春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎

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始まりの春休み編

陽香も匂いに敏感である

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 想像していたよりもずっと薄味だった餃子なのだが、やや厚めの皮でじっくりと蒸し焼きにしていたこともあってするすると口の中に吸い込まれていった。何種類か用意されていた果実酢はどれも僕好みではなかったのだけれどポッカレモンを付けて食べるのはとても僕好みだった。
 朝ご飯に続いて昼ご飯も用意してもらっていたので洗い物でもしようとキッチンへ向かうと、そこにはすでに沙緒莉姉さんがいて洗い物もあらかた片付けていたのだった。

 沙緒莉姉さんが洗い物をしているのには理由があって、その理由には僕が深く関わっているのだ。
 あれは今から一時間半くらい前になると思うのだけれど、僕と沙緒莉姉さんは陽香の作ってくれた餃子の皮と餡をリビングで一つ一つ丁寧に包んでいたのだが、何故か沙緒莉姉さんは僕の正面に座っていた。位置的には僕がソファに座ってテーブルを挟んで沙緒莉姉さんがバランスボールに座っているの形になっていた。僕の後ろではまだまだ皮と餡を作っている陽香がいて、沙緒莉姉さんの後ろにはゲームをやっている母さんと真弓がいる形になるのだ。沙緒莉姉さんはバランスボールに座って体幹を鍛えて痩せようと思っているらしいのだが、僕が見た限りではむしろもう少し太ってもいいのではないかと思えるような体型ではあった。二日続けて下着姿を見ているのだからそう思っているのだけれど、その姿を見ていなかったとしても沙緒莉姉さんは痩せる必要なんて無いように思えた。
 僕は餃子作りがほぼ初めての状態だったので沙緒莉姉さんに教えてもらいながら一つ一つ包んで行くことになるのだが、なぜか沙緒莉姉さんは一つ包むごとに足をちょっとずつ開いていって、パーカーの裾からパンツを見せようとしてきていたのだ。僕はそれに気が付かないふりをして一心不乱に餃子を作っていた。なぜか沙緒莉姉さんは僕がパンツを見ようとしないことに腹を立ててしまったのか、腕まくりではなく裾をまくり始めていたのだ。ただでさえパンツが見えそうな長さしかないのにそこをまくってしまえば当然パンツは見えてしまうのだ。だが、沙緒莉姉さんの後ろには真弓だけではなく僕の母さんもいるという事を考えて欲しい。この状況で僕にパンツを見せるという事は、後ろにいる真弓と母さんもそれに気が付く可能性があるという事なのだ。
 だが、沙緒莉姉さんはそんな事も計算済みだったようで、バランスボールに座ったまま後ろをお尻で押さえて前だけをクルクルとめくり始めたのだ。沙緒莉姉さんを後ろから見ただけだと何も変化は無いように見えるのだが、僕のいる位置からでは沙緒莉姉さんのパンツが丸見えになっているのだ。なぜ沙緒莉姉さんが僕に下着を見せてくるのか理由は知らないのだが、僕はそれに対して何も言うことは出来ず、ただただ目の前にあるパンツを見ないように視線を逸らすことしか出来なかったのだ。

「お姉ちゃん。さっきから黙って見てたんだけど、一体何がしたいの?」
「え、黙って見てたってどういうこと?」
「どういう事って、私がお姉ちゃんに聞いてるんだよ。お姉ちゃんは自分で何をしているかわかってるの?」
「そりゃ、わかってるよ。陽香も一緒にやる?」
「陽香も一緒にじゃないよ。やるわけないでしょ。私はお姉ちゃんと違って羞恥心があるんだよ。そんなことするわけないじゃない。それより、なんでそんな事をしているの?」
「なんでって、昌晃君に可愛い私の姿を見てもらいたいなって思ってね。あと、もう一つ理由があるんだけど」
「もう一つの理由って何?」
「あのね、恥ずかしがって視線を逸らしている昌晃君が可愛いからかな」
「お姉ちゃん。そんなくだらない理由でいったい何してるのよ。お姉ちゃんはもうそれをやらなくていいから洗い物してきて。私が洗おうと思ってたけど、お姉ちゃんにこっちを任せておけないわ」

