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高校生編2
吉川さんと今井さんのパンツの色
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二週間ぶりに始まった授業はいつものように小テストから始まったのだけれど、真弓と一緒に勉強をしていたおかげで今回も難なく終えることが出来た。
小テストが終わった後の残り時間は自習ということになったのだけれど、僕は大人しく教科書を開いて適当な問題を作って解いてみたりしていた。自分で作ると問題を作成している途中で答えを導きだしてしまうという別の問題が発生してしまったが、それなりに手ごたえのありそうな問題が出来たと思う。
他のクラスメイトは近くの人と話していたりもするのだけれど、僕はその輪に入ることも出来ずに新しい問題を作ることに集中していた。それでも、周りのクラスメイトがしている会話は耳に入ってくるもので、ほとんどの人達が旅行に行っていたようだ。それも、海外に行っている人の方が多いというのも聞こえてきたのだ。
「じゃあ、採点が終わったんで呼ばれた人から取りに来てくださいね。齋藤君」
僕が一番先に呼ばれたのだけれど、林田さんが先に呼ばれなかったという事は僕と林田さんの点数がまた同じという可能性が生まれているのだ。佐久間先生は点数順に並べるのだが、点数が同じだった場合は出席番号順に並べ直すのである。つまり、林田さんが僕よりも先に呼ばれていれば僕よりも点数が高いということになるのだ。
「えっと、次は今井さん」
「はーい、今回は頑張っちゃいました」
「もう、先生が褒める前に自分で言わないの。でも、よく頑張ったね」
いつもであれば、僕の後に名前を呼ばれるのは林田さんなのだが、その前に今井さんが呼ばれていた。僕は自分の席へ戻る今井さんの姿を目で追っていたのだが、その視界の隅に見えた林田さんはどんな恨みがあるのだろうという表情を今井さんに向けていた。
その後も三人の女子が名前を呼ばれていたのだけれど、その間も林田さんはとんでもない表情を呼ばれた女子に向けていたのだった。
「次は、林田さん」
林田さんは無言で席を立つと、肩を落としたまま小テストを受け取りに行った。佐久間先生の時はいつも僕の後に呼ばれていたのだけれど、今回は間に四人の女子が入っていたので何か思うところがあったのかもしれない。
林田さんは自分の点数を見て何かを悟ったようで、一気に明るい表情になっていた。あの表情を見る限り、林田さんも僕と一緒で満点を獲得したようだ。今まで同じ点数だったことしかないのだけれど、小テストで満点を取ったのは初めてのような気がしていた。
その後もテストは順番に返されていたのだが、最後まで残った男子生徒は一人だけ補習を言い渡されていた。あの様子を見る限りでは、結構悪い点数を取ったようだ。
「なあ、補習って何点だったんだよ?」
「78点だったよ。クラス平均が93点らしいんだけど、お前ってどれくらいだったの?」
「俺は平均くらいだな。ま、補習は頑張れよ」
休み明け最初の授業が終わったのだが、その後に続いた授業も同じように小テストと自習が続いていた。もしかしたら、連休が終わった後は小テストをやって残り時間を自習にするという決まりでもあるのだろうか。そんな疑問が頭の中に浮かんだのだが、それを確認するような相手は近くにいない。吉川さんも今井さんも林田さんも席が遠いので話しかけに行きづらいし、かといって近くの人に尋ねるのも僕には難しい話であった。
お昼休みになると吉川さんと今井さんが当たり前のように僕の席の隣に座ったのだが、その席に座っていた男子たちは他の男子を誘って教室から出て行ってしまった。僕の隣に今井さんが座り、今井さんの前の席には吉川さんが座っていた。
「ホントにさ、齋藤君って男子から避けられているよね」
「そりゃ仕方ないさ。今日だって休み明けでみんなが陽香様のお姿を拝見しようと思ってたのにさ、隣に今日も齋藤君がいたんだもんね。みんなガッカリしてたよ」
