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ゴールデンウィーク編前半
真弓と図書館と陽香のパンツ
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雨の中二人傘をさして縦に並んで歩いていた。僕は真弓が疲れないようにゆっくり歩いていたのだけれど、真弓は常に僕との距離を保っていたのであまり気にしないでも良かったのかもしれない。
図書館の中はそれほど人がいるわけではないのだけれど、いつもよりは多くの人が訪れているようだった。僕は常連というほどではないが、受験勉強の時は何度かお世話にもなっていたので大体の場所は把握していたのだけれど、真弓にとってはこの図書館は初めての場所なので案内図を見ているだけでも楽しそうだった。
「ねえ、お兄ちゃんはどこに行くの?」
「今日は特に決めてないな。真弓は何か見たいものでもあるの?」
「そうだな、今日はお兄ちゃんが悪い事をした時のために中世の拷問でも調べてみようかな」
「それって、僕がよほど悪い事をした時にしか使えないんじゃないかな」
「そんなことは無いよ。お兄ちゃんはいい人だけど、真弓だけじゃなくてお姉ちゃんたちの事も変な目で見てたりするからね。それだけでも十分に罰を与える口実になると思うんだけどな」
「いや、僕は誰に対しても変な目で見たりはしてないよ。むしろ、真弓たちが僕に変なものを見せようとしているんじゃないか」
「変な物って何かな?」
「変な物って、真弓の場合は履いているパンツかな。学校が終わって油断していると見せてくることが多いからさ、最近はどうしたらいいんだろうかなって困ってたんだよ」
「ちょっと待ってよ。真弓のパンツが変な物ってどういう意味よ。それに、パンツを見れて困るって失礼すぎるよ」
「いや、僕だって真弓みたいにかわいい子のパンツが見れるのは嬉しいと思うよ。でもさ、自分から見せてくるのってハラスメントじゃないかと思うんだよね。僕はそういうのはあんまり好みじゃないんだよ。むしろ、見えると思っていないタイミングで見えた時の方がありがたさは増していると思う。真弓も沙緒莉姉さんも自分から見せすぎだとは思うんだ。むしろ、見せない期間を作った方がいいと僕は思うんだよ。だってさ、何だって毎日繰り返したら飽きてしまうでしょ。それと一緒で、パンツだって毎日見ていたら何も感じなくなってしまうと思うよ」
「そんなに熱弁しているところ悪いんだけどさ、あそこに立ってるのって陽香お姉ちゃんじゃない?」
「あそこって、あの壁際の手すりに掴まってる人?」
「そう、絶対あれは陽香お姉ちゃんだよ」
「あんなに遠いのによくわかるな。真弓って勉強が出来てゲームが上手いだけじゃないんだね。人を見付けるのも上手なんだ」
「いや、自分のお姉ちゃんくらい誰でもわかるでしょ。それに、今日はいつもよりもセットに時間をかけていたから気合が入ってるんだなって思って見てたしね。でも、可哀想な事にこの雨の湿気のせいでせっかくの努力も半減しちゃってるんだよね。お姉ちゃんってそういうところでついていなかったりするんだよね」
「僕も高校の陽香の姿を見ててそれは薄々感じてはいるんだよね。なんかわからないけど、肝心なところでは失敗しないのにどうでもいいところで失敗してるんだよね。アレって昔からそんな感じなの?」
「割とそうかもしれないね。沙緒莉お姉ちゃんは何でも無難に出来るんだけどさ、陽香お姉ちゃんってどうでもいいところで失敗して落ち込むんだよね。失敗しちゃいけないところでは絶対に失敗しないから、そういうのって余計に印象に残っちゃうんだ。でもさ、あんなに気合入れて髪をセットしてたから、てっきり男の子と遊びに行くのかと思ってたな。でも、陽香お姉ちゃんのお友達って女の子しかいないっぽいね」
「何となく見覚えがあると思ったら、陽香と一緒に居るのはクラスの人だと思うよ。僕と違って陽香は社交的だからすぐにクラスの人とも打ち解けてるもんな。僕は別に何もしてないんだけど、その輪の中になかなか入れないんだよね。陽香が時々声をかけてはくれるんだけどさ、女子の中に男子が一人混ざるのって意外と勇気がいるんたよね」