 沙緒莉姉さんは調理用の手袋を脱いでそれを丸めてパーカーのポケットに入れていたのだが、ポケットを出すためにまくっていた裾を戻していたのはあまりにも自然な行動であった。僕はその流れるような一連の動作に見入っていたのだが、視界にはなるべくパンツを淹れないようにしていた。

「ねえ、お姉ちゃんが迷惑かけてごめんね。今まではあんなことをしてなかったのに、どうして急にあんな感じになったんだろう。私はお姉ちゃんみたいに自分から見せるなんて出来ないし、偶然見えてたとしても恥ずかしく思っちゃうかも。もしかして、お姉ちゃんって本当に昌晃に見せることに快感を得ているのかな。もしもそうだったとしたら、私はお姉ちゃんの事を理解出来なくなっちゃうかも。あ、関係ない話でごめんね」

 陽香は真弓と母さんに聞こえないように小声でそう言ってきたのだけれど、テーブルを挟んででは聞き取れる自信のない大きさであった。それは陽香もわかっていたようで、陽香はテーブルの上に身を乗り出しながらテーブルについた左手で体を支えながら話していた。
 そんな態勢なので当然のように首元は大きく開いて中が見えてしまうのだが、そこには僕が想像しているようなブラジャーは存在していなかった。別に陽香のブラジャーが見たかったわけではないのだが、本来ならあるべきものがあるべき場所に無いというのは何ともおさまりが悪く、一体どういうことなのか気になってしまっていた。だが、そんな事を直接陽香に聞けるはずもないので、この話は僕の中だけでかたを付けるつもりだった。

「もしかしてなんだけど、お姉ちゃんって昌晃の事が好きだったりするのかな?」
「さすがにそれは無いでしょ。好きな人に自分から下着を見せるなんて普通の好きだったら出来ないでしょ」
「確かにそうかもね。私だったら本当に無理かも」

 そんな感じのやり取りがあったりして昼食は無事に迎えることが出来たのだけれど、その頃には真弓も母さんもゲームは中断してみんなで美味しい餃子をいただくことになったのだ。陽香は父さんお分を別に分けているようなのでここでは遠慮をせずに食べられるだけ食べようとは思ったのだ。

「ねえ、ご飯食べたらお兄ちゃんの部屋で漫画を読んでもいい?」
「良いよ。真弓はどんなのが読みたいの?」
「うーん、見てみないとわからないかな。何冊かは見てみたいって本もあるんだけど、今読みたいのが何なのかは言って見ないとわからないかも。沙緒莉お姉ちゃんも陽香お姉ちゃんも別にすることがあるみたいだよ。二人っきりかもね」

 なぜか真弓は最後の「二人っきりかもね」だけ僕の耳元で囁いていたのだ。ちょっとだけビックリしてしまったのだが、それを見た真弓が嬉しそうにしていたので気にしないでおこう。
 僕はジュースとお菓子をもって二階へ上がっていった。ただ、僕の前をご機嫌な様子で歩いている真弓は何の躊躇もなく僕の部屋へと入っていったのだった。
 真弓が僕の本棚を物色しているので、僕は途中まで読んでいた漫画を読んでいたのだけれど、なぜか真弓は他にも座る場所があるというのに僕の膝の上に乗ってきたのだ。僕が何か言おうと思っていたのだが、真弓は僕の事なんて全く気にも留めていないかのようにパラパラとページをめくっていたの。沙緒莉姉さんと真弓では同じめくるのでも大きな違いがあるのだなと思える出来事であった。
 僕は持ってきておいたお菓子を食べようと思ったのだが、真弓が僕の膝の上に座っているので今はお菓子を選ぶという事も難しい状況ではあった。それを見かねたのだろうか、真弓は僕とお菓子を交互に見ると食べやすそうなものを僕に手渡してくれたのだ。

