春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎

文字の大きさ
39 / 100
ゴールデンウィーク編前半

沙緒莉と真弓の争い開幕

しおりを挟む
「じゃあ、沙緒莉お姉ちゃんはその人から逃げるためにお兄ちゃんを恋人って事にして誤魔化してたって事なの?」
「言い方は良くないけど、そういうことになるかもね」
「それってさ、お兄ちゃんの気持ちを考えてないよね」
「私は昌晃君が嫌がらないように気を遣ってるつもりだけど」
「その割にはお兄ちゃんが嫌がってたように見えたけど、お兄ちゃんは沙緒莉お姉ちゃんに抱き着かれて嫌だったの?」
「嫌かどうかと言えば嫌ではなかったけどさ、ちょっとしつこいなとは思ったよ」
「しつこいって事は、面倒だなって事だよね」
「まあ、若干はそう思ったかもね。天野さんから逃げるために外でそうするのは百歩譲って理解出来るけど、家の中でもそれを続ける必要性が感じられないかも」
「だよね。お兄ちゃんもそう思うよね。でも、沙緒莉お姉ちゃんが言うには、普段から恋人らしい振舞をしておかないと偽装だって見抜かれちゃうって事らしいんだよ。そんな事ってあるのかな?」
「二人は天野君の事を何も知らないからそう思うんだよ。あの人のヤバさは昌晃君も少しは感じたと思うけど、あんなもんじゃないんだよ」
「確かに、ちょっと話しただけだけど、この人にはかかわらない方がいいかもって思ってたかも。良くないとは思いつつも、僕は途中で話を切り上げてしまったかもしれないしね」
「そんなに危ない人って、観察力とか鋭いの?」
「私も天野君の事にそんなに詳しいわけじゃないけど、先輩の話では秘密にしてることもなぜかバレてることがあったって言ってたよ。だから、天野君の目をごまかすためにも昌晃君は私と付き合ってるふりを家の中でもしないとダメなの。彼氏としてふるまってもらわないと天野君の事を誤魔化すことが出来ないの」
「ねえ、そもそもなんだけどさ、その天野君って人から沙緒莉お姉ちゃんを守る必要ってあるのかな?」
「それってどういう意味?」
「だってさ、天野君って小学校から高校まで生徒会長をやってたって話でしょ。それって優秀な人だってことになるかもしれないし、不真面目な生徒ではなかったって証明にもなるんじゃないかな。そんな人だったら沙緒莉お姉ちゃんの相手にもふさわしいと真弓は思うけどな」
「もしかしてだけど、真弓は天野君の事を知ってるの?」
「その人かどうかわからないけど、学校の友達から凄い先輩がいたって噂を聞いているよ。小学校からずっと生徒会長をやっていて、先生たちからもとても信頼を集めている人がいるって。その人はちょっとおかしくて危ないところがあるけど、それを差し引いても優秀だからって事で問題にはなってないって話を聞いたことがあるけど、それが沙緒莉お姉ちゃんの事が好きな天野君なのかな?」
「おかしくて危ない人が私の事を好きなのって危ないでしょ。真弓もお姉ちゃんが危険な目に遭うかもしれないって思うと悲しい気持ちになるんじゃないかな」
「それはそうなんだけどさ、それとこれとは話が別だよ。外にいる時にお兄ちゃんが沙緒莉お姉ちゃんを守るってのは真弓も反対しないよ。それに関しては真弓も協力したいって思ってるしね。でもさ、それって家の中で続ける必要ってないよね。お兄ちゃんに彼女がいるって感じの振舞をしてもらうだけだったら、相手が沙緒莉お姉ちゃんじゃなくてもいいと思うんだけどな」
「あのさ、沙緒莉姉さんが天野さんに絡まれて危ないってのはわかるし、僕も力になりたいとは思うよ。でも、真弓の言う通りで家の中までそれを継続するのは僕も疲れちゃうんだよね。それに、実際は付き合ってもいないのにそんな風に仲良くするのは難しいと思うんだよね。今まで通り普通に楽しく暮らしていけばいいんじゃないかな」
「そうだよね。沙緒莉お姉ちゃんは少しおかしいよ。でも、お兄ちゃんが女の子に慣れておく必要があるっていうのは真弓も同意するよ。だからさ、お兄ちゃんの相手をするのって順番にしてみたらどうかな?」
「順番って?」
「例えば、今月は沙緒莉お姉ちゃんが彼女役で、来月は陽香お姉ちゃんが彼女役で、真弓は来年までお兄ちゃんの彼女になるってのはどうかな?」
「ちょっと待ってもらっていいかな。今月は私って言ってるけどさ、今月って今日で終わりなんだけど。それに、来年まで真弓の番ってのもおかしな話じゃないかな?」
「嫌だな。これは例え話なんだよ。それに、彼女役って言ったって何か特別な事をするんじゃなくて、ご飯を食べる時とかテレビを見てる時とかゲームをしている時に隣に座るってだけで良いと思うんだよね。沙緒莉お姉ちゃんも真弓お姉ちゃんも大人なんだから、その辺は大人の余裕ってやつを見せてくれたらいいと思うよ。真弓はまだ子供だし、お兄ちゃんと一緒にお風呂に入ったり一緒のお布団で寝たりするかもしれないけどね。でも、それって可愛い妹だと思ってくれたら大丈夫だからね」
「ねえ、前から薄々感じてはいたんだけどさ、真弓って勉強も得意でリーダーシップもあって先生の評判もいいじゃない。でも、ちょっと危ないところもあるって考えると、真弓と天野君って共通点が沢山あるのかもしれないよ」
「へえ、真弓は天野君の事を知らないから嬉しいとも悲しいとも言えないけど、二人の話と学校で聞いている噂を思い出して考えると、何だから嫌な気持ちになっちゃったな。ねえ、真弓は少し落ち込んでしまったんで、お兄ちゃんに慰めて欲しいんだけど。ダメ?」