「女子の中にって、陽香お姉ちゃんは学校で男子と一緒に何かしたりしてないの?」
「僕が見ている限りでは男子と何かしているってのは無いかも。お昼の時間も女子で固まってたりするしね。男子は男子で固まってるし、あんまり接点無いのかもね」
「お兄ちゃんは他の男子と一緒に過ごしたりしてないの?」
「女子はどうかわからないけど、男子は意外と外部生と内部生でなれ合ったりしてないみたいんだんだよね。って言っても、男子の外部生って今年は僕しかいないからそう思うだけなんだけどね。それで僕に話しかけてくる男子っていないのかも」
「真弓のクラスにも男子の外部生はいるけど、お兄ちゃんみたいに一人ぼっちって感じではないけどね。もしかして、お兄ちゃんって何かやってたりするんじゃない?」
「いや、何もしてないし。それに、入学してから一か月でそう思われるのって、相当ヤバいやつってことになるんじゃないかな」
「ま、お兄ちゃんだったらその可能性も否定できないよね。あ、今日の陽香お姉ちゃんのパンツは白と水色の縞々だよ」
「え、急に何言ってるの?」
「たまたま見えたから教えてあげただけだよ」
「たまたま見えたって、そんなところまで見えるとか真弓は本当に目が良いんだね。でも、そういうのは教えてくれなくてもいいんだよ」
「それってさ、教えられなくても自分で見るからって事?」
「ちがうって。そうじゃないよ」
「ま、お兄ちゃんは家に帰ってから真弓のパンツを見ちゃんだろうけどね」
「いや、そんな物は見ないって」
「そんなもの扱いは酷いと思います」
真弓は口では怒っていたのだけれど、顔は完全に何かを企んでいるように見えた。今日は僕と真弓で晩御飯を作る担当になっているのだけれど、きっとその時に何か仕掛けてくるに違いない。僕はそれに対して何か対策を建てようと思っていたのだけれど、僕より頭の切れる真弓はそんな対策なんて気にも留めないだろう。
「そうだ、真弓は夜に何を作りたい?」
「真弓はオムライスが食べたいかも。ちゃんと出来るかわからないけどね」
僕を見つめる真弓は屈託なく笑っていたのだ。この笑顔のまま素直な中身であれば僕は苦労することも無いのだけれど、なぜか沙緒莉姉さんの影響を受けて露出趣味に目覚めた真弓の笑顔は別の意味を持っているように見えて仕方がなかった。
図書館の中はそれほど人がいるわけではないのだけれど、いつもよりは多くの人が訪れているようだった。僕は常連というほどではないが、受験勉強の時は何度かお世話にもなっていたので大体の場所は把握していたのだけれど、真弓にとってはこの図書館は初めての場所なので案内図を見ているだけでも楽しそうだった。
「ねえ、お兄ちゃんはどこに行くの?」
「今日は特に決めてないな。真弓は何か見たいものでもあるの?」
「そうだな、今日はお兄ちゃんが悪い事をした時のために中世の拷問でも調べてみようかな」
「それって、僕がよほど悪い事をした時にしか使えないんじゃないかな」
「そんなことは無いよ。お兄ちゃんはいい人だけど、真弓だけじゃなくてお姉ちゃんたちの事も変な目で見てたりするからね。それだけでも十分に罰を与える口実になると思うんだけどな」
「いや、僕は誰に対しても変な目で見たりはしてないよ。むしろ、真弓たちが僕に変なものを見せようとしているんじゃないか」
「変な物って何かな?」
「変な物って、真弓の場合は履いているパンツかな。学校が終わって油断していると見せてくることが多いからさ、最近はどうしたらいいんだろうかなって困ってたんだよ」
「ちょっと待ってよ。真弓のパンツが変な物ってどういう意味よ。それに、パンツを見れて困るって失礼すぎるよ」
「いや、僕だって真弓みたいにかわいい子のパンツが見れるのは嬉しいと思うよ。でもさ、自分から見せてくるのってハラスメントじゃないかと思うんだよね。僕はそういうのはあんまり好みじゃないんだよ。むしろ、見えると思っていないタイミングで見えた時の方がありがたさは増していると思う。真弓も沙緒莉姉さんも自分から見せすぎだとは思うんだ。むしろ、見せない期間を作った方がいいと僕は思うんだよ。だってさ、何だって毎日繰り返したら飽きてしまうでしょ。それと一緒で、パンツだって毎日見ていたら何も感じなくなってしまうと思うよ」
