勝てない相手っているんだね」
「最初の頃は真弓の方が強かったみたいだけど、攻撃システムを理解したらずっとやりこんでた母さんの方に分があるのかもね。でも、夜までやってたら真弓の方が逆転しそうだけどな」
「どうして?」
「だってさ、母さんはそんなに集中力もたないと思うんだよね。今だって負けにはつながってないけどちょいちょいミスをしてるみたいだしさ、昼ご飯をどうするかって考えだしたら負けちゃうんじゃないかな」
「それならさ、私達でお昼ご飯は作ろうよ。真弓もおばさんも楽しそうにゲームやってることだし、ご飯の事でそれを途切れさせるのも悪いしね。じゃあ、お姉ちゃんを起こしてお昼の相談をしようか?」
「そう言えば、沙緒莉姉さんってまだ起きてきてなかったんだね。勝手に起きるの早そうって思ってたよ」
「えっとね、お姉ちゃんって何か用事がある時はちゃんと起きれる人なんだよね。でも、予定が無かったら逆にいつまででも寝てられる人なの。予定が無かったら目覚ましもかけないし、凄い時は丸一日起きてこなかったこともあるんだよ」
「凄いな。それじゃあさ、今日はこのまま起きてこないって可能性もあるんじゃない?」
「さすがにここに来て最初の朝にそれは無いと思うけどね。でも、起こしに行かなければずっと寝ているって可能性もあるのよね。起こしに行ったらすぐに起きると思うんだけど、問題は起こしてから何をするかって事よね。今決まってるのはお昼ご飯を何か作ろうって事だけで、何を作るか決めてないし、昌晃は何か食べたいものある?」
「そうだな、きっと夜は重いものを食べると思うから、軽くサッパリしたものが良いと思うよ」
「そうね、夜はおばさんに料理を教えてもらう予定だし、手の込んだものって可能性もあるわよね。じゃあさ、さっぱりした物って事は、餃子とかいいんじゃないかな。手作りとかしてたら楽しそうだし」
「え、餃子って別に軽くないと思うけど」
「お店で食べるのはそうかもしれないけど、私達が作るのはそうでもないのよ。お肉よりも野菜がたっぷりだし、付けダレも醤油とかじゃなくて米酢か果実酢でさっぱりさせるのよ」
「へえ、それならあんまり重くなくていいかもね。でも、そういう料理を作れるって聞いてたのと違って意外だな」
「そうでしょ。そうなのよ。ウチのママってなんでも薄味で素材本来の味を活かすだけの料理が多いんだけど、餃子だけは美味しく食べることが出来たのよね。でも、初めて外で餃子を食べた時は凄く驚いたのを覚えているわ。餃子って野菜の甘さに酢を付けた酸っぱいものだって感覚だったから、しっかりと肉の味がするって衝撃だったもの。でも、私はどっちの餃子も好きなのよね。ママの作ってくれた餃子は本物じゃないかもしれないけど、私にとってはそれが正しい餃子って事だしね」
「なんだか陽香の話を聞いていると、その餃子も美味しそうだって思えてきたよ。どんな味なのかは正直言って想像もつかないけれど、前田家の家庭の味って事だもんね」
「まあ、齋藤さんに比べたら薄味で味気ないかもしれないけど、餃子だけは美味しいよ。あと、ママの作るお好み焼きとパパの作るたこ焼きも美味しいんだけど、それってどっちもソースをたくさん使っていいからなんだよね。ソースのない部分を食べたら普通に味がしなかったからさ」
「お好み焼きは美味しいよね。明日はお好み焼きを作るのもいいかもね。うちではほとんどお好み焼きを食べた記憶はないけど、たまに外で食べた時は凄く美味しかったよ」
「お好み焼きならお姉ちゃんも真弓の上手に焼いてくれるよ。私もたぶんそこそこ上手には出来ると思うけどね。そろそろお姉ちゃんを起こしに行って買い物に行こうか。冷蔵庫の中にあるものを使っていいのか聞いてみてから買い物に行った方が良さそうね。じゃあ、私はお姉ちゃんを起こしてくるから昌晃は朝食の洗い物しといてね。お姉ちゃんは朝ごはん食べないから気にしないで洗い物してていいからね」
昨日見た感じだと陽香は一通りなんでも家事はこなせそうに見えた。陽香たちのおばさんの料理は食べたことが無いのだけれど、話を聞いている限りでは味付けはほとんどないって事だったんで、そこのところのさじ加減を覚えれば問題なんて無さそうな気がするんだよな。さっき聞いていた餃子の話も美味しそうだったし、普通に塩コショウで味を付ければある程度は食べられるものが出来ると思うんだけど、それでは足りない何かがあるのかな。そんな事を考えているといつの間にか洗い物も終わってしまい、僕は陽香と沙緒莉姉さんが下りてくるのを待っていた。