 真弓はソファに座っている僕の太ももに頭を乗せると、甘えた声で僕に話しかけてきた。慰めろと言われても僕に出来ることなんてたかが知れているし、ここで何かしてあげたとしても沙緒莉姉さんも便乗してくるのは目に見えている。
 ここはあえて心を鬼にして真弓を突き放すことも必要なのではないだろうか。そう思った僕は真弓の体を起こして僕の隣にちゃんと座らせると、真弓の肩に手を置いて話すことにした。

「僕も天野さんの事は詳しく知らないんであれだけど、沙緒莉姉さんが似てるって言ったのは性格だけじゃなくて勉強が出来る頭の良いところとかなんじゃないかな。真弓は勉強以外も出来ることが沢山あるし、それくらい優秀だって言いたいだけなんだと思うよ」
「お兄ちゃんは優秀な妹と出来の悪い妹だったら、どっちが好きなの?」
「どっちって言われてもな。僕に妹はいないし、妹みたいな真弓は優秀だからね。そう聞かれたら優秀な妹の方が好きだって答えるよ」
「えへへ。そっか、そう言ってくれると嬉しいな。お兄ちゃんに嫌われてないって思うと、嬉しい気持ちになっちゃうよ」

 真弓は僕の正面に座って嬉しそうにゆらゆらと揺れていた。でも、僕は真弓を座らせたのは間違いだったのではないかと思ってしまった。
 座る時の真弓は基本的に体育座りなのだが、今日はなぜかスカートを履いているのだ。真弓がこの家に来てから制服以外でスカートを履いていたところを見たことが無かったのだが、今日に限ってはスカートを履いてしまっているのだ。
 そして、嬉しそうにゆらゆらと揺れるたびにスカートの中が見えてしまうのだが、そこには短パンなどを履いているわけもなく、いつものようにパンツがチラチラと見えてしまっているのだ。僕は見ないように視線を外したのだが、真弓は僕が視線を外したことによって何を見ていたのか気付いたようだ。

「沙緒莉お姉ちゃんがお風呂に行ったらちゃんと見せてあげるからね」

 僕にしか聞こえない声量で真弓はそう言ったように思えたのだが、僕はその言葉を聞き取れなかったことにした。沙緒莉姉さんは普通に聞こえていなかったようなのだが、キッチンから僕を凄い目で見ている陽香には聞こえていたのかもしれない。いや、聞こえるはずは無いと思うのだが。
 お風呂上がりの陽香は僕たちに話しかけてくる様子はなく、腰に手を当てながら牛乳を飲んでいるのだけれど、僕を見る冷たいまなざしがそれることは無かったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高校生なのに娘ができちゃった!?

まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!? そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...