「ガッカリされても僕のせいじゃないし。大体、陽香が一人でここまでやってこれないってのがおかしいんだよ。方向音痴だからって、一か月も通ってれば学校への道なりくらい覚えるでしょ。でも、陽香はそれを覚えることが出来ないんだよ」
「それって、もしかしたら齋藤君と一緒に登下校したいって言う陽香さんの想いもあるんじゃないかな」
「そうかもしれないね。陽香様は意外と寂しがり屋だって噂を聞いたことがあるし、それも案外間違いじゃないのかもしれないね。それよりもさ、雪ちゃんって小テストで満点だったでしょ。休み中に勉強してたの?」
「まあね、このままだと受験も無いから勉強する必要は無いんだけどさ、今から点数を貸せで置かないと難易度が高くなっちゃうからね。去年とか中学最後だったのにヤバかったよね。一番点数が低かった子なんてさ、校庭を何周させられたんだろうって思うくらいは知ってたもんね」
「そうだよね。あそこまで走ることは無いと思うけどさ、何があるかわからないから今のうちに点数を稼げるものは稼いでおこうって考えになっちゃうよね。雪ちゃんは上手いこと点数を稼げたって事だよね」
「そう言ってる雅美だって一問しか間違えてないじゃない。それって、私とあんまり変わらないでしょ」
「まあ、ケアレスミスさえしなければ満点だったかもしれないんだよね。確認って大事だなって今まで以上に思ったよ」
「点数と言えば、齋藤君っていっつも最初に名前を呼ばれてるよね。って言うか、齋藤君の次に呼ばれたのが雅美だったって事は他の男子は満点の人がいなかったって事だよね?」
僕は吉川さんの言葉を聞いて他の男子は何をしているのだろうと思って教室内を見回してみたのだけれど、教室内に残っている男子は僕一人しかいなかったのだ。
「急にキョロキョロしだしてどうしたの?」
「もしかして、これから陽香様がここにいらっしゃるの?」
「いや、陽香はやってこないと思うよ。呼べば来るかもしれないけど、今は他の人と話をしているかもしれないしね。何かしている最中だったら呼び出すのも失礼になりそうだし」
「それはあるかもね。そうだ、齋藤君にお土産を買ってきたから受け取ってよ。一応、陽香さんの分も買ってあるんで、タイミングがあったら渡してもらいたいな」
「ちょっと、抜け駆けはズルいわよ。私のも齋藤君に受け取ってもらわないといけないんだった。私のはロッカーに置いてあるんでちょっと待っててね」
今井さんは自分のロッカーに向かうと、そこから紙袋を取り出していた。その紙袋は駅前で何度か見たことがあるような気がするのだが、近くで見ると思いっきりデパートの名前が書いてあったのだ。
「これさ、良かったら陽香様にも渡して欲しいんだよ。もちろん、齋藤君の分もあるから安心してね。というか、いっぱい入ってるからみんなで食べてもらっても全然かまわないよ。でも、好き嫌いとかあったら困るなって言うか、私も食べたことが無いものだから美味しくなかったらごめんね」
「そのデパートのだったらハズレは無いと思うけど、そんなに変なの買ったの?」
「袋はデパートの何だけど、お土産のはシンガポールで買ったやつなんだよね。そのまま持ってくるのも何だったんで紙袋に入れてきたんだけど、どんなのか見てみる?」
今井さんは紙袋の中から取り出したのだけれど、そこには美味しそうなお菓子が入っていそうなパッケージなのだが、その箱は中が見えるようになっていて日本では見たことも無いようなカラフルな食べ物が入っていた。子供の好きそうなお菓子っぽいなと思ってみていると、吉川さんはそれを食べたことがあるらしくとても羨ましがっていた。
「それってさ、見た目はインパクト強いんだけど味は意外とあっさりしてるんだよね。それに、食感ももちもちしてて美味しいんだよ。雅美がシンガポールに行くって知ってたら私の分も頼んでおいたのにな」
「そう言えばお互いにどこに行くか教え合ってなかったよね。齋藤君がどこにも行かないって言ってたから旅行に行く話をするタイミングもなかったしね」