「そんなに熱弁しているところ悪いんだけどさ、あそこに立ってるのって陽香お姉ちゃんじゃない?」
「あそこって、あの壁際の手すりに掴まってる人?」
「そう、絶対あれは陽香お姉ちゃんだよ」
「あんなに遠いのによくわかるな。真弓って勉強が出来てゲームが上手いだけじゃないんだね。人を見付けるのも上手なんだ」
「いや、自分のお姉ちゃんくらい誰でもわかるでしょ。それに、今日はいつもよりもセットに時間をかけていたから気合が入ってるんだなって思って見てたしね。でも、可哀想な事にこの雨の湿気のせいでせっかくの努力も半減しちゃってるんだよね。お姉ちゃんってそういうところでついていなかったりするんだよね」
「僕も高校の陽香の姿を見ててそれは薄々感じてはいるんだよね。なんかわからないけど、肝心なところでは失敗しないのにどうでもいいところで失敗してるんだよね。アレって昔からそんな感じなの?」
「割とそうかもしれないね。沙緒莉お姉ちゃんは何でも無難に出来るんだけどさ、陽香お姉ちゃんってどうでもいいところで失敗して落ち込むんだよね。失敗しちゃいけないところでは絶対に失敗しないから、そういうのって余計に印象に残っちゃうんだ。でもさ、あんなに気合入れて髪をセットしてたから、てっきり男の子と遊びに行くのかと思ってたな。でも、陽香お姉ちゃんのお友達って女の子しかいないっぽいね」
「何となく見覚えがあると思ったら、陽香と一緒に居るのはクラスの人だと思うよ。僕と違って陽香は社交的だからすぐにクラスの人とも打ち解けてるもんな。僕は別に何もしてないんだけど、その輪の中になかなか入れないんだよね。陽香が時々声をかけてはくれるんだけどさ、女子の中に男子が一人混ざるのって意外と勇気がいるんたよね」
「女子の中にって、陽香お姉ちゃんは学校で男子と一緒に何かしたりしてないの?」
「僕が見ている限りでは男子と何かしているってのは無いかも。お昼の時間も女子で固まってたりするしね。男子は男子で固まってるし、あんまり接点無いのかもね」
「お兄ちゃんは他の男子と一緒に過ごしたりしてないの?」
「女子はどうかわからないけど、男子は意外と外部生と内部生でなれ合ったりしてないみたいんだんだよね。って言っても、男子の外部生って今年は僕しかいないからそう思うだけなんだけどね。それで僕に話しかけてくる男子っていないのかも」
「真弓のクラスにも男子の外部生はいるけど、お兄ちゃんみたいに一人ぼっちって感じではないけどね。もしかして、お兄ちゃんって何かやってたりするんじゃない?」
「いや、何もしてないし。それに、入学してから一か月でそう思われるのって、相当ヤバいやつってことになるんじゃないかな」
「ま、お兄ちゃんだったらその可能性も否定できないよね。あ、今日の陽香お姉ちゃんのパンツは白と水色の縞々だよ」
「え、急に何言ってるの?」
「たまたま見えたから教えてあげただけだよ」
「たまたま見えたって、そんなところまで見えるとか真弓は本当に目が良いんだね。でも、そういうのは教えてくれなくてもいいんだよ」
「それってさ、教えられなくても自分で見るからって事?」
「ちがうって。そうじゃないよ」
「ま、お兄ちゃんは家に帰ってから真弓のパンツを見ちゃんだろうけどね」
「いや、そんな物は見ないって」
「そんなもの扱いは酷いと思います」
真弓は口では怒っていたのだけれど、顔は完全に何かを企んでいるように見えた。今日は僕と真弓で晩御飯を作る担当になっているのだけれど、きっとその時に何か仕掛けてくるに違いない。僕はそれに対して何か対策を建てようと思っていたのだけれど、僕より頭の切れる真弓はそんな対策なんて気にも留めないだろう。
「そうだ、真弓は夜に何を作りたい?」
「真弓はオムライスが食べたいかも。ちゃんと出来るかわからないけどね」
僕を見つめる真弓は屈託なく笑っていたのだ。この笑顔のまま素直な中身であれば僕は苦労することも無いのだけれど、なぜか沙緒莉姉さんの影響を受けて露出趣味に目覚めた真弓の笑顔は別の意味を持っているように見えて仕方がなかった。
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