「ねえ、お兄ちゃんって沙緒莉お姉ちゃんの事が好きなの?」
「え、なんで?」
「なんでって、餃子作ってた時に二人でイチャイチャしてなかった?」
「そんな事はしてないよ。僕はちゃんと真面目に餃子を作ってたからね」
「そっか、それなら真弓の勘違いだったんだね。真弓は沙緒莉お姉ちゃんがお兄ちゃんに何か見せてるのは知ってるんだけど、お兄ちゃんってそれから目を逸らしてたよね。もしかして、お兄ちゃんってそういう人なの?」
「そういう人ってのが何なのかわからなけど、そうじゃないかもしれないよ」
「そっか、真弓の位置からは沙緒莉お姉ちゃんが何をしてたのかわからなかったけど、後で陽香お姉ちゃんに聞いてみようかな」
「なんて聞くつもりなのかな?」
「そうだな。お兄ちゃん達が餃子を作っている時に沙緒莉お姉ちゃんはいったい何をしていたのって事かな。たぶん、陽香お姉ちゃんはそれについて答えてくれないと思うけどね」

 僕は膝の上に座っている真弓に降りてもらえるように頼んでみようかと思っていたのだけれど、なぜか僕が真弓に話しかけようとすると襟が開いていることもあって無防備な胸元が丸見えになっていた。
 この春から中学生になる真弓はまだ小振りではあるがピンクの可愛らしいブラジャーをしていたのだった。じっくり見たわけではないので細部まではわからないのだが、レースもふんだんに使われているので高級品に見えなくもなかった。
 ただ、こうなってくると僕の疑問はさらに膨らむことになってしまうのだ。胸が大きくてスタイルもいい沙緒莉姉さんがブラジャーを付けているのはごく自然な事だと思う。むしろ、あの大きさでつけていないとしたら他人の迷惑になってしまうかもしれない。例えば、歩いているだけなのに胸をゆさゆさと揺らしている沙緒莉姉さんに見とれて何かの事故を起こしてしまうという可能性だってないとは言い切れないのだ。
 だが、そんな事は問題ではない。むしろ、ヒントにもならず邪魔なだけだったりもするのだ。そこで、一つの疑問が浮かんでくるのだ。僕が陽香のブラジャーを見たのは一度だけだ。それからも故意ではないにしろ、何度か陽香の胸元を見る機会があったのだが、そのいずれも陽香の胸元にブラジャーらしきものは見当たらなかった。いつかのCMで見たブラトップというやつを着ているとは思うのだが、それだけで問題無く過ごすことが出来るのだろうか。僕はブラジャーを付けたまま過ごしたことは無いのでわかりはしないのだけれど、ずっと胸周りと背中を締め付けられるというのは心地良いものではないのだろうとは思っていたりもする。
 そんな事を考えていると、優しくドアをノックする音が聞こえてきた。僕の膝の上に座って意地でも動こうとしなかった真弓は物凄く機敏な動きで僕からちょっと離れた位置の床に座っていた。いったいどういう動きをすればそんなに素早く音もたてずに移動することが出来るのか知りたくもなってしまっていた。

「入ってもいいかな?」
「どうぞ」

 ゆっくりと開く扉の向こうに立っていたのは陽香だった。今までと違ってちゃんとノックをして返事を聞いてからドアを開けたのもびっくりしたのだが、そのまま僕と真弓の丁度間に座ったのもなんでかはわからないがびっくりしてしまった。

「やっぱり真弓はここにいたんだね。ママと電話しなくていいのかな?」
「え、ママと電話出来るの?」
「真弓はスマホ持ってきてないの?」
「うん、お部屋に置いてあるよ」
「それなら、LINEが着てるか確認してみたらいいんじゃない?」
「わかった。そうするね。じゃあ、昌兄ちゃんまた来るね」

 僕と陽香は慌てて出ていく真弓を見送っていた。真弓はドアを開けたまま出ていったので、距離的には僕の方が近い位置にいるのに陽香がわざわざ立ってドアを閉めに行ったのだ。

「ねえ、なんで昌晃の服から真弓の匂いがしているのかな?」
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