僕は今井さんにお礼を言ってその箱を袋ごと受け取った。手に取ってみると見た目よりもずっしりとした重量感があって、日本のお菓子とは違って中身もパンパンに詰まっているようだった。そんなにたくさん入っているのだったら吉川さんに分けてもいいのではないかと思ったが、それは陽香に確認してからにした方がいいだろう。
「じゃあ、雪ちゃんの分のお土産も渡すね。はい、マカロン」
「え、私の分もあるの。ありがとう、嬉しいよ」
「もちろんだよ。雪ちゃんはマカロンも好きだもんね。齋藤君にあげたやつも好きだったなんて知らなかったからマカロンにしたんだけど、大丈夫だった?」
「うん、全然大丈夫。というよりも、アレよりもマカロンの方が好きだしね」
「そうなんだ。でも、アレも美味しいんでしょ?」
「見た目の割には美味しいんだなって程度だよ。でも、味覚なんて人それぞれだし、私にはその程度でも齋藤君だったら凄く美味しく感じるかもしれないんだよね。あ、このマカロンってピスタチオ味じゃない?」
「たぶんそうだと思うよ。こっちはイチゴかな?」
「イチゴってあんまりないような気がするけど、何かベリー系ではあるんだろうね」
「そうだと思うけど、帰ってから食べて感想教えるね」
「うん、楽しみに待ってる」
僕はちゃんとしたマカロンを食べたことが無いのだけれど、前に沙緒莉姉さんがどこかのマカロンが美味しいと言っていたのを聞いたような気がする。何かをしている時に急に言われたので正確な名前とか場所は覚えていないのだが、そんな事を言っていたような気はしていた。
「てかさ、聞いてもらってもいい?」
「何?」
「今貰ったマカロンなんだけど、私の履いているパンツと同じ色があるのを今思い出したよ」
「え、本当に?」
「本当だって。齋藤君には内緒だけどさ、この色なんだよ」
「へえ、私はその隣だわ。でも、マカロンって下着みたいな色が多いよね」
吉川さんと今井さんは僕に何色か見えないように隠していたようなのだが、彼女たちが指さしていた場所が何色だったのか覚えているのだ。もしかしたら、指さしている場所から指先をずらしている可能性もあるのではないかと思っているのだが、間違いが無ければ吉川さんはオレンジで今井さんは黄緑色だと思う。
直接見るよりもこうして想像することの方が僕は好きなのではないかと再確認出来た休み明け初日の出来事であった。
小テストが終わった後の残り時間は自習ということになったのだけれど、僕は大人しく教科書を開いて適当な問題を作って解いてみたりしていた。自分で作ると問題を作成している途中で答えを導きだしてしまうという別の問題が発生してしまったが、それなりに手ごたえのありそうな問題が出来たと思う。
他のクラスメイトは近くの人と話していたりもするのだけれど、僕はその輪に入ることも出来ずに新しい問題を作ることに集中していた。それでも、周りのクラスメイトがしている会話は耳に入ってくるもので、ほとんどの人達が旅行に行っていたようだ。それも、海外に行っている人の方が多いというのも聞こえてきたのだ。
「じゃあ、採点が終わったんで呼ばれた人から取りに来てくださいね。齋藤君」
僕が一番先に呼ばれたのだけれど、林田さんが先に呼ばれなかったという事は僕と林田さんの点数がまた同じという可能性が生まれているのだ。佐久間先生は点数順に並べるのだが、点数が同じだった場合は出席番号順に並べ直すのである。つまり、林田さんが僕よりも先に呼ばれていれば僕よりも点数が高いということになるのだ。
「えっと、次は今井さん」
「はーい、今回は頑張っちゃいました」
「もう、先生が褒める前に自分で言わないの。でも、よく頑張ったね」
いつもであれば、僕の後に名前を呼ばれるのは林田さんなのだが、その前に今井さんが呼ばれていた。僕は自分の席へ戻る今井さんの姿を目で追っていたのだが、その視界の隅に見えた林田さんはどんな恨みがあるのだろうという表情を今井さんに向けていた。
その後も三人の女子が名前を呼ばれていたのだけれど、その間も林田さんはとんでもない表情を呼ばれた女子に向けていたのだった。
「次は、林田さん」
林田さんは無言で席を立つと、肩を落としたまま小テストを受け取りに行った。佐久間先生の時はいつも僕の後に呼ばれていたのだけれど、今回は間に四人の女子が入っていたので何か思うところがあったのかもしれない。