洗い物が終わってから結構時間が経っているように思うんだけど、まだ二人は下りてこない。途中で母さんと真弓が疲れたのか休憩をはさんでいたのだけれど、その休憩が終わっても二人はまだ下りてこないのだ。ちなみに、その休憩の時に陽香がお昼に餃子を作りたいと伝えたところ、冷蔵庫に入っている物は何でも使っていいとのことだった。晩御飯はまだ決めていないけれど、帰りに父さんが買い物をしてくるそうなので足りないものがあればその時にお願いするそうだ。
女性の準備には時間がかかるとは聞いたことがあるのだけれど、連絡もないというのは少し心配になってしまう。僕は何も無ければそれでいいと思いながらもリビングを出たのだが、階段を上ろうとしたときに二階から二人が言い争う声がかすかに聞こえてきた。僕は二人が喧嘩を始めてしまったのかと思って慌てて階段を駆け上がったのだが、僕が二階に到着すると同時に二人の言い争う声は聞こえなくなってしまった。
そして、沙緒莉姉さんの部屋のドアがゆっくりと開くと中から陽香が気まずそうに顔を出して僕を見ていた。
「時間がかかっちゃってごめんね。お姉ちゃんは起きてるんだけどさ、ちょっと変な事を言い出したから言い合いになっちゃってね。でも、喧嘩とかじゃないから気にしないでね」
「喧嘩じゃないならいいけどさ、買い物に行くのどうするかな?」
「え、どうするってどういう意味?」
「沙緒莉姉さんが嫌がってるなら僕と陽香の二人でもいいのかなって思うんだけど」
「ああ、それね。それなら大丈夫。お姉ちゃんも買い物には行くって言ってるからさ。それで、お願いがあるんだけどいいかな?」
「お願いってなに?」
「えっとね、お姉ちゃんなんだけど、夏服しか持ってきてなかったみたいでさ、昌晃の持ってる服をいくつか貸してもらってもいいかな?」
「それくらいなら構わないけど、陽香のじゃダメなの?」
「ちょっとね、私とお姉ちゃんじゃサイズが違うからちょっと無理かもなんだよね。それでさ、トレーナーとかパーカーを持ってるんだったら借りたいんだけど、大丈夫かな?」
「うん、それならいくつか持ってくるよ。あんまり派手なのは無いと思うから大丈夫だと思うけど、どんなのでもいいよね?」
「なんでもいいんでお願いね。このままじゃお姉ちゃんは夏まで外に出られなくなっちゃうかもしれないから。あ、ちょっとお姉ちゃん。今はまだ部屋から出ちゃ駄目だって」
「おはよう昌晃君。私は久しぶりに熟睡することが出来たよ。それにしても、春だって言うのにまだ寒いんだね。こっちの方って私達の住んでた場所と違うから気候も少し違ったりするのかもね。あ、服を貸してくれるって話なんだけど、どんな感じの物か見せてもらってもいいかな?」
部屋から出てきた沙緒莉姉さんは下着だけを身に付けただけの姿だった。やっていることは完全におかしい人そのものなのだけれど、話している内容はいたってまとも野な物であったので僕は少し混乱してしまった。
「ちょっとお姉ちゃん。そんな恰好で出たら昌晃が困っちゃうでしょ。いいから部屋に戻って服を持ってくるのを待っててよ。そんな恰好でウロウロされたらこっちの方が恥ずかしいよ」
「そうかな。この姿で会った方が昌晃君も喜ぶと思うんだけどね。でも、陽香の言っていることは納得出来ないな。陽香みたいに凹凸のない体だと恥ずかしいかもしれないけど、私はちゃんと出てるところは出ているんだからね」
「お姉ちゃん。いい加減にしないと怒るよ。昌晃も黙って下を向いてないで早く服をとってきてもらえるかな?」
僕は昨日から何回も沙緒莉姉さんの下着姿を見ているような気がするのだけれど、もしかして、沙緒莉姉さんって見せることに喜びを見出している人なのだろうか?
正直に言えば、沙緒莉姉さんのそんな姿を見ることが出来るのは嬉しいのだけれど、他の人に対してもそうだとしたらちょっと複雑だな。そんな事を考えながら僕は沙緒莉姉さんに渡す服を選んでいた。
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