林田さんは自分の点数を見て何かを悟ったようで、一気に明るい表情になっていた。あの表情を見る限り、林田さんも僕と一緒で満点を獲得したようだ。今まで同じ点数だったことしかないのだけれど、小テストで満点を取ったのは初めてのような気がしていた。
その後もテストは順番に返されていたのだが、最後まで残った男子生徒は一人だけ補習を言い渡されていた。あの様子を見る限りでは、結構悪い点数を取ったようだ。
「なあ、補習って何点だったんだよ?」
「78点だったよ。クラス平均が93点らしいんだけど、お前ってどれくらいだったの?」
「俺は平均くらいだな。ま、補習は頑張れよ」
休み明け最初の授業が終わったのだが、その後に続いた授業も同じように小テストと自習が続いていた。もしかしたら、連休が終わった後は小テストをやって残り時間を自習にするという決まりでもあるのだろうか。そんな疑問が頭の中に浮かんだのだが、それを確認するような相手は近くにいない。吉川さんも今井さんも林田さんも席が遠いので話しかけに行きづらいし、かといって近くの人に尋ねるのも僕には難しい話であった。
お昼休みになると吉川さんと今井さんが当たり前のように僕の席の隣に座ったのだが、その席に座っていた男子たちは他の男子を誘って教室から出て行ってしまった。僕の隣に今井さんが座り、今井さんの前の席には吉川さんが座っていた。
「ホントにさ、齋藤君って男子から避けられているよね」
「そりゃ仕方ないさ。今日だって休み明けでみんなが陽香様のお姿を拝見しようと思ってたのにさ、隣に今日も齋藤君がいたんだもんね。みんなガッカリしてたよ」
「ガッカリされても僕のせいじゃないし。大体、陽香が一人でここまでやってこれないってのがおかしいんだよ。方向音痴だからって、一か月も通ってれば学校への道なりくらい覚えるでしょ。でも、陽香はそれを覚えることが出来ないんだよ」
「それって、もしかしたら齋藤君と一緒に登下校したいって言う陽香さんの想いもあるんじゃないかな」
「そうかもしれないね。陽香様は意外と寂しがり屋だって噂を聞いたことがあるし、それも案外間違いじゃないのかもしれないね。それよりもさ、雪ちゃんって小テストで満点だったでしょ。休み中に勉強してたの?」
「まあね、このままだと受験も無いから勉強する必要は無いんだけどさ、今から点数を貸せで置かないと難易度が高くなっちゃうからね。去年とか中学最後だったのにヤバかったよね。一番点数が低かった子なんてさ、校庭を何周させられたんだろうって思うくらいは知ってたもんね」
「そうだよね。あそこまで走ることは無いと思うけどさ、何があるかわからないから今のうちに点数を稼げるものは稼いでおこうって考えになっちゃうよね。雪ちゃんは上手いこと点数を稼げたって事だよね」
「そう言ってる雅美だって一問しか間違えてないじゃない。それって、私とあんまり変わらないでしょ」
「まあ、ケアレスミスさえしなければ満点だったかもしれないんだよね。確認って大事だなって今まで以上に思ったよ」
「点数と言えば、齋藤君っていっつも最初に名前を呼ばれてるよね。って言うか、齋藤君の次に呼ばれたのが雅美だったって事は他の男子は満点の人がいなかったって事だよね?」
僕は吉川さんの言葉を聞いて他の男子は何をしているのだろうと思って教室内を見回してみたのだけれど、教室内に残っている男子は僕一人しかいなかったのだ。
「急にキョロキョロしだしてどうしたの?」
「もしかして、これから陽香様がここにいらっしゃるの?」
「いや、陽香はやってこないと思うよ。呼べば来るかもしれないけど、今は他の人と話をしているかもしれないしね。何かしている最中だったら呼び出すのも失礼になりそうだし」
「それはあるかもね。そうだ、齋藤君にお土産を買ってきたから受け取ってよ。一応、陽香さんの分も買ってあるんで、タイミングがあったら渡してもらいたいな」
「ちょっと、抜け駆けはズルいわよ。私のも齋藤君に受け取ってもらわないといけないんだった。私のはロッカーに置いてあるんでちょっと待っててね」
今井さんは自分のロッカーに向かうと、そこから紙袋を取り出していた。その紙袋は駅前で何度か見たことがあるような気がするのだが、近くで見ると思いっきりデパートの名前が書いてあったのだ。
「これさ、良かったら陽香様にも渡して欲しいんだよ。もちろん、齋藤君の分もあるから安心してね。というか、いっぱい入ってるからみんなで食べてもらっても全然かまわないよ。でも、好き嫌いとかあったら困るなって言うか、私も食べたことが無いものだから美味しくなかったらごめんね」
「そのデパートのだったらハズレは無いと思うけど、そんなに変なの買ったの?」
「袋はデパートの何だけど、お土産のはシンガポールで買ったやつなんだよね。そのまま持ってくるのも何だったんで紙袋に入れてきたんだけど、どんなのか見てみる?」
今井さんは紙袋の中から取り出したのだけれど、そこには美味しそうなお菓子が入っていそうなパッケージなのだが、その箱は中が見えるようになっていて日本では見たことも無いようなカラフルな食べ物が入っていた。子供の好きそうなお菓子っぽいなと思ってみていると、吉川さんはそれを食べたことがあるらしくとても羨ましがっていた。
「それってさ、見た目はインパクト強いんだけど味は意外とあっさりしてるんだよね。それに、食感ももちもちしてて美味しいんだよ。雅美がシンガポールに行くって知ってたら私の分も頼んでおいたのにな」
「そう言えばお互いにどこに行くか教え合ってなかったよね。齋藤君がどこにも行かないって言ってたから旅行に行く話をするタイミングもなかったしね」
僕は今井さんにお礼を言ってその箱を袋ごと受け取った。手に取ってみると見た目よりもずっしりとした重量感があって、日本のお菓子とは違って中身もパンパンに詰まっているようだった。そんなにたくさん入っているのだったら吉川さんに分けてもいいのではないかと思ったが、それは陽香に確認してからにした方がいいだろう。
「じゃあ、雪ちゃんの分のお土産も渡すね。はい、マカロン」
「え、私の分もあるの。ありがとう、嬉しいよ」
「もちろんだよ。雪ちゃんはマカロンも好きだもんね。齋藤君にあげたやつも好きだったなんて知らなかったからマカロンにしたんだけど、大丈夫だった?」
「うん、全然大丈夫。というよりも、アレよりもマカロンの方が好きだしね」
「そうなんだ。でも、アレも美味しいんでしょ?」
「見た目の割には美味しいんだなって程度だよ。でも、味覚なんて人それぞれだし、私にはその程度でも齋藤君だったら凄く美味しく感じるかもしれないんだよね。あ、このマカロンってピスタチオ味じゃない?」
「たぶんそうだと思うよ。こっちはイチゴかな?」
「イチゴってあんまりないような気がするけど、何かベリー系ではあるんだろうね」
「そうだと思うけど、帰ってから食べて感想教えるね」
「うん、楽しみに待ってる」
僕はちゃんとしたマカロンを食べたことが無いのだけれど、前に沙緒莉姉さんがどこかのマカロンが美味しいと言っていたのを聞いたような気がする。何かをしている時に急に言われたので正確な名前とか場所は覚えていないのだが、そんな事を言っていたような気はしていた。
「てかさ、聞いてもらってもいい?」
「何?」
「今貰ったマカロンなんだけど、私の履いているパンツと同じ色があるのを今思い出したよ」
「え、本当に?」
「本当だって。齋藤君には内緒だけどさ、この色なんだよ」
「へえ、私はその隣だわ。でも、マカロンって下着みたいな色が多いよね」
吉川さんと今井さんは僕に何色か見えないように隠していたようなのだが、彼女たちが指さしていた場所が何色だったのか覚えているのだ。もしかしたら、指さしている場所から指先をずらしている可能性もあるのではないかと思っているのだが、間違いが無ければ吉川さんはオレンジで今井さんは黄緑色だと思う。
直接見るよりもこうして想像することの方が僕は好きなのではないかと再確認出来た休み明け初日の出来事であった。
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